ミルトン・ナシメント(vo) 『Maria Maria / Ultimo Trem』


ミルトン・ナシメント(vo) 『Maria Maria / Ultimo Trem』

★★★★★
 最初聴いたとき、何がなんだかさっぱりわからず放り投げてしまった。西洋音楽の感覚で理解しようとしても無理だったのである。現代バレエのために作られたサウンドトラック、Disc1の[5]など女奴隷が鞭打たれる悲鳴が延々と続くから人前で聴くのも憚られる。「最終列車」というタイトルのDisc2のほうが全体の曲想が明るめで、こちらを聴き込むにつれミルトンの世界にどっぷり。幻想的なメロディはどこが始まりでどこへと続くのか。カーンと乾いた音で鳴る鐘の音を聴くとミナスの山を吹き抜ける風が匂ってきそう。ジャズでもボサノバでもないけれど、これぞブラジルの至宝。ジャンルを超えて素晴らしい大傑作だ! 

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 レニー・デイル(vo) 『Um Show De Bossa...』


レニー・デイル(vo) 『Um Show De Bossa...』

 たいへんな才能である。1963年のコパカバーナでは、こんな凄いパフォーマンスが夜な夜な行われていたのか。レニー・デイルは、歌手であると同時にダンサーでもあるから、ここでも当然踊りながら唄っていたものと想像する。ありえないほどゆっくりしたテンポ、かつ強いリズムで粘る構成は、踊りを前提としているせいなのだ。ボサノヴァとジャズスタンダードをない交ぜにして繰り広げられるライブ。「Loose Walk(ブルース・ウォーク?)」のテーマが飛び出すと、もうじっと聴いてはいられない!ボッサノォオーヴァア! ★★★★

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 イーデン・アトウッド(vo) 『Turn Me Loose』

 先月から向かいの病院に入院中で、2〜3日に一度、洗髪とシェービングにいらっしゃる高齢の紳士。今日で5度目の来店だ。今朝もイーデン・アトウッドの『ターン・ミー・ルース』をノリノリでかけながら髭を剃っていたら、
「この音楽、ジャズというんですかな?」

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 キーリー・スミス(vo) 『Cherokeely Swings』


キーリー・スミス(vo) 『Cherokeely Swings』

 ブラジル人だと「バナナがどうした」とか歌わせたがるアメリカ人は、キーリー・スミスがインディアン系だと、またすぐそういう格好でレコードを作ろうと、ステレオタイプの単純な発想をする。しかし、そんなことお構いなしにキーリーの喉は、ビリー・メイ楽団を従え鮮やかに歌い上げる。白眉は[5]。独特のコブシはチェロキー族の伝統か?よく響く美声を聞いてると頭蓋骨の形まで愛しくなる。Masterが骨まで愛した女性シンガー。 ★★★★

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『Latin In A Satin Mood』


ジュリー・ロンドン(vo) 『ラテン・イン・ア・サテン・ムード』

 10号鉢のアレカヤシを買って寝室に運び入れた。ラジカセで[1]をかけるなり、部屋がメキシコのリゾートに変身した。ああ、なんという心地よさ。男性コーラスに乗せて南風まで吹いてきそうだ。全曲ラテンナンバーで、ジュリーが気だるく色っぽく迫ってくる。どれもこれも良い曲だが、極めつけは情念の[6]か。店でかけてたら「ええ声やなあ~」としみじみ言った人がいた。部屋のアレカヤシは枯れてしまったのに、あの音が忘れられない。ジュリーの隠れベストはこれだ。 ★★★★★

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 アストラッド・ジルベルト(vo) 『Look To The Rainbow』


アストラッド・ジルベルト(vo) 『Look To The Rainbow』

 魔性のオンナというのは、必ずしもすごい美人である必要はない。十人並のルックスで、片言の英語、唄も決して上手ではない。なんだよ、しょうがないなあと男の自尊心をくすぐる。ハッと気がつけば、すっかり彼女の術中にはまっているではないか。全米の男性がアストルーヂの手に堕ち、彼女はボサノバの女王となった。ギル・エヴァンス、アル・コーンのアレンジ・指揮による造り込まれたオーケストラ作品。コテコテのネイティブなボサノバも悪くないが、やはりこうした米国録音のものは洗練されていて心地よい。勇ましい行進曲[5]に高揚し、足元に仕掛けられた罠にドキドキしながら[6]を愉しむ。 ★★★☆☆

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 ビリー・ホリデイ(vo) 『奇妙な果実』


ビリー・ホリデイ(vo) 『Billie Holiday』

 ジャズの洗礼を受けるに、本作は避けて通れない。怖いジャケットに「奇妙な果実」というなんとも怖い曲。南部でリンチに遭い、木に吊るされた黒人奴隷。続いて怨念のような[2]が来るから、もう怖くって逃げ出してしまいそう。しかし辛抱(?)はここまで。3曲目からは幾分和らいで聴ける。ブンチャの2ビートのリズムと、ノスタルジックな伴奏、声を潰す前の絶頂期にあるビリーの伸びやかな歌声が聴ける。バラードの[5]など、思わず引き込まれてしまう。「電話帳を読むだけでジャズになる」と言われたビリーは、原曲が判らないほどメロディを崩して唄う。唯一無二のジャズシンガー。 ★★★★

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 アストラッド・ジルベルト(vo) 『Windy』

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アストラッド・ジルベルト(vo) 『Windy』

 ヘタウマの元祖、アストラッド・ジルベルトは、ただ下手なだけでないぞ。[5]を聴いてみよう。舌足らずの発音、曖昧な音程と絶妙のタイミングのシンコペーションで彼女の魅力が成り立っているのだ。本作にアコースティックなボサノバやジャズの芸術性を求めてはいけないが、良質なポピュラーのアルバムとして聴けば楽しさいっぱい。[7]からラストにかけては、晴天の日曜にぴったりのウキウキ感。録音もすこぶる良好。ドン・セベスキー得意のビートルズ曲[9]、「ジェンチ」として知られる[2]など、エウミール・デオダートのアレンジも秀逸。 ★★★☆☆

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 エラ・フィッツジェラルド(vo) & ルイ・アームストロング(vo,tp) 『ポーギーとベス』


エラ・フィッツジェラルド(vo),ルイ・アームストロング(vo,tp) 『Porgy & Bess』

 なんでもかんでも豪華にすればいいという発想がアメリカ人のダメなところ、だけど「なんでもそうとは限らない」。これは正真正銘の豪華盤。ガーシュイン作のオペラ 『ポーギーとベス』の最高傑作がこれだ。なんといってもあのエラ&ルイがポーギー&ベスなのだから。二枚組の豪華見開きジャケット(CDだと一枚だが)、ラッセル・ガルシア指揮によるオーケストラの伴奏も気品に溢れ、10分50秒のインスト[1]から音質も抜群で、エラの歌はまだかいなとわくわく。そしてよくスイングする。[5]や[8]なんかサッチモファンには涙モノ。これをジャズとするかどうかは別として、超一流のエンターテイメント作品であることは間違いない。 ★★★★★

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 エラ・フィッツジェラルド (vo) 『Songs In A Mellow Mood』


エラ・フィッツジェラルド (vo) 『Songs In A Mellow Mood』

 エリス・ラーキンスのピアノだけをバックに、エラがいつになくしっとりと、エレガントに唄うスタンダード集。はじけるリズムも得意のスキャットもなし。メロディ崩さず、それでもさすがのうまさで聴かせてしまう。渋い選曲の[10]で、文字どおり息を止めてみせるエラ。正体を知らなかったら恋してしまいそう。ゆるくスイングする[12]も良い。ふと、昔わたしの父が床屋から本屋に商売替えしかけたことを思い出す。結局実現しなかったが、もし書店を継いでいたなら、真空管ラヂオで本盤を聴き、日がな一日、書を眺めながら店番がしたい。 ★★★★

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 エッタ・ジョーンズ(vo) 『Don't Go To Strangers』


エッタ・ジョーンズ(vo) 『Don't Go To Strangers』

 クリフォード・ブラウンと入れ替わるようにリー・モーガンが、チャーリー・パーカー没の直後にキャノンボール・アダレイが登場したように、'59年7月、ビリー・ホリデイの死から約一年後に本作は録音され、翌'61年に発表されるや、プレスティッジ初のミリオンセラーとなった。当時34歳のエッタ・ジョーンズは、[3][4]等、ホリデイの影響を色濃く残しながら、若々しく張りのある歌声。フランク・ウエスらのモダンなコンボ伴奏と録音のよさも特筆もの。ちなみに当店でも、「あのお客さん、来なくなったなー」と思ったら、新たに似たキャラクターの顧客が定着するから世の中じつに不思議なものである。 ★★★★

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 ジャッキー&ロイ(vo,p) 『Lovesick』


Jackie & Roy(vo,p) 『ラヴシック』

 ”ジャッキー&ロイ”は、1946年結成、ジャッキー・ケインとロイ・クラールのオシドリ夫婦による軽快で洒落た白人デュオグループ。20年やって円熟味を増したか、ただ軽快なだけでなく、ヴァン・ゲルダー・スタジオの重厚なサウンドで録音され、珍しくヴォーカルにはテープ式エコーマシンが使用されている。ジャッキー・ケインのボーカルがメインで、ロイ・クラールは伴奏に徹して歌わない曲([1][5][7][9][11])も半分くらいある。ロイはピアニストとしてもかなりの腕前。ロイ・へインズを彷彿とさせるドン・マクドナルドのドラミングも素晴らしい。 ★★★☆☆
[2] 悲しみのサンバ(Samba Triste)

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 クリス・コナー(vo) 『バードランドの子守唄』

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クリス・コナー(vo) 『Sings Lullabies of Birdland』

 クリスコナー(1927年11月8日- 2009年8月29日) '53年、演奏旅行に疲れたクリスは、在籍わずか4ヶ月で突如スタン・ケントン楽団を脱退。ソロ活動の場をNYに移す。バードランドで唄っていたのを見つけたベツレヘムレコードのオーナー、ガス・ウィルディが契約を取り付け、同年12月に録音された(『Chris』にも分散収録)のが[6][7][8]。このセッションではさほどハスキーさを感じさせないが、翌年8月収録の表題曲[1]から[5]までトレードマークのハスキーヴォイスがザラリとした質感で迫ってくる。[9]から後半にかけてはアコーディオンとフルート、ギター等のアレンジがユニーク。これらのセッションをまとめ、同レーベルの第一弾アルバムとして発表、人気を博した。 ★★★★

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 クリス・コナー(vo) 『Chris』

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クリス・コナー(vo) 『Chris』

 好きな女性ボーカルは?と訊かれるのは、ジャズファンのセンスを問われる質問だ。サラ・ヴォーンはちと濃いし、アニタ・オデイじゃ当たり前すぎて面白くない。ジュリー・ロンドンはスケベがバレる。そこで、クリス・コナーと即答すれば、おっ、なかなかやるな!と一目置いてくれるかも。古巣ベツレヘムの音源を、4種のセッションから寄せ集めた内容。ジューン・クリスティの流れを汲み、耳元で囁くようなハスキーヴォイスが近いコンボ演奏の[1]、[2]~[4]はオールドジャズの趣きあるビッグバンドで、ホールのような広い場所で録音したと思われる。[8]はギターとの合わせ方が絶妙。[9][12]ではカイ&JJのトロンボーンコンビもチラッと登場。 ★★★☆☆

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 リタ・ライス(vo) 『Rita Reys Meets Oliver Nelson』

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リタ・ライス(vo) 『ミーツ・オリヴァー・ネルソン』

 バックはオリヴァー・ネルソン編曲指揮による欧米混合バンド。もしこれがアメリカで制作されたとしたら?ストリングス付のイージーリスニング風になってたかもしれない。ヨーロッパの人達はジャズとそれを創り上げた黒人を尊敬し、学ぼうとしたからこそ、リタのようにある意味本国よりもジャズらしいジャズシンガーが根付いたのだろう。マスターテープの状態があまりよくないのが惜しいが、こういうのを聴くならiPodより断然JBL。[2]のファーマー、[3][4]とコニッツのソロがいい。 ★★★☆☆

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 ナラ・レオン(vo) 『美しきボサノヴァのミューズ』

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ナラ・レオン(vo) 『Des Anos Depois』

 パッと聞くと、唄い方はアストラッド・ジルベルトみたい、いや、ボサノヴァを唄う女性は皆このようなウィスパーボイスで、そもそもその本家本元がナラ・レオンなのである。ナラはかなり裕福な家庭に生まれ、ギターを習い始めた彼女のマンションには、音楽を志す若者が毎晩のように集まって、そのなかにアストラッドやジョアン、トム・ジョビンの姿もあったという。つまりボサノヴァはナラのマンションから生まれたのだという説もあるほど。本作は、ブラジルの政変でパリに逃れた際の録音で、不安と憂鬱な気分、サウダーヂが反映されている。 ★★★☆☆

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 スー・レイニー(vo) 『Flight of Fancy』


スー・レイニー(vo)
『Flight of Fancy』

 この歌唱力なら、どんな曲だって唄いこなしてしまい、すべて名盤になるのではないか、と思うほど、一時はスー・レイニーに入れ込んでいたが、これを買ってみたら地雷が埋まっていた。まず録音レベルが異常に低い。それにシンセサイザーの多用でファミコンのゲーム音楽のようなオケになってしまった。時代は'86年、テクノロジーを過信するとこのように悲惨な結果になるのだ。頑張って唄えば唄うほどに、力んでしまうスー。ペラペラで二つ折りのジャケット紙に大御所ジュリー・アンドリュースが寄せたライナーノートもなんだか痛々しい。これは買わんでよろし。 ★☆☆☆☆

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 スー・レイニー(vo) 『All By Myself』


スー・レイニー(vo)
『All By Myself』

 スー・レイニーのキャピトル三部作の最後を飾る、通称「お風呂のレイニー」。ジャケット見ただけで欲しくなるでしょう(笑)紹介したくてムズムズしていたが、日本国外で再発はないだろうと油断してたところ、いつのまにかUK盤が出ていた。これが良いのである。ラルフ・カーマイケル指揮のモダンなオーケストラをバックに、抜群の唄のうまさで聴かせてくれる。曲も渋くていいのが目白押し。颯爽と大都会を闊歩するような[4]に、続くバラード[5]はこの曲のベストと信じて疑わない素晴らしさ。過ぎ去った恋を唄う[10]は歌詞が切々と心に沁みてくる。 ★★★★★

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 ペギー・リー(vo) 『Black Coffee』

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ペギー・リー(vo) 『Black Coffee』

 わたしのなかでペギー・リーがポップ歌手でなく、かろうじて”ジャズ・シンガー”の範疇に入るのは、本作のイメージがあるせいだ。バックをただのピアノトリオとかでやらないで、ピート・カンドリのヤクザなトランペットを入れたのが功を奏した。凛として清楚で健康的な彼女も好きだが、気だるくジャジーに迫ってくるペギーも素敵。「When The World Was Young」のハスキーヴォイスで部屋中の酸素が欠乏、窒息しそうになる。ヘレン・メリルの次はこれ。輸入盤あり ★★★★

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 アビー・リンカーン(vo) 『That's Him』


アビー・リンカーン(vo) 『That's Him』

 アビー・リンカーンは、このセッションにも参加しているドラマー、マックス・ローチの奥さん。しかし、[1]でのっけからソニー・ロリンズの”ストロング”なテナーが入ってくると、”ストロング・マン”とはロリンズのことか?と、妙に勘繰ってしまう。それはさておき、一流どころのバックに支えられ、リラックスした快唱が楽しめる。黒人女性ボーカルの秀作。[6][7]のみ急速調で、それ以外はくつろいだバラード。ケリーのロマンチックなピアノのイントロに誘われ、恥じらうように唄う[8]のリンカーンがしおらしい。 ★★★★

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 リタ・ライス(vo) 『Jazz Pictures』

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リタ・ライス(vo) 『ジャズ・ピクチャーズ』

 どうしてこうもヨーロッパ録音のレコードは音が良いのだろう。ホールの拍手の音からして粒立って柔らかく、何か起こりそうな期待に満ちているではないか。そこに[1]の「手紙でも書こう」がズパッと来る。何がって、ケニー・クラークがブラシでズバッと。リタ・ライスの声はハスキーで少々コケティッシュ。ビブラートがよくかかる。軽快にして粋で、しかも手応えあり。うおー、これぞジャズだ、いいぞ!と叫ぶは男声ばかり。隣でピアノ弾いてるピム・ヤコブスはリタの旦那だというのに。オランダの歌姫リタ・ライスがレギュラートリオにケニー・クラークをフューチャーした熱気ムンムンのご当地ライブ。バラードの[7]など、じつにうまい。隙のない端正な歌声に思わずウームと唸る。 ★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts),ジョニー・ハートマン(vo) 『John Coltrane And Johnny Hartman』 


ジョン・コルトレーン(ts),ジョニー・ハートマン(vo) 『John Coltrane And Johnny Hartman』

輸入盤あり
 [1] リリカルなピアノのイントロが、美しい余韻を響かせたかと思うと、次に静かなる爆発が起こる。この爆発はショッキングである、と同時に眼前に夢の世界が開けてくる。青い芝生を歩むようなエルヴィン・ジョーンズのブラシに乗せて、ジョニー・ハートマンの甘いバリトンの声が語り始める。唄に寄り添うコルトレーンは、自分の出番が来るや、幼い雛が親鳥を呼ぶように啼き、いよいよ翼を広げて飛翔する。やがて巣に戻った雛は、再び大きく温かい羽根に包まれて眠りに就く。本作はハートマンが主役であり、コルトレーンの本質に非ず。しかしながら超一流のサポートは一切の妥協なし。特に[3]は必聴。ブランデー片手に聴く極上のジャズバラード集。 ★★★★★

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 ダイアナ・クラール(vo,p) 『Christmas Songs』


ダイアナ・クラール(vo,p) 『Christmas Songs』

 ジャズの枠を超えて、近年もっともポピュラーなクリスマスアルバムのひとつとなった感のある本作。あきらかにやらされてる雰囲気の色っぽいジャケット。これでしなだれかかってくるようなバラードばかり70分みっちり歌われたらしんどいなあと思ったから、今年になるまで買わなかった。杞憂であった。裏面を見たまえ、このドレスの似合ってないこと。ダイアナはいつものダイアナ、[1]では景気良く「ヘイ!」と来たもんだ。珍しい[7]のヴァース部分を聴くのは初めて。一見馴染のない[12]は、ダイアナがリスペクトするローズマリー・クルーニー出世作の映画「ホワイトクリスマス」ゆかりの曲。全部で45分。 ★★★☆☆

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 アストラッド・ジルベルト(vo) 『Gilberto With Turrentine』

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アストラッド・ジルベルト(vo) 『Gilberto With Turrentine』

 タイトルからして、スタンリー・タレンタインがばりばりとテナーを吹いてるのかと思ったら、意外と控えめ。アルバムを仕切ってるのは、アレンジを書いてるエウミール・デオダートだ。アストラッドもスタンリーも主張しすぎず、デオダートの多彩なヴォイスの一部として効果的に配されている。さすがに7年も”ボサノヴァの女王”をやってると、アストラッドの唄も少しは上達。自分のキャラクターはどんなふうに使えるかを学んだようだ。ジャケットもアンニュイでちょっと色っぽい。しかしヘタウマの頃も神秘的で良かったなァ。飛び交う掛け声(アイアート?)と共に盛り上がっていく[5]が圧巻! ★★★★

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 アストラッド・ジルベルト(vo) 『おいしい水』

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アストラッド・ジルベルト(vo) 『The Astrud Gilberto Album』

 アストラッドが唄った「イパネマの娘」は、大ヒットしたにもかかわらず、「飛び入りなんだから彼女には金をやるな!」とスタン・ゲッツはプロデューサーのクリード・テイラーに電話してきたという。しっかり自己主張しないと1セントだって貰えないのがアメリカという国なのだ。その「イパネマ…」所収『ゲッツ~ジルベルト』の二年後に吹き込んだアストラッドのデビュー作。”ボサノヴァの女王”と呼ぶには心許ない歌唱力だが、なるほど味があり、彼女独自の世界を持っている。マーティ・ぺイチが編曲を担当、アントニオ・カルロス・ジョビンがギターにまわり、ジョアン・ドナートがピアノで参加。[11]のバックで印象的なブロックコードを聴かせる。 ★★★★

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 エリス・レジーナ(vo) 『コモ・イ・ポルケ』

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エリス・レジーナ(vo) 『Como & Porque』

 『イン・ロンドン』と同じ'69年の録音でリズムセクションも同じ。レパートリーも[6][7]と重複していて姉妹のような作品だ。[1]がわりとおとなしめなので、このままいくのかと思ったら案の定[2]から盛大に盛り上がる。[6]はホントに良い曲なのだが、アッという間に終わってしまうのが残念。アルトサックスの間奏でも入れてもっと引き伸ばしてくれたらいいのに。最後のボーナス4曲がまた素晴らしい。哀愁と情熱のサンバ[12]、ピエール・バルーとのデュエット[14]は巴里の万国博覧会のような趣きに胸がときめく。さらに[15]、満面の笑みを投げかけて唄うエリスに嫌な気持ちを抱く人がいるだろうか。(『イン・ロンドン』とセットのお買い得ダブルパックあり) ★★★★

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 エリス・レジーナ(vo) 『Elis Regina In London』

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エリス・レジーナ(vo) 『イン・ロンドン』

 エリス・レジーナの代表作といえばやはり本作になるか。曇りがちなブルーグレイのロンドンを背景に、前方からのハイライトを浴びて輝く笑顔のエリス。見事なジャケットデザインだ。[1]からアクセル全開、サンバ、サンバ、サンバの洪水である。また、時代が時代だけにR&B色濃厚で『エリス&トム』の雰囲気とはえらい違い。しかしこちらの弾けるエリスも好きになるのにそう時間はかからないだろう。唄はもちろん曲もアレンジも最高!ただしちっともジャズっぽくはないので当店でかけると激しく浮きまくる(笑)(『コモ・イ・ポルケ』とセットのお買い得ダブルパックあり) ★★★★

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 スー・レイニー(vo) 『雨の日のジャズ』

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スー・レイニー(vo) 『Songs For A Raney Day』

 「Rainy」と「Raney」をひっかけて、雨にちなんだ曲を集めたキャピトル第二弾。『雨の日のジャズ』という邦題もなかなか良いと思うのだが、それほどジャズっぽくもなく、また湿っぽくもない内容。伴奏は前作のネルソン・リドルから、これまた豪華なビリー・メイ楽団にチェンジ。通常のビッグバンド風ではなく、フルートとトロンボーンのアンサンブル。それにハープと雷の効果音が独特のサウンドを生み出している。当時まだ19歳だというのになんとも唄のうまいこと。特に[9]のヴァース部分でひねるコブシなんてもう天下一品。凛とした美しい横顔が目に浮かぶようだ。 ★★★☆☆

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 エリス・レジーナ(vo) 『Elis & Tom』

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エリス・レジーナ(vo) 『エリス&トム』
(輸入盤あり)
 ブラジルの実力派シンガー、エリス・レジーナのA.C.ジョビン作品集。当時L.A.に在住していたジョビンの協力を得て録音されたエリス名義のレコードであるが、ジョビンの代表作としても紹介されることの多い名盤。弦をバックにしたクラシカルなアレンジと、エレクトリックピアノや電気ベースを使ったモダンでクールな曲想のものとが交互に出てきて楽しませる。ジョビンとのデュエット[1]は同曲の決定的名演として名高い。陳腐な詞でもエリスが唄うと感動的。コルコヴァード丘のキリスト像に祈るような[6]は何度聴いても涙がこぼれそうになる。 ★★★★

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 小野リサ(vo) 『サウダージ』

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小野リサ(vo) 『Minha Saudade』

 小野リサはずっと聴かず嫌いだった、というより、まるで聴こうとしなかった。要するにあれだろ?ウィスパーヴォイスのボサノヴァで癒し系のノエビア化粧品。わーったわーった、聴かんでもわーったと。しかしふとしたことから聴いてみるとこれが良いのだ。参った。本作はジョアン・ドナードが歌うわトロンボーンは吹くわで全面的にバックアップ。特に要所で聴かれるジャジーなピアノがイイ感じ。たなびく霧のようなリサの声はやはりリズムに乗った曲で最高に活きる。ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲの[2]、オリエンタルムードの[6]、[9]なんかイントロからドリフの大爆笑かと思うような楽しさ。擬音がセクシーだ。 ★★★★

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 セルジオ・メンデス 『Herb Alpert Presents Sergio Mendes and Brasil '66』

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セルジオ・メンデス&ブラジル'66 『マシュ・ケ・ナーダ』

 セルメンまでジャズの範疇に入れるかどうか大いに迷うところだが、元はれっきとしたジャズピアニストなので一応良しとする。その昔大ヒットを記録した[1]は、最近もテレビCMに使われたりしてる。ボサノヴァにロックのテイストを盛り込み、力強さとクールさの緩急で聴かせるグループサウンズ。双子のようなケイコとアケミ(?)のユニゾンボーカルが涼しげだ。ビートルズナンバーの[6]もカッコイイが、なんといっても[7]、原曲のメロディの美しさを極限まで引き出すアレンジが素晴らしい。殆どの曲が3分以内のジュークボックス的レコード。輸入盤あり ★★★☆☆

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 ジョアン・ジルベルト(vo,g) 『Joao Gilberto(三月の水)』

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ジョアン・ジルベルト(vo,g) 『Joao Gilberto(三月の水)』

 パーカッション+弾語りでジョアン・ジルベルトのネイティブな魅力を堪能できる代表作。ベッドの側らで子守唄を歌うように、ポルトガル語でそっと囁きかけるジョアン。この心地よさは格別だ。トリッキーなフレーズで有名なA.C.ジョビン作の[1]に続いて、「ウンデューウンデュー」と呪文のように繰り返す[2]が出てくる。なんじゃこりゃと思いながら聴いてるうちに沈静化され、ジョアンの世界にドップリと浸かってしまう。[3]はギター独奏、そして失速寸前の[4]、夜明けのベランダから地球の裏側、遥かなるブラジルに思いを馳せる。輸入盤あり ★★★★★

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 クリス・コナー(vo) 『He Loves Me, He Loves Me Not』


クリス・コナー(vo) 『He Loves Me, He Loves Me Not』
 
★★★★
 ストリングス入りオーケストラがバックのボーカルは、いまひとつジャズっぽくないのが多い。それでも歌う人が歌えば立派なジャズ作品になるのである。本作はクリス・コナーのハスキーな声がぐっと前に来て支配的。こうなるとバックがストリングスだろうが何だろうが紛れもないジャズボーカルに聞こえるから不思議だ。スローテンポのバラード集で、軽快にスイングしたりということもないが、クリスの声そのものがジャズのクールな質感なのだ。紛らわしいタイトルの[1]はセロニアス・モンクの名曲「ラウンド・ミッドナイト」とは似ても似つかぬ別の曲。

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『All Through The Night』


ジュリー・ロンドン(vo) 『All Through The Night』

 ジュリーの純粋なジャズ作品を挙げるとすれば『ジュリー・アット・ホーム』と本盤。「それ風」のやつは何枚もあるけれど、ストリングスが入ってたりして潔くないから、西海岸のジャズメンをバックに入れたこの2枚は格別である。自宅で録音した『アット・ホーム』は昼間の印象、本盤はエコーをたっぷり効かせ夜のイメージが濃厚だ。セーター姿のジュリーもいいが、イブニングドレスを纏ったジュリーはいっそう煌びやかでゴージャス。耳元で囁くような[6]、大人の女の情念が迫ってくる[5]は、一度聴いたらタダでは済まされない(??) ★★★★

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 ペギー・リー(vo) 『The Fabulous Peggy Lee』


ペギー・リー(vo) 『ファビュラス』

 その昔、ペギー・リーの唄い方って、レッド・ツェッペリンのロバート・プラントに似てるよなあと思って聴いていた。プラントがエルヴィス・プレスリーのファンだってことは知ってたが、ペギー・リーが好きなんて話はとんと聞かない。相談できる相手などなく、似てるなあ似てるなあと悶々としながら聴いてたら、すっかりファンになっていた。その後ダイナ・ショア、ジュリー・ロンドンと女性遍歴(?)が続くのだが、わたしにとってはペギーが初めての女性である(笑)デッカ時代のシングルを集めて'50年代に編集されたベスト盤。[10]は大ヒットしたらしいのだが、若かったわたしは全然知らずにかけていた。散髪に来た中年のお客さんは皆知っていたな。 ★★★☆☆

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 ジョニ・ジェイムス(vo) 『Let There Be Love』


ジョニ・ジェイムス(vo) 『Let There Be Love』

 昔、寺島靖国さんがジョニ・ジェイムスのことを誉めまくっていたことがあって、わたしも釣られて何枚か購入したが、どうも肌に合わないのだ。特に本盤には一曲毎にわざとらしい拍手と歓声が入っていて興ざめする。おそらくこれは合成だろう。歌手を無視したように脳天気な指笛は、とても唄を聴いての反応とは思えない。録音はナローレンジ、さしてジャズっぽくもないオーケストラ・アレンジなので、唄いかたが気に入らない人には少々厳しいかも。ジョニー・ソマーズならOKなんだけどな。★★☆☆☆

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 ナタリー・コール(vo) 『アンフォゲッタブル』


ナタリー・コール(vo) 『Unforgettable With Love Natalie Cole』

 当店の初代女性スタッフで、住込みで働いていたユミちゃんが部屋を出て沖縄に帰るときにこのCDを忘れていった。餞別には『エラ&ルイ』のCDをあげたのだが。今では黒人の旦那さんとの間に子供もできたそうだ。さて、言うまでもなくナタリーはナット・キング・コールの娘さん、偉大な父に捧げるように唄ったゴージャスなスタンダード曲集。表題曲[22]では合成技術により父との夢のデュエットが実現。当時話題となった。わたしのお気に入りは[10]、それに[18]などアップテンポでのスイング感が素晴らしい。輸入盤あり ★★★☆☆

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 アビ・レーン(vo) 『Be Mine Tonight』

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アビ・レーン(vo) 『Be Mine Tonight』

 アビ・レーンは"ルンバの王様"ザヴィア・クガートの奥さんだった人。もう見るからに官能的なラテン女性ボーカル。本作もティト・プエンテ楽団伴奏のパンチの効いたラテン音楽だ。前ノリのカウベルが煽動するリズムに乗って、英語・イタリア語・フランス語を織り交ぜて唄う。このテの音楽はお決まりのパターンなので、難しいこと言わず一緒にマラカス振りながらトコトン楽しむのがいい。特に[1][4][6][12]が痛快!やや低めの色っぽい声と男声コーラスの掛け合いも楽しい。写真は裏ジャケットのほうが美人だ。Limited Edition ★★★☆☆

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『Julie Is Her NameVol.1/2』


ジュリー・ロンドン(vo) 『彼女の名はジュリーVol.1』
 『Vol.2』
 美人でしかも唄がうまいジャズ歌手ってなかなか居そうで居ない。唄が抜群だとルックスがダメで、顔は良くても唄がヘタなのが普通だがジュリーは例外。美貌は持ち前でも唄は努力の賜物だろう。ギター、ベースのみをバックに悩ましい歌唱。いままでカップリングされていた'55年のVol.1と'58年のVol.2が今回は別々の発売。ジャケット写真と同じく、Vol.1は真顔ですがりつくような「クライ・ミー・ア・リヴァー」に、Vol.2は微笑んで寄り添いながら唄う「ブルームーン」に悩殺される。当時ベースのレッド・ミッチェルがジュリーの旦那さんだった。 ★★★★

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 チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings Again』


チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings Again』

 じつを云うと、JimmyJazz開店間もないころ、『チェット・ベイカー・シングス・アンド・プレイズ』を買うつもりで、ジャケットを確認せず注文を入れたら本盤が到着した。おお、わたしとしたことが。'85年のオランダ録音だが、日本で企画制作されたもの。どうりでなんとも軽々しいジャケットデザイン。斜めに踊るChet Bakerの文字がいかにも'80年代風ではないか。当時55歳のチェット、麻薬癖で深い皺を刻んだその顔に、若き日の美少年の面影はすでにない。しかしトランペットと唄声はイラストに描かれた青年のよう。昔のレパートリーの再演も、随分とモダンなアプローチで、都会的な夜のムード。退廃的だ。国内盤あり ★★★☆☆

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 サラ・ヴォーン(vo) 『After Hours』


サラ・ヴォーン(vo) 『アフター・アワーズ』

 ギターとベースのみを伴奏に唄うサラ・ヴォーンの人気盤。ライブみたいなジャケット写真だがスタジオ録音だ。ドラムやホーンが無いだけに、当然静かなイメージの曲が中心となる。ところがサラの声のダイナミズムは凄まじく、コンクリート打ちっぱなしの当店でかけるとウワンウワン響きまくって随分と難儀した。と、同時にサラ・ヴォーンは凄いシンガーだとわけもわからず納得したものだ。今でも[3]のサビのビブラートなどは、スピーカーの振動板が破れるんじゃないかってほどにビリビリくる。驚異的な技巧と情感がぴったり一致しているのだ。輸入盤あり ★★★★

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 ジョニー・ソマーズ(vo) 『Johnny Get Angry』


ジョニー・ソマーズ(vo) 『Johnny Get Angry』

 随分前の話だが、本盤を買おうと思ってタワーレコードに行ったら、ジョニー・ソマーズのCDが売ってない。そんな筈はないだろうと探したら、ジャズではなくポピュラーのコーナーに置いてあった。ジャズからポピュラーへ転身、一躍メジャーにというのはよくある話。ソマーズも国民的歌手と呼ばれるまでに出世した。そのきっかけとなったのがこの「内気なジョニー[1]」。カズーの合唱はちょっと勘弁してほしい(笑)アレンジは少しオールディーズ調ながら、[2]を筆頭にバラードの歌唱力はさすが。[1][3][10][12]が無ければ極楽なのに。 ★★★☆☆

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 アンドリュー・シスターズ(vo) 『The Andrews Sisters Capitol Collectors Series』


アンドリュー・シスターズ(vo) 『The Andrews Sisters Capitol Collectors Series』

 「アンドリュース・シスターズ」の「ス」は発音すべきなのか?一般に通ってるのは「アンドリュー・シスターズ」のほうで、そっちのほうが語呂がいい。さて、そのラヴァーン、マキシン、パティの三人姉妹コーラスグループ、アンドリュー・シスターズのキャピトル時代のベスト盤。一旦解散して、再結成した'56~'57年の音源だが、音楽のテイストは'40年代大戦中のそれ。ジャズのみならず、カントリー&ウエスタンからの影響も色濃い。有名な「すてきなあなた[4]」「ビギン・ザ・ビギン[13]」など往年のヒット曲が素晴らしい音質で再現されている。 ★★★☆☆

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 ローズマリー・クルーニー(vo) 『Clap Hands Here Comes Rosie/Fancy Meeting You Here』


ローズマリー・クルーニー(vo) 『Clap Hands Here Comes Rosie/Fancy Meeting You Here』

 アマゾンで初めて買ったCDがこれ。一聴それとわかるボブ・トンプソンの特徴的アレンジ。爽快なリキッドサウンドで迫ってくる『クラップ・ハンズ・ヒア・カムズ・ロージー』と、ビング・クロスビーとのデュエットでミュージカル仕立の『ファンシー・ミーティング・ユー・ヒア』のカップリング。2枚の印象はまるで違っていて、クールで都会的な前者に対し、後者は世界旅行をテーマに、ラテンも得意なビリー・メイ楽団のホットな伴奏。特に[14]でのクロスビーとの掛け合いは楽しさいっぱい。ロマンチックな[15]、哀愁の[19]も捨てがたい。 ★★★★

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 ローズマリー・クルーニー(vo) 『Thanks for Nothing』


ローズマリー・クルーニー(vo) 『Thanks for Nothing』

 リプリーズはフランク・シナトラが設立したレーベル。お仲間のロージーにも声がかかり、ボブ・トンプソンの伴奏でレコーディング。いつもながら美女ロージーがこれほど大口開けて景気良く歌うとは想像しにくい。特に本盤は内容と憂い顔のジャケット写真のイメージがちぐはぐに思える。そりゃあジャケットは美しいほうが良いに決まっているが、深刻さは微塵もなく、意外にもポップで元気いっぱい楽しいレコードなのだ。ちなみにわたしが持ってるのは限りなくオリジナル盤に近い放送局用サンプル盤(笑) ★★★☆☆

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 ダイナ・ショア(vo) 『Bouquet of Blues』


ダイナ・ショア(vo) 『Bouquet of Blues』

 どうしても聴きたいのに、安値で再発されていなかったので仕方なしにオリジナル盤を購入。それほど多くもない当店所蔵のオリジナル盤は、このように仕方なしに買ったものが殆どである。とはいえ、ピローに横たわるガウン姿のダイナ、ジャケットはなかなか雰囲気があって宜しい。[1]にはハイヒールの靴音とおぼしきものが入っているが、誰かオッサンが靴を手に持ってコツコツやってるのかと想像すると萎える。このなかではバラードの[2]が一番好き。十八番の[4]はキャピトルのバージョンとの聴き比べが楽しい。なお[7][9][12]は『ビバシャス』と重複している。美声。 ★★★☆☆

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 ペギー・リー(vo) 『Things Are Swingin'』


ペギー・リー(vo) 『Things Are Swingin'』

 まだCDプレーヤーを持ってなかった頃の話。いつもの中古レコード屋で本作のオリジナル盤を発見。しばしジャケットを見つめたあと棚に戻した。一旦帰宅したが、太陽のニコニコマークがどうしても気になって引き寄せられるように購入。勘が当った。しっかりスイングし、声に力がある。フレージングも絶妙だ。わたしは元気があって健康的な女性にしか魅力を感じない。そういう意味では代表作の『ブラック・コーヒー』よりも好き。キャピトルレーベルらしく録音も良好。かすれるような声がたまらなく色っぽい[11]はあまり人に教えたくない。 ★★★★

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 ダイナ・ワシントン(vo) 『What A Diff'rence A Day Makes!』


ダイナ・ワシントン(vo) 『What A Diff'rence A Day Makes!』

 ずば抜けた歌唱力をもつダイナ・ワシントンがストリングスオーケストラをバックにお馴染みのスタンダードを唄ったバラード集。邦題が『縁は異なもの』と少々爺くさい...じゃなくて婆くさい(笑)アレンジはジャズというよりもオールデイズ風の雰囲気だ。ずっと同じくらいのスローテンポで、急に激しくなったりはしないので、お休み前のBGMにもピッタリ。ちなみに彼女はミュージシャン達に物凄くモテたらしい。想像するに、いつも声が明るく、活力が漲っていて、唄を聴いてるだけで励まされたような気分になるからか。SACDあり。 ★★★☆☆

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 アン・リチャーズ(vo) 『I'm Shooting High』


アン・リチャーズ(vo) 『I'm Shooting High』

 チャーリー・バーネット、スタン・ケントン楽団で歌姫を勤めたアン・リチャーズの代表作。ブラスのビッグバンドをバックにして盛大にスイングする。白く美しい歯並びを連想させる爽やかな歌声。[2]や[8]を聴いていると、日本の演歌のコブシは民謡でなく、このへんにルーツがあるのではないかと思えてくる。[11]のブラスで表現した「タクシーの音」がお洒落。クレジットがないので定かでないが、所々に出てくるやんちゃなトランペットはピート・カンドリか?'50年代のキャピトルにはこんなボーカルの佳作がいっぱい。できることなら全部聴いてみたい。 ★★★☆☆

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 キャロル・シンプソン(vo.p) 『All about Carole』


キャロル・シンプソン(vo.p) 『All about Carole』

 キャロル・シンプソンはナイトクラブ出身、ピアノ弾語りの美人シンガー。軽妙で洒落たセンスの歌唱。色気はほのかに香るが正解。やたらベタベタしてないところがいい。ストリングスは控えめで、ナット・キング・コールやジョージ・シアリングに通じるカクテルサウンドが心地よい。アレンジャーには西海岸のリード奏者レニー・ニーハウスを起用。ハリウッド映画界では音楽監督として大活躍。近年では「ミリオン・ダラー・ベイビー」の音楽も手掛けている。[6]の美しいメロディが切ない。 ★★★★

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 スウィングル・シンガーズ(cho) 『Jazz Sebastien Bach』


スウィングル・シンガーズ(cho) 『ジャズ・セバスチャン・バッハ』

 「Bach」のクレジットを見て「バッチって誰や?」と思ったのは内緒である。大バッハの名曲を、フランスの男女混声コーラスグループ、スウィングル・シンガーズが唄った異色作。4ビートのベースとドラムスをバックに、「ダバダバダバ」とコーラスが展開。歌詞はない。「これこそバッハだ」と言ったらクラシックのファンは怒るだろうが、これはこれで格調高く、知的でオシャレ。MJQとの共演作『ヴァンドーム広場』も見事だが、本盤も録音が凄く良い。ジャズファンのバッハ入門に最適だ。ウルトラセブンとネスカフェのコマーシャルを思い出す。 ★★★☆☆

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 ジョニー・ホリデイ(vo) 『'Holiday' for Lovers』


ジョニー・ホリデイ(vo) 『'Holiday' for Lovers』

 モードレーベルに二枚ある男性ボーカルのうちの一枚。もう一枚はドン・ネルソンの『The Wind』で、ジミー・ロウルズのピアノトリオをバックに素朴な味わいの唄を聴かせたのに対して、こちらはマーティ・ペイチ率いる西海岸のオールスターとも言える面々が名を連ねる。ホリデイの歌唱はトニー・ベネットに似てるが、ペイチのアレンジに乗って唄う[2]などはメル・トーメ風にも聞こえる。[5]ではハーブ・ゲラーとジャック・シェルドンが短いながらも良いソロを取っている。 ★★★☆☆

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 ジュディ・ロバーツ(vo,p) 『Circle of Friends』


ジュディ・ロバーツ(vo,p) 『Circle of Friends』

 ピアノ弾語りのジュディ・ロバーツは、色気こそないが気さくで快活な音楽の先生といった雰囲気。今までなんてことない一枚であったが、D/Aコンバーターを新調したら、黒光りするピアノの音の美しさにすっかり魅了され、愛聴盤に昇格。CDの音質によってこれほど音楽の評価が分かれてると思うと恐ろしい。ジュディの旦那さん、グレッグ・フィッシュマンがテナーとフルートでナイスサポート。彼のテナーもフガフガと頼りなく鳴っていたのが一転、上品で男前のサウンドに。これだからジャズとオーディオはわからない。 ★★★☆☆

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『Sophisticated Lady/For The Night People』


ジュリー・ロンドン(vo) 『Sophisticated Lady/For The Night People』

 前半『ソフィスティケイテッド・レディ』がオーケストラバックの1962年度作品、[13]から後半がジャジーで文字通り夜のムードが漂う1966年の『フォー・ザ・ナイト・ピープル』。前半の唄には可愛らしさがまだ感じられるが、後半はうらぶれたオトナの女性のイメージが濃厚。わが国におけるジャズの退廃的なイメージは、ビリー・ホリデイなんかよりも、案外ジュリーのこの辺の作品群によって根付いたのかも。[13]は1959年『スウィング・ミー・アン・オールド・ソング』からの再演。 ★★★☆☆

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 ポーラ・ウエスト(vo) 『Restless』


ポーラ・ウエスト(vo) 『Restless』

 ジャズはじっくり聴き込むのが本道だけど、時には皆の耳を瞬時に吸い付けるような”勝負曲”もストックしておくほうが何かと便利である。本盤の[6]なんかがそう。ベースのイントロに続き、お馴染みのメロディを唄い出すポーラ。静かにブラシが浸入し、ピアノが滑り込む。カッコイー!音が良く、求心力を保ったまま終了するのでオーディオのイベントでよく使わせてもらった。お色気より上手さとコクで勝負する女性シンガー。声を伸ばすときの微妙な音程の取り方が特徴的だ。バラードの[5]、[15]もいい。 ★★★☆☆

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 リサ・エクダール(vo) 『Back To Earth』

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リサ・エクダール(vo) 『Back To Earth』

 ファンの方には申し訳ないけど、リサのような女性は極めて危険だ、と思う。なんだいカマトトぶりやがって。ジャケット写真にしてもいちいち芝居がかってるんだよ!と思いつつ、[1]の情感にほだされてしまう。いかんいかん、魔性の女だ。バックのピーター・ノールダール・トリオの骨っぽいハードボイルドな演奏と、リサのロリータ・ボイスとのコントラストが絶妙。これで27歳も年上の旦那と子供が居るそうだ。愛と憎しみが渦巻くCDと言ったらちと大袈裟か(笑) ジャケット違いの輸入盤あり ★★★☆☆

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 ナンシー・ウィルソン(vo) 『The Swingin's Mutual』


ナンシー・ウィルソン(vo) 『The Swingin's Mutual』

 ジョージ・シアリング・クインテットをバックに唄ったナンシー・ウィルソンの佳作。例によって数曲はナンシー抜きのインストゥルメンタル。先日、仕事が終えてタオルを畳んでたら、年に一度あるかないかの素晴らしい音でこのCDが鳴り出した。クールなシアリング・サウンドにホーンのようなナンシーの声。今も聴いてるがあのときに比べると全然物足りなくて悶々とする。[5]は意表をつく三拍子。有名な[7]はシアリングが作曲したが、残念ながらこれもインスト。シルクのシーツを撫でるような[8]の歌声に鳥肌。 ★★★★

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 スー・レイニー(vo) 『Breathless!』


スー・レイニー(vo) 『Breathless!』

 完璧に作り込まれたキャピトルの三部作とは打って変わって、スモールコンボをバックにラフな雰囲気が楽しい。ひょっとすると正式なレコーディングではなく、リハーサルテープなのかもしれない。[10]は間奏が終わったところで唄が出遅れるが、歌唱力が抜群なだけあってこんなミステイクだって許せてしまう。表題曲[13]では早口言葉を披露。こんな隠し芸があったのかと文字通り舌を巻く。抜群のリズム感とは反対に、神に祈るようなバラードの表現も素晴らしい。 こちらも同内容 ★★★★

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 『Sentimental Journey: Capitol's Great Ladies of Song』


『Sentimental Journey: Capitol's Great Ladies of Song』

 ペギー・リーやダイナ・ショア、ジューン・クリスティ、アニタ・オデイなど、キャピトル・レコード往年の女性ボーカルを集めたオムニバス。76分収録のお買い得盤。まずは録音の良さに驚かされる。'40年代や'50年代に吹き込まれたとは思えないクリアーで抜けのいい音質。そして何より歌姫たちの唄のうまさ、ほのかに香るお色気(死語)。このCDでキーリー・スミスやヘレン・フォレストの夢のように美しい歌声に開眼し、ビリー・ホリデイの[13]に涙したものだ。大衆音楽とは、女性ボーカルとはかくあるべし。★★★★

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 ルイ・アームストロング(tp,vo) 『Louis Armstrong Meets Oscar Peterson』


ルイ・アームストロング(tp,vo) 『Louis Armstrong Meets Oscar Peterson』

 オスカー・ピーターソン・トリオ+ハーブ・エリスのギターを伴奏に、ゆったりとバラードを唄ったデュエットの傑作『エラ・アンド・ルイ』に準ずる内容となっている。それもそのはず[13]から[16]までは、2匹目のドジョウを狙った『エラ・アンド・ルイ・アゲイン』と同じ日のセッション。エラのような女性でも(失礼!)やはり華があるほうがいいように思う。代わりにタイトルに昇格したピーターソンも、前作と同様控えめなピアノを弾いており、エド・シグペンを加えたレギュラー・トリオで豪快に弾きまくる以前のスタイルで、ピーターソンのファンにはやや物足りないかもしれない。 ★★★☆☆

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 ビリー・ホリデイ(vo) 『Lady In Satin』

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ビリー・ホリデイ(vo) 『Lady In Satin』

  ビリー・ホリデイといえば、二言目には麻薬と売春が語られ、まるでそれがジャズの真髄のように言われるのが気に食わない。おまけにこの悪声だから、同情混じりに素晴らしいなんて言われると、ますます面白くない。わたしは彼女の熱烈なファンじゃないけれど、不幸な境遇や人種差別は抜きにして、純粋に音楽として良いか悪いか、好きか嫌いかを言ってもらいたい。まったく失礼な話である。レイ・エリス編曲・指揮のストリングスオーケストラを配したバラード集。自然体で唄うのが身の上のビリーにしては不慣れな曲が多かったようで、唄い込んでいく過程が[15]にドキュメントとして残されている。輸入盤あり ★★★★

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 モーリス(vo) 『I've Never Been in Love Before』

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モーリス(vo) 『I've Never Been in Love Before』

 チェット・ベイカーの声を気持ち悪いという人が居るけど、わたしは全然平気である。ナット・キング・コールやジョニー・ハートマンだって、フェロモンは感じるけど気持ち悪くはない。しかしこの人、モーリスさんはちょっと苦手である。顔は怖いけど唄い方がナヨッとしてる。KABAちゃんキャラかもしれない。鼻にかかった優しい声。濃厚なコロンの香りに混じって生温かい体臭が漂ってくる。唄が上手い下手より、まずもって声が受けつけない。バラード中心のスタンダード集。 ★★☆☆☆

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 ジェーン・モンハイト(vo) 『Come Dream With Me』


ジェーン・モンハイト(vo) 『Come Dream With Me』

 ジャズに美人ジャケットはつきものだ。その美人が色っぽく歌ってくれるならなお宜しい。誰もが待ちわびた期待の美形ボーカリスト、モデルのような容姿のモンハイト。バックもケニー・バロン、クリスチャン。マクブライド、マイケル・ブレッカーと大物揃いで、しかもスイング・ジャーナル選定ゴールドディスクのお墨付き、だが…。唄はヘタでないにしても、これといってハートに引っかかってくるものもない。ルックスが気に入ればどうぞ。豪華ブックレット付き。国内盤あり ★★☆☆☆

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 ホリー・コール(vo) 『Don't Smoke In Bed』


ホリー・コール (vo)『Don't Smoke in Bed』

 所謂ジャズシンガーというよりは、もっと芝居がかっていてアーティスト然としている。決して貶しているのではない。音楽家たるもの、大なり小なり芝居がかっていないと話にならない。ジャズの範疇から大きくはみ出しているのだ。しかし反対に他のジャンル、たとえばポップス畑出身の人がこういうスタンダードを唄うと、大抵ウソくさくて失敗する。カナダの歌姫。似たポジションにダイアナ・クラールが居る。彼女のほうがぐっとジャズっぽい。両者の間にライバル心はあるだろう。本盤のゲストにジョー・ヘンダーソンを呼んだら、負けじと翌年スタンリー・タレンタインを起用して、『Only Trust Your Heart』を吹込んでいる。 ★★★☆☆

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 ランバート,ヘンドリックス&ロス(vo) 『Everybody's Boppin'』

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ランバート,ヘンドリックス&ロス(vo) 『Everybody's Boppin'』

 デイヴ・ランバート、ジョン・ヘンドリックスとアーニー・ロスからなる三人組ボーカルグループ。当時のジャズシーンでヒットしたお馴染みの曲を、スキャットを交えて楽しさいっぱいに唄いまくる。特にホレス・シルバー・クインテットの[11],[13]は、ブルー・ミッチェルのトランペットをランバート、ジュニア・クックのテナーをヘンドリックス、シルバーのピアノパートをロスが担当し、元曲を完全コピー。アドリブ部分も歌詞をつけて歌うという念の入れようで、ファンならずともニヤリとさせられる。録音もすこぶる良い。 ★★★☆☆

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 エラ・フィッツジェラルド(vo) 『Ella Fitzgerald Sings Christmas』


エラ・フィッツジェラルド(vo) 『Ella Fitzgerald Sings Christmas』

 エラ・フィッツジェラルドの唄うクリスマスソング集。これもジャズっぽさがあまり感じられず、敬虔で真面目な印象。唄のうまさはともかく、この路線でまとめるなら、もう少しアレンジなどに周到な練り込みが欲しいところ。「エラにクリスマスソングを唄わせれば、良い作品ができるはず」と、安直に考えすぎたのではないか。逆に一発勝負で決めるなら、もっとジャジーな選曲のほうが成功しただろう。ちょっと作品として中途半端、しかも収録時間が短いので星2つ。 ★★☆☆☆

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 『The Best of Christmas / Various』


『The Best of Christmas / Various』

 キャピトルの豊富な音源からピックアップされた、まさに『ベスト・オブ・クリスマス』。ビング・クロスビーが、まるでイエス様のように神々しい[1]に始まり、ストリングスが幻想的な[2]、ナット・キング・コールの名唱[6]は極めつけ。ジャズっぽさよりも、弦やコーラスなどを取り入れたゴージャスなアレンジがキャピトルらしい。カーメン・ドラゴンとハリウッド・ボウル・シンフォニー・オーケストラによる荘厳な[20]は一年の最後を飾るに相応しい。これも当店になくてはならない大切な一枚。 ★★★★★

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 ナンシー・ウィルソン(vo) 『But Beautiful』


ナンシー・ウィルソン(vo) 『But Beautiful』

 キャピトルに数々の佳作を残しているナンシー。なかでも代表作といえるのがこれ。ハンク・ジョーンズのトリオ+ギターをバックに、しっとりと唄うバラード集。録音の良さで定評のある同レーベルにしては珍しく、所々ナンシーの声が入力過多に聞こえる。囁きから一転、クライマックスまで上り詰める歌声のダイナミズムゆえか。[5]の冒頭、ロン・カーターの重量級ベースがどどどぉんと来てナンシーが入ってくるあたりは鳥肌モノだ。コブシを効かせて唄わないとサマにならない[7]等、まさに彼女の得意とするところ。 ★★★★

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 ケイコ・リー(vo) 『Beautiful Love』

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ケイコ・リー(vo) 『Beautiful Love』

 そのハスキーな歌声がテレビCMで流れてたり、今や日本国内で最も有名なジャズシンガーとなった感のあるケイコ・リー。第3作は有名ジャズメンが脇を固めるNY録音で、一躍彼女の名を世間に知らしめた。最近ではポピュラー曲に傾倒気味の彼女だが、元々そちらのほうが向いているかもしれない。本作でもスタンダード曲主体の前半に比べて、[7]なんかのほうが伸び伸びと唄ってるように思う。この頃のケニー・バロンはいつでも絶好調だ。 ★★★☆☆

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 カーメン・マクレエ(vo) 『The Great American Songbook』


カーメン・マクレエ(vo) 『The Great American Songbook』

 ジャズボーカルのライブのお手本のようなレコード。演奏は勿論のこと、客とのやりとり、どんなふうにリラックスさせるか、その場の空気を作っていくか等、ミュージシャンを目指す者にとってはバイブルとなるだろう。『グレート・アメリカン・ソングブック』とのタイトルどおり、お馴染みのスタンダード曲から、カーペンターズの[14]まで、飽きることのない構成で楽しめる。個人的にはマクレエの気の強い親戚のオバさん風の声は得意でないのだが、これはさすがだ、降参。ジョー・パスのギターも渋い。 ★★★★

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 トニー・ベネット(vo) 『The Tonny Bennett/Bill Evans Album』


トニー・ベネット(vo) 『The Tonny Bennett/Bill Evans Album』

 あの大物歌手トニー・ベネットが、ビル・エヴァンスのピアノを伴奏に唄って話題となった。エヴァンスの得意なレパートリーからベネットがピックアップして唄うスタイルの異色作で、スウィングが身の上のベネットが、エヴァンスの沈静化したリリシズムに引っ張られている様子。エヴァンスと共演すると、誰であれ知的にインテリっぽくなるから不思議。[6][7]など、すっかりアルコールが抜けてしまった感じのベネット。しかしながらサイ・コールマン作の[4]はさすがの唄いっぷり。 ★★★☆☆

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 リー・ワイリー(vo) 『Night In Manhattan』


リー・ワイリー(vo) 『Night In Manhattan』

 同じストリングス入り女性ボーカルでも、キャピトル・レコードのそれは総天然色のようにカラフルだが、本盤はまさしくセピア色の音楽。ナローレンジな録音のせいか、ワイリーの温かな歌声のせいか、それとも'50年代初頭の空気が醸し出すのか、全編に古き良きアメリカの甘い香りが詰まっている。骨董店や古着屋のBGMにぴったりだ。今でもあるのだろうか?もう20年以上前、京都の河原町商店街の2階に「コニー・アイランド」という名の喫茶店があった。[1]を聴くたびにあの隠れ家のような店を思い出す。 ★★★☆☆

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 ジューン・クリスティ(vo),スタン・ケントン(p) 『Duet』


ジューン・クリスティ(vo),スタン・ケントン(p) 『Duet』

 かつてスタン・ケントン楽団の歌姫だったジューン・クリスティが、御大ケントンのピアノのみをバックに唄う「デュエット」。かすれるようなハスキーヴォイスが意外なほど力強く、楚々としたなかにもキャリアが感じられる。バラードを歌っても凛として、決して甘くなりすぎないのがクリスティの魅力。一方、ケントンのピアノはビッグバンド同様、いかにも白人らしい、ヨーロッパ的な演奏。[2]や[5]の怨み節がこの二人に案外しっくりくる。エリントンナンバーの[10]も真っ白だ。 ★★★☆☆

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 インク・スポッツ(cho) 『Whispering Grass』


インク・スポッツ(cho) 『Whispering Grass』

 ずいぶんと古いジャズコーラスグループだが、プラターズのようにメンバーを入れ替えて現在も活動を続けているらしい。数曲聴けばわかる驚異のワンパターン。それでも不思議に飽きがこないのはさすが。映画「ショーシャンクの空に」にも挿入された[17]が特に有名。たしか「L.A.コンフィデンシャル」の冒頭シーン、カーラジオから流れる音楽も本盤の[1]だったと思う。[5]はラジオドラマのように楽しい寸劇のよう。きっとこのグループにはアメリカ人のノスタルジーを呼び起こす強い何かがあるんだろうな。 ★★★☆☆

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 フランク・シナトラ(vo) 『Swing Easy/Songs for Young Lovers』

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フランク・シナトラ(vo) 『Swing Easy/Songs for Young Lovers』

 名編曲家ネルソン・リドル指揮の2枚を1枚にカップリング。管から弦まであらゆる楽器を使って作り出す極彩色のオーケストラゆえ、それほどジャズっぽくはない。しかしながら、メロディを崩さず唄うシナトラは、ジャズ初心者がスタンダードナンバーを覚えるには最適だ。最もアメリカらしい音楽はと訊かれれば、わたしなら本盤のようなキャピトルのシナトラやナット・キング・コールを挙げる。クッキーの焼ける甘い匂いがするようだ。(こちらも曲順を入れ替えただけの同内容) ★★★☆☆

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『Love Letters/Feeling Good』

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ジュリー・ロンドン(vo) 『Love Letters/Feeling Good』

 トータルな意味でジュリーの歌手としてのベストはこの『ラブ・レターズ』じゃないかと思う。すでに30代半ば、唄い方がだんだんと姉御肌になってきているが、なにより表情が豊かでノッてレコーディングに臨んでいるのが良い。[1]の怨念のような出だしは鳥肌モノ。これも2in1CDで、[13]からの『フィーリング・グッド』とのカップリング。ハービー・ハンコック作の[18]ではなんとジュリーがハモンド・オルガンでソロをとっている。あんまり上手でもないのだが、なんとも頼もしい限りである。 ★★★★

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 スー・レイニー(vo) 『Happiness is a warm Sue Raney』


スー・レイニー(vo) 『Happiness is a warm Sue Raney』

 16歳のときにキャピトル・レコード専属となり、23歳までに三枚のLPレコードを録音。その三枚目の通称”お風呂のレイニー”『オール・バイ・マイ・セルフ』のアレンジおよび指揮を務めたラルフ・カーマイケルがフィリップス移籍第一弾の本作でも引き続きバックを受け持つ。'64年ともなればブラスを中心としたビッグバンド・アレンジも、古めかしいそれとは違って随分とモダンになっている。端正な美人声なのに、この安定感にしてこの大胆さ。わたしのフェイバリット・シンガーの一人だが、レコードが少ないのが残念。  ★★★☆☆

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 チェット・ベイカー(vo,tp) 『It Could Happen to You』


チェット・ベイカー(vo,tp) 『It Could Happen to You』

 取り立てて優れた内容でもないけれど好きなレコードというのがあって、これなんかもそう。リバーサイド専属になっての第一作。パシフィック時代にはやらなかったスキャットを取り入れているが、まだ馴れていのか自分のものになってない感じがする。危なっかしい。ハラハラしながら聴いてるとトランペットが出てきて、おお、チェットってこんなにラッパが巧かったのだなと感激する。相手が誰であろうがファンキーなフレーズを連発するケニー・ドリューのピアノも良い。  ★★★☆☆

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 ナット・キング・コール(vo) 『Where Did Everyone Go / Looking Back』


ナット・キング・コール(vo) 『Where Did Everyone Go / Looking Back』

 キャピトルやリバティの版権を持つEMIのお買い得2in1シリーズ。[1]~[12]が'63年リリースの『ホエア・ディド・エブリワン・ゴー』、[13]~[23]までが'65年の『ルッキング・バック』 。内容の似通ったもの同士をカップリングすることの多いシリーズだが、今回似てるのはジャケットの雰囲気のみで、中身はまったく違うコンセプト。荘厳な弦の響きが幻想的な前者に対し、[13]からいきなりダウンタウンのオールディーズ風になる。両者ともジャズとは随分かけ離れてしまうが、ロマンチックな[9]やメドレー調の[18][19]も楽しい。 ★★★☆☆

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 ダイアナ・クラール(vo,p) 『Only Trust Your Heart』


ダイアナ・クラール(vo,p) 『Only Trust Your Heart』

 表紙はまあまあ美しく撮れてるが、中の写真のイケてないことといったら。田舎娘丸出しである。でも、そういうダイアナの天然さが良い。彼女がデビューする際、ベースの巨匠レイ・ブラウンに相談していたようだが、いよいよ本盤でブラウンも参加。クリスチャン・マクブライドやスタンリー・タレンタインまで登場して、なんとも豪華な面々。表題曲[2]の唄が終わってダイアナのピアノが間奏に入る一音、そしてもう一音、これを聴いてほしい。いやいやいやいや並じゃないですよ、このピアノ。国内盤あり ★★★☆☆

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 ダイナ・ショア(vo) 『Vivacious』


ダイナ・ショア(vo) 『Vivacious』

 やわらかく真っ白な木綿のハンカチのような気品ある歌声がダイナの魅力。女性ボーカルというと何かといやらしいのが多いけれど、ドロドロしないさわやかな芸風は好感が持てる。代表的ヒットの[1]、エリントンの[2]、一人で二重唱に挑戦した美しいハーモニーの[3]、パンチの効いたビッグバンドアレンジの[7]、劇的な展開の[8]などバラエティに富んでいる。子守唄のようなバラードの[4]や[10]は、灯りを落とした寝室で聴きたい。 ★★★☆☆

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 カーメン・ランディ(vo) 『This is Carmen Lundy』


カーメン・ランディ(vo) 『This is Carmen Lundy』

 今の時代にジャズのオリジナル曲を書き下ろして唄うメリットがいかほどあろうかと思うが、本盤では全曲カーメン自身のオリジナル、それもメロディアスな良い曲ばかりである。絵心もあるし、芸術的な才能が溢れ出ているような人だ。[6]がハイライト。モード風に盛り上がる後半を傾聴されたし。続くバラードの[7]とのコントラストも良い感じ。都会的でモダンな感覚に、ほんの少しのアフリカ的なスパイスがカーメンの魅力だ。 ★★★☆☆

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 ルー・ロウルズ(vo) 『The Legendary Lou Rawls』


ルー・ロウルズ(vo) 『The Legendary Lou Rawls』

 ブルーノート・レーベル再興の立役者、マイケル・カスクーナ選曲のベスト盤。キャノンボール・アダレイ・クインテット伴奏のライブで始まり、スタンリー・タレンタイン、ジョージ・ベンソン、ハンク・クロフォード、ダイアン・リーヴスとのデュエットなど内容も盛りだくさんで飽きさせない。スタイルも様々であるが、どの曲でもリズム・アンド・ブルースに裏付けされた力強い歌唱を聴かせる。ビリー・ホリデイ作の[6]、そして「悲しき願い」の邦題で知られる[15]も素晴らしい。ブルースはアメリカの浪花節だ。 ★★★☆☆

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 ステイシー・ケント(vo) 『Dreamsville』


ステイシー・ケント(vo) 『Dreamsville』

 わたしが言うのも何だけれど、英国の女性とはこうもパッツンパッツンに髪を切る勇気がよくあるものだ、と思う。髪型はボーイッシュになったが、唄のほうはより女性らしく、しっとりした仕上がりのバラード集。前作のようなスインギーな軽快さはなく、録音もぐっとこちらににじり寄ってくる感じで録れている。ドラマチックなメロディラインの[7]がベストトラック。秋の昼下がりに感傷に耽りながら聴くのにぴったりだ。  ★★★☆☆

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 ナット・キング・コール(vo,p) 『After Midnight』


ナット・キング・コール(vo,p) 『After Midnight』

 弾き語りもできるジャズピアニストというより、すでにポピュラーシンガーとして有名になっていたキャピトル時代。オーケストラものが多いなか、本盤は懐かしいキングコールトリオのフォーマットに、ウィリー・スミスやハリー”スウィーツ”エディスンらの豪華スタープレーヤーが客演する形。軽快にスイングする洒落たヴォーカル・アルバムだ。あの有名な「ルート66」も収録。ちなみにこの曲の作者ボビー・トゥループはジュリー・ロンドンの旦那さん。 ★★★☆☆

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 ステイシー・ケント(vo) 『Love Is... The Tender Trap』


ステイシー・ケント(vo) 『Love Is... The Tender Trap』

 ホームページをやってると少しは良いこともあって、たとえば本盤なんかを、有難い事に熱心な読者の方が送ってくださったりする。そういえば寺島靖国さんがいつか本盤のことを書いてたなあ。ステイシー・ケントは英国の女性シンガーで、声の質はドリス・デイやジョニ・ジェイムス、ジョニー・ソマーズの流れを汲むいかにもテラシマさん好みの可愛らしくて甘い声。ケントのほうがややシャープで舌足らずな感じ。女の武器(?)である囁くようなバラード曲は勿論、[4]や[7]で聴かせるスイング感も良い。佳作。  ★★★☆☆

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『Your Number Please...』


ジュリー・ロンドン(vo) 『Your Number Please...』

 ジュリーの美貌とお色気が絶頂期にあった'59年。なんとアンドレ・プレヴィン指揮のフルオーケストラを従えた、なんともゴージャスな一枚。オーケストラ伴奏のジュリーの作品は数多いが、他のものとは音作りからして違う、何か特別な印象がある。かつてファッツ・ウォーラーが歌った陳腐な曲の[11]が素晴らしくエレガント!そういえば昔は白い電話機ってスターの証だったなあ。『Calender Girl』とカップリングのお徳用の2in1CDもあり。 ★★★☆☆

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 ベヴ・ケリー(vo) 『Bev Kelly in Person』


ベヴ・ケリー(vo) 『Bev Kelly in Person』

 サンフランシスコのナイトクラブ”コーヒー・ギャラリー”でのライブ。ベヴ・ケリーは女流ピアニスト、パット・モランのバンドに居たシンガー。わたしは元々この人の歌い方が好きではない。色気もないし、ビリー・ホリディのマネをしてメロディを崩して歌うのが危なっかしい。バックのメンバーもいまひとつパッとしない。ところがどうだ、CDプレーヤーが変わったら中域がぐっと太って評価が一転。こういうことがあるからオーディオはやめられない。オバサンみたいな表紙より内ジャケットの艶かしい写真のほうがイメージに近い。 ★★★☆☆

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 チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings and Plays』


チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings and Plays』

 3回のセッション('54年2月15日、'56年7月23,30日)からなる『チェット・ベイカー・シングス』の合間、'55年に録音されたチェットの唄もの。こちらは軽快なリズムの曲が多く、バラード曲においてはストリングスが挿入されている。『~シングス』のような閉塞感はないものの唄のほうは相変わらず。良いなあ、このアクビが出るような気だるさ。(笑)はかなくも美しい表題曲[1]がベストトラック。丁寧に音を置いていくかのような歌唱は名トランペッターゆえ。ジャズ的デカダンスの傑作だ。 ★★★★

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 アニタ・オデイ(vo) 『This Is Anita』

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アニタ・オデイ(vo) 『This Is Anita』

 ジャズボーカル入門に本盤などはどうか。なんといってもアニタの代表的名唄「バークリー・スクウェアのナイチンゲール」が収められている。このロマンチックで美しい曲を足がかりとして、スタンダードナンバーを堪能していただきたい。アニタが若い頃のじゃじゃ馬娘のような歌い方には好き嫌いもあろうが、本盤ではしっとり落ちついた歌唱、内容も充実しており老若男女誰にでも強くお勧めできる。紙ジャケあり ★★★★★

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 ティナ・ルイス(vo) 『It's Time For Tina』


ティナ・ルイス(vo) 『It's Time For Tina』

 ちょっと待てい。FROM USの輸入盤に、なぜ日本語のオビが着いているのか。しかも2200円と値段が写っているではないか。国内では既に廃盤。逆輸入プレミア価格だろうか?この値段は高すぎる。たしかに本盤は人気がある。ジャケットの可愛らしさ、美しさはジャズボーカル随一。囁くようなバラード集で、バックにタイリー・グレンやコールマン・ホーキンスがついてると言われれば、ジャズファンならずとも食指が動く。内容も立派なものだが血眼になるほどじゃない。再発を待て。 ★★★☆☆

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 ローズマリー・クルーニー(vo) 『A Touch Of Tabasco』

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ローズマリー・クルーニー(vo) 『A Touch Of Tabasco』

 ああ、いかんなあ、こういうのを時々かけるからお客さんの方から「これはジャズですか?」とチェックが入る。いえ、ジャズではありません。わたしが好きなだけです(笑)いや、しかしこんなに素晴らしい作品をジャズでないというだけで黙っておれようか。なんといっても”マンボの王様”ペレス・プラードとローズマリー・クルーニーの競演である。珍しいだけでなく内容も良い。どの曲も素晴らしく、ドッシーーン!と来る迫力のサウンドに痺れまくる。とにかく痛快!誰彼構わず耳たぶを引っ張って大音量で聴かせてあげたい。ぁ"~ウーッ!!★★★★

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 ジョニー・ハートマン(vo) 『All Of Me - The Debonair Mr.Hartman』


ジョニー・ハートマン(vo) 『All Of Me - The Debonair Mr.Hartman』

 「Debonair」とは「愛想の良い」とか「礼儀正しい」、「慇懃な」という意味だから、「The Debonair Mr.Hartman」とくればイメージが湧いてくるだろう。ストリングスとオーケストラをバックにキャピトル・レーベルのナット・キング・コールを手本にしたようなゴージャスな仕上がりになっている。ジョン・コルトレーンとの共演盤を聴いて、甘いバリトンの唄声に痺れた人なら本盤もきっと気に入るだろう。バラードだけでなく適度にスインギーな曲も挟んであってダレずに聴ける。[6]のクールな節回しがいい。 ★★★★

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 ダイナ・ショア(vo) 『The Best of Dinah Shore』


ダイナ・ショア(vo) 『The Best of Dinah Shore』

 キャピトル・レーベル時代の音源を集めたベスト盤である。ジャズと呼ぶにはあまりにポピュラーソングのようだし、見ての通りジャケットもなんてことない。しかしながら最初から最後の曲まで一気に聴かされてしまうこの心地よさ。本盤を聴いてたら、わたしの父がやってきて、そのまま最後まで一緒に聴いていた。そして一言、「このCD貸してくれ」。ジャズファンも、そうでない人も夢の世界に連れて行ってくれる。[4]はかつて関西のAMラジオ番組「フレッシュ9時半キダ・タローです」のテーマソングだった。 ★★★☆☆

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 スタン・ゲッツ(ts) ジョアン・ジルベルト(g,vo) 『Getz/Gilberto』

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スタン・ゲッツ(ts) ジョアン・ジルベルト(g,vo) 『Getz/Gilberto』

 ボサノヴァを世界に広めた本盤の功績は計り知れない。転調を間に挟み天才的なフレージングを聴かせる[6]のゲッツのソロは何度聴いても素晴らしい。続く[7]では横隔膜を震わせる泣きのイントロ。大きく息を継ぐ「フゥ――ッ」という音が入ってる。ジャズはこれだよなぁ。あまりにも有名な傑作ゆえ、難癖をつける人も跡を絶たないが、それらはすべて「後付け」の理屈であって、本盤の輝きを些かも減じるものではない。ジョアン・ジルベルトの歌声こそ究極の癒し。輸入盤あり ★★★★★

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 ペギー・リー(vo) 『Latin ala Lee!/Ole a la Lee』

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ペギー・リー(vo) 『Latin ala Lee!/Ole ala Lee』

 スタンダード曲をラテン風アレンジで仕上げた『ラテン・アラ・リー』と『オレ・アラ・リー』二枚のLPをカップリングした2in1CD。海辺のリゾートを思わせる乾いたサウンドが心地良い。[7]を聴いていると、夜の砂浜に燃える松明の火が目に浮かぶ。余談だが、家内と初デートの日に、本盤の[1]を景気つけに聴いて出かけた。その日のうちに「結婚してくれ」といったら撃沈された。いや、まったく余談であった。失敬失敬。 ★★★★

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 ダイナ・ワシントン(vo) 『Dinah Jams featuring Dinah Washington』


ダイナ・ワシントン(vo) 『Dinah Jams featuring Dinah Washington』

 「定石ならこう来るな」という部分を敢えて外す、それがジャズの本質ではなかろうか。[2]の「サマータイム」を聴いてみてください。観客が「ウォー!」と言って喜んでる。つまり、「 キチンとしたもの」があって、それとの対比によって「粋」の概念が生ずるのだ、なーんてわけのわからないこと言うより先に本盤を楽しんでしまおう。”ブルースの女王”ダイナ・ワシントンとクリフォード・ブラウンをはじめとする西海岸オールスターによる熱気ムンムンのライブ盤。こいつは凄いぞ!! ★★★★★

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 ペギー・リー(vo) 『Beauty and the Beat!』

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ペギー・リー(vo) 『Beauty and the Beat!』

 「美女と野獣(Beauty and the Beast)」をもじった粋なタイトルだ。ジャズという音楽は、ロックのようにリズムに乗って身体を揺すると演奏できないのである。ここでのペギーは、ステージにしっかり足を踏ん張って微動だにしない。伴奏を務めるジョージ・シアリング・クインテットが軽快なビートを刻むのとは対照的に、彼女はじつに丁寧に、美しいメロディを唄い上げていく。よって、『Beauty and the Beat!』。[10]で「Don't Cry~」とペギーが唄い出すと、もう全身が溶けてしまいそう。 ★★★★★

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 スー・レイニー(vo) 『When Your Lover Has Gone』

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スー・レイニー(vo) 『When Your Lover Has Gone』

 本作は驚きの連続である。まず、なんといってもこの唄のうまさ。これを17歳の少女が唄ってるとは到底信じられない!しかもバックを務めるのは大御所ネルソン・リドル楽団。それを、1957年に録音したとはこれまた信じられない驚きの高音質で楽しめる。渋い選曲もいい。[2]は「博覧会に長く居過ぎたのね」という粋な歌詞。「メリーゴーランドはゆっくり減速、音楽は止まり、子供達はもう帰らなきゃ…」光景が目に浮かぶようではないか。 ★★★★

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 ナンシー・ウィルソン(vo) 『Welcome to My Love 』

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ナンシー・ウィルソン(vo) 『Welcome to My Love 』

 本盤を聴くと、サンフランシスコの町並みを思い出す。新婚旅行で一回こっきりしか行った事がないし、そこでこれらの音楽を聴いたわけでもないのだが、[5]や[8]のソウルっぽいブラスサウンドと”誰もがお気に入りの町・サンフランシスコ”の香ばしい空気が、記憶のなかでしっかりと結びついてしまっている。再生するとサンフランの夜の空気が匂うようなオリバー・ネルソンのアレンジ。実際の録音はロスで行われたのだが、音質が素晴らしい、特にバスター・ウイリアムスのベース。 ★★★★

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『Around Midnight/Julie...At Home』


ジュリー・ロンドン(vo) 『Around Midnight/Julie...At Home』

 これもお徳用の2in1CD。[1]~[7]がオーケストラ伴奏の『Around Midnight』。[1]や[4]の有名曲ではなく、[10][12]などの佳曲をじっくり聴くべし。[13]からが『Julie At Home』。こちらはジュリーの作品のなかで最もジャズっぽい。彼女の自宅に機材を持ち込んで録音したそうだ。脚色のない、自然な良い音で録れてると思う。本盤も比較的地味な[15][21][22]が好きだ。他の女性シンガーと比べるとジュリーはキーが低いなあ。ドスの利いたお色気。 ★★★★

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 ジュリー・ウィルソン(vo) 『Julie Wilson Sings the Cy Coleman Songbook』


ジュリー・ウィルソン(vo) 『Julie Wilson Sings the Cy Coleman Songbook』

 バーゲンコーナーで見つけ、何の予備知識もなく買ってみたらアタリだった。'50年代に活躍した美人シンガー。かなりマイナーな人で、現在はキャバレー歌手の位置付けにあるようだ。本盤ではもうかなり”お婆さん声”で貫禄は充分。必要とあらば味のある唄も披露するピアニストのウィリアム・ロイ一人が伴奏。楽しげなライブの模様が収録されている。「わざわざ年寄りの唄を聴くなんて」と思ってたけれど、これはいい。円熟のパフォーマンス。 ★★★☆☆

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 ビリー・ホリデイ(vo) 『Solitude』


ビリー・ホリデイ(vo) 『Solitude』

 今年(2005年)からタバコをやめることにした。健康上の理由もあるけど少しばかり本盤と関係がある。あるとき当店でこのCDをBGMにして、お客さんがコーヒーを飲んでいた。定石なら紫煙たなびくシーンだろうが、その方はノンスモーカーだ。コーヒーカップに手をかけたまま、じっと耳を澄ましてビリーの歌声を聴いている。カッコイイ。素敵な時間の流れ方だ。よおし、俺もいつかこんなふうになってやろう、そう思った。オスカー・ピーターソン、チャーリー・シェイバースらJATPのコンボをバックにしっとりと唄うバラード集。 ★★★★

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 シビル・シェパード(vo) 『Mad About The Boy』

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シビル・シェパード(vo) 『Mad About The Boy』

 大女優シビル・シェパードがスタン・ゲッツ、フランク・ロソリーノらをバックに入れたボサノヴァ。ゲッツも熱演、[1]の張切りようは素晴らしい。唄もなかなか悪くないけど、それほどジャズっぽく聞こえないのは、「音が遠い」録音のせいだろう。「こんなのジャズじゃねえよ」とお堅いジャズファンが拒絶してる間に、ナウでオシャレなヤング達が目をつけ、静かなヒットとなった。彼らが言うように先入観を排せば確かにカッコイイ音楽だ。輸入盤あり ★★★☆☆

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 ダコタ・ステイトン(vo) 『The Late, Late Show』


ダコタ・ステイトン(vo) 『The Late, Late Show』

 ボーカルが定位しない。これって逆相じゃないかと思う。わたしの盤はアナログだが、ロットによって違うのだろうか。わざと逆相にしてるような気もしないでもない。レイト・ショウのそのまた後のレイト・ショウ、妖しげな雰囲気だがお色気路線とはちと違う。かといってサラ・ヴォーンやエラ・フィッツジェラルドみたいに格調高く唄うわけじゃなく、もっと庶民的。「トマトちょうだい、ポテトいくら?」の[9]が好き。どちらかといえば通向きか。夜明け前に聴きたい。 ★★★☆☆

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 ダイアナ・クラール(vo,p) 『When I Look in Your Eyes』


ダイアナ・クラール(vo,p) 『When I Look in Your Eyes』

 こんなのわざわざ紹介しなくたって皆知ってるだろう、と、勝手に思い込んでた。考えてみたらサッチモもマイルスも知らない人が多いのに、ダイアナだけ知ってるわけがない。多分ジャズ界で今いちばん売れてる歌手。商業主義だ、昔のほうがよかったと言いつつ、こうして聴いてみるとやっぱりうまい。ちょっとした節回しなど紛れもなくジャズのそれで、本盤が一級品のエンターテイメントであることに違いない。綺麗な服を着せて、豪華なオーケストラに伴奏させれば、誰でもシンデレラになれるわけじゃないのだ。恐れ入りました。 ★★★☆☆

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 エラ・フィッツジェラルド(vo) 『Ella in Berlin : Mack the Knife』

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エラ・フィッツジェラルド(vo) 『Ella in Berlin : Mack the Knife』

 手っ取り早くジャズを理解するには、スタンダードナンバーをそっくり憶えてしまうのが近道だ。エラの代表作の本盤など好適。おそらく彼女の声を聴いて不快に思う人は少ないだろう。ハツラツとした美声。抜群のスイング感。ベルリンの聴衆の興奮が見えるようだ。ルイ・アームストロングを真似て唄う[16]、変幻自在にスキャットが展開する[18]は聴くたび舌を巻く。なお、クレジットにある「Applause」とは曲名でなく「拍手」のこと。★★★★★

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 ダイナ・ショア(vo) 『Moments Like These』


ダイナ・ショア(vo)
『Moments Like These』

 美しい奥方を得たなら、やはり自慢はしてみたい。しかし、いつまでも自分だけのものにしたかったら、あまりにも見せびらかすのは禁物だ。ダイナ・ショアの爽やかな唄声は皆さんにもどんどんお勧めしたいが、本盤を紹介するのも同じ理由で躊躇われる。だから当店では滅多にかけない(笑)前半5曲がすごくいい。有名なスタンダードの[5]は、元はシャンソンだが、韻を踏む英詞で「a cigarette that bears a lipsticks traces」とか、「a tinkling piano in the next apartment」なんて、耳元で囁かれる炸裂音の心地良さったら、ない。★★★★★

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 ジューン・ハットン(vo) 『Afterglow』


ジューン・ハットン(vo) 『Aftergrow』

 ハットンは元パイド・パイパーズの紅一点で、ジョー・スタッフォードの後釜として迎えられた人。パイパーズ在籍中に、あの名曲「ドリーム」をヒットさせている。本作も男声コーラスとストリングス入りオーケストラをバックに、エレガントな歌声を聴かせてくれる。全編を通して緩やかなリズムが心地よい。まるでメドレーを聴いているようだ。美しいジャケットでオリジナル盤の人気も高い。就寝前に30分ほど時間が取れたなら、是非ともこれを聴いていただきたい。安らかにぐっすり眠れること請合いである。 ★★★★

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 ドリス・デイ(vo),アンドレ・プレヴィン(p) 『Duet』


ドリス・デイ(vo),アンドレ・プレヴィン(p) 『Duet』

 ドリス・デイは旧き良きアメリカを象徴する人気女優であるが、元々はハリー・ジェームス楽団で唄っていたジャズ畑の人でもある。プレヴィンのエレガントなピアノにドリスの限りなく甘い声、それでいてベタベタしたところがなくサラッと爽やかなのが彼女の魅力。「フールズ・ラッシュ・イン」は「あのとき君は若かった」に似てるなあと聴くたび思う。管球アンプとフルレンジユニットを使って、本盤が最高に良く鳴るオーディオシステムを組むのがわたしのささやかな夢だ。 ★★★★

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 ベット・ミドラー(vo) 『For The Boys: Music From The Motion Picture』


ベット・ミドラー(vo) 『For The Boys: Music From The Motion Picture』

 「外は寒いよ(Baby, It's Cold Outside)」を聴いてたら、そうそう、こんなのもあったなと思い出した。映画「フォー・ザ・ボーイズ」のサントラ盤。あらためてクレジットを見てみるとこれが凄い。ジャック・シェルドンは劇中でも目立ってたから知ってたが、マーティ・ペイチ、ビリー・メイ、デイブ・グルーシンを始めとして、錚々たる面々。ジャズ系ミュージシャンのみならず、TOTOのスティーブ・ルカサーやジェフ・ポーカロまで入っているではないか。第二次大戦~ベトナム戦争と、米軍の慰問に訪れるディキシー/エディのコンビの物語。曲のほうも'40年代風からビートルズナンバーまで幅広い。当店のスタッフが昔、「なんて良い曲なんだ~」といって[13]を何度も繰り返しかけてたっけ。★★★☆☆

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『Calendar Girl』


ジュリー・ロンドン(vo) 『Calendar Girl』

 1月から12月+13月、ジュリーがピンナップガールに扮して13種類のポートレートがジャケットを飾る。勿論サンタ服もあり。今様に言うならコスプレか。内容もそれぞれの月にちなんだ曲が13曲。取り立てて優れた内容でもないけれど、まだ若々しくお色気満点(死語)な頃のジュリーの唄と、楽しいジャケットでファンには堪らない一枚(笑) ちなみに最もセクシーで大写しの「13月」は開封しないと拝めない。『Your Number Please...』とカップリングのお徳用2in1CDもあり。 ★★★☆☆

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 シンガーズ・アンリミテッド(chor) 『Christmas』


シンガーズ・アンリミテッド(chor) 『Christmas』

 シンガーズ・アンリミテッドは元ハイ・ローズのメンバー、ジーン・ピュアリングとドン・シェルトンが、レン・ドレッスラーと紅一点のボニー・ハーマンを加えて1967年に結成されたジャズ・コーラス・グループ。本盤にはジャズっぽい感覚は殆ど見られず、純粋に美しいアカペラのクリスマスアルバムとして広く人気を博している。最も端整で美しい「きよしこの夜」はこれ。ボニーの声の魅力が際立ってる。パーティの喧騒を離れ、敬虔な気持ちでひとり静かに聴きたい。★★★★

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 フランク・シナトラ(vo) 『A Jolly Christmas from Frank Sinatra』


フランク・シナトラ(vo) 『A Jolly Christmas from Frank Sinatra』

 ストリングスと混声コーラスをバックに御大シナトラが唄うクリスマス。ジャズの範疇ではないけれど、これは自信を持ってお勧めできる。まさにアメリカン・ポピュラー・ミュージックの王道を行く力作だ。バラード主体、豪華かつフォーマルな雰囲気はキャピトルのお家芸。今後どんなにデジタル技術が進歩しても、こんな良い音のレコードは作れないだろう。「妙に捻くったものじゃなく、スタンダードなクリスマスソング集が欲しい」という方に最適。マイルス・デイビスも一目置くだけあって、唄のうまさはさすが。 ★★★★

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 ペギー・リー(vo) 『Christmas』


ペギー・リー(vo) 『Christmas』

 もうここまで来るとジャズを紹介してるんだかなんだかよくわからなくなってくる。(笑) 子供のコーラス入りとなるとさすがにちょっと恥ずかしい。しかしながら「クリスマス・ワルツ」なんか聴くと、ペギーの声にコロッと参ってしまう人も多いのではないかと想像する。キャピトル・レーベルだから録音も良いし、これだけ安いんだから何かのついでに買っておいたら、子供のクリスマスパーティなんかで使えるかもしれない。余談だが、わたしが所有する盤にはさらに恥ずかしい「ヘリウム声コーラス入り」のボーナストラックがついてる。★★☆☆☆

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 モニカ・ゼタールンド(vo),ビル・エヴァンス(p) 『Waltz For Debby』

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モニカ・ゼタールンド(vo),ビル・エヴァンス(p) 『Waltz For Debby』

 わたしが所有する国内盤CDには[11]~[16]のボーナストラックはなく、表記も「モニカ・セッテルンド」とされ、寺島靖国さんがライナーノートを担当。知人宅でエヴァンスが唄う(!?)「サンタが街にやってくる」を聴かされ、たいへんショックを受けた。エヴァンスが唄っちゃいかんだろう。いや、唄ってもいいが、よりによって8月になんで「サンタが街にやってくる」なのか。スウェーデン美人の気を引こうと醜態を晒してしまったか。しかしモニカの唄は秀逸だ。 ★★★☆☆

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 ダイアナ・クラール(vo,p) 『Have Yourself A Merry Little Christmas』


ダイアナ・クラール(vo,p) 『Have Yourself A Merry Little Christmas』

 ダイアナ・クラールの新録クリスマスソング3曲と、彼女が過去に客演した3曲を集めて作ったミニアルバム。CDにしては短いけれど、26分55秒あるからレコード世代のわたしはそれほど不足を感じない。「ジングル・ベル」は前ノリでメロディも単調、ジャズとして料理するのは難しいが、ダイアナのスライドピアノでの弾き語りはなかなか良い感じだ。ビートルズ・ナンバー「アンド・アイ・ラブ・ヒム(ハー)」はバラード調のしっとりした仕上がり。ダイアナもイイ女になったものだなあ。それが嬉しくもあり少し寂しくもある。 ★★★☆☆

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 ホリー・コール(vo) 『Baby,It's Cold Outside』


ホリー・コール(vo) 『Baby,It's Cold Outside』

 クリスマスとホリー・コールのイメージはどうもしっくりこない。コールは魔女的。可愛らしいジャケットの本作も”ハロウィン”がちょっと混ざってる気がする。(笑) しかし御本人はクリスマスが大好きらしく、他に『Christmas Blues』なんてアルバムも。個性的なハスキー・ヴォイスでデビュー当初からオーディオマニアに寵愛された彼女であるが、本作の録音も凝りに凝ってる。壮大なスケールで「ゴーン!」と鐘の鳴る[11]。このCD持参で各地のオーディオマニアをいじめてまわったのがまだ記憶に新しい。★★★☆☆

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 ジュリー・ロンドン(vo) 『End of the World/Nice Girls Don't Stay for Breakfast』


ジュリー・ロンドン(vo) 『End of the World/Nice Girls Don't Stay for Breakfast』

 二枚のレコードを1枚にカップリングしたお徳用CD。[1]~[12]までがストリングス入りオーケストラがバックのスタンダード集。この頃になると美女ジュリーもさすがに歳を感じるが、可愛らしさをかなぐり捨て唄で勝負。「想い出のサンフランシスコ」や「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」など、オジサマ世代には涙モノの良い選曲だ。[13]~[24]は、「いい女は朝まで居ないのよ」というアルバムタイトルどおり、小編成コンボでジャジーな夜の雰囲気を演出。意表をつくノベルティ・チューンの「ミッキーマウス・マーチ」がなんとも粋だ。 ★★★★

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 メル・トーメ(vo) 『Back In Town』


メル・トーメ(vo) 『Back In Town』

 こういうのを「オシャレなジャズ」というのだなあ。アート・ペッパー・カルテットのようにねっとりしててはオシャレじゃない。メル・トーメとマーティ・ペイチが仕切ると都会的で後味さっぱり。「ア・バンチ・オブ・ザ・ブルース」の凝った展開、アップテンポに変わるところは何度聴いてもゴキゲンだ。そのあとテナーで入ってくるペッパーの金ラメのタキシード姿を想像してしまう。作り込まれたジャズのよさを堪能できるジャズコーラス。 ★★★★

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 サラ・ヴォーン(vo) 『At Mister Kelly's』


サラ・ヴォーン(vo) 『At Mister Kelly's』

 冒頭、男声アナウンスの音の良さにしびれる。録音が古いから音が悪いなんて大間違いだ。こんなに良い声が録れるマイクロフォンなんて現代にあるだろうか。エラ・フィッツジェラルドの向こうを張った[9]におけるダイナミックな歌唱はさすがの貫禄。サラ本人も観客とのやりとりを大いに楽しんでいる様子が伝わってくる。曲の合間に聞こえるサラのはにかんだような笑い声が愛らしい。 ★★★★

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 ダイナ・ショア(vo) 『Dinah Sings Some Blues With Red』


ダイナ・ショア(vo) 『Dinah Sings Some
Blues With Red』

 ダイナはお嬢様である。絹のような声でブルースを唄う。お嬢様だから婀娜っぽく唄っても気品がある。そんなブルースは偽物だろうって?ところがじつに魅力的なのだ。本作ではレッド・ノーヴォのコンボをバックに小粋なスタンダード曲を聴かせてくれる。有名な「恋人よ我に帰れ」の私的ベストはこれ。ダイナの含み声にコロリと参る。
★★★☆☆

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 ナンシー・ウィルソン(vo),キャノンボール・アダレイ(as) 『Nancy Wilson & Cannonball Adderley』


ナンシー・ウィルソン(vo) キャノンボール・アダレイ(as) 『Nancy Wilson & Cannonball Adderley』

 キャノンボール・クインテットの伴奏なんて贅沢の極み。ジャケットもスタリッシュで可愛らしいが、どの曲も短く、キャノンボールにしては珍しく簡潔でくどくないポップな仕上がり。お気に入りは「エド・サリバン・ショー」に出てきそうな「Never Will I Marry」。2分19秒でビシッと決まる。佳作。
★★★★

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 エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング 『Ella And Louis』


エラ・フィッツジェラルド(vo) ルイ・アームストロング(vo,tp) 『Ella And Louis』

 秋の夜長には、お月見でもしながら本作を聴いて和んでください。御大サッチモとエラのデュエットによる心温まるバラード集。バックを努めるはオスカー・ピーターソン・トリオとくれば、内容が悪かろう筈もない。セントルイスあたりの田舎の軒先で、過去りし青春を回想するかの風情。若草の匂いがするようだ。紙ジャケあり ★★★★★

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 チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings』


チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings』

 ゲイのふりをして徴兵を免れたというチェット。 彼の唄は、すんなり受け入れられる人と、極端に嫌悪する人とに分れるが、わたしは前者。「退廃的な美少年的要素」が心のなかにあるか否かが判断を分つのではないか?逆に拒絶反応を起こす人のほうが怪しい??音楽的に見たなら本作はたいへん美しいバラード集。「I've Never Been~」で、思わず息が止まる。国内盤あり  ★★★★★

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 ヘレン・メリル(vo) 『Helen Merrill』


ヘレン・メリル(vo) 『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』

 「帰ってくれれば嬉しいわ」というのは、「ジャズ界最大の誤訳」として有名。正しくは「貴方の待つ家に帰るのは素敵」位の意味らしい。ハスキー・ヴォイスのヘレンは、本作の「ユード・ビー・ソー・ナイス...」で、溢れんばかりの歓びを表現している。クリフォード・ブラウン生涯のベストとされるトランペットソロ。小編成でビッグバンドのような厚みを聴かせるクインシー・ジョーンズの編曲も見事。永遠に色褪せることのない傑作だ。国内盤あり ★★★★★

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 カーメン・ランディ(vo) 『Self Portrait』

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カーメン・ランディ(vo)
『Self Portrait』

 マッキントッシュのパワーアンプを買ったのと同時期に購入。本作をかけてゴージャスでリッチなサウンドを堪能したものだ。古いスタンダード曲が、まるで新曲のように聞こえるカーメンの世界。唄は最高にうまいしアーニー・ワッツのテナーも抜群だ。カーメンはもっと評価されていい歌手だと思う。
★★★☆☆

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 ダイアナ・クラール(p,vo) 『Stepping Out』


ダイアナ・クラール(p,vo) 『Stepping Out』

 瞬く間に大スターになってしまったダイアナ。最近の作品も悪くはないが、ジャズとして鑑賞するのは専らこのCD。唄もピアノもあっけらかんとして大らか。録音も良く、ダイナミックなピアノが堪能できる。わたしみたいな辛気臭い男に聴かせてやりたい。(笑)
★★★☆☆

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 ローズマリー・クルーニー(vo) 『Blue Rose』


ローズマリー・クルーニー(vo) 『Blue Rose』

 デューク・エリントン楽団をバックに従え、堂々たる歌唱を聴かせる白人女性歌手なんて、ちょっとロージー以外に考えられない。楽団の強烈な個性に埋没しない歌唱力はさすが。といっても実際に共演したのではなく、エリントンのオケを録ったテープにロージーの唄を吹き込んだものらしい。エリントンのヒット曲集としても楽しめる。 ★★★★

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  ケニー・ドーハム(vo) 『This Is The Moment!』


ケニー・ドーハム(vo)
『This Is The Moment!』

 トランペットの名手・ケニー・ドーハムが唄う(!)珍盤。これはなかなかヒドイ。(笑)彼自身のトランペットもバックの演奏もうまいだけに、余計に唄のマズさがクローズアップ。チェット・ベイカーにしてもそうだが、トランペッターって、トランペットを吹くように唄うんだなあと妙に感心する。でも、なんだかんだ言って、聴く頻度は高い。和気藹々として愛すべきレコードではある。  ★★☆☆☆

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 フランク・シナトラ(vo) 『Come Dance with Me!』


フランク・シナトラ(vo) 『Come Dance with Me!』

 本作は絶対にCDで聴くべき。なぜならキーリー・スミスとのデュエットが[14][16]と二曲入っているからだ。こんなに上手い歌手が他にいるだろうか?!彼女の唄はソロも良いけれど、シナトラとのコントラストでなお一層輝きを増す。ビリー・メイ楽団のダイナミックにスウィングする伴奏も良い。快男児シナトラ全盛期の傑作。フランク・シナトラ(1915年12月12日 - 1998年5月14日) ★★★★

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