芋掘り
先日、『スーパーサックス・プレイズ・バード』のCDをディスクユニオンで見つけた。チャーリー・パーカーのアドリブを5人のサックスアンサンブルで再現して評判になったレコードだが、ずっと欲しいなと思いながら40年近く経ってしまった。
そもそも、チャーリー・パーカーの元の演奏を知ってることが前提なので、昨日今日ジャズを聴き始めた人にとっては、楽しめないわけでもないけどそれほど楽しくはないかもしれない。
さて、ジャズには「こうくればこう返す」といった決まり事がたくさんあって、アドリブの途中で「こんなの知ってる?」という問いかけに別のプレーヤーが「知ってる知ってる!」と即座に返す。「おっ、知ってるねえ通だねえ」と微笑みあうのが楽しみ方の一つ。
その問いかけを知らなくても責められるほどの罪ではないのだが、「知らないのはイモ」と、そのように見られる。その問いかけはプレーヤー同志のみならず、時に観客にも投げかけられ、知ってるのは当然のこと、知らない客ばかりだとしらけてしまうのだ。この辺りは古典落語と実によく似ている。
ただ、2023年にもなって、ジャズを知らなくてイモ呼ばわりするほうが絶対にダサいわけで、今どき誰もイモなんて言葉使わないし(^^;
やさしくなりたい
ジョン・コルトレーンの『サン・シップ』は素晴らしい。最初聴いた時はなんと騒がしい音楽かと閉口したが、2度3度と聴き進むにつれジワジワと良さが滲み出してきた。
JBLが吐き出す1965年のコルトレーン・カルテットのパワーたるや凄まじく、エルヴィン・ジョーンズやジミー・ギャリソンの気迫が伝わってきて、流しているだけで「こうしてはいられない!」と、テキパキ仕事が片付いていく。
JimmyJazzにJBLエベレストを導入して一年ちょっと。やはりコルトレーンのような”本気度の高い”ジャズで真価を発揮するスピーカーなので、あまりベスト盤等の”ゆるい”音楽はかけなくなっていた。
ところがある日、散髪にいらした年配のお客様が、「テネシーワルツないの?」と仰る。もちろんありますとも、「テネシー・ワルツ」といったら”ワルツの女王”パティ・ペイジでしょう。
”ゆるい”CDの代表みたいな『パティ・ペイジ・スーパーBEST』をかけてさしあげるといたく感動され、「次回(散髪に来たとき)もこれかけて!」と目を細めてらっしゃった。
うーむ、毎日聴いてると感覚が麻痺して「当店の顧客は全員ジャズが理解できる」と思ってしまうが、大半のお客様は喧しいのを我慢してるだけかもしれない(^^;
この事件以来、選曲の際になるべくやさしいジャズや有名なジャズ、あるいはジャズ以外の有名曲をチョイスするよう心がけている。
充分でないにしろ、パティ・ペイジやブレンダ・リーみたいないい音楽を比較的いい音で提供できる環境が当店には整っているのだから。
しょうがないので喧しいコルトレーンの『サン・シップ』は誰も店内にいないときや営業前にかけて一人で盛り上がる。文句なしのサウンド!これに新発売のスピーカーアキュライザーが加わったら一体どうなってしまうのか!?どうやら当店のは後回しになりそうだ( ̄▽ ̄;
世界の一流品シリーズ[11] ルイスレザーのライダースジャケット
年が明け、陽の光が強さを増すにつれ、長い丈のコートを着てると物々しく大げさで、なんだか馬鹿らしく思えてくる。2月のちょうど今ごろが一年でもっとも寒いというのに。
数年前にバーバーバトル決勝を観に原宿を通ったら、ルイスレザーのお店が出来ていた。日本にも正規直営店ができたのかと思いながら、その時は前を通っただけだった。
ルイスレザーの革ジャン、いいかもしれない。
大阪にも直営店があるらしいので早速行ってみた。ルイスレザーの代表モデルであるライトニングを試着するが、西洋人体型の人が前傾姿勢でバイクに乗るように作られているため、袖丈がかなり長い。
バカボンのパパより一回り以上年上なのに、袖が長すぎのタリラリラ~ンではサマにならない。
店員さんには袖丈や着丈をオーダーして注文した方がいいですよととアドバイスされたが、イギリスで作っているため納期が約3ヶ月かかるらしい。3ヶ月も待ってたら初夏になってしまうので、一旦諦めて帰ってきたが、どうしても気になって1ヶ月後に再来訪、袖丈着丈をきっちり計測してオーダーした。だって、注文しないといつまで経っても手に入らないんだから(^^;
結局夏の終わり頃にオーダーメイドのライトニングが送られてきた。当たり前だがサイズはぴったり、似合うかどうかは別にして。
しかしこのシステムの怖いところは、オーダー時点で決済終了しているため、あれほど清水の舞台からダイブする気持ちで購入したのに、商品を受け取る頃にはその痛みをすっかり忘れてしまってるということ。
オーダーしてから到着を待つ間に、他のモデルもいいな、今度はサイクロンにしようかななどと妄想が膨らんでいくのだ。
やっと涼しくなり、オーダーしたライトニングが着れるようになったと思ったら、またルイスレザーOSAKAに行ってオーダーしてしまった。頼んだサイクロンの納期は伸びていて約半年だという。
そしてまたしても暑くて着れない時期にサイクロンが到着。こっちのほうがライトニングより装飾が控えめでスッキリ着やすい印象である。
ルイスレザーの何が良いって、さすがテーラー文化の英国製であるから、肩の線が刺身の角のようにキリッと立っている。ジッパーのボールチェーンも貴婦人のイヤリングのように揺れて可愛らしい。
わたしが二十代の頃はショットの革ジャンばかり着ていた。アメリカ製のショットは若者が着るにはいいけれど、初老のわたしがいま着るとかなり野暮ったい。ワイルド気取りの年寄りは見苦しいが、同じライダースでもルイスのはシュッとしている。
そういうわけで、現在一年待ちとなったルイスレザー3着目の秋の到着を待っているところ。もうこれで絶対終わりにするぞ!( ̄▽ ̄;
世界の一流品シリーズ[10] ローレールのベレー帽
予想はしていたものの、老いていくということが、こんなにも手ごわいこととは!
ここ数年めっきり口数が少なくなってしまったJimmyJazzブログであるが、年をとると冗談のセンスが格段に悪くなる。粋なセンスのジョークを言うカッコいい老人なんて、映画ならともかく現実の世界では滅多に見かけない。政治家の失言なども含め、老人がウケると思って言う冗談は決まってセンスがない。いや、若いとフレッシュで許されることも老いぼれだと救いようがない。自分はまだまだ若いと思ってるが、まわりから見れば哀れな老人なのだ。ショックである(^^;
目下のところ、なんとかしてカッコいい老人になれないか…、は無理でも、せめてみっともなくない老人に食い込むことはできないかと、自分と共に周囲が高齢化していくなかで、ずっとそればかり考えている。
しかし歳をとるといいこともある。ローレールのベレー帽が似合うこととか。
昔、ベレー帽をかぶりロードレーサーの自転車で散髪にいらっしゃる粋な牧師さんがいたのを思い出し、そろそろ自分にもベレーが似合うのではないかと思って買ってみたら、わりとしっくりくるではないか。
ベレーとか蝶ネクタイとかサスペンダーとか、若い男性がつけると”お坊ちゃま風”になりがちアイテムがサマになるのは、やはり顔に皺ができ、頭に白髪も混じるようになり、多少腹も出て”枯れた感”が出てきてからだ。個人的には髭を伸ばしていいのは白い髭が混じるようになってからだと思っている。
フランス製ローレールのベレーは、上質なメリノウールを使っていて、顔色を良く見せてくれるし、意外とどんな服装にも合う。黒とグレーだけでやめておこうと思ったのに、阪神百貨店でネイビーを試着したら、これも良いので買ってしまい、還暦まで我慢しようと思った赤色も買ってしまった。
きっと近所のスーパーのパートさんの中で”ベレー帽のおじさん”とか”絵描きさん”とか呼ばれてるに違いない( ̄▽ ̄;
世界の一流品シリーズ[9] 万双の革鞄
新年明けましておめでとうございます。本年もJimmyJazzをよろしくお願いします。
昨年末より始まった「世界の一流品シリーズ」、こうしてブランド物ばかり紹介してると、ただのブランド物好きみたいに見えるかもしれないが、ブランドじゃないと認めないということじゃない。むしろ身の回りはほとんどがブランド物でないものばかり。
ノーブランド品に埋もれるようにブランド品が点在するのをピックアップしているのだ。それにグンゼの肌着とかユニクロの靴下とか紹介したって面白くないでしょう(^^;
でもやはりバーバリーのマフラー巻いてボルサリーノかぶった男がルイ・ヴィトンのバッグ持って歩いてたら、さすがにブランドブランドしすぎで恥ずかしい。ちょっと薄めないといけない。
そこでわたしが愛用するのが万双のバッグ。何が良いって作りが良い。ブランドロゴがどこにも入ってない。上野と三宮の直営店とオンラインショップでしか入手できない。広告宣伝は一切行わないからそのぶん安い。
わたしが最初に注文したシモーネトートバッグも、かっこよくて手頃な値段の革カバンを探してて見つけたのだった。
そのシモーネだが、購入して何の不満もなく一年間ガンガン使い倒してふと見たら、いつの間にかなんともいえない良い風合いになっていて感心した。驚きつつシモーネの色違いを購入し、また一年後に別の万双バッグを購入。すっかり万双のファンになってしまった。
仕事柄、1日に何度もお客様のバッグを預かるし、なかには数十万円するブランド高級バッグもあるが、それらと比べても万双はまったく見劣りすることがない。丁寧な作りと上質な革の質感が、”ブランド物でない”存在を静かに主張する。
ちなみに万双の社名の由来は、上野に店舗をひらく際、その前にあった店の屋号が万双だったので、それをそのまま頂戴したという。「こだわるのはそこじゃない」と言いたげで、なんとも親近感のわくエピソードではないか。
Joyeux Noël ! (ジュワイユー ノエル)
年内は12/31正午まで、年始は1/5から平常通り営業します。
2022年もジャズの聴ける理容室をご利用いただきありがとうございました。
「12月はJimmyJazzで感動的なクリスマスソングを聴きながら散髪して一年を締めくくる」
約30年前に冗談みたいに始めたクリスマスジャズ特集、すっかり当店の恒例行事として定着し、結構な確率で成功しているのではないでしょうか。
2023年も素敵な年になりますように。
世界の一流品シリーズ[8] カールツァイスのレンズ
決して欲張ってるつもりはないのだが、
「奮発して買ったのに、こういうことはできないのか」
と失望してよくよく調べてみると、わたしが求めてる結果を出すには、かなりマニアックな知識と高額な出費が必要であることが多い。
よっしゃ!そんならいっちゃん高いのちょうだい!!とパパーン!と買えば気分も良いのだろうが、なんとか安く済ませられないかとやってるうちに泥沼にハマってる(^^;
オーディオもパソコンもカメラも帽子も洋服も、興味あることのほとんどがそのパターンである。
2020年、コロナ禍で遊びに出ることも少なくなって、いっちょ写真でもやってみるかと一眼デジタルカメラを買うことにした。
コンデジは何度も買ったし、iPhoneでもきれいな写真が撮れるが、ちょっと求めてる感じと違う、もっとこうドラマチックな…、ほらほら、また病気が始まった( ̄▽ ̄;
当店のお客様がカールツァイスのレンズがいいよと教えてくれたので、ソニーのα7IIIとツァイスのゾナー55mmを購入。標準のキットレンズを買わなかったのはちょっと勉強したからで、もし買ってたら「背景がボケない」とか「なんか思ったのと違う」とか絶対言ってただろう。
その後ヤシカ製ツァイスのプラナー50mmF1.7を買い足して、ツァイスを薦めてくれたお客様からもレンズを貸してもらい、自宅に眠っていたキャノンのレンズやらも試したが、やはりツァイスの写りは格別であった。意味のない被写体にストーリーが宿る。まるでフェルメールの絵画のような静謐な空気と哀愁が表現できるのだ。
当店のエベレストが大きすぎて画角に収まらないので、ソニーの安価な広角レンズを買って撮ってみたが、うーん、これならiPhoneで撮ったほうがマシ!
なんでこんな写り方が変わるのか、オーディオと同じく趣味の七不思議である。
世界の一流品シリーズ[7] ラルフローレンのウールコート
童話や昔話には、時折「立派な身なりの紳士」が登場するが、その紳士はおそらく上質なウールの外套を着ていたに違いない。
以前、カシミヤのロングコートを着てデパートに行ったら、女店員さんが上得意客のごとく丁寧に接客してくれた話を書いたことがあったけれど、ラルフローレンにかぎらずとも、良いコートを着ているとその効果たるや絶大なのである(^^;
ゴム引きトレンチコートやコットンのステンカラーコートも悪くはないが、「立派な身なりの紳士」感は後退する。あくまでも上質ウールのしっとりした素材感が重要なのだ。
わたしは12月になるとラルフローレンのウールコート4着を着回している。色は黒が2着、チャコール、ネイビーで、ダブルだったりベルトがあったりとディティールは違うがオーソドックスな形で、どれも同じに見えなくもない。
膝下まであるロングコートは、いささか大袈裟な気もするけれど、全身をすっぽり覆ってしまうから中に何を着ても見えないし、クリスマスや年末大売り出し(古い)で賑わう街によく似合う。
ステッキやシルクハットやお迎えのリムジンがなくとも、お気に入りのウールコートがあれば「立派な身なりの紳士」に見えるのである。
おっと!髪がボサボサではせっかくの紳士が台無しなので、月に一度の散髪もお忘れなく。
世界の一流品シリーズ[6] バーバリーのノバチェックマフラー
高校生の時分に、ステンカラーコートにバーバリーのマフラーをした紳士が歩いてるのを見て、「なんか、おっさんくさいなあ」と思っていた。
一目でバーバリーとわかるノバチェックは、若者にとってダサい象徴だったように思う。
今では評価逆転して愛用しているノバチェックマフラー。わたしもおっさんくさいおっさんになったのだ(^^;
なんであんなに嫌悪してたのかと考えると、やはりああいったブランド物は10代でつけていると、親に買い与えられたか、もしくは家にあったお下がりか、どっちにしても生活力・生命力に乏しい、自立してない未熟な子供と見られるのが嫌だったのではないか。
バーバリーのマフラーを女学生がつけてると「良家のお嬢さん」みたいに見えるから、女子にとってはあまり抵抗ないのだろう。
とにかく、あの柄は独特でまるで毒蛇のよう。襟元からちょっと覗かせるだけでもよく目立つ。ブランド力は凄まじいものがある。
最近では柄のパターンを大きく拡大した新デザインなどで若者に積極的にアピールしているバーバリーであるが、わたしが所有してるのは昔ながらのノバチェック、キャメルとグレーの二本で長さも今のものと比べてやや短め。いずれもラムズウールだがチクチクしないしふんわりとボリュームがあってとても暖かい。
若さと品のなさ、老いと品のよさはだいたいセットになっていて、妙にお利口でちっちゃくまとまってる若者は可愛くないし、品のない年寄りはもう目も当てられない。
世界の一流品シリーズ[5] フォックス・アンブレラ
不景気でモノが売れなくなると、我々商売人はつい「お客様はお金を使いたくない」ものだと考えてしまいがちだが、じつはそうではない。
自分に置き換えて考えば答えは明白だ。景気がどうあろうと「お客はお金を使ってより大きな満足を得たい」と思っているものだ。
「喜びや満足が得られると確信できるモノ」なら買いたいが、「買ってもさほど嬉しくないが、しかたないので買うモノ」には、なるべくお金をまわしたくないだけ。
したがって、モノを売る側は変に値段を下げるのでなく、「余分にお金を払ってでもより大きな満足感を得られる商品」を用意しているかどうかが売れるかどうかのポイントとなる。理容店は「伸びたから仕方なく散髪に行く」のでなく「楽しみで散髪に行く」よう趣向を凝らさなくてはいけない。
さてさて、本日は英国フォックスアンブレラのご紹介。いつもJimmyJazz入口横の帽子掛け(兼傘立て)に立ててあるアニマルヘッドのコウモリ傘、そう、あれのことだ。
ニッケルメッキの持ち手が殺し屋の杖みたいでカッコいいが、英国産の高級品にしては動物の造形があまい。もう2〜3万高くてもいいから海洋堂並みの精巧さを出してくれたらいいのに。
もう一本、ワンギーと呼ばれる竹を曲げたハンドルのアンブレラも持っていて、黒地のアニマルヘッドに対してこちらはグレーの布にした。雨粒が幌に当たるポツポツという音が心地良い。
映画「キングスマン」に登場した他のデザインの傘も欲しいのだが、意外なほどこれらの傘の出番が少ないので躊躇している。
ひと目見て高級傘と判るので、鍵も付いてないコンビニの傘立てや、行き慣れない場所に放置しておくと盗られる心配がある。しかも使った後で広げて乾かす手間があるから、つい安物のビニール傘を手に取ってしまう。
さらにコロナ禍が追い討ちをかけ、一年くらい放置してたら黒いほうの巻いてあるゴムバンドが伸びて若干緩くなってしまった(^^;
グレーのほうはまだ大丈夫だが、どちらも並行輸入品なので正規販売店での修理交換はできなさそう。町のリペアショップに持ち込むなり、自分で長さを切って縮めるなりすればなんとかなりそうだが、通勤距離500メートルのMasterだから本当に傘の出番が少ないのである(^^;
世界の一流品シリーズ[4] ヴィトラ社 パントンチェア
1950年前後、デザイナーによる優れた家具が多く生み出され、それらは後年”ミッドセンチュリー”と称されるようになる。やがて半世紀が過ぎ、著作権が切れるとミッドセンチュリーの名作家具は、リプロダクトといえば聞こえはいいが、要するにコピー商品が多く出回るようになった。
当店の客待ちスペースにあるヴェルナー・パントンのパントンチェアもミッドセンチュリーを象徴するデザインの傑作チェアであるが、これを初めて導入したのがちょうど10年前の2012年11月、リプロダクト品で一脚5千円くらいだった。
スピーカーのすぐそばに置くのでなるべく音を吸わない/変な反射をしない物をと考えて、このプラスチック一体成形の椅子を選んだのだ。
家具に興味のない人が見れば、リプロダクトだろうとオリジナルだろうと、ただのおかしな形をした椅子なのだが、実際に所有してみると本物と少しずつ違う、色んなことが気になってくる。
たとえば表面の仕上げが、リプロ品は微妙にツヤツヤしてて、床と擦れた際に出るゴゴッという音も安っぽいし気に入らない(^^;
なんだよそんな音くらいとお思いになるだろうが、その音の響きがフィードバックして店内の音響を形成しているのだから、なかなか馬鹿にならないのだ。
そこでJBLエベレストを導入を決めた本年始めから、こっそり一脚ずつ本家本元ヴィトラ社のパントンチェアに入れ替えていたのだ。
白と黒のうち、一脚の黒だけ入れ替えたところでJBLエベレストがやってきたが、あるお客様が「こっちの椅子に座るのと、あっちの椅子では音が違う!」と言い出した!
ほほぅ!面白いことを仰るではないかw ちなみにどっちが音がいいですかと訊ねたら、こっちと黒いほうを指す。
エベレストの巨大さに気を取られて、椅子が変わってることには気づかなかったでしょ?そりゃそうだ、見た目はほとんど一緒なのだから( ̄▽ ̄;
スタッキング(積み重ね)可能なはずなのにコピー品は重ならないとか、ヴィトラの製品は黒が少しグレーっぽいとか、比べてみると違いがよくわかる。
ただ、座り心地はほとんど変わらないから半分以上Masterの自己満足だと言われても否定はしない(^^;
世界の一流品シリーズ[3] アレキサンダー・マックイーンの髑髏スカーフ
2008年、ルイ・ヴィトンの広告にローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズが登場した。舞台はホテルの一室、ベッドに置いたモノグラムのギターケース、傍らでセミアコースティックギターを弾くキース。ルイ・ヴィトンとはまったくイメージの異なるロック界のカリスマの起用は世間に大きなインパクトを与えた。
このポスターの両端にランプシェードが写っているが、ドクロのデザインされた薄いスカーフがそっと掛けられている。キースの私物であるか、小道具か定かでないが、キースらしいといえばキースらしいロックな演出だ。
今更キースの真似をしようなんて思わないが、このドクロが気になって調べてみると、どうやらアレキサンダー・マックイーンの品らしい。ブランド物なので値段もそれなりに高価であるが、このドクロスカーフはなかなかの名作のようで、中古や類似品も多く流通している。
ヴィトンは買えないがスカーフならと軽い気持ちで購入してみたら、これがカッコいい!ガイコツの顔が並んでいるだけの薄い絹のスカーフだが、襟元に巻くだけで実に品良くキマるのだ!
昨日、「顔の近くにキメの揃った高級素材があると顔映りが良くなる」と書いたが、これも同じく「絶大な」効果がある。
メンズファッションにおいて、デザインや柄物はなくていい、ユニクロで充分と思いかけたが、このドクロスカーフで「デザインすること」の凄さを思い知った。
例によって同じデザインの色違いや違う柄のスカーフを何枚も買う羽目になるのだが、いちばん使い勝手がいいのはやはり最初に買った黒地に白で染め抜いた髑髏スカーフで、そうそううまい話は転がってないのである(^^;
世界の一流品シリーズ[2] ボルサリーノ クオリティ・スーペリオール
一流品と二流品の差はほんの僅かしかない。実用的にはほとんど同じであると言ってもいい。ただ、ほんの僅かだけ仕上げが良かったり、ほんの僅かだけ長持ちしたり、ほんの僅かだけ使い勝手が良かったりする。たったそれだけのことである。
したがって、そのほんの僅かなことに目をつぶるならば、格段に値段の安い二流三流でも充分使える。
しかし、その僅かな完成度の違いを達成するために、二流品より何倍もの工程や手間がかかっていて、長年培ったメーカー独自のノウハウもあり、当然高額での販売となる。
それら一流品を新品定価で買ってたら一年以内に破産するので、上級国民でない庶民のMasterはほぼ全てオークションの中古品狙いで、買って成功もあるが、失敗もかなり多い。何事も失敗しなくては上達しないものである(^^;
さて、世界の一流品シリーズ第2回はボルサリーノの帽子、ファーフェルトハットである。現在わたしはボルサリーノの帽子を9個所有しているが、うち1個はパナマ帽で、他のメーカーの物を合わせるともっとある。これでもかなり処分したつもりなのだが。
帽子ほど通販に不向きな物もない。実際に試着してみないと似合うかどうかわからないからだ。かといって新品の帽子売り場に行って、クラウンやツバを自分流にくしゃくしゃと折り曲げて試着するのも憚られる。結局はエイヤッと買ってみるしかない。
最初は数千円のニューヨークハットを買ったが、だんだんと目が肥えてくるとただのウールでは物足りなくなって、より上等な兎の毛を使ったものが欲しくなる。クラウンの高いアメリカ製のステットソンよりも、スマートなイタリア製”クオリティ・スーペリオール”ラインのボルサリーノが小柄なわたしには似合うという結論に達した(^^;
クオリティがスーペリオールだと何が良いのかというと、ほんの少し自分が男前に見えるのである。顔の近くにキメの揃った高級素材があると顔映りが良くなるのは、腕の良い理容師に散髪してもらうのと同じ理屈である。
日本が世界に誇るオーディオメーカー・インフラノイズの秋葉社長はわたしに対抗してか、JimmyJazzに納品の時はいつも黒のハットを被っていらっしゃる。曰く「これ被って歩いてたらみんな避けて通る」とご満悦。
オーディオマニアの気持ちの半分は芸術家なのだ( ̄▽ ̄;
世界の一流品シリーズ[1] JBLのスピーカー
何回かに分けて、ジャンルにこだわらずMasterが唸った世界の一流品を紹介してみたい。
少年の頃から「世界の一流品」みたいな雑誌を見るのが好きだったが、最も初めの根っこにあるのは、オーディオ雑誌に載っているJBLのスピーカーであったように思う。
(ちゃんとした)JBLサウンドに接したのは、このブログの前身であるホームページで日記を書き始めてからだから(ほんの)約22年前で、それまでは音が好きとかいうのでなく、たんなる憧れとしてカタログ写真をうっとり眺めていただけだった。
今でこそJBLのフラッグシップであるエベレストを手に入れて偉そうにしているが、実はそんなにキャリアは長くない、いや充分長いのか(^^;
とにかく、なぜJBLなのか、アルテックやB&Wではダメなのか、というと、(そもそもB&Wは音が好きじゃないのであるが)他のメーカーにない意外なJBL独自の魅力があるからだ。
音を出さずとも「JBL」と口にするだけでパッと気持ちが明るくなるのだ。こんなメーカーは他に見たことない。「タンノイ」も「LINN」も「マッキントッシュ」に「ウエスタン」どれもそれぞれに洒落たカッコいいイメージはあるけれど、笑っちゃうような馬鹿馬鹿しさと凄みと音楽性を兼ね備えたメーカーはわたしの知る限り存在しない。(あえて言うならテナーサックスのソニー・ロリンズか)
創立者のジェームス・B・ランシングが自殺してるというのにこの明るさはなんなのだ!やはりサウンドイメージによるものだろう。カラッとしていて爽快にジャズを鳴らす。未練も後腐れもない潔さ、こんなんではスピーカーの音質の説明になってないのだが、あり得ないくらい値段が高いのも他メーカーだと苦悩するがJBLだと笑っちゃう( ̄▽ ̄;
つらいときにはJBLの名を呼ぶがいい。ジャズでも聴いて元気出そうよ!まさに世界の名機と呼ぶにふさわしいキング・オブ・オーディオメーカーである。
35年目に突入
昨日11/8はJimmyJazz創立の日で、マイルスの「ラウンド・ミッドナイト」など当時聴いていた曲をかけて感傷に浸っていたのであるが、35年目に突入したというのに相変わらずちゃらんぽらんで、一向に老舗の重厚感が備わらない。重厚になったのはスピーカーくらいのもんである(^^;
そのくせ人様からは老人扱いされたり、店主の外見と設備だけが老朽化した。35年なんてあっという間である。50周年まではなんとか頑張りたいと思っているので、皆様よろしくお願いします。
「男前1割増し」の秘密 その2
フランス人サックス奏者のバルネ・ウィランが『ニューヨーク・ロマンス』録音のためヴァン・ゲルダー・スタジオを訪れた際、録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーとスタジオ所蔵のビンテージマイクを使わせろ、使わせないで一悶着あったとライナーノートに記されてあった。
最後はバルネの意見が通ってノイマンのマイクを使用した収録となったが、職人気質の者にとって、使用する道具まで指定されるのはあまり気分の良いものではないだろう。
理美容においても多いのが「すき鋏を使わないでください」というオーダー。多くの場合、過去にすき鋏を使って失敗されたトラウマがあって、「すき鋏イコール悪」のイメージが定着してしまったことに起因する。
太古の昔から「ナントカとすき鋏は使いよう(?)」という諺にもあるように、すき鋏自体に問題があるのではなく技術者の使い方に問題があるのだ。
一口にすき鋏と言っても、ザックリ一度にたくさん梳けるものから微妙な質感調整に使うものまで何種類もある。その中から髪質、毛量、痛み具合、デザイン、そのときのハサミのコンディションなどを考慮し、最適な使い方をしたいのである。
だからといってクライアントの意向を無視するわけにもいかないので、「使うな」と言われれば使わないし、「使ってくれ」と言われたらなるべく使って差し上げたい。ただ一般論として、職人は信頼して、自由にさせてやるほうが良い仕事をするもの。
『男前1割増しおまかせカット』はおまかせするから一割増しで男前になることをお忘れなく。
『ニューヨーク・ロマンス』を初めて聴いたのはもう20年以上前になる。あれから色々バルネのCDを聴いてみたが、『ニューヨーク・ロマンス』みたいな音で鳴ってるものはなかった。果たしてバルネはあの録音を気に入ってたのだろうか?
「男前1割増し」の秘密
JimmyJazzは何も根拠なくただのノリで”男前1割増し”を謳っている訳ではない。具体的な一例をあげよう。
髪の毛というのは面白いもので、カットが不揃いだと毛先が光を乱反射して汚らしく見えるものだ。特に白髪混じりの人や、明るい茶髪に染めている人だと一発で上手下手がバレてしまう。理容師の腕前はもちろん、ハサミの切れ味ひとつで魔法のように毛並みが揃い、艶やかで落ち着いた色合いに変化して白髪が少なくなったように見えたりする。
”揃っている”ことは誰にでもわかる重要なことなのだ。
話は変わるが、もう20年くらい前になるのか、わたしがオーディオ界で怪気炎をあげていた頃、「実際の演奏を聴いたこともない癖になぜ音(再生音)が正しいとわかるのか?」と、小学生みたいなイチャモンをつけにくる人がたまにいた(^^;
そのように主張する輩は「生演奏をしょっちゅう聴きに行って自分のオーディオと比べてるからこの音は正しいのだ!」ということが自慢したかったのだろう。
確かにそれは一理あるかもしれない。でも、生演奏を聴かないとオーディオができないというのも一種の極論である。もうこの世にいないバド・パウエルやチャーリー・パーカーを愛好する人は、正しくオーディオを楽しめないことになってしまうが、そんな人でも立派にオーディオ愛好家となることはできる。
髪の毛と同じように人間は揃っていると美しいと感じ、揃ってないと無秩序に感じる。揃っている音と揃ってない音を比べれば、揃ってる方が美しいと思うからこそ音楽は世界共通の娯楽として成立しているのだ。
もっとも、わたしは自分のオーディオの音が正しいなんて一度も思ったことはないのだが。。。( ̄▽ ̄;
「男前」にこそ価値がある
「料金が他店より安いこと」
ランニングコストを考えるとそれは大事なことです。
「待たずにカットできること」
忙しい現代人には必須条件かもしれません。
「刈り上げが0ミリであること」
もちろんスキンフェードとはそういうことですね。
「何度でも切り直ししてくれること」
カットの途中で気が変わることもあるでしょう。
「たくさんすいてくれること、短くなってさっぱりすること」
当然ですよね〜。
でもね、
わたしは理容室でなにより重要なことは、散髪して「男前になること」だと思うんですよ。安い他店で散髪してかっこよくないより、JimmyJazzで散髪して男前が上がる、奥さんに褒めてもらえて、しかもスタイルが長持ちするなら、そっちの方がいいと思いませんか?
「おっ?ちょっといい男になってる!?」これがデザイン、これが付加価値というものですよ。
当店を選んでくださったお客様全員にそう思ってもらいたい。時間的、体力的にいい仕事ができないと判断すれば予約をお断りすることもありますし、できない技術やおすすめしないスタイルもある。
「安くて、今すぐできて、さっぱりするならそれでいい」そんな方が当店を利用されるのは、ちょっと勿体無い。
JimmyJazzはそういうスタンスで営業してます。
サボテンノーズワックス
今年の夏は2度目の富士登山にチャレンジ!三年前には悪天候で登頂を断念したが、今回は好天に恵まれ、見事登頂を果たした。
天気の次に心配したのが高山病で、とにかく酸素をたくさん取り込まないといけないと思い、当店メニューにサボテンノーズワックスを導入、鼻毛を根こそぎ引っこ抜いて富士山に挑もうと決心した(^^;
これまで自分の鼻毛処理には電動および手動の鼻毛カッターや鼻毛専用ハサミなどを使ってきたが、なにしろ日本一の山に挑戦するのだからそんな生ぬるい方法では太刀打ちできない!
数年前に突如この理美容業界に登場したサボテンノーズワックスという鼻毛脱毛メニューは、専用のスティックに保温ポットで温めておいたワックスを絡めて鼻に突っ込み、冷えて硬化したところを一気に引っこ抜く!ちょっぴり痛そうな印象と、そのショッキングなビジュアルから敬遠するむきも多いだろう。
しかし実際に自分でやってみると、思ったほど痛くない。それどころか処理後のスティックをうっとり眺めてしまうw
これは鼻毛ある人は全員やるべきだな!!うーんw