月別アーカイブ 2023年2月28日

やさしくなりたい

 ジョン・コルトレーンの『サン・シップ』は素晴らしい。最初聴いた時はなんと騒がしい音楽かと閉口したが、2度3度と聴き進むにつれジワジワと良さが滲み出してきた。

 JBLが吐き出す1965年のコルトレーン・カルテットのパワーたるや凄まじく、エルヴィン・ジョーンズやジミー・ギャリソンの気迫が伝わってきて、流しているだけで「こうしてはいられない!」と、テキパキ仕事が片付いていく。

 JimmyJazzにJBLエベレストを導入して一年ちょっと。やはりコルトレーンのような”本気度の高い”ジャズで真価を発揮するスピーカーなので、あまりベスト盤等の”ゆるい”音楽はかけなくなっていた。

 ところがある日、散髪にいらした年配のお客様が、「テネシーワルツないの?」と仰る。もちろんありますとも、「テネシー・ワルツ」といったら”ワルツの女王”パティ・ペイジでしょう。

 ”ゆるい”CDの代表みたいな『パティ・ペイジ・スーパーBEST』をかけてさしあげるといたく感動され、「次回(散髪に来たとき)もこれかけて!」と目を細めてらっしゃった。

 うーむ、毎日聴いてると感覚が麻痺して「当店の顧客は全員ジャズが理解できる」と思ってしまうが、大半のお客様は喧しいのを我慢してるだけかもしれない(^^;

 この事件以来、選曲の際になるべくやさしいジャズや有名なジャズ、あるいはジャズ以外の有名曲をチョイスするよう心がけている。

 充分でないにしろ、パティ・ペイジやブレンダ・リーみたいないい音楽を比較的いい音で提供できる環境が当店には整っているのだから。

 しょうがないので喧しいコルトレーンの『サン・シップ』は誰も店内にいないときや営業前にかけて一人で盛り上がる。文句なしのサウンド!これに新発売のスピーカーアキュライザーが加わったら一体どうなってしまうのか!?どうやら当店のは後回しになりそうだ( ̄▽ ̄;

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世界の一流品シリーズ[11] ルイスレザーのライダースジャケット

 年が明け、陽の光が強さを増すにつれ、長い丈のコートを着てると物々しく大げさで、なんだか馬鹿らしく思えてくる。2月のちょうど今ごろが一年でもっとも寒いというのに。

 数年前にバーバーバトル決勝を観に原宿を通ったら、ルイスレザーのお店が出来ていた。日本にも正規直営店ができたのかと思いながら、その時は前を通っただけだった。

 ルイスレザーの革ジャン、いいかもしれない。

 大阪にも直営店があるらしいので早速行ってみた。ルイスレザーの代表モデルであるライトニングを試着するが、西洋人体型の人が前傾姿勢でバイクに乗るように作られているため、袖丈がかなり長い。

 バカボンのパパより一回り以上年上なのに、袖が長すぎのタリラリラ~ンではサマにならない。

 店員さんには袖丈や着丈をオーダーして注文した方がいいですよととアドバイスされたが、イギリスで作っているため納期が約3ヶ月かかるらしい。3ヶ月も待ってたら初夏になってしまうので、一旦諦めて帰ってきたが、どうしても気になって1ヶ月後に再来訪、袖丈着丈をきっちり計測してオーダーした。だって、注文しないといつまで経っても手に入らないんだから(^^;

 結局夏の終わり頃にオーダーメイドのライトニングが送られてきた。当たり前だがサイズはぴったり、似合うかどうかは別にして。

 しかしこのシステムの怖いところは、オーダー時点で決済終了しているため、あれほど清水の舞台からダイブする気持ちで購入したのに、商品を受け取る頃にはその痛みをすっかり忘れてしまってるということ。

 オーダーしてから到着を待つ間に、他のモデルもいいな、今度はサイクロンにしようかななどと妄想が膨らんでいくのだ。

 やっと涼しくなり、オーダーしたライトニングが着れるようになったと思ったら、またルイスレザーOSAKAに行ってオーダーしてしまった。頼んだサイクロンの納期は伸びていて約半年だという。

 そしてまたしても暑くて着れない時期にサイクロンが到着。こっちのほうがライトニングより装飾が控えめでスッキリ着やすい印象である。

 ルイスレザーの何が良いって、さすがテーラー文化の英国製であるから、肩の線が刺身の角のようにキリッと立っている。ジッパーのボールチェーンも貴婦人のイヤリングのように揺れて可愛らしい。

 わたしが二十代の頃はショットの革ジャンばかり着ていた。アメリカ製のショットは若者が着るにはいいけれど、初老のわたしがいま着るとかなり野暮ったい。ワイルド気取りの年寄りは見苦しいが、同じライダースでもルイスのはシュッとしている。

 そういうわけで、現在一年待ちとなったルイスレザー3着目の秋の到着を待っているところ。もうこれで絶対終わりにするぞ!( ̄▽ ̄;

世界の一流品シリーズ[10] ローレールのベレー帽

 予想はしていたものの、老いていくということが、こんなにも手ごわいこととは!

 ここ数年めっきり口数が少なくなってしまったJimmyJazzブログであるが、年をとると冗談のセンスが格段に悪くなる。粋なセンスのジョークを言うカッコいい老人なんて、映画ならともかく現実の世界では滅多に見かけない。政治家の失言なども含め、老人がウケると思って言う冗談は決まってセンスがない。いや、若いとフレッシュで許されることも老いぼれだと救いようがない。自分はまだまだ若いと思ってるが、まわりから見れば哀れな老人なのだ。ショックである(^^;

 目下のところ、なんとかしてカッコいい老人になれないか…、は無理でも、せめてみっともなくない老人に食い込むことはできないかと、自分と共に周囲が高齢化していくなかで、ずっとそればかり考えている。

 しかし歳をとるといいこともある。ローレールのベレー帽が似合うこととか。

 昔、ベレー帽をかぶりロードレーサーの自転車で散髪にいらっしゃる粋な牧師さんがいたのを思い出し、そろそろ自分にもベレーが似合うのではないかと思って買ってみたら、わりとしっくりくるではないか。

 ベレーとか蝶ネクタイとかサスペンダーとか、若い男性がつけると”お坊ちゃま風”になりがちアイテムがサマになるのは、やはり顔に皺ができ、頭に白髪も混じるようになり、多少腹も出て”枯れた感”が出てきてからだ。個人的には髭を伸ばしていいのは白い髭が混じるようになってからだと思っている。

 フランス製ローレールのベレーは、上質なメリノウールを使っていて、顔色を良く見せてくれるし、意外とどんな服装にも合う。黒とグレーだけでやめておこうと思ったのに、阪神百貨店でネイビーを試着したら、これも良いので買ってしまい、還暦まで我慢しようと思った赤色も買ってしまった。

 きっと近所のスーパーのパートさんの中で”ベレー帽のおじさん”とか”絵描きさん”とか呼ばれてるに違いない( ̄▽ ̄;

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