やさしくなりたい
ジョン・コルトレーンの『サン・シップ』は素晴らしい。最初聴いた時はなんと騒がしい音楽かと閉口したが、2度3度と聴き進むにつれジワジワと良さが滲み出してきた。
JBLが吐き出す1965年のコルトレーン・カルテットのパワーたるや凄まじく、エルヴィン・ジョーンズやジミー・ギャリソンの気迫が伝わってきて、流しているだけで「こうしてはいられない!」と、テキパキ仕事が片付いていく。
JimmyJazzにJBLエベレストを導入して一年ちょっと。やはりコルトレーンのような”本気度の高い”ジャズで真価を発揮するスピーカーなので、あまりベスト盤等の”ゆるい”音楽はかけなくなっていた。
ところがある日、散髪にいらした年配のお客様が、「テネシーワルツないの?」と仰る。もちろんありますとも、「テネシー・ワルツ」といったら”ワルツの女王”パティ・ペイジでしょう。
”ゆるい”CDの代表みたいな『パティ・ペイジ・スーパーBEST』をかけてさしあげるといたく感動され、「次回(散髪に来たとき)もこれかけて!」と目を細めてらっしゃった。
うーむ、毎日聴いてると感覚が麻痺して「当店の顧客は全員ジャズが理解できる」と思ってしまうが、大半のお客様は喧しいのを我慢してるだけかもしれない(^^;
この事件以来、選曲の際になるべくやさしいジャズや有名なジャズ、あるいはジャズ以外の有名曲をチョイスするよう心がけている。
充分でないにしろ、パティ・ペイジやブレンダ・リーみたいないい音楽を比較的いい音で提供できる環境が当店には整っているのだから。
しょうがないので喧しいコルトレーンの『サン・シップ』は誰も店内にいないときや営業前にかけて一人で盛り上がる。文句なしのサウンド!これに新発売のスピーカーアキュライザーが加わったら一体どうなってしまうのか!?どうやら当店のは後回しになりそうだ( ̄▽ ̄;