夜は千の眼を持つ

夜は千の眼を持つ

 杭瀬自動車教習所にAT限定解除の申し込みに行くと、職員さんたちもまだわたしの顔を覚えていてくれていて、「何しに来よった!?」ではなく温かく迎えてくれた。さっそく手続きをするのだが、視力検査で躓いた。ここの視力検査機は、「C」の文字でなくランプの点灯した「E」の開いてる方向を言うのだが、これをことごとく間違えてしまい、「これはメガネが要りますね〜」と言われてしまった。

 これは困った。「夜は千の眼を持つ」というが、わたしの視力は二つ合わせて1.0にも満たない。警察署の「C」の機械ならなんとか見えるのに。しかし毎度視力検査はギリギリ合格なので、この際思い切って人生初のメガネを作ることにした。

 タイムズカーを借りてその日のうちにコストコ尼崎店へ。ここにはブランド眼鏡も豊富にあるが、高けりゃ似合うかというとそうでもない。いやそもそもメガネが似合ったためしがない。どんなのが似合うかと店員のお姉さんにアドバイスを求めると、親身になって選んでくれた。かけてカッコよくなるメガネなら大歓迎だが、そんなに都合のいいものが見つかるはずもなく、「これならなんとか…」といったもので妥協した。レンズ調整もコミコミで1万3千円。後日職場に着払いで送られてきたが、見える見えないよりも、やはり見てくれに違和感があってケースにしまったままである(^^;

 さて、限定解除教習のほうは、一日二時間を2回行って最後に検定に受かればいいので、最短三日で取れるわけだ。まず、初日に初めてミッション車に乗ってみてクラッチペダルの重さに驚いた!ブレーキやアクセルと同じくらいと思ってたのに。もちろん車種によっても踏み具合は違うんだろうけど、教習車のカローラはけっこうなものだ。これは上等の革底の靴は傷みそうで履けないなー。

 二輪車に乗ってたので変速の仕組みはなんとなくわかるが、いざクルマでやるとなると焦る!どうにかこうにか一日目の2時間をやり過ごすが、繰り越しの項目がファイルに記されていてヤバそうな雰囲気だ。

 ちなみに、教官に訊いてみると「限定解除は皆さんたいてい4時間で終わってますよ」とのこと。還暦とはいえ平均以下じゃないぞと示すため、なんとしてでも4時間で終えたいところだ。そのためには変速以外の余計なことに気を取られることのないよう、毎日仕事終わりにタイムズカーでバック車庫入れ、右左の方向変換の練習を続けた。

 翌週の教習は、顔馴染みの教官とリラックスして受けることができた。方向変換、S字、クランクもなんのその!何回やったと思ってんだい!最終4時間目のみきわめも前半でOKが出て、これなら大丈夫と太鼓判をもらった。

 次の日いよいよ卒業検定だ。例によって仕事は午前中休ませてもらい、いつもの送迎バスに乗り込む。このバスに乗るのも今日で最後か。あっという間だったな。

 検定のコースはくじ引きで決まる。苦手な右バックではなく、得意な左バックの方向変換を含むコースが当たって一安心。余裕の表情で何度も通ったコースをまわる。坂道発進も踏切もエンストなしで通過。これなら楽勝だろう思っていたら、検定終了後に試験官に呼ばれ、「少し緊張されたようですね」と不吉な一言。えっ?「行けるかな?と思ったのですが、残念ながら点数が足りません」

 エエーーーーッ!!( ̄▽ ̄; (つづく)

Jimmy Jazz