モアシル・サントス(bs,vo,perc,arr) 『Maestro』


モアシル・サントス(bs,vo,perc,arr) 『Maestro』
 このジャケットは秀逸だ。まるでウルトラセブンがフレームインしてきそうな空の色ではないか。巨匠サントスの自己紹介に続いてブラジリアンモードの名曲[1]が出てくる。決してうまくはないが味のあるサントスのボーカル、作曲にバリトンサックスにアレンジと大活躍のブルーノートデビュー作。フランク・ロソリーノのトロンボーンがユルくて素敵な[4]、哀愁の[5]、サンバ風の[8]など聴くうちにラテンアメリカの土着的メロディにすっかり魅了されてしまう。新時代の幕開けだ。 ★★★★

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 モアシル・サントス(as,bs,arr,cond) 『Saudade』


モアシル・サントス(as,bs,arr,cond) 『Saudade』
 新たに仕入れたCDはどれも最初はヘビーローテーションでかけまくる。なかでも最近気に入ってるのがこのモアシル・サントスだ。ホレス・シルヴァーに紹介されてのブルーノート入り。ブラジル人らしく器楽演奏よりも全体の音作りに重きを置くコンポーザーで、なんといっても曲がいい。ラララララーで始まる「早朝の愛」[1]は香ばしいコーヒーの薫りがする。シルバーも取り上げた[6]は哀愁のメロディ。男女混声の[7]も可愛らしい。本拠地をカリフォルニアに遷してのLAシリーズは日差しも明るく都会的で心地よいサウンドだ。 ★★★★

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 ジミー・マクグリフ(org) 『Christmas With Jimmy McGriff』


ジミー・マクグリフ(org) 『Christmas With Jimmy McGriff』

 世の中にはクリスマスソングが嫌いな人がいるらしい。信じられないことだが個人の好みなのでちょっと控えめにしようかと思案中。今年仕入れたクリスマスアルバムは美人ジャケ(エロジャケ?)専科のソウルブラザー、ジミー・マクグリフ。鈴の音を模したハモンドオルガンの音が鳴りだすと、否が応でもクリスマスムードが盛り上がる。ほとばしるソウルスピリッツ!ゴゴゴゴーッの[5]は堤防が決壊する音の大洪水だ。お客さんいわく「古臭い歳末大売り出しみたい」ううむ、たしかに[7]や[8]は冷静になって聴くと少し恥ずかしい。 ★★★☆☆

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 シンガーズ・スリー(vo) 『フォリオール #2』


シンガーズ・スリー(vo) 『フォリオール #2』

 これは[4]が入ってるから、てっきりクァルテート・エン・シーのようなブラジル系女性コーラスかと思ったら、『イン・ア・サイレントウェイ』を思わせる先鋭的エレクトリックジャズなのでビックリ。どちらかというとコーラスは添え物で、インストゥルメンタルがゴリゴリやりたい放題。しかしもっとビックリしたのが、その録音のよさだ。キングレコードの倉庫には、こんな優秀録音のマスターテープがゴロゴロしてると思うと、もう鳥肌ものである。そういえばブルーノート盤もキングに版権があった頃のはとても音が良い。何か秘密があるのだろうか。 ★★★★

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 キース・ジャレット(p) 『The Carnegie Hall Concert』


キース・ジャレット(p) 『The Carnegie Hall Concert』

 たった一台のピアノで殿堂カーネギー・ホールを熱狂させたキースのソロコンサート。ハードルの高さは、同じホールでも厚生年金ホールとはわけがちがう。「Part 1」から「Part 10」までは、おそらく得意の即興だろうが、『ケルン・コンサート』のように一曲のなかで曲想が展開するのではなく、一曲ごとに異なるモチーフで完結させている。前衛的な[1]で始まり、低音弦が厳かな[2]、湖面のような美しさをたたえた[3]と進むにつれ、聴衆はキースの世界へ引きずり込まれていく。Disc2の[6]以降はアンコールのようで、ヤンヤヤンヤのものすごいアプローズ。待ってましたの[8]にブルースの[9]と、聴けば聴くほど好きになる。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,key) 『We Want Miles』

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マイルス・デイヴィス(tp,key) 『We Want Miles』

 6年の ブランクを経て、聴衆の前に姿を現した帝王マイルスのライブ([3][5][6])を収録。休眠直前の『アガルタ』『パンゲア』とのヘヴィーな地続き感が残っているものの、テーマメロディをもつ輪郭のはっきりしたものへとスタイルが変化している。マイルスのラッパは快調。[1]などまるで囃子唄ではないか。みっちゃんみちみちのみっちゃんがジャンピエールで、マイルス少年を中心とした悪ガキがいじめる画を想像する。[6]の6分30秒あたりで不死鳥の雛が孵化するようなビル・エヴァンスのテナーにクラクラ。ぜひとも大音量でどうぞ! ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,syn) 『Decoy』

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マイルス・デイヴィス(tp,syn) 『Decoy』

 貸しレコード屋ではじめて借りてきたジャズのレコードが本作と『カインド・オブ・ブルー』、そして『スケッチ・オブ・スペイン』だった。『カインド〜』はすぐさま気に入り、『スケッチ〜』は辛うじて理解できたが、本作だけはチンプンカンプンで、録音したカセットテープも即消去。いま[1]を聴くと、その素晴らしさに感激する。心臓の早鐘打つかごときトライアングルと、パラレルに進行するダリル・ジョーンズのベース。マイルスのミュートトランペットに絡むジョンスコのワウワウ。この怪しさがたまらない。30年越しで宝物になりえた大傑作! ★★★★★

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 ジョー・パス(g) 『Sound Of Synanon』


ジョー・パス(g) 『Sound Of Synanon』

 シナノンとは、麻薬中毒者の厚生施設で、アート・ペッパーやチェット・ベイカーも入所していた。本作は、そのシナノン入所者だけで演奏されたもので、ジョー・パスのデビュー作でもある。パス以外は知らないメンバーとオリジナル曲ばかりで、どうかなと思ったが、聴いてみるとこれが大当たり。元気溌剌の好演で、特にドラム始めて一年というビル・クロフォードが良い。生ぬるいアンビエンスが病んだイメージ。裏ジャケにはシナノン備品のフェンダー・ジャズマスターを弾くパスの写真も。 ★★★★

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 ジョー・ジョーンズ(ds) 『Jo Jones Trio』


ジョー・ジョーンズ(ds) 『Jo Jones Trio』

★★★★
 ベイシー楽団の名ドラマー、”パパ・ジョー”ことジョー・ジョーンズのリーダー作。ガサガサ、シャカシャカ、ワッサワッサと革の擦れる音の上にピアノとベースが乗っかって景気よくスイングする。両脇を固めるのはトミー&レイのブライアント兄弟。そのへんの机やら椅子やらを、一緒になって叩きながら聴けば楽しさ倍増。[6]のブラッシュワークは圧巻だが、これだと”フィリー”ジョーではないか?!自信漲るドラミングを披露するパパ・ジョーも、晩年は自分の偉大な功績が充分に評価されてないと思い、ずいぶん苦しんだという。気の毒に。[4]はドラム抜き。 

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 ズート・シムズ(ts) 『For Lady Day』


ズート・シムズ(ts) 『For Lady Day』

 ズートは'50年代よりも、枯れてコブシの効いた'70年代がいい。パブロレーベルのものはどれも秀作で、ビリー・ホリデイに捧げた本盤は特に和ませてくれる。[8]など、メロディの節回しが意外なほどズートのテナーにぴったりなのだ。ピアノのジミー・ロウルズがゴロンゴロンと低音域を転がして好サポート。ダイアナ・クラールの大胆不敵なピアノスタイルは、間違いなく師匠ロウルズの影響だ。大酒飲みのズートに倣って、わたしも少々ウイスキーでも舐めてみたくなるバラード集。 ★★★★

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 スタン・ゲッツ&ズート・シムズ(ts) 『The Brothers』


スタン・ゲッツ&ズート・シムズ(ts) 『The Brothers』

 前半'49年のセッションは、レスター・ヤング派テナー5人衆の揃い踏み。ゲッツとズートは辛うじて聞き分けても、アレン・イーガー、ブリュー・ムーアとなるとちょっと自信ない。しかもザーザーとノイズがあってやたら聞き辛い。ところが後半'52年のほうは、ゲッツ不参加ながらビックリするほど録音が良い。ゲッツの名前で売りたかったから音が悪くてもA面にしたのだな。プレスティッジ社長、ボブ・ワインストックは、こういうきわどい抱き合わせ企画を得意とするなかなかの商売人。余裕の排気量でハイウェイを流すがごとき[11]はじつに快適(なぜか[9]と曲名が入れ替わってる)。 ★★★★

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 オスカー・ピーターソン(p) 『Motions & Emotions』


オスカー・ピーターソン(p) 『Motions & Emotions』

 アントニオ・カルロス・ジョビンのアレンジを手がけたクラウス・オガーマンのアレンジ・指揮によるオーケストラ入りポピュラーソング集。「ティファニーで朝食を」からマンシーニの[1]、ボビー・へブの名曲[2]、ビートルズの[8][9]とやりたい放題。しかしこれが素晴らしい。極めつけはジョビンの[6]。イパネマ海岸の穏やかな波が、だんだんと押し寄せる津波のごとく弾きまくるスペクタクル。ピアノの一音一音の粒立ちに力があり、乗りに乗っている。海とピーターソンは荒れるとこわい。 ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Someday My Prince Will Come』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Someday My Prince Will Come』

 マイルスにしてはロマンチックな表題曲[1]は、ビル・エヴァンスの参加を想定していたのだろう。繊細なパティシエの洋菓子が、モブレー&ケリーのこってりバターでやや田舎くさく方向転換。途中から多重録音のジョン・コルトレーン登場。そう、本作は『カインド・オブ・ブルー』の続編みたいなイメージになるはずだったのだ。きっとそうに違いない。その後ヴィレッジ・ヴァンガードで評判となったビル・エヴァンス・トリオとマイルスの共演計画は、天才ベーシスト、スコット・ラファロの急逝('61年7月6日没)により頓挫する。 ★★★★

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 レッド・ガーランド(p) 『Red Garland's Piano』


レッド・ガーランド(p) 『Red Garland's Piano』

 レッド・ガーランドの代表作といえば『Groovy』。でもわたしは本作を推したい。冒頭の[1]で、アーシーなピアノのイントロが聞こえてくると、もうすっかり良い気分。大傑作ばかりじゃなく、こういう洒落たピアノを聴くとき、ジャズを聴く真の悦びがある。曲をよく知らないのか、チェンバースが自信なさげにベースを弾く[6]と、マイルスバンドでお馴染み[5]は『Groovy』収録の「Willow Weep for Me」、「What Can I Say Dear」と同じ日のセッション。 ★★★★

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 デクスター・ゴードン(ts) 『Go!』


デクスター・ゴードン(ts) 『Go!』
  ★★★★★
 ブルーノート時代のゴードンは秀作揃いだが、そのなかでも極めつけ。大相撲のふれ太鼓を思わせるビリー・ヒギンズのスネアドラムにプッシュされ、快調に飛ばすゴードン。深いため息をつくようなバラード[2]の情感はどうだろう。フレーズが泉のごとく湧いてくる[4]。もう一曲泣かせるバラードの[5]、最後はキンコンカンコンで「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」かと思わせて渋い[6]で〆る。ワンホーンという言葉は彼のためにある。ピアノのソニー・クラークも好サポート。 

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 ビル・エヴァンス(p) 『At Shelly's Manne-Hole』


ビル・エヴァンス(p) 『At Shelly's Manne-Hole』

★★★★
 エヴァンスのリバーサイド最終作はシェリーズ・マン・ホールでの実況盤。前年8月、ドラマーで同クラブ経営者のシェリー・マンとヴァーヴレーベル『Empathy』で初共演しており、「ウチにも出てくれよ(出してよ)」といった会話があったのかもしれない。事故でベースのスコット・ラ・ファロを失ない、三人対等のインタープレイからピアノを主にしたオーソドックスなピアノトリオへと戻る。だからといってつまらないかというとそうでもなく、快適な演奏を繰り広げる。タリラリラ~ン♪のアホらしいメロディがエヴァンスの手にかかるや魔法のように芸術的な[1]。難曲[6]も独特の和声でダイヤ原石のように硬質な仕上がりだ。佳作。 

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 ライオネル・ハンプトン(vib),スタン・ゲッツ(ts) 『Hamp & Getz』

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ライオネル・ハンプトン(vib),スタン・ゲッツ(ts) 『Hamp & Getz』

 誰でもというわけにはいかない。ビッグバンドを率いるとなれば、リーダーにはそれだけの人数をまとめあげるだけの人間的迫力が求められる。さすがはハンプトン、スモールコンボなどお手の物といった感じで、煽って煽って煽りまくる。極めつけは[4]、いつものゲッツも、ハンプトンのかけ声に押されて、のらりくらりというわけにはいかず、天才の本気爆発。クライマックスは手に汗握るアドリブの応酬だ。ピアノのルー・レヴィーまで尻に火がついたように頑張るからジャズは面白い。[6]もすごいテンションの掛け合いに興奮。 ★★★★

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 デューク・ピアソン(p) 『Profile』


デューク・ピアソン(p) 『Profile』

 即興こそジャズの醍醐味とはいうものの、偶然性に頼らず、リハーサルを重ねてカチッとした”作品”を作るのがブルーノートのレーベルポリシー。ピアノトリオでスタンダードとは安直すぎる。いや、ピアソンに限ってそうではない。[1]を聴けば明白だ。最後の〆がカチッと決まってる。アルフレッド・ライオン引退後、ピアソンがプロデューサーを引き継ぐのは、曲を作品として提示するこのプロデュース能力があってこそ。ヴァン・ゲルダーの好録音も重厚さに一役買っている。アメリカ人だけでレコードを作ると軽くなってしまうので、ドイツ人の重石が必要なのだ。 ★★★★

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 ドナルド・バード(tp) 『Byrd In Paris』


ドナルド・バード(tp) 『Byrd In Paris』

 かつて「ブランズウィックのバード・イン・パリ」といえば、ジャズファンが血眼になって探しまわった幻の名盤だった。昔、”ジャズの聴ける旅館”「元湯」に泊った際、館長の青島氏に見せびらかされてヨダレが出た。ほどなく再発LPを無事入手。聴いてみるとなるほどこれは凄い。当時のジャズを取り巻くパリの熱気が詰め込まれている。こら皆欲しがるわけだと納得。ロリンズ作の[2]がドラマチック。バードが粋にフライドポテトをつまむ『Parisian Thoroughfare』と対になってる。二枚買いは必須。 ★★★★★

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 オスカー・ピーターソン(p) 『West Side Story』


オスカー・ピーターソン(p) 『ウエスト・サイド・ストーリー』

 「ジャズに名曲なし。名演あるのみ」というけれど、こちらはブロードウェイミュージカルのジャズアレンジもの。同名映画の写真が使われてるところをみると、ロードショウにあわせて企画されたのだろう。ジャズ初心者の頃に名演なのかどうなのかわからないまま聴いてたが、緻密なアレンジと装飾が施され、しかもジャズを聴く楽しさが溢れている。エド・シグペンのブラシが空気をかき混ぜ、レイ・ブラウンの豊かで美しい音色のピチカートと共に、絶妙のタイミングで合いの手が入る。今聴いてもお見事!な傑作。 ★★★★★

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 アート・ブレイキー(ds) 『Paris Jam Session』


アート・ブレイキー(ds) 『Paris Jam Session』

 パリ在住のバド・パウエル、バルネ・ウィランがジャズメッセンジャーズに加わった形の[1][2]は文字通りジャムセッション的演奏。ところが、両者が抜けた後半の[3][4]になると、俄然ジャズメッセンジャーズ色が濃くなるから面白い。今回はレギュラーのボビー・ティモンズではないけれど、ピアノがパウエルからウォルター・デイヴィス・JR.に変わっただけでファンキーなノリへと変化するのだ。それだけパウエルの個性が強烈だともいえるが、やはり後半のグループ一丸となった演奏は凄い!パリっ子も大興奮![4]は殆ど同アレンジで8ヵ月後ブルーノートに録音される。この頃から既に出来上がっていたのだ。 ★★★★

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 クロード・ウイリアムソン(p) 『'Round Midnight』


クロード・ウイリアムソン(p) 『'Round Midnight』

 チャーリー・パーカーやバド・パウエルほどの天才になると、彼らと「まったく同じに弾けたらそれで満足」というフォロワーが続出するが、”白いパウエル”と呼ばれたクロード・ウイリアムソンもそのひとり。オリジナリティを出そうなんて大それたことは考えず、ひたすらパウエルに肉迫することを目指す[7]は、胸のすくような快演。このレコーディングにかけるウイリアムソンの意気込みはすごいものがある。ピアノは骨太の音色で粒立ちもよく、モダンジャズの香り高い名作。アパートの窓から漏れる灯りを写したジャケットもなかなか粋だ。 ★★★★

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 ウイントン・マルサリス(tp) 『The Midnight Blues – Standard Time, Vol. 5


ウイントン・マルサリス(tp) 『The Midnight Blues – Standard Time, Vol. 5 』

 ストリングス入りスタンダード集。しかもバラードばかりとなると、もう聴く前からおなかいっぱいになってしまいそうだが、これは例外。伴奏が聞こえない位の小音量で流していても、ラッパに耳が吸い寄せられる。とにかくメチャクチャうまいのだ。うまいというのは芸の基本だなあ。緩やかなテンポを縫うように吹きまくるウイントン。特に[7]は圧巻。ここまで正面切って正攻法で吹かれると、もう降参するしかない。鍛え上げられた技術に裏打ちされた表現力。少しでも怠けてたらこうは吹けないだろう。うまいにも程がある。 ★★★★

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 渡辺貞夫 (as) 『Night With Strings』


渡辺貞夫 (as) 『Night With Strings』

 1992年クリスマスのライブ録音。タキシード姿もキマッているナベサダはフォーマルな雰囲気で、文化村オーチャードホールの観客もじっくり聴き入る様子。この演奏を生で聴けた人は幸せ者だ。ストリングス物はこのように控えめでくどくないのがいい。好評を博した「ナイト・ウィズ・ストリングス」は、以降年末恒例になり、第3作までリリースされたが、処女作が良いのは言うまでもない。アルトが冬の空気を切り裂いて、どの曲も快調。録音もすこぶる良い。[10]で少しダレるのが惜しい。この曲調、テンポで8分47秒は長すぎる。 ★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins' Next Album』


ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins' Next Album』

 '70年代ロリンズ始動は心機一転マイルストーン・レーベルの本作から。時代を反映してバックに電気楽器が加わるが、まったくもって違和感なし。それだけロリンズのソロが圧倒的なのだ。[2]では初のソプラノサックスを披露。昔から演ってたようによく馴染んでいる、さすが。カデンツァが圧巻の[5]、もう伴奏が電気だろうが無かろうが、髪型がアフロだろうがモヒカンだろうが、何をやっても意に介さないのが王者ロリンズなのだった。すごい。 ★★★★★

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 ケニー・バレル (g) 『A Generation Ago Today』


ケニー・バレル(g) 『A Generation Ago Today』

 ジャケットの男性はケニー・バレル本人ではなく、このアルバム発売当時の”イマドキの若者”を象徴しており、内容はこれよりさらに一世代前のギタリスト、チャーリー・クリスチャンの古きよきレパートリーで構成されている。特筆すべきはフィル・ウッズの朗々と歌い上げるアルトで、主役のバレルを完全に喰ってしまっている。彼のベストプレイは本作の[2]だといったら言いすぎか。 '60年代ヴァーヴのハウスドラマーとして活躍したグラディ・テイトの溌剌としたドラミングも名演に一役買っている。 ★★★★

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 ケニー・ドーハム(tp) 『The Jazz Prophets Vol.1』


ケニー・ドーハム(tp) 『ザ・ジャズ・プロフェッツ』

 iPodの音の良さは高く評価するが、iPodで鳴らない類の音楽も無くはない。たとえば本盤なんかがそうで、ハードバップのコクとでもいうべきものが若干物足りない。特にブルースの[2]など、iPodだと「それがどうした」の演奏に聞こえるのが、JBLのスピーカーで鳴らせばタメが効いて気持ちが良い。エレガンテである。白眉はミュートで吹くバラードの[4]。[5]の導入部もゾクゾクする。ジャズ・メッセンジャーズ退団後にJ.R.モントローズと共に結成したコンボ”ザ・ジャズ・プロフェッツ”唯一の吹込み。”Vol.2”はない。 ★★★★

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 ザ・グレイト・ジャズ・トリオ 『Autumn Leaves』


ザ・グレイト・ジャズ・トリオ 『枯葉』

 ジャズ界の大御所が新譜を出すと、やれ円熟味を増しただの、老いを感じさせないだのと言いたがるが、いくらジャズジャイアンツでもそら若い頃のほうがいいに決まってる。70、80の年寄りにそれ以上を求めるのは酷というもの。だが本作を聴いて考えを改めた。特にエルヴィン。全盛期を凌ぐとは言わないものの、まったく昔と変ってない。彼独自のスタイルを確立し、それを40年以上も堅持し続けるとは![2]の黄粉餅をこしらえるようなブラッシュワークはまさに職人芸。こんな爺にわたしはなりたい。兄ハンクのピアノも円熟の極み。あっ、言ってしまった。 ★★★★

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 オスカー・ピーターソン(p) 『The Trio』


オスカー・ピーターソン(p) 『ザ・トリオ/オスカー・ピーターソン・トリオの真髄』

 数あるピーターソン作品のなかでも、ブラウン、シグペンの”ザ・トリオ”の演奏は別格だ。合いの手がこう来るなと思ったらやはり思ったとおりにそう来る。わかりやすいといったらそれまでだが、こないだも本作をかけていたら、痴呆気味のおばあちゃん(特にジャズ好きでもなんでもないお客さん)が客待ちスペースに腰掛けて、[1]のリズムに合わせてトントントンと膝を叩いてノッているではないか!?足でリズムをとる位なら日常茶飯事だけれど、素人の手が膝を叩くとなると、”ザ・トリオ”以外には到底考えられない。恐るべしおばあちゃん、いや違った”ザ・トリオ”。シカゴでの実況録音。 ★★★★

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 ビル・エヴァンス(p) 『Quintessence』


ビル・エヴァンス(p) 『Quintessence』

 あれっ?これって誰の演奏だろう?恥ずかしながら、思い出せなかったことが3回位ある。超豪華メンバーによるリユニオン・グループのせいか、リーダーのエヴァンス色が薄い。元気の良い普通のハードバップになってしまってるのである。[2]や[4]のエヴァンスのソロはなかなか良いと思うが、レイ・ブラウンのエッジの立ったベース音色は少々ミスマッチか。エヴァンス作品というのを無視するなら、ベストはボーナストラックの[6]。聴き所はフィリー・ジョーの、「最後まで荷造りしてて動き出した列車に慌てて飛び乗る~」的な必殺技。それになんと良い音でシンバルを叩くのだろう。金粉飛散るが如しである。 ★★★☆☆

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 アート・テイタム(p) 『The Tatum Group Masterpieces, Vol. 6』


アート・テイタム(p) 『The Tatum Group Masterpieces, Vol. 6』

  本作を聴いて、今更ながらにアート・テイタムの素晴らしさに開眼。緩急を使い分け、超絶技巧を駆使しながらも、嫌味でなく、あくまでも格調高い[1]からもうK.O.寸前。「大昔の巨匠」といったイメージだったが、'56年の録音で音も良く、十分すぎるほどモダンなピアノ三重奏。唸り声をつければオスカー・ピーターソンだと言っても通用しそうなほど、テイタムの影響力が感じられる。同年11月に尿毒症で亡くなるが、この時点では、まったくもって覇気漲る演奏。リラックスした[7]やブルースの[10]も良い。 ★★★★★

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 キース・ジャレット(p) 『Standards,Vol.2』


キース・ジャレット(p) 『Standards,Vol.2』

  『Standards,Vol.1』と同じく、コンサート会場と間違えるほどよく響くニューヨークのパワーステーション録音。この音響とピアノの美しい音色(と唸り声)が相まって、キースのスタンダード作品のイメージが定着した。前作と比べるとやや渋めの選曲。スタンダードと言いながら[1]のみキースのオリジナル。鼻歌のように楽しい[3]は一年前に録音されたサラ・ヴォーン『枯葉』の歌唱に触発されての収録とみた。唄い出しのフレーズにかける情念が凄まじい[4]も傾聴に値する。静寂の中から涌き出るECMサウンド、ハイエンドオーディオの音質チェック用にも最適の一枚。★★★★

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 ビル・エヴァンス(p),ジム・ホール(g) 『Undercurrent』


ビル・エヴァンス(p),ジム・ホール(g) 『Undercurrent』

 ピアノとギターによる変則的インタープレイゆえ、モダンジャズに馴染んでない人がいきなり[1]を聴いたなら、いったいどのようにリズムをとってるのか判らないだろう。それが中盤、エヴァンスのソロに交代するや、ジム・ホールのコードカッティングによって、曲に明確なテンポが与えられる。このジャキーン!は何度聴いても痺れてしまうジャズギターの真髄。気合が入るのは[1]だけで、[3][6]は緩やかなテンポのワルツ、それ以外はバラード。静かな水面を漂うような美しい音楽だ。 ★★★★

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 バド・パウエル(p) 『Bud! The Amazing Bud Powell Vol.3』


バド・パウエル(p) 『Bud! The Amazing Bud Powell Vol.3』

 名門ブルーノートに一言イチャモンをつけるとしたら、2管3管の立派なハードバップばかり作りすぎたこと。日本のジャズファンはもう少し脱力したものを好む。たとえばこれ。すでに下り坂にある天才パウエルの前半ピアノトリオに、後半カーティス・フラーのトロンボーンが加わる。同じトロンボーンでもJ.J.ジョンソンとは対照的な、ふっくらしたトーンで聴かせる[7]はほのぼのとして感動的。プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、もう一本ホーンを入れればよかったと後悔したそうだが、いやいや、これはこれでなかなか味のある一枚だ。 ★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Selflessness Featuring My Favorite Things』

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ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Selflessness Featuring My Favorite Things』
 いきなりの咆哮から、ただごとでない雰囲気に引き込まれる実況録音の[1]は、同曲のベストと誉れ高い名演。同じくニューポート・ジャズ・フェスティバルから十八番のバラード[2]。そして「無我」の意を持つフリーなオリジナルの三曲で一枚。うまい選曲だ。[3]はあきらかにパーカッションだけ「別室」だが、まるで神様が太鼓を叩いて、天上から娑婆世界を操ってるかのよう。「今どきこのレコードのB面([2]と[3])がかかる店はJimmyJazzくらいのものだろう」とお客様に言われてしまった。うーん、過激。  ★★★★

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 クリフォード・ブラウン(tp),マックス・ローチ(ds) 『Brown and Roach Incorporated』


クリフォード・ブラウン(tp),マックス・ローチ(ds) 『Brown and Roach Incorporated』

 クリフォード・ブラウンとマックス・ローチ双頭コンボのエマーシー第一弾は、その名も『ブラウン&ローチ株式会社』。『Clifford Brown and Max Roach』と同時期の録音だが、最初に出すだけあって、まとまりのよさはこちらが上。後半、えー、彼が専務のリッチー君[4]、副社長のマックス君[5]、営業のハロルド君[6]、てな感じの社員紹介が入る。そして十八番の[7]、急速調で吹きまくるCEOブラウニーを煽る副社長マックス君、まるでシンバルだけがゆっくりスローモションで揺れるかのよう。[1]は「スイート・ジョージア・ブラウン」を元にしたオリジナル曲。 ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis At Carnegie Hall 』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis At Carnegie Hall 』

 『ブラックホークのマイルス・デイビス』から約一ヶ月後、同メンバーで殿堂カーネギーホールへ初出演。ウリはギル・エヴァンス・オーケストラとの共演だが、[1]で緊張のあまりジョイントをしくじってしまうベースのポール・チェンバース。その後マイルスのソロで見事に持ち直すが、ベストトラックはなんといってもクインテット演奏の「ノー・ブルース」だ。マイルスが素晴らしいのは勿論、ウイントン・ケリーのピアノが冴えに冴えている。プロデューサー、テオ・マセロによる隠し録りのようなワンポイント録音が生々しい。ちなみに「サムデイ・マイ・プリンス~」が未完なのは、曲の途中でマックス・ローチらが抗議プラカードを持ってステージに座り込んだせいだとか。アクシデント満載の歴史的コンサート。 ★★★★

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 ギル・エヴァンス(p,arr.cond) 『ギル・エヴァンスの個性と発展』


ギル・エヴァンス(p,arr.cond) 『The Individualism Of Gil Evans』

 不協和音を用いたアンサンブルが特徴のギル・エヴァンス。ボーナス曲を一曲目に持ってくるとは大胆な。じつはこれ、ギル自身によって追加されたという。マイルスの『クワイエット・ナイツ』にもCD化の際に同曲が追加されているが、別の形でのリリース計画があったのだろうか。それにしてもエルヴィン・ジョーンズのドラミングが凄まじくもカッコいい!悪名高いボブ・ドロー作の[7]も、ショーターのソロがフューチュアされて俄然良い感じ。他にMJQの[8]、ロックバンド、クリームの[9]等、もともと地味だった盤が魅力的なボーナス曲で印象激変。 ★★★★

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 ハンク・モブレー(ts) 『Hank Mobley』


ハンク・モブレー(ts) 『Hank Mobley』

 モブレーファンには物足りない。だが、強烈な個性のマルチリード奏者、カーティス・ポーターの作品と思えば合点がいく。勢いよく[1]の先陣を切るのはポーター、よく聴けばソニー・クラークのピアノソロ前にテープ編集の痕。もう一つのポーター作[5]の練りに練ったテナーソロは、周到に用意されたものと見て間違いない。ポーターは同年初めよりチャールズ・ミンガスのバンドに「シャフィ・ハディ(Shafi Hadi)」の変名で参加。モブレー本人の顔が見えないジャケットが内容を象徴してる。オリジナル盤のBLP1568は超希少。 ★★★☆☆

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 デューク・エリントン(p) 『極東組曲』


デューク・エリントン(p) 『Far East Suite』

 エリントンの目から見た中近東、アジア、そして日本の印象を組曲として完成させた。キワモノかと思ったら、なかなかの傑作である。[1]は、お馴染ポール・ゴンザルヴェスのテナーが、注意深く、緊張感をもって異国の地をキョロキョロと観察するさまを想像させる。クラシック音楽を思わせるクラリネットの導入部から、堂々としたエリントン・オーケストラのアンサンブルに発展する[2]。ホッジスのバラード[3]はお決まりの展開。特筆すべきは[6]、新顔のドラマー、ルーファス・ジョーンズが、これまでのエリントン楽団にない効果的な新しいリズムを生み出している。このヘンテコリンなブルースは癖になりそう! ★★★★★

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 ミルト・ジャクソン(vib) 『Jazz 'N' Samba』


ミルト・ジャクソン(vib) 『Jazz 'N' Samba』

 当店のスピーカーは[1]のような曲には妙に自信があって、ちょっと他所に負ける気がしない。ティナ・ブルックスの「バック・トゥ・ザ・トラックス」とか、オリバー・ネルソンの「ストールン・モーメンツ」とかも、JBL4343だと横綱の風格で鳴ってくれる。全部ブルースじゃないかって、そのとおり。ブルースに始まりブルースに終わるのが正しいジャズの聴き方。後半は当時流行のボサノヴァで色気を見せるが、いけない、いけない。これはオマケで、本質はA面つまり前半にあり。[4]のテーマメロディに続き、天から降ってくるリチャード・デイヴィスのベースライン。するするとジミー・ヒースが滑り込む。お次は誰だ?トミフラだ。変化をつけてバグス登場。もう根っからのブルース野郎ども。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『At Last』


マイルス・デイヴィス(tp) 『At Last: Miles Davis and the Lighthouse All Stars』

 ヘロイン中毒のため自宅セントルイスで療養中のマイルス。気晴らしに出かけたLAの”ライトハウス”で、マックス・ローチと共に飛入り参加した際の音源。ジャケットも病人のように冴えないが、案の定演奏も冴えない。男勝りのロレイン・ゲラー、ちょっとバックで弾き過ぎ。「うるせえなこのアマ」とマイルス頑張るがペラペラ吹くだけで説得力なし。[2]はベースも抜けた変則トリオで演り難そう。こらあかん。一方ローチは絶好調で、[3]ではウンポコローコなリズムを披露。しかもベストトラックがドラムソロの[4]という体たらく。こんなときのが後世まで残るからジャズメンは恥ずかしい。 ★★☆☆☆

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 ウイントン・マルサリス(tp) 『J Mood』


ウイントン・マルサリス(tp) 『J Mood』

 スタンダードジャズばかり聴いていた初心者のわたしは、このCDのよさがちっともわからず、冷たく無機質な響きに閉口して手放してしまう。約20年の歳月を経て再会した本作を聴いて、そのエネルギーに圧倒される。なんと熱い演奏、[1]は哀しみのブルース、これのどこが無機質なものか。ウイントンのラッパも凄いが、容赦なく降り注ぐジェフ・ワッツのシンバル雨あられ。当時のわたしには、このパワーを引き出す装置も、理解する感性も備わってなかったのだ。しかしウイントンも小難しいオリジナルばかりじゃウケないと悟ったか、この後スタンダード作品を連発する。[7]は同じメンバーで入れた『スタンダード・タイムVol.1』の「スーン・オール・ウィ・ノウ」に酷似のジャムセッション。 ★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts) 『Stan Getz Quartets』

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スタン・ゲッツ(ts) 『Stan Getz Quartets』

 ウディ・ハーマン楽団から独立したゲッツ初期の名盤。高音域を多用していて、まるでウォーン・マーシュやリー・コニッツみたい。20代前半とあって、まだ身体ができてないのか、あの横隔膜を大きく震わす深々としたテナーの音は出しきれてないが、その分若々しくさえずるがごときアドリブの閃きが天才的。[4]は最高にゲッツらしいソロが聴ける。アル・ヘイグも宝石をちりばめたようなピアノで好サポート。小声で内緒話を囁くようなバラードの[6]、ドン・ラモンドのラテン風リズムに乗って変幻自在のフレーズを繰り出す[12]も傾聴のこと。 ★★★★

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 シェリー・マン(ds) 『My Fair Lady』

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シェリー・マン(ds)
『Modern Jazz Performances Of
Songs From My Fair Lady』

 ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の名曲の数々を、音楽監督のアンドレ・プレヴィン自ら陽気なジャズピアノでアレンジ。和音が分厚いのは指揮者ゆえか、稲刈機のようにブロックコードで迫ってくる。しかしリーダーはドラムのシェリー・マンである。いや、ドラムというよりブラシ。金属の箒が目まぐるしく革を擦るかと思えば、マレットがごわーんとシンバルを響かせる。小技の妙で人気ドラマーへ登りつめたシェリー・マンの代表作。言わずと知れた名曲揃いだが、なかでも急速調の[5]は圧巻だ。 ★★★★

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 山本邦山(尺八),菊地雅章(p) 『銀界』

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山本邦山(尺八),菊地雅章(p) 『銀界』

 待ちに待った再発。この機会にこれはなんとしても入手していただきたい和製ジャズの大傑作。特に年末からお正月には欠かせない一枚だ。人間国宝・山本邦山の奏でる尺八の音色は、我々を幽玄の世界へといざなう。菊地雅章のピアノ、ゲイリー・ピーコックのベースも、ヨーロッパ的な音階をうまく避けながら、和の響きを作り出すことに成功している。いや、それ以前に、邦楽の持つ静寂の美を体現したからこそ、ここまで美しい音楽が出来上がったのだ。ジャズというカテゴリーを超え、日本の伝統的な美しさを再発見できること間違いなし。 ★★★★★

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 アート・ペッパー(as) 『The Return of Art Pepper』

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アート・ペッパー(as) 『The Return of Art Pepper』

 オリジナルの[1]は、麻薬所持のため入れられてた刑務所から出てきたペッパーの意気込みが感じられる。「恋人よ我に帰れ」のコード進行に対位法のテーマが印象的。帰ってきたのが嬉しいのか、仲間同士で元気つけてやろうとしたのかどうかは定かでないが、このメンバーの盛り上がりようは並じゃない。特にリロイ・ビネガーの豊かに響くウォーキングベースがバンドを牽引し、ジャック・シェルドンも乗りに乗ってエネルギッシュな演奏を展開。もちろんペッパーも好調で、マイナー曲[7]から、バラードの[8]、得意のラテンリズムに乗った[9]、[10]へのくだりがいい。ジャケット写真が『ミーツ・ザ・リズムセクション』の残りを流用したようで、見てのとおり少々影が薄い。デザインさえちゃんとしてればさらに評価が高かったのでは?佳作。 ★★★★

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 ジョー・パス(g) 『Intercontinental』


ジョー・パス(g) 『Intercontinental』

 ドイツ、フィリンゲン録音。ドラムはケニー・クラーク(1914/1/9 - 1985/1/26)か、と思ってよく見たらケニー・クレア(1929/6/8 - 1984/12/21)だった。紛らわしい名前でドラムを叩くんじゃない。しかし、[4]などのサワサワと静かなブラッシュワークはやはりケニー・クラークを彷彿とさせる、確信犯の英国人。ギタートリオで、たっぷりしたリバーブがシュールな空間を埋める。印象は少々地味だが、軽快に、粋なフレーズを繰り出すジャズギターは大人のお喋りを邪魔しない。バーやラウンジのBGMに最適。 ★★★☆☆

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 『The Cotton Club/Orginal Motion Picture Soundtrack』


『The Cotton Club/Orginal Motion Picture Soundtrack 』

 1985年公開、フランシス・コッポラ監督、リチャード・ギア主演の映画「コットン・クラブ」のサントラ。「コットン・クラブ」は、'20年代のNYハーレムに実在した黒人によるショービジネスの殿堂で、入場客は白人に限定された。ここで専属バンドとして活躍していたデューク・エリントン楽団の曲を中心に、キャブ・キャロウェイの[11]など古式ゆかしい演目がハイカラな音質で再現されている。音楽監督はジョン・バリーで、美しいオリジナルの[13][14]を提供。その他の指揮は主にリード奏者のボブ・ウィルバーが担当しており、クラリネットを使った臭みのある当時のエリントン楽団らしさを表現している。 ★★★☆☆

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 ライオネル・ハンプトン(vib) 『You Better Know It!!!』


ライオネル・ハンプトン(vib) 『You Better Know It!!!』

 スイング時代のビッグスター、ハンプトンが勝手知ったるメンバーと録音した本作は、ちょうど古典落語を聴くような感じ。[1]はエリントンで[2]はブルースかと、次にどういうオチがくるか、わかっていてもなお楽しい名人芸だ。二ール・へフティ作の[7]はリラックスしたミドルテンポで、ハンプの唄も良い感じ。[8]は二本指でピアノを弾く「ジングル・ベル」。1964年、インパルスは先鋭的なコルトレーンの『至上の愛』と平行して、このような古典的ジャズ作品も作っていた。タイトルの『これは知っておいたほうがいいぞ!!!』というのはハンプトンからのメッセージか。 ★★★☆☆

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 ウイントン・マルサリス(tp) 『Crescent City Christmas Card』


ウイントン・マルサリス(tp) 『Crescent City Christmas Card』

 安直にクリスマスソングを演っただけのアルバム(それはそれで魅力的なのだが)が多いなか、ウイントンの本作はよく練られている。黒人のフィーリングを前面に押し出し、あくまでもブルーなクリスマス。このアプローチはどこかデューク・エリントン的でもある。ゲスト参加のジョン・ヘンドリックスが唄う「そりすべり」はなかなかハマリ役だ。[13]ではウイントン自身がナレーションを担当。トナカイの名前を順番に呼んだり、リード楽器で鈴の音を真似たりして、まるでサーカス一座がやってきたような楽しさ。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『FurtherExplorations By The Horace Silver Quintet』


ホレス・シルバー(p)
『ファーザー・エクスプロレイションズ』

 ホレス・シルバーはエキゾチックな実に良い曲を書く。カリプソ調のイントロで始まる[1]から楽しさいっぱいのファンキーな玉手箱。曲の後半に、セカンドテーマともいうべき、もうひとつのテーマメロディを仕込むのもシルバーがよく使う手法で、これがファンにはたまらない魅力。ドラマチックな[4]を聴けば、明日への活力が漲ってくる。クインテットも好演だが、シルバー自身のピアノが際立っている。ジャズの「かたち」と「エモーション」が高い次元で融合した傑作だ。ブルーノートでもっとも絵になる男シルバーの、このジャケット写真はいつ見てもカッコイイ。 ★★★★★

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 ハービー・ハンコック(p) 『Takin' Off』


ハービー・ハンコック(p)
『テイキン・オフ』

★★★★★
 今やジャズ界の大御所となったハービー・ハンコックの初リーダー作。全曲ハンコックのオリジナルで、若き才能が溢れんばかりのバラエティに富んだ内容だ。後に『ヘッド・ハンターズ』で再演され有名になった[1]の印象が強いけれど、[2]のフレディ・ハバードのフリューゲル・ホーン、 [4]における息もつかせぬデクスター・ゴードンのソロも素晴らしい。そして何よりも[6]をじっくり傾聴するべし。これほど端整で美しいバラードが他にあるだろうか?!パナソニックのCDラジカセを床に転がして聴いたこの曲の美音が、当店のJBLではいくら頑張っても出てくれないのが悔しい。

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 ジム・ホール(g) 『Concierto』


ジム・ホール(g)
『Concierto』

 その昔、大阪梅田のお初天神の近くに「リバーサイド」というレコード店があり、そこでこの再発輸入アナログ盤を買った。内容のよさに感激しながらも、3曲目「ジ・アンサー・イズ・イエス」(なんとステキな曲名!)のいいところで針が跳ぶので交換してもらった記憶あり。クライマックスは後半の「アランフェス交響曲」だが、前半3曲も素晴らしい。ポール・デスモンド、チェット・ベイカーら、豪華メンバーによる美旋律のオンパレード。なあんだ、ジャズってこんなに分かりやすかったのかと、誰もが納得の人気盤。スティーブ・ガッドのドラムもイカしてる、と思ったらまた針が跳ぶ(^^; ★★★★★

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 オーネット・コールマン(as) 『ジャズ来るべきもの』

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オーネット・コールマン(as) 『The Shape of Jazz to Come』

 なあんだ、フリーといってもそんなに難しくないんだなと安心してよろしい。要は従来の枠組みから、いかにフリーかということ。コードの足枷をなくすためか、バンドはピアノレス編成。オリジナルの名曲[1]は意外にもメロディアスで叙情的、ただし、リズムの枠からはフリー。[2]はテーマは普通でソロになるとスケールから外れるというように、約束事を一つずつ壊していく。ジャケットにはプラスチック製のアルトを抱いたオーネット。これもオモチャだと勘違いしてる人が多いが、ちゃんとした演奏のできるもので、[5]の鳴りっぷりなどたいしたもの。ドン・チェリーのポケットトランペットもまた然り。ヒップな見た目だけで奇を衒うものでなく、あくまでも知的ムードが漂う。'50年代末期のジャズシーンを激震させた問題作。 ★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Impressions』

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ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Impressions』
 ドルフィーのバスクラリネットとコルトレーンのソプラノサックス、この組み合わせでしか出せないであろう、柔らかで東洋的なハーモニーが印象的な[1]。マイルス・デイヴィスの「ソー・ホワット」を急速調にアレンジして生まれ変わった表題曲[3]、凄まじい気迫で吹きまくるトレーン、ついて行くリズムセクションも尻に火がついたような大騒ぎ。このヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ二曲が本盤のハイライト。その隙間にスタジオ録音、ピアノを抜いたブルース[2]や美しいバラード[4]を挿入、名門インパルスレーベルらしく単なる寄せ集めでない格調高い作品としてまとまっている。  ★★★★

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 ウエス・モンゴメリー(g) 『Navy Swing』

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ウエス・モンゴメリー(g) 『Navy Swing』

 ピアニスト、ビリー・テイラーのバンドにウエス・モンゴメリーを迎えた放送音源。あの神技的ギターソロを期待すると、見事に裏切られる、というか、ソロらしいソロを取っているのは、16曲中[1][2][6]のわずか3曲しかない。特に後半のジョー・ウィリアムスの唄伴にいたっては、べつにギターは誰だって構わんだろうという程度。これをウエスの作品として売ること自体どうかと思う。(ビリー・テイラーじゃあまり売れないのだろうが)昔はこういうインチキなレコードが結構たくさんあった。怒りの★一つにしようかと思ったが、内容はそう悪くないので★二つ。[6]はなかなか楽し。 ★★☆☆☆

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 フレディ・ハバード(tp) 『First Light』


フレディ・ハバード(tp) 『First Light』

 フレディのコンボ+ドン・セベスキー指揮のオーケストラで入れた都会的ジャズ。CTIレーベルのカッコよさは、ブルーノートやインパルスの硬派のカッコよさとは少し違って、少し軟派でわかりやすく、横ノリの独特のカッコよさがある。このグリスのギラッとして光沢のある感じとでも言おうか、電気楽器もよく登場するし、4ビートだけでなく、ファンキーな16ビートや8ビートの曲も多い。そのようなカッコよさが身の上の[1]、フレディのラッパはいつもながら冴えている。要所要所に出てくるヒューバート・ローズの身震いするかのようなフルートもアクセントとしてじつに効果的。[2]はベンソンのギターソロがイカしてる。[3]はバラード、[4]はミュートでソロをとるボサノバ風。温かみのある音色が心地よい。 ★★★★

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 シェリー・マン(ds) 『The West Coast Sound』

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シェリー・マン(ds) 『The West Coast Sound』

 ビル・ラッソ、ショーティ・ロジャースらのペンになる名手シェリー・マンのアンサンブルセッション。緻密に構成されたサウンドゆえ、かわりばんこに出てくる各プレーヤーのソロはほんのわずか。短くともピリッと辛いペッパーのアルト。バラード曲[4]のバド・シャンクもペッパーに負けず劣らず素晴らしい出来。おっと、[8]のジョー・マイニもなかなか良いぞ。主役であるマンのドラム音量は抑え目で、派手なドラムソロもないが、軽快なブラッシュワークでバンドをスイングさせている。[9]はその名のとおり、エキゾチックなマレットさばきを披露。 ★★★☆☆

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 レッド・ガーランド(p) 『Auf Wiedersehen(アウフ・ヴィーダーゼーン)』


レッド・ガーランド(p) 『Auf Wiedersehen』

 1962年から第一線を退いていたガーランドが、西ドイツMPSで約9年ぶりの録音。MPSらしくピアノの音がワイドレンジで、小粒なピアニストのイメージを覆すワイルドさ。しかしリハーサル不足か”オール・アメリカン・リズム・セクション”的なピアノトリオの職人芸を求めると少々あてがはずれる。ダウン・トゥ・アースな[4]はさすがの貫禄で聴かせ、ホレス・シルヴァーのクインテットでならしたロイ・ブルックスは、[6]でようやく本領を発揮。オリジナルの表題曲「Auf Wiedersehen」とは、ドイツ語で「さようなら(また会いましょう)」の意味だが、ガーランドはこの後また3年ほどの隠居生活に入る。 ★★★☆☆

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 エリック・ゲイル(g,b) 『Part of You』


エリック・ゲイル(g,b) 『パート・オブ・ユー』

 ホーン奏者のフレーズを研究し、独自のスタイルを完成させたというゲイル。弾いて弾いて弾きまくるといったギタリストは掃いて捨てるほどいるが、たしかに彼の演奏には必ず息継ぎの"間"が入る。そして一音一音が力強いから、単音でメロディを弾いて歌になる。ビルの谷間からキャッツアイでも登場しそうな勇ましい[1]、ジミー・スミスを彷彿とさせるオルガントリオによるブルース[3]は、アイドリス・ムハンマドの抑えたドラミングも渋い。[4]はホーンの合いの手に見栄を切るようなゲイルに思わず引き込まれる。'70年代フュージョンの良作。 ★★★★

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 オスカー・ピーターソン(p),ディジー・ガレスピー(tp) 『Oscar Peterson & Dizzy Gillespie』


オスカー・ピーターソン(p),ディジー・ガレスピー(tp) 『Oscar Peterson & Dizzy Gillespie』

 オスカー・ピーターソンとディジー・ガレスピー、二人の巨人によるデュオは秋に聴くのにぴったりの一枚。ハイライトはもちろん[3]なのだが、この「枯葉」、ガサガサと乾いて風に舞い、掃いても掃いてもきりがないといった風情。オスカーのピアノは時に軽く、重く、ダイナミックに低音弦をハンマーがヒット。ディズのしわがれた音色、ハーフバルブ奏法に、思わず唄も飛び出すブルースの[5]は圧巻だ。[7]は正式なショーの後、椅子の片付けられた店内で1杯やりながらの「アフター・アワーズ」が目に浮かぶ好演。 ★★★★

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 エリック・ゲイル(g) 『Utopia』


エリック・ゲイル(g) 『Utopia』

 伝説のフュージョンバンド”Stuff”のギタリスト、エリック・ゲイルの遺作。1998年に発売されてすぐ買った記憶がある。夫人と共作したという表題曲を聴き、「なんと暗いユートピアやなあ」と思ったのが第一印象。あまりにメロウで古めかしいアレンジが鼻についたのだ。その後たいして聴かずに放置してあったのを、つい最近ハードディスクに取り込んで聴いてみたら、ゲイルのギター爪弾く繊細なタッチが再現され、まったくもってじつに素晴らしい。思わずmixiの「エリック・ゲイル」コミュニティに参加するも、なんとそのMasako夫人が管理人で、足跡がついたときにはどっと冷汗が出た。 ★★★☆☆

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 トニー・ウィリアムス(ds) 『Wilderness』


トニー・ウィリアムス(ds) 『Wilderness』

 トニーの遺作。映画音楽のようなストリングス・オーケストラによる楽曲と、フュージョン・オールスターズともいうべき大御所メンバーの演奏が混在して、ジャケットとともに幻想的な雰囲気を醸しだしている。「Wilderness=荒野」に象徴されるコンセプトで、インカの遺跡「マチュ・ピチュ」[8]や西アフリカの「ガンビア」[12]、[2][5][9]の中国(?)など、ひと気のない未開の地をイメージしたようなタイトルが並ぶ。[3][4]と、ストリングスをバックにしたハンコックのピアノが素晴らしい。名曲「シスター・シェリル」にも似たトニー得意のリズム[13]は海原を進む船のよう。こちらはジャケ違い。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『At Fillmore: Live at the Fillmore East』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『At Fillmore: Live at the Fillmore East』

 マイルスのばあい、いつも凄いのだが、どんな職業であれ、もっとも脂の乗った時期というのがあるもので、こと”トランペット力”についていうと、『ビッチェズ・ブリュー』あたりから本作にかけてのちょうどこの時期。オープントランペットの一吹きは、ジャズ・トランペッターの最高峰というべき気迫と輝きが備わっている。パパラッと吹くだけで痺れてしまう。サッチモもブラウニーも敵わない、そらもう凄い音色、まさに”トランペット力”なのだ。この後マイルスは、ベルにマイクをつけ、ワウワウペダルを使ったりして、力いっぱい吹かなくなってしまう。うーん惜しい。キースとチックのWキーボードを従えた、ロックの殿堂「フィルモア・イースト」での4日間を収めた実況盤。見開きのジャケット写真が最高にカッコイイ! ★★★★

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 ウエス・モンゴメリー(g) 『The Wes Montgomery Trio - A Dynamic New Sound』


ウエス・モンゴメリー(g) 『The Wes Montgomery Trio - A Dynamic New Sound』

 ライオネル・ハンプトン楽団、モンゴメリー・ブラザーズ等を経て、ウエス・モンゴメリー36歳の初リーダー作。時は1959年、すでに人気を博していたジミー・スミスのフォーマットを踏襲したオルガン・トリオ。[1]はエコーたっぷりのラグジュアリーな雰囲気が新しい。しめやかなブラッシュワークに乗ってスイングする[2]もイカしてる。当然[3]はバラードだろうと思えば意表をついたアップテンポで、オルガンソロを華麗なコードワークでサポートする。全体に寛いだ印象だが、唯一の例外がファンキーな自作の[11]で、ドラムソロも炸裂。この曲はのちにミルト・ジャクソンと 『Bags meets Wes!』で再演される。 ★★★★

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 アート・テイタム(p),ベン・ウェブスター(ts) 『The Tatum Group Masterpieces』


アート・テイタム(p),ベン・ウェブスター(ts) 『The Tatum Group
Masterpieces』

 [6]をかけてたら、お客さんが入ってくるなり、「このCDのタイトル教えて!」と言った。よっぽど気に入ったのだろう。クレジットをメモして帰られた。ピアノの巨匠アート・テイタムの代表作。サブトーンを効かせたウェブスターの骨っぽいテナーによるバラード演奏は、「大男が生まれたての赤ん坊をそっとあやすように」と形容される。しっとりとしたオールド・ファッションな趣きの名盤だ。たしかウッディ・アレンの映画のBGMにも使われていた。「旧き良きアメリカ」を想起させる珠玉のバラード集。実はこの盤、オーディオ装置の出す音に”嘘”があるとピアノがうるさく、うまく鳴らすのは意外と難しい。 ★★★★

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 ウイントン・ケリー(p) 『It's All Right!』


ウイントン・ケリー(p) 『It's All Right!』

 「ケリーはほとんど何でも弾けた」とはマイルスの弁だが、ワンパターンになりがちなのも事実。もうウイントン・ケリー・トリオはたくさんだよと食傷気味な人はこちら。キャンディドのコンガとケニー・バレルのギターが追加されると、また一味違うサウンドになるからアラ不思議。得意のブルース曲[5]など、いつものぴょんぴょん飛び跳ねるケリーでなく、ズルズルと地面を引きずるアーシーな表情は、キャンディドのコンガが引き出してるのだ。[9]は「いたずら」の意味。ケリーのソロが終わってバレルが出ようとするも入れてもらえずそのままエンディングに突入。あれれ?という空気が楽しい。 ★★★☆☆

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 ビル・エヴァンス(p) 『Intuition』


ビル・エヴァンス(p) 『Intuition』

 ベースのエディ・ゴメスとのデュオ。おっ、意外といいじゃないかというのが第一印象。初期のリバーサイド時代のようにタッチが硬質で、所々で使い分けるエレピのヴォイシングとフレーズとの相性が良い(特に[2][3])。”隠微(?)”でミステリアスなテーマメロディがぴったりはまる[1]は、ベースソロ終盤から始まるエヴァンスとの対話、そして4ビートに収斂していくさまが見事。ドラムが居ないので、リズムが拘束されずリスナーも解釈の自由度が増す。ことエヴァンスのリーダー作に限っていうと、シェリー・マンとかジャック・ディ・ジョネットとか、立派すぎるドラマーはどうもいけない。流してるだけでインテリ気分が味わえる”エヴァンス効果”もバッチリだ。 ★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts) アストラッド・ジルベルト(vo) 『Getz Au Go Go』

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スタン・ゲッツ(ts) アストラッド・ジルベルト(vo) 『Getz Au Go Go』

 「キッチンから聞こえてくるアストルーヂの鼻歌を聴いて、これだ!と思ったクリード・テイラーが強引に彼女をスカウトした」というシンデレラストーリーはじつは真っ赤なウソ。ジョアン・ジルベルトについて来たアストラッドはシンガー志望で、最初から唄うチャンスを虎視眈々と狙っていたのだ。「イパネマの娘」に、どうしても英語の歌詞をつけたいというテイラーの意向にハイと手を挙げたその瞬間、ボサノヴァの女王が誕生した。可愛い顔してわりとやるもんだねえ。本作はグリニッチ・ヴィレッジの「カフェ・オゥ・ゴー・ゴー」でのライブで、ゲッツのカルテットと共演。まるでスタジオ録音のように音が良い。1,000円の限定国内盤あり ★★★★

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 オリバー・ネルソン(as,ts) 『ブルースの真実』


オリバー・ネルソン(as,ts) 『The Blues and the Abstract Truth』

 昔のジャズには粋な邦題がついてた。これなんかもそう。ぜひとも邦題で紹介したい「ブルースの真実」。輸入盤にはイームズのラウンジチェアがジャケット写真に使われているものもあり、ちょうど[1]など、ミッドセンチュリーのラグジュアリーな雰囲気にピッタリだ。物悲しいテーマメロディは「嘆き」そのもの。同じリード奏者にしてみたら、ドルフィーみたいなのに先に吹かれたらたまらんだろうといつも思うのだが、さすがオリバー・ネルソンも負けてない、テナーのこよなく美しい音色で勝負する。ヴァン・ゲルダーによる録音もバッチリだ。 ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,syn) 『You're Under Arrest』

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マイルス・デイヴィス(tp,syn) 『ユア・アンダー・アレスト』

 ジャズミュージシャンたるもの、ふつうは楽器を持って写真に写る。ところがなんとマシンガンを持ったマイルス。ギャングかいな?いやギャグかいな?当たらずとも遠からず。これはマイルス流のアメコミみたいな作品だ。おっ?ジャック・ジョンソンかと思ったら、ラジオドラマのように台詞が出てくる。マイルス(本人)と警官役のスティング。そしてマイケル・ジャクソンの[2]、シンディ・ローパーの[7]もそうだが、カラフルなポップチューンを効果的に配している。後々重要レパートリーとなるこの二曲、ここでは同じ位のテンポだが、前者はどんどん速く、後者はだんだんゆっくりになっていく。サウンドイメージも、これまでのヘビーなものから、軽くてポップなものへと変化を見せた。マイルスが読んだ'80年代は、約4年遅れてここからスタートする。 ★★★★

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 カウント・ベイシー・オーケストラ 『April In Paris』


カウント・ベイシー・オーケストラ 『エイプリル・イン・パリ』

 ベイシーバンドには、ジャズに付き物の隠微な雰囲気が一切ない。ベイシーお馴染みの名曲がいっぱい入ってて単純明快、それでいて豪快にスイングする本盤もおすすめだ。「ワン・モア・タイム!」の掛声で繰り返し演奏される表題曲[1]が特に有名。「間の美学」、「合いの手の美学」とでも言うべきか。その極めつけが[6]でドラムのソニー・ペインが放つ「タットン、タットン、タトンタトン!」。TV番組「人志松本のすべらない話」を見て、「おっ、ベイシーじゃん。えーと、この曲なんだっけ?」と思った貴方、[10]の「ディナー・ウィズ・フレンズ」が正解。[5]もCM前などによくかかる。輸入盤あり ★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『East Broadway Run Down』


ソニー・ロリンズ(ts) 『イースト・ブロードウェイ・ラン・ダウン』

 ひょっとするとロリンズは競馬が好きなのだろうか?馬を連想させるフレーズが多い気がする。この表題曲[1]もファンファーレをモチーフにしたようなテーマが延々と繰り返される。途中、マウスピースを外してキーキー唸ったり、求道者ジョン・コルトレーンの向こうを張って、きわめて挑戦的なレコードであるが、あまり深刻にならないところが王者ロリンズらしい。[2]はヘビーなブルース、やはりここでもアドリブでファンファーレが飛び出す。レースのことで頭がいっぱいなのか。そして得意のスタンダードナンバー[3]と、たった三曲でもうおなかいっぱい。コルトレーンのリズムセクションを従えた特盛りのロリンズ定食。(1,000円の廉価限定国内盤あり) ★★★★

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 セロニアス・モンク(p) 『Thelonious Monk Trio』


セロニアス・モンク(p) 『Thelonious Monk Trio』

 ルディ・ヴァン・ゲルダーによるリマスター盤である。いやいや、近年行われたデジタルリマスターのほうではなく、約半世紀もの昔、LP化する際にアナログでリマスタリングを施されているのだ。[1][2]はハッケンサックのヴァン・ゲルダー・スタジオで録音されたとあるが、それ以外は別のスタジオのようである。ここのピアノの調律が狂っているのだが、モンクはこの耳障りな音をも利用して、独自の音楽に仕立て上げてしまう。特にはじけてるのが[5]と[10]で、ガツーンとやられた。いや~これは凄い。こんなのを聴いてしまうと、まともな調律のヴァン・ゲルダー・スタジオでは物足りない(笑) ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,key) 『Agharta』

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マイルス・デイヴィス(tp,key) 『アガルタ』

 '75年2月1日大阪公演夜の部が『パンゲア』で、昼の部は本作。へヴィーなアル・フォスターのドラムが8ビートで迫りくる。ワウワウとディストーションの効いた二人のギターが凄んできたところに、耳をつんざくマイルスのオルガン。ここまではハードロック的なアプローチであるが、マイルスのラッパはブルースフィーリングを帯びている。何度かの(じつに効果的な)ブレイクを経て、次第にリズムは尻上りなファンクへと変貌を遂げる。なんという緊張感!エムトゥーメのポコポコが気分を盛り上げる。ロックかと思ったらファンクミュージックだったのか!?否R&Bだ、ソウルだ、やっぱりジャズだ!![2]のメロディはシナトラの「I Wish You Love」にソックリ。 ★★★★★

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 『The Dave Brubeck Quartet at Carnegie Hall』


デイブ・ブルーベック(p) 『デイブ・ブルーベック・カルテット・アット・カーネギー・ホール』

 2008年2月19日、惜しくも亡くなったコロンビアレコードの敏腕プロデューサー、テオ・マセロが手掛けたカーネギーホール実況盤。マイルス・デイヴィスをしのぐ当時のブルーベック・カルテットの人気が、観客の熱狂ぶりから窺える。フロントマンのポール・デスモンドは今回やや控えめ、そのかわりドラムのジョー・モレロが大張り切り。ドシーン!で始まるDisc:2[4]が本日のハイライト。 スタジオだと小ぢんまりまとまってしまいがちだが、ブルーベックも大いにはじけていて気持ちが良い。このバンドはやはりライブに限る。国内盤あり  ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Steamin'』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『スティーミン』

 ジョークか本気か、レッド・ガーランドのスパーリングが気に入って雇ったという。マイルス・デイヴィスのボクシング好きは有名だが、スナップの利いたパンチのように、しなやかで軽くてしかも力強いジャズの魅力がこの頃のマイルス・クインテットに溢れている。[2]はドラムのショーケース。[4]はなんとも愛らしい曲。マイルスからコルトレーンにソロが引き継がれるとき、フィリー・ジョーが絶妙のタイミングでシンバルを入れる。さらに軽いタッチのピアノソロが徐々に盛上り、テーマに戻るときのキメッ!息もピッタリで、もうカッコイイったらありゃしない!国内盤あり ★★★★★

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 ウエス・モンゴメリー(g) 『California Dreaming』

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ウエス・モンゴメリー(g) 『夢のカリフォルニア』

 21才のころ、実家の理容室を手伝っていたわたしは、国鉄塚本駅前にあった貸しレコード店”しかたに”で本盤を借り、90分のカセットテープ片面に収めて、それをかけながら仕事をしていた。穏やかな春の日曜、店内は忙しく、[6]の脳天気なメロディがループしていた。そのとき、信じられないほど体がよく動き、「バルセロナの風」とはこんなにも心地よいものかと、働くことに恍惚となった。音楽をかけながら仕事をすることの効能に驚いたわたしは、それから間もなく「ジャズの聴ける理容室」の出店を決意する。これもドン・セベスキー指揮によるポピュラー曲集。『インクレディブル・ジャズ・ギター』からの再演[10]も聴きごたえがある。 ★★★☆☆

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 チャーリー・へイデン(b) 『Closeness』


チャーリー・へイデン(b) 『クロースネス』

 長年ジャズファンをやってても、まったく存在すら知らない名盤があるものだ。これなんか、ついこのあいだお客さんに教えてもらったばかり。しまった!こんなオイシイ盤があったのか!不覚であった。キース・ジャレット、オーネット・コールマン、アリス・コルトレーン、ポール・モチアンと、それぞれ一曲づつデュオでの演奏。美しく、暗く、そして深刻だ。へイデンのトリルに導かれキース得意のロマンチックなメロディが出てくる[1]、[2]であらためてオーネットのアルトのうまさに感心。[3]は竪琴が幻想的で、うまく再生できたらさぞカッコイイだろう。[4]はパーカッションとの掛け合いに銃弾や政治的メッセージのSEが入る。 ★★★★

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 スタン・ゲッツ、ジェリー・マリガン(ts,bs) 『Getz Meets Mulligan in Hi-Fi』


スタン・ゲッツ、ジェリー・マリガン(ts,bs) 『Getz Meets Mulligan in Hi-Fi』

 紅葉がひらりと舞い落ちるようなピアノのイントロで始まる[1]、じつはゲッツとマリガンが楽器を交換して吹いている。バリトンを吹いてもゲッツはゲッツだし、テナーを吹いてもマリガンはマリガン。曲によって入れ替わる。官能的にコブシをまわすゲッツに対し、ゴシック調とでもいうべき直線的なフレーズのマリガン。どっちがどっちか判別できるようになれば一先ずジャズ初心者は卒業。リズムセクションはでしゃばることなく、軽く小粋にスイングする。ビンテージの風合い、リラックスした雰囲気がとてもいい。マリガン作の[6]に傾聴。 ★★★★

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 ハンプトン・ホーズ(p) 『Four!』


ハンプトン・ホーズ(p) 『Four!』

 スカッと晴れ渡ったカリフォルニアの空のような快演!音の肌触りが気持ちいい。この乾いたサウンドこそ録音技師ロイ・デュナンの持ち味。ゼンマイの新芽のようにくるくると回るホーズ得意の節回し、ケッセルのブライトなトーン、シェリー・マンのブラシもシュワシュワと歯切れよく、軽快なアクセントが効いている。特に[2]での掛け合いは必聴の楽しさ。[3]はその名のとおり作者ミッチェルの弓(Bow)が先行する弾むようなトラック。体調がすぐれないときにはこの一枚。爽快な気分になれること請け合いだ。 ★★★★

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 アントニオ・カルロス・ジョビン(p,g) 『イパネマの娘』

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アントニオ・カルロス・ジョビン(p,g) 『The Composer Of "Desafinado," Plays』

 「フランク・シナトラに僕の曲を歌ってもらうのさ」と云っては鼻で笑われていたという。ジョビンは、自分のことを作曲家として位置づけており、メインパフォーマーとして演奏する気がなかったようだ。本作ではリズムギターとピアノを多重録音。といっても、華麗なテクニックなど持ち合わせておらず、ピアノで主旋律と訥々と弾く。収められたすべてが後にボサノヴァのスタンダードとなる美しい曲ばかりで、弦の巧妙なアレンジによって洒落た軽音楽に仕上がっている。なお、国内盤は何度再発されても[2]と[5]の曲名が間違ったままになっている。[2]は「ワンス・アイ・ラブド」、[5]は「悲しみのモロ」が正解。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『A Tribute to Jack Johnson』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『ジャック・ジョンソン』

 簡単なジャムセッションを、プロデューサーのテオ・マセロが巧みなテープ編集を用いて映画音楽に仕立て上げた。[1]は、たまたま通りかかったハンコックに、マイルスが無理やり弾いたことのないオルガンを弾かせるなど、ハプニングに満ち満ちている。マクラフリンのギャギャーン!と歪んだエレキギター(フェンダー社のジャガー)がうまく再生できなくて、最初は高校生バンドの練習みたいに下手くそに聞こえたものだ。当時彼は、マイルスに「ギターを弾いたことない奴みたいに弾け」と指示されていたらしい。しかし不景気も吹っ飛ばすこの高揚感!漲る勇気!御大思わず「世界最高のロックバンドを作れる」と調子に乗った。[2]はやや抑え気味でシュールな曲。 ★★★★★

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 ウェザー・リポート 『8:30』


ウェザー・リポート 『8:30』

 1978年全米ツアーの模様を収録したライブ盤。リーダー格のザヴィヌル、ショーターがかすむほどに、この頃のジャコ・パストリアスの人気は凄かった!たとえば[2]の後半に向かって追い上げるさまは圧巻。[4]はエフェクトを使ったジャコの独奏。ギタリストさながらにベースをかきならすジャコの影響で、ギター志望者はこぞってベースに乗り換えたものだ。ここまでベーシストの地位を高めたのはジャコの功績だ。素朴でエスニックなムードと電子楽器が混在するWR独自の不思議な世界。ベトナムの生春巻が食べたくなる。ラスト三曲はスタジオ録音。 ★★★☆☆

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 チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエバー 『Light as a Feather』

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チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエバー 『ライト・アズ・ア・フェザー』

 リターン・トゥ・フォーエバーのセカンドアルバム。ジャケットには第一作のカモメが飛び去ったあとを思わせる羽根があしらわれている。軽快なボサノヴァ調の[1]、ソフトなフルートとエレピのユニゾンが新しい時代の気分を反映する。勇ましく盛り上がる[4]は本作の目玉のひとつ、エンディングでチックがグワワングワワンとトーンコントロールを操るのが印象的だ。白眉は[6]、「アランフェス交響曲」をモチーフにしたイントロから、颯爽と現れる闘牛士の如き秀逸なメロディ。前ノリの手拍子、ビバップとフラメンコの融合だ。今日フュージョンは、軟弱なBGMの同義語のように言われているが、本作を聴くかぎり決してイージーなものではない。 ★★★☆☆

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 スタン・ゲッツ(ts) 『Captain Marvel』

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スタン・ゲッツ(ts) 『キャプテン・マーヴェル』

 リターン・トゥ・フォーエバーの『ライト・アズ・ア・フェザー』を遡ること約半年前の録音で、ゲッツのチック・コリア作品集といった内容。メンバーもトニー以外は同じ(但しドラムのアイアートはパーカッションに回っている)、アレンジも酷似しており、ちょうどフローラ・プリムのヴォーカルパートをゲッツが吹いているような塩梅。名曲「スペイン」こそ入ってないが、[1]のような哀愁のスパニッシュメロディを書かせたらチックの右に出るものはない。それにしてもゲッツという人はどんな曲でもホイホイ吹けてしまう天才だ。トニーの安定感あるドラミングもさすが。ジャケット写真はゲッツの少年時代。 ★★★☆☆

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 バド・パウエル(p) 『The Genius of Bud Powell』


バド・パウエル(p) 『The Genius of Bud Powell』

 まるで天の一角から降り来たったインスピレーションが、ダイレクトにピアノを弾いたようなパウエル全盛期の傑作。その間には、人間的な衒いも、研ぎ澄まされた技巧もなければ、むろん譜面もない。表現がテクニックをはるかに追い越し、恐ろしいまでの迫力とエクスタシーが聴き手に迫ってくる。[1]~[5]のみトリオ演奏だが、バディ・リッチがパウエルに合うとか合わないとか、そんなことはこの際どうでもいい。猛スピードで高速道を駆ける王様の馬車は分解寸前。この演奏を聴けば、警官から受けた頭部への殴打や、電気ショック療法いかんにかかわらず、いずれ彼の精神は崩壊したと思わずにはいられない。 ★★★★★

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 ハービー・ハンコック(key) 『Secrets』


ハービー・ハンコック(key) 『シークレッツ』

 流行とはリバイバルするものであるが、本作なんかジャケットといい、音楽といい、ちょうど今が旬ではなかろうか。大半が懐メロと化したフュージョン音楽のなかにあって、今聴いてもがっちり手応えある名作だ。[4]のファンキーなリズムギター。ここぞというときに出るチャカポーン!が弾きたくて、どうやったらできるのかと当時中学生のわたしはずいぶん悩んだものだった。即興よりも曲のよさ、ノリのよさ、電子楽器を駆使したサウンドの面白さで聴かせる。レゲエ調の[3]はブルーノート時代の再演。いかにもフュージョンらしい[5]もいい。 ★★★★

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 ロニー・スミス(org) 『Think!』


ロニー・スミス(org) 『Think!』

 ルー・ドナルドソンのバンドで活躍したオルガン奏者、ロニー・スミスのデビュー作。表題曲[3]がアレサ・フランクリンのソウルヒットで、ああなんだ、また軟弱なオルガンジャズかいなと思ったら、意外と硬質の骨太路線。ジミー・スミスのように弾きまくるタイプでなく、トータルなサウンドに重きを置いた様子。大張り切りなのがドラムのマリオン・ブッカー・ジュニア。次いで焼付いたようなテナーが魅力のデヴィッド・ニューマン。一方リー・モーガンは冷静で大人っぽく、[5]では粋なハーフバルブ奏法が出る。すでにアルフレッド・ライオンもブルーノートを売却し、ヴァン・ゲルダーも録音に携わっていないが、今回RVGエディションで登場。 ★★★☆☆

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 ジョージ・ベンソン(g) 『Giblet Gravy』

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ジョージ・ベンソン(g) 『ジブレット・グレイヴィ』

 ヴァーヴ時代のベンソンが、ポスト・ウエス・モンゴメリーとして扱われたのは想像に難くない。[3]などまさにそう。本盤もイージーリスニングとまではいかなくとも、R&Bのヒット曲をカバーして大衆ウケを狙った作品。しかし、彼のギターはウエスよりスマートで、より洗練された独自のスタイルを既に確立していた。ただ土臭い演奏になりがちなブルースナンバーの[4]や[9]でも、軽やかに舞う都会的なフレージングが素晴らしい。この頃のハンコックに珍しいアーシーなピアノも傾聴に値する。[2]は、その後ベンソンがディスコ調で成功することを暗示しているようだ。国内盤あり ★★★☆☆

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 スタン・ゲッツ(ts),カル・ジェイダー(vib) 『Stan Getz with Cal Tjader』

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スタン・ゲッツ(ts),カル・ジェイダー(vib) 『Stan Getz with Cal Tjader』

 バカンスに行った気分にさせる、海外旅行が高嶺の花だった昔はよくあった企画。たとえばペッパーの『ムーチョ・カラー』とか、ロージーとビング・クロスビーの『ファンシー・ミーティング』とか。『ゲッツ~ジルベルト』もその流れで出てきたと思えば納得。それにしても「銀座サンバ」とは。作者のビンス・ガラルディは日本に来たのか?なんとなく東洋風のテーマがでたから、その場のノリで「ギンザ・サンバ!」となったに違いない。名前からして異国ムードのカル・ジェイダー、「彼女の顔に慣れてきた」という邦題の[2]、[3]とヴィブラフォンの音色がロマンチックなバラードが二曲続く。ラファロのベースは鋭くエッジ立つも天才ゲッツは及第点。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Sorcerer』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『ソーサラー』

 殆ど同時期に録音された『ネフェルティティ』と対をなす作品。『クワイエット・ナイツ』の後、続けざまに本作などを聴くと、そのテンションの高さに驚かされる。まだテーマの途中だというのに、待ちきれんとばかりにマイルスが先走る[1]、[2][3]ではハンコックの美しいピアノが特に印象的。以後、このバンドからこのような和声のアプローチがどんどん失われ、よりタイトに、ピアノもホーンのひとつのようになっていくわけだが、個人的にはハンコックを聴くなら本作に止めを刺す。ショーター聴くなら『ネフェルティティ』で、トニーは『マイルス・スマイルズ』。[7]は蛇足。(これも安いッ!!) ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Quiet Nights』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『クワイエット・ナイツ』

 本盤はマイルスとギルがボサノヴァをやろうとしたリハーサル音源を、プロデューサーのテオ・マセロが彼らに無断で発売してしまったもの、だから内容はよくない、いや、意外とそのわりにはよくできている、どっちやねん。賛否両論で、たいしたこともなかろうと、いままで聴きそびれていた。それが¥864で出たので思わず入手。パワーは希薄だが、たしかによくできている。特に後半、ワンホーンのバラード[7]とボーナス曲[8]が入ってキュッと締まった感じ。でもこれが帝王マイルスの作と思うと若干物足りない。ヌルい。マイルス入りBGM。 ★★★☆☆

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『Demon's Dance』


ジャッキー・マクリーン(as) 『デモンズ・ダンス』

 マイルス・デイヴィスに引き抜かれたトニー・ウイリアムスを超えるドラマーなんて、そうそう居るもんじゃない。ところがなんぼでも人材は出てくるものだ。気を取り直してメンバー一新。ここまでフリージャズに傾倒していたマクリーンだが、新人たちに触発されてか本作ではフレッシュなハードバップを聴かせる。名曲[4]がその典型。ジャック・ディ・ジョネット、これまた凄いドラマーだ。大事に育ててたら、またしてもマイルスの兄貴に連れて行かれる。コルトレーンは死んじゃうし、自棄になったかマクリーン、これ以降約5年間活動を休止。ブルーノートでの最終作となった。[2]のバラードも素晴らしい。 ★★★★

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 ジミー・フォレスト(ts) 『Out of the Forrest』

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ジミー・フォレスト(ts) 『Out of the Forrest』

 名曲「ナイト・トレイン」の作者として知られるテナー奏者のジミー・フォレストは、ブルースフィーリング溢れるアーシーなスタイルが特長。古くはデューク・エリントン楽団、'70年代にはカウント・ベイシー楽団に在籍。'52年にセントルイスに帰省中のマイルス・デイヴィスと共演したレコードも(マイルスより6歳年長)。本作は、プレスティッジ時代にワンホーンで入れた代表作。バックにジョー・ザヴィヌルを従え、ジャズの王道を行くオーソドックスなプレイを聴かせる。白眉はバラードの[6]、執念の迫力はさすがだ。 ★★★☆☆

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 ウィルバー・ウェア(b) 『Chicago Sound』


ウィルバー・ウェア(b) 『Chicago Sound』

 シカゴゆかりのミュージシャンを集めて録音したウィルバー・ウェアのリーダー作。よくあるジャムセッションのテイクを集めて、適当にリーダーをでっちあげたものではなく、ちゃんとベースのウェアがリーダーシップを発揮。しかしグループを引っ張っているのは紛れもなくグリフィンのテナーだ。ゴリゴリに骨っぽいバラード[2]にしびれる。ジェンキンスとマンスのマイナー調フレージングが渋い[3]。[5]ではウェアがベースソロで頑張る。グリフィンもそうだが、ウェアのベースの音色がドライ。これが「シカゴ・サウンド」というわけか。 ★★★☆☆

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 ウエイン・ショーター(ts) 『JUJU』


ウエイン・ショーター(ts) 『JUJU』

 ジョン・コルトレーンのリズムセクションに真っ向から勝負を挑むショーターの代表的傑作。全曲彼のオリジナルだが、マッコイのピアノにエルヴィンのドラムが絡んでくると、いかにもコルトレーンが出てきそうなムード。それでもショーターのテナーは、その不思議な音色で独特のマジカルな世界に染め上げる。最も過激なのは表題曲[1]で、[2][3]とキャッチーな良い曲が続く。特に[3]の「あ~しんどいな」と呟くようなテーマは涙ちょちょ切れる。決してトレーンのように吹き過ぎない。少し吹き過ぎた[8]はボツになった。[4]は「至上の愛」を彷彿とさせ、[5]はハードバップ的快演だ。 ★★★★★

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 ボブ・ジェームス (key) 『Touchdown』

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Bob James (p) 『Touchdown』

 ホームセンターやスーパーのBGMによくこういう音楽がかかってる。特に[2]は「タイムサービス」を盛り上げるのにうってつけ。まったくもってダサいもいいとこだが、演奏してるのがエリック・ゲイル、スティーブ・ガッド、デビッド・サンボーンといった超一流のスタジオミュージシャンで、メチャクチャうまいというのがミソ。サーカスの「ミスター・サマータイム」にイントロがソックリの[3]、哀愁のエレピとフルートに、思わず買い物客も立ち止まる。「類似品に注意」の特売トイレットペーパーみたいなレコード。個人的には好きだ(笑)試聴されたし。 ★★★☆☆

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 ウエス・モンゴメリー(g) 『Road Song』

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Wes Montgomery (g) 『ロード・ソング』

 ウェス・モンゴメリー45歳で没する約一ヶ月前に録音された遺作。この前年、ドン・セベスキーとのコンビで入れた『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』が大ヒット。これにより「イージーリスニング・ジャズ」というジャンルが流行、本作もその延長線上にある。お馴染のポピュラーソングを極上のサウンドで奏でるウェスは絶好調。彼の死因は不明であるが、この音を聴くかぎり病んでるふうではない。クラシック風イントロから、ウェスのグルーヴへ突入する[3]、「おっ、そうくるか」とニヤリとさせられることだろう。切口はイージーでも、内容はイージーではないのがウェスの凄い所。国内盤あり ★★★☆☆

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 ティナ・ブルックス(ts) 『Back to the Tracks』


Tina Brooks (ts) 『バック・トゥ・ザ・トラックス』

 これもジャケットデザイン、レコード番号も決まっていながらリリースされなかったもの。後に東芝EMIの特典として頒布されたことがあった。[1]と[3]がオリジナルのブルースナンバー。ブルースばかり聴いててもちっとも飽きない。おお、やっぱりブルースっていいなあ。米飯を毎日食べても飽きないのと同じである。ピアノのケニー・ドリューが好演。[2]はマクリーンの『ジャッキーズ・バッグ』と重複。[4]がスタンダードの見事なバラード演奏。[5]は力強いハードバップ調。これだけ素晴らしい演奏を残しながらも脚光を浴びることなく、ドラッグにまみれて衰弱、’74年8月13日、不遇のうちに没する。今、こんなアジアの島国で話題になってることを、あの世でブルックスはどう思ってるだろう。廉価限定盤あり ★★★★

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 ボビー・ハンフリー(fl,vo) 『Blacks And Blues』


Bobbi Humphrey(fl,vo) 『ブラックス・アンド・ブルース』

 創始者アルフレッド・ライオンの手を離れた'70年代のブルーノートは、次第に活動の拠点が西海岸に移っていく。当時積極的に売り出していたのがこのボビー・ハンフリー。パッとアフロヘアーに目がいくボビーは、れっきとした(?)女性フルート奏者である。このカッチョイイ音楽はどういうジャンルになるのだろう。フュージョンのようなファンクのようなジャクソンファイブをより洗練したような。わたしも含め、昔の硬派ジャズファンは、こういう音楽を馬鹿にする風潮があったが、今聴くと心底良いなあと感激する。あくまでインストをサポートするため男性バックボーカル、そして[3]や[6]で聴かれるボビーの歌声もなかなかキュートだ。 ★★★★

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『Jackie's Bag』


ジャッキー・マクリーン(as) 『ジャッキーズ・バッグ』

 プレスティッジからブルーノートへ移籍後の初リーダーセッションを含むマクリーンのハードバップ期の傑作。[1]はピアノレスでカッ飛ぶリズムセクションに乗り、バード~マクリーンのフロントも快調。[2][3]でソニー・クラークが加わるが、なぜかベロベロの酩酊状態。[3]のソロなんて、まるで人差指一本で弾いてるかのようなフレージング。狼煙をあげるような土着的イントロに続いてマクリーンが燃えあがる[4]以降は三管のセッション。モード風の[6]。そしてマイナー調[7]でのマクリーンのすごいこと!これがLP時代はボツテイクだったなんて信じられない。アート・テイラーのソックシンバルがシュッ!シュッ!と新ヴァン・ゲルダー・スタジオの宙を舞う。 ★★★★

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 ドナルド・バード(tp) 『A New Perspective』


ドナルド・バード(tp) 『A New Perspective』

 本作でバードは単なるラッパ吹きからコンポーザーへと脱皮、男女混声コーラスを取り入れた革新的ゴスペル・ジャズ作品である。[1]のダサくてスペクタクルな雰囲気がなんともいえない。マイルスのバンドを辞めてホッとしたのか、こんなソロを演らせたらモブレーは最高。一方ハンコックはマイルスのもとで決して弾かない黒々としたピアノで大活躍。10人以上の大所帯バンドであるが、互いに合わせようという気はさらさらなく、それぞれ好き勝手に天に向って手を差し伸べる、このバラバラ感がファンキーなのだ。[3]はブルーノートを代表する名曲。本作を聴くと、映画「続・猿の惑星」でミュータントが核ミサイルを崇拝するシーンを思い出す。 ★★★★

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 ウエイン・ショーター(ss),ハービー・ハンコック(p) 『1+1』

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ウエイン・ショーター(ss),ハービー・ハンコック(p) 『1+1』

 ショーターの吹くヤマハ製ソプラノサックス、ハンコックが弾くスタインウェイ・ピアノによるアコースティックなデュオ作品。新主流派としてジャズシーンを牽引してきた彼等らしく、アコースティックといってもジャズジャズした感じではなく、自由でモダンな響きが印象的だ。静かに、詩的に、二人の対話によってアルバムは進行するが、なかでもビルマの非暴力民主化運動指導者アウンサンスーチーに捧げられたショーター作の[2]が素晴らしい。流しておくだけで知的なムードが漂い、秋の読書のBGMなんかにも最適だろう。案外お正月にかけるといいかもしれない。 ★★★☆☆

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 ニコラス・ペイトン(tp) 『Dear Louis』

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ニコラス・ペイトン(tp) 『Dear Louis』

 ジャズ界の若頭・ニコラス・ペイトンがサッチモに捧げたトリビュート作。さすが若頭、いいスーツ着てます。三回も衣装替えし、ジャケットからレーベル印刷まで、一貫してちょっとギャングっぽい雰囲気が漂っててカッコイイ。音楽のほうもじつに洒落ており、デキシーかと思ったら、随分と洗練されたモダンなアレンジ。ダイアン・リーヴスの唄う[6]など、ペイトンのエレピ伴奏、しかも代替コードを使い、まるっきり別の曲に変身。[2]も皆が知ってるあのメロディは出てこない。ハイライトは[4]。やはりジャズにはこのようなクールさが不可欠だ。 ★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts) ジョアン・ジルベルト(g,vo) 『Getz/Gilberto #2』

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スタン・ゲッツ(ts) ジョアン・ジルベルト(g,vo) 『Getz/Gilberto #2』

 カーネギーホールでのライブ盤。タイトルからすると、いかにも『ゲッツ~ジルベルト』の続編のよう。しかし実際にはゲッツのカルテットとジョアンのバンドは別々に演奏。二人が共演してる[11]-[15]はオリジナルLPに含まれず、後からボーナス曲として追加された。待ってましたの[13][14]も、ジョアンとの不仲ゆえか、天才ゲッツのソロもイマイチ冴えず、カルテットのほうがずっと良い。一方、[5]でイントロからぐっと聴衆を惹きつけるジョアンの演奏はさすが。ボーナス曲の合間に聞こえるアストラッドの笑い声がとっても可愛らしいのだ。 ★★★☆☆

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 ワルター・ワンダレイ(org) 『Rain Forest』

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ワルター・ワンダレイ(org) 『Rain Forest』

 A.C.ジョビンをはじめ、ボサノヴァを広くアメリカに紹介したプロデューサー、クリード・テイラー制作による、”ブラジルのナンバーワン・オルガン奏者”ワルター・ワンダレイの代表作。スタッカートを多用したパーカッシブな奏法が特徴。ホーンはあくまでも脇役に徹し、ハモンドオルガンが奏でる軽快なサンバの名曲。一歩間違うと観光ホテルのラウンジでやってそうな演奏だが、ヴァン・ゲルダー・スタジオの重厚な録音で聴けるのがミソ。[1]が鳴り出すと思わず一緒に口笛を吹いてしまう。 ★★★☆☆

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 ポール・ウインター(as) 『RIO』

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ポール・ウインター(as) 『RIO』

 のちにエコロジー活動に傾倒する白人アルト奏者ポール・ウインター初期のボサノヴァ作品。詳しいクレジットが記されてないのだが、ポール・ウインターのアルトに、奏者不明のフルート、ルイス・ボンファ又はロベルト・メネスカルのギターに、これまた奏者不明のドラムス。曲によりルイス・エサのピアノとベースが加わる。ソロらしいソロをとるのはウインターのみで、彼のアルトが美しいメロディを朗々と歌い上げる。ブラジルの航空会社のテーマソング、A.C.ジョビン作の[7]は、ジェット機というよりアンデス山脈上空を優雅に旋回する大鷲のようだ。[6]のアドリブも冴えている。 ★★★★

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 オーネット・コールマン(as,vln) 『New York Is Now!』

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オーネット・コールマン(as,vln) 『New York Is Now!』

 フリージャズの旗手オーネット・コールマンは、意外とメロディアスな曲を書き、即興演奏においては意外とワンパターン。カリプソ音楽を下敷きにして、ちょっとソニー・ロリンズっぽいところもある。意外と軽く明るいオーネットに続いて、この後度々共演することになる新人デューイ・レッドマンの重厚なテナーが迫ってくる[1]。曲の流れを分断するようなフリーキーなトーン、この掴みは強烈だ。この二人、ハモらないようでいてちゃんとハモってる。完全無調なグチャグチャギコギコは[6]、しかしこれもグリコのおまけ的な扱いで簡潔、しつこくやらないのがクール。トレーン門下のエルヴィン、ギャリソンも好演。★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『The Man With The Horn』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『The Man With The Horn』

 六年の沈黙を破り、音楽シーンに甦った帝王マイルスの復帰第一弾。ドドォーッドドードドードドーと迫ってくるマーカス・ミラーの凄まじい低音力。なんと凄いベーシストなのだ。アル・フォスターの粘るドラムに乗って帝王様のお出ましだ。スパニッシュ風のサビが勇ましい[1]。歪んだギターのギャーンで始まる[2]は、まるで'80年代版にリメイクした「イン・ア・サイレント・ウエイ」のよう。これらへヴィーな演奏に挟まれた軽くてポップな[3][5]がまたイイ味出してる。特に脳天気な[3]には、我を忘れて踊り出したくなってしまう。モチモチのパンにうまいソースの具が挟まったサンドイッチみたいだ。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,flh) 『ポーギーとべス』

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マイルス・デイヴィス(tp,flh) 『Porgy and Bess』

 アメリカ南部の港町、黒人の集落を舞台に繰り広げられる人間模様を描いたガーシュインのオペラ作品。べスをめぐる四角関係、サイコロ賭博、殺し、麻薬、嵐による漁船事故…。本盤はギル・エヴァンスのオーケストラを劇団員に随え、マイルスのラッパを主役とした、ひとつのストーリーに基づく作品で、所謂ジャズの即興や曲ごとの内容を楽しむものではない。ドラマを観るように、情景を思い浮かべながら通して聴くべきもの。黒人たちの不吉さや暗い情念、ある種の田舎臭さなど、マイルスが演じるからこその説得力。麻薬漬けで連れ去られるべスとビリー・ホリディが二重写しに見える。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Early Milestones』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Early Milestones』

 チャーリー・パーカーのサイドメン時代のマイルスを聴くためなら、これ一枚あれば充分。'45年のマイルスはさすがにヘタなラッパで微笑ましいが、'47年の[3]-[5]でちょっと手馴れてくる。そして特筆すべきは[6]-[8]、初リーダーセッションの三曲。ここで「パーカーの音楽」から「マイルスの音楽」へとムードがガラッと変わる。おお、なかなかモダンではないか。パーカーがリーダーの[9]からまた脳天気なビ・バップに戻ってしまうのだが、こうしてサンドイッチされることでマイルスの音楽性というものが浮き彫りになってる。以上パーカーの『The Savoy Recordings』所収、[17]-[20]はキャピトル『クールの誕生』所収。 ★★★☆☆

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 アントニオ・カルロス・ジョビン(p,vo) 『Antonio Brasilero』

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アントニオ・カルロス・ジョビン(p,vo) 『アントニオ・ブラジレイロ』

 ボサノヴァ創造主”トム”ジョビンの集大成ともいうべき最終作。強い太陽に焼かれて褪せたような色彩感が全編に感じられる。夢幻のように美しい、これこそ楽園の音楽だ。[3]ではなんとあのスティングがボーカルを務め、[6]はトムと愛娘との可愛らしいデュエット。徐々にサンバのリズムで盛り上がる[8][9]も楽しい。[15]は文字通り汽車が走るように印象的なリフレインが繰り返され、一度聴いたらずっと耳から離れない。肩の力を抜いたチェンジアップのような脱力感は健在。どの曲もドラマチックで、まるで一本の映画を見ているようだ。 ★★★★

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 ウエイン・ショーター(ts) 『Introducing Wayne Shorter』

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ウエイン・ショーター(ts) 『Introducing Wayne Shorter』

 ショーターの初レコーディングは本作にも参加しているウイントン・ケリーの『ケリー・グレイト』。それから遅れること約3ヶ月、同じくヴィージェイ・レコードに吹き込んだショーターの初リーダー作だ。意欲満々5曲のオリジナルを持ち込んだものの、ちょっと初見で演るには難しすぎたか。ケリーもモーガンもイマイチ乗り切れてない様子。一方、快調に飛ばすのはショーターとコブ。[2]の掛け合いが楽しい。まだジョン・コルトレーンからの影響が色濃いショーターだが、独特の音色はこの頃からすでに確立されている。 輸入盤あり ★★★☆☆

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 スタン・ゲッツ(ts) 『The Best Of Two Worlds Featuring Joao Gilberto』

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スタン・ゲッツ(ts) 『The Best Of Two Worlds Featuring Joao Gilberto(ゲッツ・ジルベルト・アゲイン)』

 ゲッツとジョアンは犬猿の仲。それでも「先生、これでどうかひとつ」とコロンビアに大金を積まれたら「しゃあないな~」となるのか。まず、本作にはジャケット合成写真疑惑がある。しかしそもそも一緒に写真を撮るのも嫌な二人が果たして一緒に録音できるものだろうか。そう思って音を聴いてると、これも不自然なところが多い。おそらくはジョアンがギターを弾き、"ミゥシャ"ことエロイザ・ブアルキが歌ったトラックに、あとでテナーやドラムやらを被せた多重録音ではないか。事実[3]ではテナーが2本鳴っている。ゲッツが出てきたら途端にシンバルが賑やかになるし。リスナーを欺く駄作となるのを救っているのがエロイザ。[10]はビーナスのような官能のヴォイス。 ★★★☆☆

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 アントニオ・カルロス・ジョビン(p,g,harpsichord) 『Wave』

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アントニオ・カルロス・ジョビン(p,g,harpsichord) 『Wave』

 クーラーの程よく効いたホテルのラウンジ、水滴のついたアイスコーヒーのグラスとくれば、流れるBGMは本作のように洒落たボサノヴァと相場は決まっている。クリード・テイラーがプロデュースした一連のイージーリスニングジャズの名作のひとつ。アドリブらしいアドリブもないけれど、トロンボーンやフルートのメロウなトーンで脱力。ストリングスにサポートされ、”トム”ことアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲の数々が優雅で快適な時間を演出してくれる。[8]でボソッと唄うトム、斜に構えてちょい不良風の[10]がイカしてる。グリーンのフィルターをかけたキリンのジャケットも幻想的。梅雨にはこれだ。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis Volume 2』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis Volume 2』

 マイルスのブルーノート第2集は、'54年録音のホレス・シルバー入りワンホーンセッションを中心とした構成。ドスのきいた『Vol.1』もしびれるが、軽やかに歌う本作も捨て難い。ヘロイン中毒を克服した直後の演奏で、トランペットを吹く喜びが満ちているよう。[1][2][7][8][9][11]がそうだ。特に[8]は傾聴。ん?[1]冒頭の「ガーンガーンガーン」はどこかで聴いた憶えがある。ハテ何だったかと探し回って『ディグ』のボーナス曲「コンセプション」だと判明。[2]は『マイルストーンズ』の「シッズ・アヘッド」と同じ曲だし。あーややこし。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Birdland 1951』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Birdland 1951』

(少し安いCCCDもある)
 一口に録音が悪いと言っても、皆さんはどの程度まで許容できるだろうか。本作中では[4]から[7]がかなりキビシイ。特に[5]はシャーシャーと盛大なノイズが出て驚き、回転も変で時々音程が揺れる。それでも演奏がいいから許せてしまう。バードランドにおける巨人たちの若き日の活きのいいライブ演奏。アート・ブレイキーが冴えに冴え、ドラミングがビシビシ決まってる。たとえば[3]ではマイルスがブラウニーもびっくりのソロを吹きまくり、テンポを倍に持っていくが、元のテンポに戻すときのブレイキーのシンバル一発が絶妙のタイミングなのだ。素晴らしい。異色メンバーの[8]から[10]は、マイルスが吹いてない部分は「普通のジャズ」になっていて面白い。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,key,syn) 『Star People』

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マイルス・デイヴィス(tp,key,syn) 『Star People』

 御大みずから手掛けたジャケットデザイン。なんじゃこれは?スカスカではないか、とは当時怖くて誰も言えなかったのだろう。しかし内容のほうはもうみっちゃんみちみちの密度の濃さなのである。う~らうらうらうらうらあああーー!!とばかりにせまりくる[1]、えらいこっちゃえらいこっちゃ、なんという勢いだ。こうなるともうエレキもアコースティックもへったくれもあるものか。本作は一応スタジオ録音ということになっているが、実際音源の殆どがライブ録音に手を加えたもので、あの『フォア・アンド・モア』を彷彿とさせる凄まじさと臨場感。[2][3]でジョンスコ初参加。キャッチーなメロディの[5]がジャケットの絵にピッタリだ。マイルス様、ま、まいりますたぁー。 ★★★★

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 アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『A Night in Tunisia』


アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『チュニジアの夜』

 ウエイン・ショーターが音楽監督に就任して、徐々にファンキー路線から離脱しはじめたジャズ・メッセンジャーズ。表題曲の[1]は古くからアート・ブレイキーが得意としてた曲で、御大のドラムソロをフィーチュアし、いつもコンサートのハイライトとして演奏されていた。今回のはかなり速いテンポでの演奏。最後のカデンツァ部分が圧巻なのだが、これはかなりうまくいってる。一歩間違うと白けてしまって、ただ間延びしたようにしか聞こえない危険な展開。ジャズとはあんまり汗をかきかき一生懸命やってるのを悟られるとカッコがつかない音楽なのだ。醒めないで一気に聴くべし。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『The Jody Grind』


ホレス・シルバー(p) 『ジョディ・グラインド』

 かつて熱烈なホレス・シルバーのファンだったわたしは、シルバーのレコード(当時はアナログ)を全部聴きたいと思っていた。しかし国内盤や輸入盤の再発で手に入らないのはどうするか。オリジナル盤しかない。ちょっと痛かったが「VAN GELDER」刻印の入った見開きジャケットのオリジナル盤BLP4250を仕方なしに買った。さて、本作でもシルバー節は相変わらずだが、tp、as、tsの3管編成でハーモニーが厚くなっている。アップテンポでエキサイティングな[5]では、新人タイロン・ワシントンがジョー・ヘンダ-ソンばりの物凄いソロを聴かせる。いやいや、続くジェームス・スポルディングのアルトも負けてないぞ。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Silver's Blue』


ホレス・シルバー(p) 『シルバーズ・ブルー』

 中山康樹著『超ブルーノート入門-ジャズの究極・1500番台のすすめ』によると、プロデューサーの意向で本作のレコーディングは不本意な結果に終わったとされている。ではこれがつまらないかというとそうでもないのがジャズの面白いところで、少なくとも最近のジャズよりはずっと良い。モダンジャズが異常な興隆を見せた'56年という時代背景、それにこれだけの名手揃いであるから、適当にやっても凄い演奏ができてしまう。リーダーはいまひとつ乗り気でないにしても、ハンク・モブレーは飛ばす飛ばす、[5]なんかもう絶好調。但しシルバーはよほどこのことが堪えたのか、以後殆どのレコーディングを信頼できるブルーノートで行うようになる。 ★★★☆☆

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 ホレス・シルバー(p) 『Horace Silver Trio and Art Blakey-Sabu』


ホレス・シルバー(p) 『ホレス・シルバー・トリオ&アート・ブレイキー~サブー』

 ホレス・シルバーの初リーダー作で、彼のピアノトリオ作品としては唯一のもの。奏法はバド・パウエル派に分類されるが、早くも強烈な個性を発揮。たとえば[10]。長調の楽曲にファンキーなブルースノートを滑り込ませる。パウエルなら絶対にやらない手法である。マイルス・デイヴィスの『バグズ・グルーヴ』セッション、「バット・ノット・フォー・ミー」のソロにも聴かれるシルバーお得意のパターンだ。[12]はラテンパーカッションのサブーとアートブレイキー、ベースにパーシー・ヒースが加わった打楽器演奏、[14]はブレイキーのドラムソロで、両曲ともシルバーは参加していない。[1]の冒頭で叩くブレイキーのシンバルがじつにイイ音してる。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Horace-Scope』


ホレス・シルバー(p) 『ホレス・スコープ』

 有名な「ニカの夢[7]」を含むホレス・シルバー絶頂期の人気盤。「ホーンのような右手、ハンマーのような左手」と称される、シルバーのファンキーなピアノスタイルが最も顕著なのもこの時期。左手で低音弦を叩くたびに「ゴロッ」「ガッ」と、もはや音程は崩壊寸前、コードを弾いてると思えない迫力の低音で迫ってくる。大好きなドラマー、ルイス・ヘイズがキャノンボール・アダレイに引き抜かれて少し残念だが、こうして聴いてみると新人ロイ・ブルックスもなかなか良い。「ホロスコープ」をもじった表題曲[4]でのミッチェルのトランペットも素晴らしい。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Finger Poppin'』


ホレス・シルバー(p) 『フィンガー・ポッピン』

 これまで頻繁にメンバーチェンジがあったホレス・シルバー・クインテットだが、いよいよ本作からブルー・ミッチェル~ジュニア・クックの鉄壁のフロントラインがお目見えする。ミッチェルもクックも単発ではどうってこともないのに、このグループにおいては水を得た魚のように生き生きとしたプレーを聴かせる。以後約4年半の長きにわたってこのフロントラインが定着し、シルバーも安定したサウンド作りに専念。数々の傑作を世に送り出す。グループとしての纏りの良さは本作で既に発揮されており、シルバー作の全8曲いずれも即席バンドとは一線を画す完成度の高さ。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Stylings Of Silver』


ホレス・シルバー(p) 『スタイリングス・オブ・シルバー』

 国連ビルの階段に佇むシルバーがなんともいえずカッコイイ!前作『6ピーシズ・オブ・シルバー』のセントラルパークでのトレンチコート姿もしびれるが、本作のジャケットは色目といい万国旗のハタメキ加減といい、もう最高である。さて、前作からトランペットとベースが変更したホレス・シルバー・クインテット、[2]などは凝ったアレンジで、音楽的にも一段と練りが入っている。ファーマーとモブレー、フロントの二人共がマイルドなトーンのせいか、シルバーの作品にしては若干おとなしい印象。[3]は「セニョール・ブルース」の流れを汲む黒い情念渦巻く曲想。ゴスペル調の[4]も楽しい。 ★★★★

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 クリフ・ジョーダン,ジョン・ギルモア(ts) 『Blowing In From Chicago』


クリフ・ジョーダン,ジョン・ギルモア(ts) 『ブローイング・イン・フロム・シカゴ』

 シカゴからやってきたテナーマン二人によるブローイングセッション。[1]を聴いて、なんだか『バードランドの夜』みたいだなあと思ったら、テンポもコード進行も「スプリット・キック」にそっくり。しかもリズムセクションまで一緒、そりゃあ似てない筈がない。ジョーダンのほうはこの後ホレス・シルバーやチャールス・ミンガスのグループに参加して活躍するが、ギルモアのデータは少ない。ジョニー・グリフィンやジョーダンのように、シカゴ出身のテナーは皆豪快さが魅力だが、それに輪をかけて、ギルモアはまるで雑巾を絞るような無骨なテナーを聴かせる。[2]はラテン風のいかにもジョーダンらしい曲、このエキゾティックなスタイルはやがてシルバーのグループに引き継がれていく。国内盤あり ★★★☆☆

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 ルー・デル・ガトー(ts) 『Katewalk』

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ルー・デル・ガトー(ts) 『Katewalk』

 とある方に頂いたナクソスのCD。ジャズでも聴いてみるかと買ったはいいがもてあましてしまったらしい。なるほどジャズ方面に暗い人だと、あてずっぽうでこういうのを買ってしまうのか。調べてみるとガトーはリード楽器全般をこなすベテランのスタジオミュージシャンのようだが、わたしなら絶対手を出さない。案の定音質も内容もイマイチだなと5年間しまいこんであったのを、ひょんなことから出して聴いてみると素晴らしく音が良い。テナーの咆哮がたまらなく痛快なのだ。オーディオシステムの進化に伴い、所有するなかでも化けに化けたCD。まさに玉手箱のよう。[3]のバラードが出色。 ★★★☆☆

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『The Jackie McLean Quintet』


ジャッキー・マクリーン(as) 『ザ・ジャッキー・マクリーン・クインテット』

 1955年、23歳のマクリーンは、8月に『マイルス・デイヴィス・アンド・ミルト・ジャクソン・クインテット/セクステット』に参加、9月はジョージ・ウォーリントンの『アット・カフェ・ボヘミア』のライブを収録、そして10月にこの記念すべき初リーダー作、通称『猫のマクリーン』を録音している。特筆すべきは、その音圧の凄さ。真直ぐに極太のアルトが迫ってくる。'52年中頃~'55年8月までの約3年間、マクリーンのディスコグラフィーが空白になっているが、このわずか5日後に[3]をマイルスが録音しているところを見ると、ライブ活動は継続し、頻繁に演奏していたのをマイルスが聴いていたのだと推察する。 ★★★★

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 リー・モーガン(tp) 『Candy』


リー・モーガン(tp) 『キャンディ』

 LPレコードを作るのに、どんなカンジでイクかというのはいつ決まるのだろう?本作は同じメンバーによる2回のセッションから成る。ワンホーンで[2][6][7]を吹込む。悪くはないがいまひとつ決定打に欠く。3ヶ月を経て再びレコーディングに臨むモーガン。前回演った[6]から、連想ゲームのように[1]が導き出される。これらはジョニー・マーサのレパートリーだ。ここでアルバムのコンセプトは固まった。プロデューサー、アルフレッド・ライオンは迷うことなく[1]を冒頭に据えた。あとは勢いでどうにでもなる。マイルス作の[3]、シナトラの[4]で、BNきっての洒脱なワンホーンアルバムが誕生した。国内盤あり ★★★★

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 チャーリー・パーカー(as,ts) 『The Savoy Recordings (master takes)』

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チャーリー・パーカー(as,ts) 『チャーリー・パーカー・オン・サヴォイ~マスター・テイクス 』

 チャーリー・パーカーがサボイ・レーベルに残したスタジオ録音のマスターテイク集。パーカー者にとってはダイアル・レーベルでの録音と双璧を成す聖典。バードの凄さを体感するべし!といっても何度も同じ曲が繰り返し出てくる完全盤Vol.1Vol.2はビギナーには厳しいだろうから、まずは本テイク集で充分。録音状態も比較的良好だ。[1]~[10]はWORスタジオでの録音。初期のブルーノートもこのスタジオで収録していた。つまりはWORスタジオはビ・バップ・サウンドの象徴で、ハッケンサックのヴァン・ゲルダー・スタジオがハード・バップ、イングル・ウッドの同スタジオはファンキー以降のサウンドイメージを反映してると言えなくもない。 ★★★★★

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 木住野佳子(p) 『Praha』


木住野佳子(p) 『プラハ』

 一曲目をかけて、正直、もう二度と聴かんなと思った。わたしの勘は当るのだ。アルバムタイトルどおり、チェコ共和国プラハでの録音で、編成はピアノトリオ+ストリングス。映画音楽のようなそうでないような、こらあかん。これでジャズなんて、冗談はよしこさんにしなさいよとガックリしてたら、[3]くらいからだんだん良くなってくる。ジャズっぽさへの飢餓感がピークに達した頃になんともカッコイイ[8]が来る。ビル・エヴァンスへのオマージュ。ここからラストまでが良いのだ。ごく微量のジャズフィーリングが嬉しい木住野ワールド。見事に勘が外れた。こんなのってアリですか? ★★★☆☆

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 ウエイン・ショーター(ts,ss,p) 『Native Dancer』

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ウエイン・ショーター(ts,ss,p) 『ネイティブ・ダンサー』

 1990年発行の「名演!Jazz Saxophone(講談社)」という本のなかで、熊谷美広氏が本作のことを誉めて誉めて誉めちぎった。「究極の大傑作」とまで書かれたら、そら誰だって聴いてみたくなるというものだ。半信半疑で買ってきた。'90年といえばまだわたしが生硬なアコースティック一辺倒のジャズ青年だった頃だ。ブラジル音楽とフュージョンを融合したようなサウンドの前に撃沈。こんなものとても聴いてられんとほどなく処分を決めた。しかし熊谷氏の大絶賛はいつまでも心の隅に残り、何年かを経てもう一度買ってきた。今では氏のように「奇跡」とか「神」とは言わないまでも、愛聴盤のひとつに成長している。このまま聴いていたら、いつの日か氏の言う「桃源郷」が訪れるだろうか?輸入盤あり ★★★★

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 ズート・シムズ(ts) 『Zoot Sims In Paris』


ズート・シムズ(ts) 『ズート・シムズ・イン・パリ』

 ビル・クロウ著「さよならバードランド」のなかには、ステージ上でミュージシャン同士演奏しながら音楽的な会話をしてるように見せるのが流行ったという話が出てくる(実際は音楽とはまったく関係ない、他愛無いことを喋ってたらしい)。それをたまたまマイクが拾ったのが[6]。「ズート、ズート!○※△■」「はぁ?」「○※△■!」てな感じで、残念ながらわたしには何を言ってるか聞き取れない。パリのクラブ”ブルーノート”でのリラックスしたライブ演奏。同名のジャズクラブが映画「ラウンド・ミッドナイト」にも登場するが、実在した店舗ではなく、本作のセッションも映画のセットを用いた架空のクラブで行われたとの説もある。 ★★★☆☆

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 ビル・エヴァンス(p) 『Funkallero』

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ビル・エヴァンス(p) 『ファンカレロ』

 『Loose Blues』という、輸入盤でのみ入手可能だったズート・シムズを含む'62年のセッションが、嬉しい廉価限定盤で登場。[2]は『グリーン・ドルフィン・ストリート』にもボーナストラックとして収録されていた。美しいモード風バラードの[3]に傾聴。ズートって、こんな曲も吹けたのかと、ちょっと意外。フィリー・ジョー・ジョーンズの叩くスネアの快音が先導して始まる[4]、間違いなくこれがベストトラックだ。このクインテットは勿論臨時雇いのレコーディングバンドなのだが、新鮮なサウンドのこのメンバーで、もっと録音を残して欲しかった。 ★★★★

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 ジョー・ヘンダーソン(ts) 『Page One』


ジョー・ヘンダーソン(ts) 『ページ・ワン』

 名曲「ブルー・ボッサ[1]」「リコーダ・ミー[4]」を含むジョー・ヘンダーソンの初リーダー作。ジョーヘンの毛羽立ったテナーは、'60年代の新しいジャズ、俗に言う新主流派を象徴するサウンド。デビューにあたっては、本作に先駆けて『ウナ・マス』で共演したベテラン、ケニー・ドーハムがライナーノートまで書いて全面的にバックアップ。ボサノヴァの[1]と[4]は餌、[3]でジョーヘンの本領が発揮される。カチカチと辛気臭くリムを叩いてたピート・ラ・ロカも、ここぞとばかりに張切るドラミングが熱い! ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『アマンドラ』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Amandla』

 今日はマイルスの15回忌。ちょうどマイルスがこの『アマンドラ』を作っている間、1988年の末から'89年始めにかけて、わたしは『Jazzの聴ける理容室』を作っていたのだ。『TUTU』に引き続き、これもマーカス・ミラーの打ち込みカラオケをベースにしたレコードだが、参加ミュージシャンが増えて、幾分バンドっぽいサウンドに。珍しくマイルスが激する[4]、泣きの[6]等メロディアスな良い曲がたくさん入ってる。[8]はマイルス、マーカス、アル・フォスターのトリオ演奏。当然多重録音だろうが、この場合、やはりベース、ドラムをバックにマイルスが吹いたバラードに、後からキーボードをつけ足したんだろうか。 ★★★★

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 キース・ジャレット(p) 『ザ・ケルン・コンサート』


キース・ジャレット(p) 『ザ・ケルン・コンサート』

 ドイツ、オペラハウスの観客を前にした、ソロピアノによるテーマなしの即興演奏。ジャズの人って譜面もなしに、皆が皆こんなにスラスラと即興で弾けてしまうのか、凄いなあと美しい誤解をした人も少なくないはず。予期せぬ事態になっても瞬時に対応して体裁を整える(悪く言えば誤魔化す)のはジャズの世界では日常茶飯事。キースの場合は、マイルス・デイヴィスのバンドに居た頃に、随分と鍛えられたのだろう。とはいえ、格調高く美しいこのレコードがジャズ界に存在するおかげで、ジャズファンの鼻は平均して0.1㎜は高くなってると思われる。輸入盤あり ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,key) 『パンゲア』

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マイルス・デイヴィス(tp,key) 『Pangaea』

 なかなか良さが分らずに難儀した一連の電化マイルスを理解する突破口となったのがこのCD。とにかく音が群を抜いて良かったのだ。'75年、大阪フェスティバルホールでのライブレコーディング。よくできたP.A.録音とでも言うべきか。ステージを照らす青いライトが目に浮かぶよう。マイルスはワウワウ・ペダルを通したトランペットとオルガンを弾き、ディストーションのかかったエレキギターに8ビートのドラム、全編に聴かれるエムトゥーメのパーカッションが気持ち良い。感触はロック音楽のそれだが、電気楽器はあくまでも素材であって、描き出される世界はアコースティックで壮大な大自然のドラマのようだ。ちょっと長いが寝ないで聴けっ! ★★★★★

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 デクスター・ゴードン(ts) 『Dexter Blows Hot and Cool』


デクスター・ゴードン(ts) 『Dexter Blows Hot and Cool』

 このジャケットを見てビリビリッとしびれないようではジャズファンとは言えない。見よ!感じよ!このオーラ。まるでエクトプラズムだ。糸を吐く怪獣モスラだ。マイナーレーベル"ドゥートーン"がリリースした幻の名盤で、スペインのフレッシュサウンドが復刻。内容がこれまた素晴らしい。当時デクスターは麻薬中毒だったはずだが、本セッションでのブローは絶好調。特に4曲のバラードが絶品で、カール・パーキンスの哀愁溢れるピアノがよくマッチしている。アップテンポの曲でもよくスイングしていて、これならば何の問題もない、と思ったら、本作を最後にパッタリと活動停止。5年間の沈黙を経て1960年に活動再開。'61年、ブルーノートに『ドゥーイン・オーライト』を録音。完全復活を遂げる。 ★★★★★

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 クリフォード・ブラウン(tp),マックス・ローチ(ds) 『Clifford Brown and Max Roach』


クリフォード・ブラウン(tp),マックス・ローチ(ds) 『Clifford Brown and Max Roach』

 これそブラウン~ローチ・クインテットの決定盤!曲がイイッスね~。しめやかに、おどろおどろしく[1]で始まって、ちょこまかとせわしない[2]が出たかと思うと、[3]でドバーッ!とくる。ただのブルースなんだけども、吸ったり吐いたりを繰り返すように盛り上っていくブラウニーのラッパ、そして何よりテーマがシンプルなんだけどカッコイイ!この高揚感!たまりません。レコードだとここまでがA面。じゃあB面はたいしたことないかというと、これまたイイ曲が入ってて気が抜けない。まるでアルバム全体がブラウニーのソロのように起伏に富み、ドラマチックに展開する。典型的なハードバップの傑作。 ★★★★★

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 ウェザー・リポート 『Weather Report』


ウェザー・リポート 『Weather Report』
輸入盤あり

 ウエイン・ショーター、ジョー・ザヴィヌル、ミロスラフ・ヴィトウスの三人が中心となって結成されたグループ、ウェザー・リポートのデビュー・アルバム。まず、これを聴いて連想するのは、マイルス・デイヴィスの『イン・ア・サイレント・ウエイ』である。次にショーターの参加していたマイルスの”黄金のクインテット”時代。電気楽器を大量に使っているものの、全体のサウンドはソフトで牧歌的。アルフォンゾ・モウゾンの[3]におけるドラミングは、まるでトニー・ウイリアムスのよう。その後フュージョンの代表的グループとなるウェザー・リポートだが、まだマイルスの影響下で試行錯誤を行っている段階。しかし、これはこれでシュールで美しい見事な音楽だ。 ★★★★

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 オーネット・コールマン(as) 『At the "Golden Circle" in Stockholm,Vol. 1』

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オーネット・コールマン(as) 『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン Vol. 1』

 「これなら俺でも吹けそうだな」本作をかけながら仕事してたら、最近アルトサックス教室に通いはじめたお客さんがそう仰った。勿論冗談である。「フリージャズ」といえば「ムチャクチャ」だと思われがちだが、そんなこともない。リズムもメロディもハーモニーも(よく聴けば)ちゃんとある。オーネット・コールマンも(バイオリンやトランペットはともかく)アルトの腕前は大したもの。メロディアスな曲も書く。素人みたいな人が思いつきで楽器を掻き鳴らせばフリージャズの一丁あがりとはならないのである。少なくともモダンジャズを普通に楽しめる人なら、巧みにコントロールされた本作だって難なく理解できるはず。フリージャズは意外と難しくない。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles In Europe』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『マイルス・イン・ヨーロッパ』

 フランス公演だから一発目にシャンソンの「枯葉」を選んだのか。しかし勿体つけた長いイントロで始まる『サムシン・エルス』の同曲とは似ても似つかない。イントロなしで「♪カrrrrrレェハヨッ」とばかりにいきなり斬り込んでくる。もはや元曲のメロディは分解され、テーマもアドリブも殆ど区別がない。数コーラスに及ぶマイルスのソロが終わりに近づくのを察したトニー・ウイリアムス、静かなブラシが次第に暴れ出す。来るぞ、来るぞ、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! で、ジョージ・コールマンのテナーに引継ぎするんだ。あー、カッコイイ。紙ジャケあり ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Six Pieces of Silver』


ホレス・シルバー(p) 『Six Pieces of Silver』

 初代ジャズメッセンジャーズは、ホレス・シルバーがメンバー全員を引き連れて離脱したために崩壊。リーダーのアート・ブレイキーがジャズメッセンジャーズの名前を引き継いだ。よってシルバーとブレイキーは仲が悪い。と、そのように語り継がれているが、ジャズの世界にありがちな話なので真相はどうだかわからない。本盤は、そのジャズメッセンジャーズほぼオリジナルメンバーでの録音で、大ヒットした「セニョール・ブルース」所収。ピアノトリオの[2]や[7]も素晴らしい出来。ファンキーとは、黒人の情念を描き出すものと観たり。ちなみにホレス・シルバー・クインテットのメンバーは、この一年後にはすっかり入れ替わってしまい、ジャズメッセンジャーズの影も形も無い。 ★★★★

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 ハービー・ハンコック(p) 『V.S.O.P.ニューポートの追想』


ハービー・ハンコック(p) 『ニューポートの追想』

 1976年、デビュー15周年を迎えたハンコック。これまで様々な形態の音楽を演奏してきた。そうだ、今度のニューポートジャズフェスティバルには、その当時一緒に演奏してたメンバーを集めて、自分の音楽史を再現してみよう。題して"Very Special Onetime Performance(一度限りの特別企画)"。”黄金のクインテット時代”は当時引退中のマイルスの代りにフレディ・ハバードを起用。これが評判を呼び、”VSOPクインテット”としてその後も活動することとなる。ディスク2の前半は見事なセクステットの演奏。抒情的で美しいアンサンブルは、まるで絵画のよう。後半は一転してファンクの洪水!聴き応え十分の名作だ。 ★★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Coltrane』[Impulse!]

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ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Coltrane』[Impulse!]

 マッコイとエルヴィンを自分のグループに迎え、残るはベースだ。いつの時代もベーシストは不足する。ポール・チェンバースみたいな凄腕はそうそう居るもんじゃない。ようやく見つけたのがジミー・ギャリソン。4人ががっちりとスクラムを組み、本作からいよいよ”黄金のカルテット”の快進撃が始まる。いちばん後発のギャリソンであったが、マッコイ、エルヴィンがコルトレーンと袂を分った後もグループに残り、巨星トレーンを最後までサポートする。おどろおどろしく始まる[1]、甘さに流されないバラードの[2]は珠玉の名演。 ★★★★

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 ハンク・モブレー(ts) 『Hank』


ハンク・モブレー(ts) 『Hank』

 ハンク・モブレーのファンであっても、このレコードを話題にすることは少ないようだ。ありがちな三管のハードバップ、ジャケットも地味。これといった特徴がないせいだろう。しかしそこが本盤の魅力なのだ。前半いかにもモブレーらしい粋なタイトルのオリジナルが二曲、後半馴染みのスタンダード三曲。快活な[1]は中間部ベースソロのアレンジがカッコイイ。ドナルド・バードが美しいトーンで先導する[4]、続くアルトのジョン・ジェンキンス、ボビー・ティモンズのピアノも良い。思わず目を細めて聴き入ってしまう良作。 ★★★★ アナログ盤あり

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 ポール・チェンバース(b) 『Bass On Top』


ポール・チェンバース(b) 『ベース・オン・トップ』

 ポール・チェンバースが参加したセッションは膨大な数にのぼるが、そのなかでも代表作と言えばこれだろう。[1]は全編弓弾きで通し、[2]はピチカートでテーマ~ソロを演奏。中盤に差し掛かり、ケニー・バレルのソロになってようやくベースランニングが登場、この瞬間がなんとも気持ち良い。4ビートのベースラインはジャズならではの快感だなあと、しみじみ有難味を感じる。当時籍をおいていたマイルス・デイヴィス・クインテットのレパートリーでもある[4]は本作品中では比較的オーソドックスな構成。ベーシストを際立たせるよう、ケニー・バレル、ハンク・ジョーンズも控えめでいぶし銀のプレー。 ★★★★

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 ビル・エヴァンス(p),ジェレミー・スタイグ(fl) 『What's New?』


ビル・エヴァンス(p),ジェレミー・スタイグ(fl) 『ホワッツ・ニュー』

 ビル・エヴァンスのレギュラートリオにジェレミー・スタイグを迎えた異色作。エヴァンスにとってはヴァーヴ時代最後の作品となる。[4]は『ポートレイト・イン・ジャズ』における名演と同じアレンジで、いつになく緊張感を孕んだ演奏。フルートの音色が加わることでより一層知的なムードが深まっている。マイルス・デイヴィス作の[7]に至っては、スタイグが唾を飛ばし、唄いながら吹くという過激さではあるが、音楽そのものはあくまでも格調高く、決して下品にはならない。そして本作の白眉、バラードの[6]はもう神秘的なまでの美しさ。紙ジャケあり ★★★★

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 ジミー・スミス(org) 『The Sound Of Jimmy Smith』

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ジミー・スミス(org) 『ザ・サウンド・オブ・ジミー・スミス』 国内盤あり

 ブルーノートのジミー・スミス以下オールスターによる第1回マンハッタンタワー・セッションからの5作目。オールスターといっても、本作での特別参加は[5]のアート・ブレイキーのみ。残りのトラックはレギュラートリオによる演奏、[1][4]にいたってはスミスのオルガンソロである。いつものメンバーによる演奏が、この作品に限って特別なものに響いてくるのは、きっと前2日のセッションが効いてるのだろう。注意深くクレジットを参照してみると、3日間全員がスタジオに詰めていたのではなく、おそらく11日に召集されたのはブレイキー、ドナルドソン、モブレー、バード、マクファーデン、12日がドナルドソン、バレル、ブレイキー、13日マクファーデン、ベイリーだ。 ★★★★

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 ジミー・スミス(org) 『Jimmy Smth At The Organ Vol.1』


ジミー・スミス(org) 『Jimmy Smth At The Organ Vol.1』

 1957年2月11,12,13日の三日間、マンハッタンタワーで行われたセッションのうち、12日に収録されたピックアップメンバーによる録音だが、同じシチュエーションでの兄弟作品ともいえる『A Date With Jimmy Smith』『The Sound Of Jimmy Smith』とは、それぞれに印象が異なって聞こえるから面白い。[1]はルー・ドナルドソンとスミスのデュオで、アルトが素晴らしく良い音で録れている。この深々とした残響はハッケンサックのスタジオには無かったもので、以後ブルーノートの大編成ものやスミスの録音はマンハッタンタワーが常用されるようになる。このことがイングルウッドの新ヴァン・ゲルダースタジオ建設への引金となったに違いない。『Vol.2』★★★☆☆

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 ドナルド・バード(tp,flh,vo) 『Black Byrd』

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ドナルド・バード(tp,flh,vo) 『ブラック・バード』

 ブルーノート最大のヒット作!といっても、わたしが初めて聴いたのはほんの数年前で、「なんてカッコイイんだ!これは買わねば!」と、すぐさまCD屋に走ったことを思い出す。発作的に買いたくなるのは飽きるのも早いが、曲想はカッコイイことこのうえない。ジェットエンジンのSEで始まるダンサブルなブラック・ファンク。CDを買ったその足でハイエンド・オーディオマニアのK谷さんに聴かせたら、「Master、若いですね」と感心された。ううん、確かにナウでヤングな感覚がイカシてる。今をときめくクレイジー・ケン・バンドのルーツは案外このあたりかも? ★★★☆☆

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 セロニアス・モンク(p) 『Thelonious Himself』


セロニアス・モンク(p) 『Thelonious Himself』

 モンクのピアノはメロディックじゃないから最初はとっつきにくいが、難しいことを考えず、虚心坦懐に受け止めれば、これほど快い音楽もない。まるでお伽噺のような不思議な世界に連れて行ってくれる。CD化の際、なんと20分を超える「ラウンド・ミッドナイト(イン・プログレス)」が追加された。本テイクに至る過程は興味深いものの、天啓を受けたように迷いなく弾いた[7]に比べると幾分散漫に聞こえる。弾こうと思えばいつでも弾けたのでは?[9]のみ参加のコルトレーンもいい。モンクの最高傑作はやっぱりこれだ。国内盤あり ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『TUTU』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『TUTU』

 マーカス・ミラーがプログラムした打ち込みのカラオケに合わせてマイルスがラッパを吹いた、とだけ聞いたらなんとも有難味のないレコードのようだが、一流の人がやるとカラオケだろうが打ち込みだろうが、立派な一流の音楽ができてしまうのである。エラソーに言ってるけど、本盤が出た当時、貸レコード屋に行って借りてきたのをカセットテープに録音しながら聴いてたのを思い出す。ジャケットはカッコイイのに音楽のほうはまるで良さがわからん。こらアカンとテープは消去。あれから20年を経て聴いてみると、これが良いのである。コロンビアからワーナーへ移籍しての第一弾、ビルボードの'86年度「トップ・ジャズ・アルバム」で第一位を獲得。当時のジャズファンは良い耳してたんだなあと感心。国内盤あり ★★★★

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 渡辺貞夫(as,sopranino,fl) 『カリフォルニア・シャワー』


渡辺貞夫(as,sopranino,fl) 『カリフォルニア・シャワー』

 なんといっても思い出すのは資生堂ブラバスのCM。ジャズといえばブラバスの香り(笑)まだ売ってるというから凄い。昔の床屋ではどんな男性化粧品をつけるかを指定できて、鐘紡のエロイカと人気を二分したものだ。デイブ・グルーシン、リー・リトナーらのサポートを得、LAで録音されたフュージョンの大ヒット作。当時のわたしは、このレコードによって「カリフォルニアといえば海岸と椰子の木」というイメージを強烈に刷込まれたのだった。当時流行したレゲエ風のリズムを取入れているため、長い間わたしはカリブ海とロスのイメージを混同していた。 ★★★☆☆

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 リー・モーガン(tp) 『Lee Morgan Vol.3』


リー・モーガン(tp) 『リー・モーガン Vol.3』

 クレジットにはないフルート(おそらくジジ・クライスの持替)がテーマメロディを吹く[1]で本盤は幕を開ける。カラフルな演出だ。絶好調のモーガンに続いて出てくるクライス。なんと悲しげなアルトなんだろう。そしておまたせしました。ベニー・ゴルソンがテナーで初登場。腕に自信がなかったのか、あまり吹きたがらなかったゴルソンだが、わたしはワンアンドオンリーな彼のテナーが結構好きなのである。そして本盤の目玉、『Jazz Lab』におけるドナルド・バードの初演より遅れる事二ヶ月、ワンテイクで終了した[3]はこの曲の決定的名演となった。 ★★★★

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 チャールス・マクファーソン(as) 『Live at the Five Spot』

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チャールス・マクファーソン(as) 『Live at the Five Spot』

 チャールス・マクファーソンは、チャールス・ミンガスのバンドにも籍を置いたことがある、チャーリー・パーカーの流れを汲むアルト奏者。パーカーの伝記映画「バード」のサウンドトラックでは、パーカー自身によるフレーズの穴を埋めるようにアルトを吹いた影武者的存在だ。ジャズロック調の[1]、ファイヴ・スポットといえばエリック・ドルフィーのライブ盤が有名だが、相変わらずピアノの調律が悪いのか、バリー・ハリスもキーを選んで弾きにくそう。しかし悪条件にめげずカッコよく決まっている。マクファーソンのアルトがややフラット気味に迫ってくるバラードの[5]、これは聞き物。 ★★★☆☆

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 バド・パウエル(p) 『The Amazing Bud Powell, Vol. 2』


バド・パウエル(p) 『The Amazing Bud Powell, Vol. 2』

 ピアノ、ベース、ドラムスの三重奏を「ピアノトリオ」として定着させたのはバド・パウエルで、それまで「ピアノトリオ」といえば、ナット・キング・コールのようにベースとギターを配したものが主流だったようだ。パウエルのピアノは音数が多くて和音も分厚い。ピアノ一台でオーケストラをやっているような感覚で、果たして伴奏楽器は何でも良かったかも知れない。各楽器の役割分担が聴かれるようになるのが本盤収録'53年のセッション。'49年の[11][12]、'51年の[4][9]などと比べ、かなりモダンなスタイルへと移行している。バロック風アレンジの[2]や[5]など、ベースとドラムスがパウエルのやりたいことをよく理解して追従している。過激な『Vol.1』に比べ、随分聴きやすい。 ★★★★

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 クリフ・ジョーダン(ts) 『Cliff Jordan』

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クリフ・ジョーダン(ts) 『Cliff Jordan』

 これに先駆けて、ジョン・ギルモアと双頭リーダーで『ブローイング・フロム・シカゴ』を吹込んでるものの、クリフ・ジョーダン単独名義では初のリーダー作。わたしは[1]のような曲に弱い。弾むようなミディアムテンポで、ほんの少し哀愁が漂うジョーダンの作。ホレス・シルヴァーの『ファーザー・エクスプロレイションズ』は、ジョーダンの参加あってこそだというのが、この曲を聴けばよーくわかる。そしてカーティス・フラー作の[3]。1957年になると、'56年以前のジャズシーンには見られなかったこのような新しい感性の曲が続々と出てくるようになる。リー・モーガンをはじめとする参加メンバーも豪華だが、レイ・ブライアントの低音ピアノで一段と凄みが増している。 ★★★★

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 ユタ・ヒップ(p) 『Jutta Hipp At The Hickory House Vol.2』


ユタ・ヒップ(p) 『ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.2』

 「ユタ・ヒップのピアノが好きで好きで…」或は「このCDが欲しくて欲しくて…」なんて人は殆ど居ないと思う。「ブルーノートの1500番台に入っているから一応買っておくか」というわけだ。アルフレッド・ライオン社長が意図したかどうかは知らないが、このように大して欲しくもないレコードを2枚まとめて買わせる仕掛けがブルーノートの1500番台にはある。しかも『Vol.1』『Vol.2』とあれば、『Vol.2』のほうに良い演奏が入ってることが多いのである。『Vol.2』だけ買って『Vol.1』を買わない日本人は稀。結局2枚まとめて買ってしまうのである。ずるいぞアルフレッド。硬質なスタイルを貫くヒップのピアノだが[7]のイントロにはホロリとさせられる。 ★★★☆☆

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 ポール・デスモンド(as) 『Take Ten』

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ポール・デスモンド(as) 『テイク・テン』

 一ヶ月後に同じメンバーで吹込んだ『ボッサ・アンティグア』とは姉妹作のような関係で、一曲ごとにボサ・ノヴァが挿入されている。表題曲[1]は御存知「テイク・ファイブ」の続編、「テイク・テン」ってくらいだから十拍子かと思ったらやはりこれも五拍子。[2]はスコールを思わせるコニー・ケイのブラシが爽快だ。しかし本作のハイライトはA面よりもB面つまり[5]からのくだり。「黒いオルフェ」の名演のひとつに数えられる[5]。控えめながらもコードに感情をぶつける[6]のジム・ホールが渋い。 ★★★☆☆

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 スタンリー・タレンタイン(ts) 『Joyride』


スタンリー・タレンタイン(ts) 『ジョイライド』

 イントロからして勇ましい[4]をかけると、柔道着に黒帯をしたタレンタインがバッタバッタと悪者を投げ飛ばしていく様を想像する。後半のアンサンブルを縫うように出るテナーは凄い貫禄だ。次にイイのが[3]で、オリバー・ネルソンの”カッチョイイ系”アレンジが効いている。ハンコックまで珍しく”カッチョイイ系”のピアノを弾く。同じくオリバー・ネルソンが編曲したソニー・ロリンズの『アルフィー』『ジミー&ウエス・ザ・ダイナミック・デュオ』に通じる雰囲気でメンバーもかなり重複。でもこの黒っぽい重厚感はブルーノートならではだ。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『クールの誕生』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Birth Of The Cool』

 この作品を聴いて思い浮かぶのイメージはギリシャ風「白亜の宮殿」。キャピトルのレーベルカラーとも一致する。明るい日差しとエーゲ海の爽やかな風が吹いてくるよう。唄入りの[12]が特にそうだ。ところがマイルスに似合いそうなのはエジプトやスペインの王宮なのだ。リーダーでありながらどことなく余所余所しい、まるで客演しているような印象はこのイメージのズレにあるのかも。[3]におけるリー・コニッツのソロからアンサンブルに一体化するくだりはすばらしく芸術的。この録音に先駆け、クラブ”ロイヤル・ルースト”に出演したときの九重奏団の演奏をカップリングした『The Complete Birth of the Cool』もある。 ★★★☆☆

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 サド・ジョーンズ = メル・ルイス ジャズ・オーケストラ 『Live In Tokyo』


サド・ジョーンズ = メル・ルイス ジャズ・オーケストラ 『ライヴ・イン・トーキョー』

 サド=メルのようなモダン感覚のビッグバンドは、もっとたくさんあってもよさそうなものだが。やはり大所帯をまとめるのはたいへんなのだろう。「ビー」と開演ブザーが鳴り、『マイルス・イン・トーキョー』でお馴染いソノてルヲ氏の司会に続いてゴキゲンなアンサンブルが素早く飛び出す。ジャブを繰り出すトランペット、熱を帯びてくるブラスセクション。ピアノソロにクールダウンでブラシに持ち替えるルイス。この瞬間がカッコイイ!最後のドラムソロではシンバル音の生々しさに息を飲む。大いに盛り上った次は、アルトがフラフラ登場したかと思うと、それに導かれ休む間もなくマイナー調のブルース[2]に突入する。見せ場満載の東京公演。 ★★★☆☆

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 チャック・マンジョーネ(flh,el-p) 『Feels So Good』


チャック・マンジョーネ(flh,el-p) 『フィール・ソー・グッド』

 音楽の何が好きって、そりゃあシンコペーションに決まってるじゃないか。滑り込むように先走る粋なリズム。クラシックにはこれがないから馴染めない。チャック・マンジョーネの大ヒット作[1]。ソフト&メロウなフリューゲルホーンに続いて16ビートを刻むギターが登場。ふわりと流れるようなメロディを分断するリズムがアクセントをつける、シンコペーション(・∀・)キター!!まさに表題どおりの気持ちよさ。この一曲だけでマンジョーネがいかに優れたコンポーザーかわかるが、[4]で聴かれるラッパの腕前も相当なもの。欠点といったら脳天気すぎることか。3年に1回位無性に聴きたくなる。 ★★★☆☆

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 リー・モーガン(tp) 『Lee Morgan Sextet』


リー・モーガン(tp) 『リー・モーガン Vol.2』

 ブルーノートのカタログを見ながら、次はリー・モーガンのどれを買おうかなと大いに悩むことだろう。本盤には「ウィスパー・ノット」が入っているし、『Vol.3』には極めつけの「アイ・リメンバー・クリフォード」が入ってるし、『ザ・クッカー』には「チュニジアの夜」だ。あー、もう迷うなあ。しかしジャケットのカッコ良さは本盤がピカイチ。三つ釦の上着がキマってる。ベニー・ゴルソンとオーウェン・マーシャルが作編曲としてクレジットされる。初代ジャズメッセンジャーズのモブレー、シルバーのサポートを得て展開する「ウィスパー・ノット」、ゴルソンにモーガンとくれば、次世代ジャズメッセンジャーズとして形を成すプロセスを見るようだ。 ★★★☆☆

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 リー・モーガン(tp) 『Lee Morgan Indeed!』


リー・モーガン(tp) 『リー・モーガン・インディード!』

 いきなりである。もうちょっと下積み期間とかあってもよさそうなものを。天才クリフォード・ブラウンの死と入れ替わるように登場した神童リー・モーガン18歳、初レコーディングにして堂々の初リーダー作。既に円熟味さえ感じさせるバラードプレイ[3]に舌を巻く。同郷フィラデルフィア出身のパーカー派アルト奏者C・シャープがなかなかの好演。この頃のモーガンはディジー・ガレスピーと同じくベルの曲がったトランペットを使っているが、当時ガレスピー楽団に所属していたことや、その後普通のトランペットを使ってることから察するに、ガレスピーのを借りて吹いていたのかもしれない。 ★★★☆☆

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 カーティス・フラー(tb) 『Bone & Bari』


カーティス・フラー(tb) 『ボーン&バリ』

 『ジ・オープナー』に続くカーティス・フラーのブルーノート第2弾。フラーのトロンボーンバリトンサックスのテイト・ヒューストンとの2管編成で『ボーン&バリ』というわけ。ジャズテットへの萌芽を感じさせる”男前”ナンバーの[1]、親しみ易い三拍子の[2]、スタンダードの[4]など、どこをとってもフラーのダイナミックにアップダウンする美しいメロディラインがちりばめられている。バリトンのワンホーン[5]はヒューストン一世一代、入魂のバラード演奏。本作以外に彼の目立った活躍はない。★★★★

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 トミー・フラナガン(p) 『Overseas』

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トミー・フラナガン(p) 『オーバーシーズ』

 幾多の大傑作セッションに名を連ね、「名脇役」の異名をとるトミー・フラナガン本人名義の代表作。今日の主役はキミだと言われて、さあ困ったフラナガン。小声でエルヴィン・ジョーンズに主役交代を申し出る。待ってましたとばかりにブラシを振回すエルヴィン。そんなやりとりがあったかどうかは定かでないが、時折シンバルが「ぷわっしぃぃぃいーーん!」と炸裂する[6]の盛り上がり方を聴いてると、スネアが汗やら涎やらでグチョグチョな様を想像してしまう。ピアノトリオの名盤をということであれば、やはりこの一枚は外せない。 ★★★★★

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 セロニアス・モンク(p) 『Genius Of Modern Music Vol.2』


セロニアス・モンク(p) 『Genius Of Modern Music Vol.2』

 [1]が入ってるから何度でも聴いてしまう。素早いマックス・ローチのハイハットで、おっ、急速調か?それともワルツ?と、思わせておいて、だんだんとリズムの全体像が見えてくる。ルー・ドナルドソンの抒情的なアルトが入ってくると同時にフォービートになっていて、すぐさまケニー・ドーハム登場。おおなんとトリッキーかつドラマチックな展開なのだろう!?汽車の窓から田園風景のパノラマを見るようだ。こんなに良い曲だというのにモンクによってレコーディングされたのはこれ一度きり。きっとモンクにしては普通すぎたのだな。[1]~[4]は'52年のセッション、モンク一人で引っ張っていたような『Vol.1』に比べるとサイドメンの活躍が目立つ。 ★★★★

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 セロニアス・モンク(p) 『Genius Of Modern Music Vol.1』


セロニアス・モンク(p) 『Genius Of Modern Music Vol.1』

 モンクの初リーダー作をブルーノートが録音していたというのは、意外なようで当然のようでもある。我々にとっては最初から巨人であっても、彼が本格的に有名になるのはこの約10年後、リバーサイドレーベルに移って、『ブリリアント・コーナーズ』をヒットさせ、漸くという感じなのだ。最も有名な[1]、当初はこのようにイントロをいろんな楽器が少しづつ引き継いでいく格好だったのだ。ソロはモンクのピアノのみでアッサリ終る。後に有名になる[2][3][8][9][10]と、独自のスタイルは今聴いても斬新、ぜんまい時計の中身を見るようだ。 ★★★★

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 サド・ジョーンズ(tp) 『Detroit-New York Junction』


サド・ジョーンズ(tp) 『Detroit-New York Junction』

 ブルーノート蒐集は結構なことだが、買うことばかりに気をとられ、本盤のような佳作を聴かずに放置なんてことになりかねない。わたしもそうだった。なんとなく地味なのだ。聴くのは後回しにしようという雰囲気がある。[1]はゆったりリラックス、コレが良い。ブルーノートではなくヴァーヴ盤を聴いてるようだ。先発はビリー・ミッチェルのテナー、快調だ。ケニー・バレルのギターの音でますます気分がほぐれ、ベースソロを挟んで、おもむろにサド・ジョーンズ登場。トミフラ節ピアノでこのまま気持ち良く終るのかと思ったら、キメキメのエンディングでビシッと終る。このへんがブルーノートだよなぁ。いいなあ。 ★★★★

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 メイナード・ファーガソン(tp) 『New Vintage』


メイナード・ファーガソン(tp) 『New Vintage』

 メイナード・ファーガソンは『ロッキーのテーマ』で一躍有名になった驚異のハイノート・トランペッター。で、今度は「スターウォーズのテーマ」である。なんと安直な(笑)決してフォービートのジャズっぽくも気だるいアレンジを期待してはいけない。勇ましいマーチのリズムに乗って、あのメロディが全開で来るから恥ずかしさ100%。ジャズとしてでなく、一種の懐メロだと思って聴けばそれなりに楽しめるし、[1]以外はわりと普通だから赤面せず聴ける。ジャケットも渋いし、当然ながら録音・演奏のクォリティも共に高い。 ★★★☆☆

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 デューク・エリントン(p) 『Hi-Fi Ellington Uptown』


デューク・エリントン(p) 『Hi-Fi Ellington Uptown』

 かつて大阪天王寺にあったジャズ喫茶「トップシンバル」のマスターに、「ドラムの音が凄いレコードは?」と訊ねたら、まずドナルド・バードの『フュエゴ』のB面、そして本盤の名を挙げた。なるほど[1]はルイ・ベルスンのショウケース、2ベースドラムが地響きを立てて迫ってくる。こら凄いわ。[2]は映画「コットン・クラブ」の冒頭シーンでお馴染み。妖しいムードの名曲だ。そして代表曲[3]はいろんなバージョンがあるが、今回のはベティ・ロシェの唄がフィーチュアされている。エリントン入門には本盤、もしくは『ザ・ポピュラー・デューク・エリントン』をお勧めしたい。 ★★★★

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 ジョージ・ベンソン(g,vo) 『Give Me the Night』


ジョージ・ベンソン(g,vo) 『ギヴ・ミー・ザ・ナイト』

 景気のいいディスコビートに乗って、ジョージ・ベンソンの華麗なるギターとボーカルが一歩進んで二歩下がる。素肌にVネックセーターがなんともダサカッコイイ!ギターソロをユニゾンで口ずさむのが得意のベンソンだが、唄もいけるじゃないかというわけでソフト&メロウ路線にイメチェン。表題曲[4]はビルボード”ブラック・シングルス部門”で最高1位、[1]も9位になった。[3]はパティ・オースティンとのデュエットによるヴォーカリーズで、元となったのはジェームズ・ムーディの「I'm In The Mood For Love」のソロ。建前抜きで言うとわたしは結構好きなんだ。(笑) ★★★☆☆

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 ジェリー・マリガン(bs),ポール・デスモンド(as) 『Quartet』


ジェリー・マリガン(bs),ポール・デスモンド(as) 『Quartet』

 ジェリー・マリガンの得意とするピアノレス編成は、ソリストが繰り出すメロディの美しさがものを言う。スポンスポンとキャッチャーミットに決まるストライクのようなジョー・ベンジャミンのベースラインに乗せて、マリガンとデスモンドが壮絶なバトルを繰り広げる。二人とも一見クールな表情を装っているが目は真剣。のっけから掛け合い、絡み合い、マリガンの呼びかけに反応して歌う歌う、凄いぞデスモンド!わたしがこのCDを買ったときは『ブルース・イン・タイム』というタイトルで、マリガンとデスモンドの顔をイラストにしたジャケットだった。国内盤あり★★★★

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 マッコイ・タイナー(p) 『McCoy Tyner Plays Ellington』


マッコイ・タイナー(p) 『McCoy Tyner Plays Ellington』

 マッコイ・タイナーのデューク・エリントン作品集。ジョン・コルトレーンのリズムセクション+パーカッションという編成で、同じインパルスの『至上の愛』直前の録音。つまりマッコイ以下三名は12月7、8、9日と三日連続でヴァン・ゲルダー・スタジオに詰めていたことになる。プロデューサーのボブ・シールは、これまでコルトレーンのリズム隊でマッコイのリーダー作を録るのを避けていたフシがあるが、ここに来て三役揃い踏み。[6]は一年半前の『バラードとブルースの夜』よりもぐっと目方が載ってヘビー。 ★★★☆☆

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 ハンク・モブレー(ts) 『Hi Voltage』


ハンク・モブレー(ts) 『Hi Voltage』

 ハンク・モブレーは独特のフィーリングを備えている。それは一言で言ってしまえば”ファンキー”なのだが、アート・ブレイキーやホレス・シルヴァーのそれとは微妙に異なり、R&B的で僅かに哀愁があり、それに何より重要なのが非常にスマートであるという点だ。本盤は全てハンクのオリジナル。ゴスペルの大合唱を思わせる[1]をはじめ、3管を巧みに使ったアンサンブルを聴かせる。ビッグトーンで迫るジャッキー・マクリーンの参加も見逃せない。[3]はワンホーンの幻想的なバラード。紙ジャケ国内盤あり ★★★☆☆

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 ミッシェル・ルグラン 『Legrand in Rio』

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ミッシェル・ルグラン 『Legrand in Rio』

 映画音楽も手掛けるピアニスト、ミッシェル・ルグランのペンによる、ブラジルをテーマにしたアルバム。果たしてこれをジャズと呼んでいいものか。しかしこの情熱的なジャケットデザインはじつに素晴らしい。内容のほうもパーカッションを中心に、ストリングス、コーラス、ブラスを駆使したカラフルな総天然色サウンド。[8]をはじめとする、きっと皆さんもどこかで聞いたことのあるメロディ。南米への憧憬を胸に、映画を観るように聴いてください。死ぬまでに一度はリオのカーニバルに行ってみたい。★★★☆☆

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 ウイントン・マルサリス(tp) 『Wynton Marsalis』


ウイントン・マルサリス(tp) 『Wynton Marsalis』

 彗星のごとく現れた天才トランペッター、ウイントン・マルサリス衝撃のデビュー作。アート・ブレイキーに見出され、本作ではかつてのマイルス・デイヴィスのリズムセクションをバックに、堂々たる吹奏を聴かせる。当時のジャズシーンにおいて、ウイントンはまさに「金の卵」であった。とにかく憎らしいほどラッパがうまい。当然嫉妬ややっかみも多く、「歌心がない」だの「冷たい」「無機質」だのと言われたものだった。4半世紀過ぎた今、本盤を冷静に聴いてみると、「どこが??」と言いたくなる。トニー・ウイリアムスの名曲[5]、ホットでじつに素晴らしくよく歌うではないか。 ★★★★

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 ウイントン・マルサリス(tp) 『Standard Time Vol.3』


ウイントン・マルサリス(tp) 『Standard Time Vol.3』

 父エリス・マルサリスは、ピアニストのウイントン・ケリーを敬愛していたことから、息子をウイントンと名づけたという。影響力においては今やすっかりケリーを追い越してしまった感じで、父親としても鼻が高いことだろう。このCDは寺島靖国さんの本にもよく登場する。寺島さんのオーディオチェック盤だ。ジャケットよし、録音よし、演奏よし、雰囲気もよし。全編静かなムードの曲ばかりでジャズ初心者にもお勧め。[6]一曲だけウイントンが「唄って」いる。これは聞いてのお楽しみ。 ★★★★

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 ジュニア・マンス(p) 『Junior Mance And His Swinging Piano』


ジュニア・マンス(p) 『Junior』

 親しみやすいメロディラインに、気持ち良~くスウィングするリズム、適度なブルース・フィーリングがうまくブレンドされたマンスの出世作。レイ・ブラウンの強力なベースによるバックアップに依るところが大きいのは一聴してわかる。ぶるんぶるんと巨大なゴム毬が弾むようなベースにのせられ、”ジュニア”は”一世一代”のピアノを弾いたのだった。ドラムのレックス・ハンフリーズはブラシで控えめにサポート。[8]のみ途中からスティックに持ち替え、トップシンバルを叩きだす。三位一体、この瞬間がなんとも堪えられない。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,flh) 『Directions』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Directions』

 帝王マイルスは1976年から約5年間、人々の前から姿を消した。その間もコロンビアとの契約は続いており、復帰の目処が立った1981年にリリースされたのが本盤。'60~'70年までの未発表音源集で、アコースティックからエレクトリックへの変遷を辿る内容。[1]は『スケッチ・オブ・スペイン』、[2]が『ブラックホークのマイルス・デイビス』、[3]が『セブン・ステップス・トゥ・ヘブン』からそれぞれ洩れていたトラック。『ソーサラー』の同曲より1週間前に収録の[4]など、ここまではアコースティックなマイルス。初めてハンコックが電子ピアノを弾いた[5]、[6]は『キリマンジャロの娘』のように南米的な曲想。[7][8]と続く表題曲は、ジャック・ディジョネットの強力なドラミングにプッシュされ、凄まじい演奏が繰り広げられる。 ★★★★

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 キャノンボール・アダレイ(as) 『Somethin' Else』

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キャノンボール・アダレイ(as) 『Somethin' Else』

 日本たばこ産業株式会社(現JT)提供のFM番組、「セレクト・ジャズ・ワークショップ」が昭和61~62年(1985~'86年)にかけて行った、「あなたのフェイバリット・チューン5曲を」というアンケートで、マイルスの「ラウンド・ミッドナイト」を抑え、堂々一位に輝いたのが本盤の[1]。ハードボイルドタッチの奇跡的名演。ワンテイクだったというが、マイルス、キャノンボールは勿論、全員の演奏が信じられないほど素晴らしい。あれからもう20年も経ったけれど、わが国で最も人気のあるジャズレコードであることに変わりはない。国内盤あり ★★★★★

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 ケニー・バレル(g) 『Blue Lights Vol.1』


ケニー・バレル(g) 『Blue Lights Vol.1』

 アンディ・ウォーホルが描いたこのジャケットを見ると、「タラリラッタラッタラ♪」と真っ先に「Scotch Blues」のイントロが聞えてくる。てっきり酒のスコッチのことだと思ってたら、どうやらスコットランドのことらしいと最近になって判明。『House Party』等、ジミー・スミスの一連のレコーディングと同じく、ハッケンサックのヴァン・ゲルダー・スタジオを離れ、マンハッタン・タワーズで行われた収録。テナー奏者が二人居る。ティナ・ブルックスとジュニア・クック。このレコードを買った頃はわからなかったブルックスとクックの違いが、今では明確にわかる。ジャズは個性の音楽だ。わたしも進歩したものだな(笑)輸入盤あり ★★★★

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 レイ・ブラウン(b) 『Something for Lester』


レイ・ブラウン(b) 『Something for Lester』

 ベースの神様レイ・ブラウン'77年のリーダー作。フュージョン全盛期にシダー・ウォルトン、エルヴィン・ジョーンズを迎え、ストレートでアコースティックなジャズが快哉を呼んだ。勇ましくサバンナを疾走するような[1]に始まり、ルーズなベースラインが印象的な[2]、[3]はサクサクッとブラシで始まり、ピアノソロに入るところで遅れて入るエルヴィンのシンバルがカッコイイ。そして[5]の「我が心のジョージア」がハイライト。全編スナップの効いた美しいピチカートが楽しめる。国内盤あり ★★★★

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 J.R.モンテローズ(ts) 『The Message』


J.R.モンテローズ(ts) 『The Message』

 緩急のつけ方がうまく、多彩な表現でドラマチックに盛り上げるJ.R.モンテローズ絶頂期の傑作。『ストレート・アヘッド』という題名で”ザナドゥ”レーベルから出ていたこともあり、わたしはそちらを所有。モンテローズのテナーとラ・ロカのドラムが火花を散らす[1]は手に汗握る名演だ。最後のテーマに戻るときのカッコよさ!これは偶然か、こんなに決まっちゃっていいのだろうか。[2]、[6]と、甲乙つけがたいバラードが2曲、情感をたっぷり篭めて、さあ唄っていただきましょう!って感じ。モンテローズのテナーはホント癖になる。 ★★★★★

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 マンデル・ロウ(g) 『The Mundell Lowe Quartet』


マンデル・ロウ(g) 『The Mundell Lowe Quartet』

 クールで軽快、実に心地良い音ですらすらとギター爪弾くマンデル・ロウの代表作。サラ・ヴォーンの『アフター・アワーズ』でギターを弾いた人だ。チャーリー・クリスチャンやバーニー・ケッセルのようなビバップ風フレーズを得意とする一方、和音の感覚にも優れ、[3]や[6]のコードワークが美しい。ブルースもガンガン弾ける人だと思うのだが、ここでは敢えて黒っぽさを抑え、趣味の良い作品に仕上がった。ディック・ハイマンのバロック調オルガンも良い味出している。[9]は早すぎた前衛作品??国内盤あり ★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Coltrane's Sound』


ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Coltrane's Sound』

 邦題が『夜は千の眼を持つ』。で、このジャケットだからなんとも不気味。『ソニー・スティット・プレイズ・バード』と同じタッチで、マーヴィン・イスラエルという人のデザイン。内容はおどろおどろしい感じではなく、意外と爽やかである(コルトレーンにしては)。特にソプラノで吹く自作の[2]は都会的でこよなく美しい。同じ時期の演奏が『マイ・フェイヴァリット・シングス』『コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース』と本盤に分散収録されている。[4]はテンポやアプローチなどが「マイ・フェリヴァリット~」に、[6]は『ジャイアント・ステップス』の表題曲にそれぞれ雰囲気が似てる。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis at Newport 1958』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis at Newport 1958』

 ビル・エヴァンスがマイルスバンド在籍中に残したレコードは、たったの3枚。いや、スタジオ録音の『1958マイルス』は『ジャズトラック』の半分だったから正確には2枚半。残りは『ジャズ・アット・プラザ』と本作、共にライブ盤だ(『カインド・オブ・ブルー』は退団後)。キャノンボールとコルトレーン、そしてエヴァンス入りのマイルス・デイヴィス・オールスターズ。ジミー・コブも大張切りで、最初ドラムばかりがやかましく、大丈夫かいなと思って聴いてたら、だんだんと録音バランスが良くなってくる。緩やかなテンポに載せ、各自アイデアに溢れたソロを展開する[4]など、まったくもって素晴らしい。 ★★★★

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 キャノンボール・アダレイ(as) 『Mercy, Mercy, Mercy!』


キャノンボール・アダレイ(as) 『Mercy, Mercy, Mercy!』

 ジャズ史上空前のヒットを記録したというこの表題曲を初めて聴いたとき、作者でもあるジョー・ザヴィヌルのエレクトリックピアノが、ジミ・ヘンドリックスのギターっぽいなと感じた。実際はこの演奏のほうが先なのでジミヘンがコピーした可能性が強い。どの曲もソウル色が濃厚で観客も熱狂的。ノリが横ノリだ。ナット・アダレイ作の[2]もいかしてる。本作での成功をマイルス・デイヴィスがじーっと観察しており、例によってザヴィヌルを引き抜き『イン・ア・サイレント・ウエイ』を完成させる。 ★★★★

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 ラムゼイ・ルイス(p) 『The In Crowd』


ラムゼイ・ルイス(p) 『The In Crowd』

 大ヒットを記録したラムゼイ・ルイスのライブ盤。明快なリズムとゴスペル調のメロディで観客もノリノリのエンターテイメント。ジャズロック風の[1]、チェロのパフォーマンスで沸かせる[3]、ドラマチックな展開の[5]など、飽きさせない構成はライブならでは。今聴くと少し軽すぎる気もするが、オーネット・コールマンの出現以降、どんどん難解になっていくジャズの一方で、本当に一般大衆が求めていたのは、このように単純なものだったのでは?翌'66年にはキャノンボール・アダレイがこれまたジャズロック調の『マーシー・マーシー・マーシー』で大ヒットを飛ばす。 ★★★☆☆

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 ギル・エヴァンス(p) 『Gil Evans Plays Jimi Hendrix』


ギル・エヴァンス(p) 『Gil Evans Plays Jimi Hendrix』
アナログ盤あり

 ギル・エヴァンス指揮のオーケストラによる、ジミ・ヘンドリックス作品集。ギルのオーケストラにジミヘンを迎え、マイルス・デイヴィスも参加するはずだったのが、ジミヘン急死のため実現せず。その数年後に発表されたのが本作であるが、ちょっとこれはシンドイ。[1]のデヴィッド・サンボーンのアルトはちょっと良いかなとも思うが、そのあとがどうもいけない。[2]でマーヴィン”ハンニバル”ピーターソンがカラオケのような唄を披露。[3]の管楽器で一斉に「フォクシィ!」はないだろう。夢の共演が実現してたらもう少しマシなものができたと思うが、実現しなくてよかったような気も…。輸入盤あり ★★☆☆☆

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『Strange Blues』


ジャッキー・マクリーン(as) 『Strange Blues』

 録音後約10年経って発表された『メイキン・ザ・チェンジズ』『ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース』のアウトテイク集。あまり考えないでラフに演奏してるのが良いのか、マクリーンものびのびと実力を発揮している。またしてもチューバのレイ・ドレーパー登場。[2]のブルースではなかなか頑張っている。チューバでこれだけ吹けたらたいしたもんだとも思うのだが。[1][5]もブルースナンバー。愛奏曲[3]が本盤の華。ブルーノート盤『スイング・スワング・スインギン』の同曲よりもこっちのほうが好き。 ★★★★

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『Jackie McLean & Co.』


ジャッキー・マクリーン(as) 『Jackie McLean & Co.』

 マイルス・デイヴィスが年下のマクリーンを可愛がったように、当時ジャズの世界では年功序列というか、上級生が下級生を仕込んでやるような風潮があったようだ。マイルスのもとを離れ25歳になったマクリーンも17歳のチューバ奏者のレイ・ドレーパーを使い、プレスティッジレーベルに数枚のレコードを残している。たしかに物珍しい楽器であるが、やはりチューバとなるともたついて身動きがとれず、八分音符より速いフレーズは苦しいものがある。ベストはマクリーンの刺すような泣きのアルトが聴ける[2]、マル・ウォルドロンも良い。[4][5]はチューバ抜きでなんだかホッとする(笑)国内盤あり ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Munich Concert』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Munich Concert』

 「これいいよ」とお客さんが教えてくれた通称「ミュンヘン・コンサート」、梅田タワーレコードにて1460円でゲット。怪しげな海賊盤もどきだが、3枚組の美麗デジパック仕様、録音も良い。'88年晩年のマイルス、ドイツ、ミュンヘンでの実況録音で、『ライヴ・アラウンド・ザ・ワールド』に準ずる内容。こんなものかなと聴いてたら、最後の'70年ワイト島でのパフォーマンスの物凄いこと!35分を超える組曲のような演奏で、トランペットの音が素晴らしい。長年CD買ってて初めてボーナスもらった気がした。電化マイルスに抵抗ない方は是非! ★★★★

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 デクスター・ゴードン(ts) 『Doin' Allright』


デクスター・ゴードン(ts) 『Doin' Allright』

 4076番がホレス・シルヴァーの『Doin' The Thing』、そして4077番『Doin' Allright』と「Doin'」が2枚続く。'40年代にならしたベテランのデクスター・ゴードンにとって、ブルーノートレーベルでの初リーダー作。フレディ・ハバードのトランペットにリズムセクションはホレス・パーラン・トリオ。リラックスしていてしかも豪快。[4]のブルースは、映画「ラウンド・ミッドナイト」の劇中で、同じくデックスとフレディのフロントによって再演された。ソニー・ロリンズ風な[5]も聴き所のひとつ。この後数枚を同レーベルに吹き込んでいるが、いずれも傑作揃いだ。 ★★★★

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 チャーリー・クリスチャン(g) 『Jazz Immortal』


チャーリー・クリスチャン(g) 『Jazz Immortal』

 有名な『ミントン・ハウスのチャーリー・クリスチャン』。まだテープレコーダーも無かった時代に携帯用ディスクレコーダーで録音されたモダンジャズ黎明期の貴重なドキュメント。当時ジャムセッションのメッカだったハーレムのミントンズ・プレイハウスとアップタウン・ハウスでの演奏。所謂歴史的名盤というやつであるが、そうした重要度を差し引いても、クリスチャンのアドリブは素晴らしく冴え渡っていてまるで管楽器のよう。なんといっても[1]が圧倒的だ。この頃はまだセロニアス・モンクのピアノも意外なほどに普通。夜毎行われるこうした切磋琢磨からビバップが誕生したとされる。 ★★★★

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 チェット・ベイカー(tp) 『Chet Baker In New York』


チェット・ベイカー(tp) 『Chet Baker In New York』

 西海岸のスター、チェット・ベイカーのNY進出第2弾。前作『イット・クッド・ハップン・トゥ・ユー』は歌物だったが、今度はトランペットだけで勝負。チェットとジョニー・グリフィンの組合わせは、モヤシと牛肉みたいでなかなか悪くない。アル・ヘイグのピアノもバド・パウエル風味で栄養価は高い。中音域でトランペットを吹くチェットは、マイルス・デイヴィスのフレーズをたくさんコピーしたという。[4][6]とマイルスのレパートリーを入れたのは、NYに君臨する帝王に対する敬意の表れか。 ★★★★

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 J.J.ジョンソン(tb) 『The Eminent Jay Jay Johnson, Vol.2』


J.J.ジョンソン(tb) 『The Eminent Jay Jay Johnson, Vol. 2』

 ’53年のクリフォード・ブラウンとジョン・ルイス組、’54年のウイントン・ケリー、チャーリー・ミンガスらとの2つのセッションで構成されている『Vol.1』に対し、本盤ではハンク・モブレー、ホレス・シルバー参加の’55年のセッションが軸になっていて、[1][2][3][6][7][8]がそれ。1年毎にビバップからハードバップへの変遷が聞き取れる。モダントロンボーンの先駆者であるJJは、その信じ難いテクニック、豪放なトーンと共に、アレンジメントにおいては緻密で繊細な面も併せ持っていたようだ。バラードの[9]は、ミンガスのベースの存在感が物凄い。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Milestones』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Milestones』

 ジャズ初心者がまず最初に押さえるべきはマイルス・デイヴィスである。天下の名盤『マイルストーンズ』ともなればジャケットを見ただけで聴いた気になってしまうが、マイルスのトランペットは勿論、バンドメンバーのなんとハイテンションなことよ![5]はレッド・ガーランドのピアノトリオ演奏だが、まるで別人のようにスイングする。キャノンボール・アダレイの初参加、ガーランド脱退、モード奏法への参入と話題に事欠かない。マイルスこそがモダンジャズの歴史を作り、常にその中心を歩んできた巨人なのだ。ジャズの中心でマイルスを聴けッ! ★★★★★

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 ボビー・ハッチャーソン(vib) 『Happenings』


ボビー・ハッチャーソン(vib) 『Happenings』

 ’50年代のハードバップ、ファンキーを経て、'60年代のジャズはR&Bを含むジャズロック、ボサノヴァ、フリー、新主流派へと枝分かれしていく。ウエイン・ショーター、ハービー・ハンコックらが牽引した新主流派と呼ばれるモーダルな作品群のなかでも極めつけの一枚。同じ編成のMJQと聴き比べてみれば、その響きの違いは明白だ。ハンコックの代表的名演を凌駕するといわれた[4]。詩的で美しいバラードの[6]、フリーフォームの[7]を一曲のみ入れるのは、この頃の流行だったようだ。 ★★★★

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 ハービー・ハンコック(p) 『My Point Of View』


ハービー・ハンコック(p) 『My Point Of View』

 ブルーノートにおけるニ枚目のリーダー作で、マイルスのバンドに参加直前のレコーディング。R&B色の強い[1]で幕を開け、順にソロを引き継ぐオーソドックスなスタイルの[2]、[3]はハンコックらしい新しい響きの作品で、次の『エンピリアン・アイルズ』に通じる雰囲気。独自の抒情的世界への萌芽[4]はアンサンブルとピアノの対比が美しい。あまり最後の曲らしくないファンキーな[5]で終わる。バラエティに富んでいるというか、バラバラな内容というべきか、何をやらせてもうまくやってのける才能はさすが。恩師ドナルド・バード、ハンク・モブレーも好演。輸入盤あり ★★★★

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 チャーリー・パーカー(as),ディジー・ガレスピー(tp) 『Diz'N Bird At Carnegie Hall』


チャーリー・パーカー(as),ディジー・ガレスピー(tp) 『Diz'N Bird At Carnegie Hall』

 カーネギー・ホールでの実況録音。ある方に、パーカーの「グルーヴィン・ハイ」はどれに入ってますかと訊ねたら、このCDをプレゼントしてくださった。何でも言ってみるもんである(笑)だが好事魔多し。チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーのクインテット演奏は最初の5曲のみ。管は鮮明に録音されているものの、ピアノの音が殆ど聞こえない。後半はガレスピーのビッグバンドでアフロ・キューバン風のビバップ。リズムセクションはそのままだが、こちらのほうがコードがはっきりして若干聴き易い。 ★★★☆☆

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 テディ・ウィルソン(p) 『Of Thee I Swing』


テディ・ウィルソン(p) 『Of Thee I Swing』

 テディ・ウィルソンのピアノを期待して、よくクレジットを見ないで買ったら、殆どの曲が歌伴。それも半分以上ビリー・ホリデイが唄っていた。他にベニー・グッドマン、レスター・ヤング、ライオネル・ハンプトン、ベン・ウェブスターなど凄いメンツ。[11]のミッジ・ウィリアムスの天使のような美声とはまるで対照的なホリデイの[10]は、一升瓶片手に立膝でひとくさり唸ったようだ。'36~'37年にかけての録音で、たしかこの頃彼女は、ベニー・グッドマンと叶わぬ恋をしてたはず。肝心のテディ・ウィルソンはというと、イントロや間奏にちょこっとソロをとる程度。ピアノで腹一杯にはならない。 ★★★☆☆

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 ローランド・カーク(ts,mzo,str,fl) 『Domino』


ローランド・カーク(ts,mzo,str,fl) 『Domino』

 リード楽器を3本いっぺんに咥えて吹く盲目の怪人ローランドカークの代表作。奏法はエキセントリックだが音楽性はマトモ。[1]や[7]のように哀愁あふれる甘い曲が得意で、フレーズの要所要所で効果的にハモらせている。12小節ブルースの[6]など、カルテットなのにこんなにカラフル!時々「ピューゥ」と出てくるホイッスルのタイミングの見事なこと。なんとこれは鼻で吹いてるらしい!?アンドリュー・ヒルとウイントン・ケリー、CDで追加されたハービー・ハンコックと、ピアニストの個性によって随分雰囲気が違っている。 ★★★★

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 セロニアス・モンク(p) 『Thelonious Monk And Sonny Rollins』

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セロニアス・モンク(p) 『Thelonious Monk And Sonny Rollins』

 3種のセッションからピックアップされたアルバム。[1][2]が絶好調のソニー・ロリンズを加えたカルテットで、本盤の目玉。ロリンズのリーダー作『ムーヴィング・アウト』の「モア・ザン・ユー・ノウ」と同じセッションだ。[3][4]がアート・ブレイキーを含むトリオで、これも素晴らしい演奏。[5]はフレンチ・ホーンが入るクインテットだが、この曲だけちょっと間延びした感じがする。この頃のモンクはまだ音数が多くてトリッキー。ソリストのバックにまわってもガンガン弾きまくっている。録音技師は勿論ヴァン;ゲルダーで、[5]のみWORスタジオで収録「remasterd by Van Gelder」とクレジットされている。輸入盤あり★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis Volume 1』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis Volume 1』

 ジャズって凄いッ!はじめてそう思ったのが[1]の「テンパス・フュージット」だった。なんと凄い演奏だろう!?ハードロックが束になっても敵わない。血沸き肉踊る原始のビートを叩き出すはアート・ブレイキー。マイルスのソロの出だしのシンバルなんか、明らかに先走ってるのに、ピタリ収まってる。おいおいこれは只事じゃないぞ。お馴染の[7]は堂々とした行進曲風のテンポで、ジャッキー・マクリーンの太く短いソロがこれまたイイ!オープントランペットが美しいバラードの[5]、そして[9]で黒人の情念が迸る。[10]はプレスティッジで演った「ディグ」と同じ曲。 ★★★★

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 クリフォード・ブラウン(tp) 『Clifford Brown Memorial Album』


クリフォード・ブラウン(tp) 『Clifford Brown Memorial Album』

 これはもうホント素晴らしい。特に前半の三管編成のセッションは曲、アレンジ、演奏ともに文句なし。端正なトランペットにヘレン・メリルでなくともため息が出る。後半はルー・ドナルドソンがリーダーのセッション。[17]のソロの引継ぎ方なんかも抜群にうまい。LP時代に『More Memorial Album』として別テイク集が出ていたのがこのCDで一枚にまとめられたようだ。曲順が変わってるのは少々気に食わないが、「Memorial Album」であるから全部入ってるほうがいい。オリジナルの曲順がいい人は国内盤をどうぞ。 ★★★★★

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 ビル・エヴァンス(p) 『Empathy』


ビル・エヴァンス(p) 『Empathy』

 ホームページを始めて間もない頃、掲示板にこんなメッセージが寄せられた。『手を離れた一人息子の幼い頃の写真を見ながら、エヴァンスの「ダニー・ボーイ」を聴いてます』情景が思い浮かぶようで、今でも印象に残っている。その感動的な「ダニー・ボーイ」が入ってるのが本作。「Empathy」とは「感情移入」の意。シェリー・マンのドラミングがキマってる[1][4]は、ジャケットデザインと相俟って幾何学的な印象。ヴァン・ゲルダーの音作りも効果的だ。(※『A Simple Matter Of Conviction』とカップリングの2in1CDあり) ★★★★

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 ズート・シムズ(ts) 『Zoot Sims Quartets』


ズート・シムズ(ts) 『Zoot Sims Quartets』

 アナログレコードでなごみたいようなジャズファンに人気があるのがズート・シムズ。リラックスして聴けるからだろう。常に安全地帯にあって、ハラハラさせられる心配は無用。適度にモダンでノリがよく、おまけにバラードもうまい。強いて不満を言えば顔が怖いことくらいか。[1][2]と別テイクが続くが、ノリが良いので2曲一組で一気に聴けてしまう。[8][9]と珠玉のバラードが続き、[10]で終わりかと思ったらブレイキーが終わらない。きっと楽しくてもっと演りたかったのだろう。[6]はマスターテープの状態が良くないようだ。国内盤あり ★★★☆☆

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 ベン・ウェブスター(ts) 『King Of The Tenors』


ベン・ウェブスター(ts) 『King of the Tenors』

 まだジャズなんか聴いてなかった頃、ロックやR&Bにちょこっと登場するテナー奏者は、どれもこれもこのベン・ウェブスターのように潰れた汚い音を出していたから、”テナー・サックス”という楽器はてっきりそういう音を出すものだと思っていた。アップテンポの曲はダーティに、スローな曲では羽で擦るがごとくソフトに。その男っぽいスタイルを生涯貫いた”ビッグ・ベン”。”テナー・サックス”を手にしたミュージシャンは、皆彼に憧れたのだろう。 ★★★☆☆

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 ウィルバー・ハーデン(flh) 『Jazz Way Out』


ウィルバー・ハーデン(flh) 『Jazz Way Out』

 美しいフリューゲル・ホーンを得意とするトランペット奏者ウィルバー・ハーデンの「アフリカ」をテーマにしたハードバップ作品。[1]の12節ブルースをちょいと捻ってアフリカンにしてしまうセンスなど大したものだ。共演者が素晴らしく、特に異常な大音量(ハーデンやフラーと比べると歴然!)で”シーツ・オブ・サウンド”なる音の洪水を吹きまくる、この頃のコルトレーンは本当に凄い。収録時間が短く30分にも満たないのが少し残念だ。なお、ハーデンの最高傑作とされる『タンガニカ・ストラット』のタイトル曲もこのときのセッション。 ★★★☆☆

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins vol.1』


ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins vol.1』

 『サキソフォン・コロッサス』『テナー・マッドネス』などの傑作を残したプレスティッジ・レーベルとの専属契約が切れ、ブルーノートに移籍しての第一弾。同じスタジオで演奏してるのに、プレスティッジ時代とはガラリと雰囲気が違ってるのは名プロデューサー、アルフレッド・ライオンの差し金か。それにしても[2]の御輿を担いだようなドラミングは、なんだか『ブリリアント・コーナーズ』の「べムシャ・スイング」みたいだな、と思って調べてみたら、録音されたのがその前日だった。このレコーディングでみっちりリハーサルをやったロリンズとマックス・ローチが、次の日もつい同じノリで演ってしまったという按配。 ★★★★

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 グラント・グリーン(g) 『The Main Attraction』


グラント・グリーン(g) 『The Main Attraction』

 本盤を聴いて連想するのは、深夜営業の喫茶店、サングラス、オイルの匂い、'70年代のカッコ良さがいっぱい詰まってる。たった三曲しか入ってない。ポマードこってりコテコテの[1]は20分近い、つまりレコードだと1曲だけでA面が終わるわけだ。渋い!(笑)お気に入りはディスコ調の[2]。ツッパリの不良がデートに出かけるようにウキウキさせられる。[3]はグリーン得意のブルースで、デヴィッド・マシューズのナウなアレンジがヤングなみんなにウケそうだ。 ★★★☆☆

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 ジョアン・グラウアー(p) 『Joanne Grauer Trio』


ジョアン・グラウアー(p) 『Joanne Grauer Trio』

 モードは、わずか30枚ほどの作品をリリースして消滅した西海岸のマイナーレーベルで、いずれもエヴァ・ダイアナの手になる肖像画ジャケットが使われている。カタログの多くが新人の発掘に充てられ、この女性ピアニスト、ジョアン・グラウアーもそのなかの一人。当然のことながら後が続かず、その後の情報も殆どない。ハンプトン・ホーズを思わせる大胆に低音弦を叩く奏法はなかなか痛快で気持ちが良い。この頃まだ10代。発展途上であり、このまま育っていれば良いピアニストになれたかもしれないが、それが必ずしも幸せだったとも限らない。美人だし。 ★★★☆☆

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 コンテ・カンドリ(tp) 『Conte Candoli Quartet』


コンテ・カンドリ(tp) 『Conte Candoli Quartet』

 兄弟トランペッター、カンドリ兄弟の弟。兄のピートがハッタリを効かせてラッパを吹くのに対し、弟のコンテはあくまでも実直。まるでリー・モーガンとケニー・ドーハムのような違いがある。本盤はワンホーンでモードレーベルに入れた代表作。後半[5]以降が特に素晴らしい。ベースラインとドラムスとが息もピッタリに一体化、あまり知られてないピアニストのヴィンス・ガーラルディもじつに良いソロを聴かせる。クライマックスは[8]だ。 ★★★☆☆

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 ソニー・クラーク(p) 『Sonny Clark Trio』


ソニー・クラーク(p) 『Sonny Clark Trio』

 同名のアルバムがブルーノートからも出ているが、こちらは全曲ソニーのオリジナルで、スタンダード曲で固めた前者とは対照的。かつては”幻の名盤”と騒がれたものの、CD時代になって有難味は半減。それでも内容は一級品だ。独特の音色、それにジャズには珍しい油絵タッチのジャケットデザインが醸し出す陰鬱な雰囲気のなか、バド・パウエルを彷彿とさせるバップフレーズが踊る。[1]、[3]のマックス・ローチ、[2]のジョージ・デュビビエのソロも良い。 ★★★★

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 ジョージ・ベンソン(g,vo) 『George Benson In Concert - Carnegie Hall』

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ジョージ・ベンソン(g,vo) 『George Benson In Concert - Carnegie Hall』

 1975年カーネギーホールでのライブ録音で、素晴らしく音が良い。アナログの録音技術はこの頃頂点を極めたのではないか。「ツァラトゥストラはかく語りき」をモチーフに使った壮大な[4]は凄すぎて思わず笑ってしまう。この曲のみ得意のスキャットとボーカルが楽しめる。ソウルとディスコとフュージョンの中間の雰囲気。こんなふうに大きな襟のシャツをスーツのVゾーンからはみ出して着るのが昔流行って、わたしもやってみたかったがスーツなど持ってない子供だったのでできなかったな(笑) ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles In The Sky』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles In The Sky』

 [1]はハンコックのエレクトリックピアノに導かれ、名作「ネフェルティティ」に似た感じのテーマが行進曲のように勇ましいリズムに乗って展開する。カッコイイ!テーマが延々と繰り返され、忘れた頃にマイルスのソロが始まるのだが、これがもうホント素晴らしい。ショーター以下のメンバーに自由にやらせていた前作までに比べ、これぞマイルス主導の音楽だという御大の気迫が感じられる。続く[2]では、当時まだ無名だったジョージ・ベンソンのギターが登場。R&B調のフレーズを繰出し、必死で自分が入り込む余白を探しているかのようだ。 ★★★★

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 ヒルトン・ルイズ(p) 『Strut』


ヒルトン・ルイス(p) 『Strut』

 CDがまだ出始めの頃、盗難防止の為にジャケット写真をプリントしたボール紙でカバーがしてあった。このジャケットを見て衝動買い。'80年代のものに多い薄味の録音。どちらかといえばフュージョン系で4ビートはなし。リー・モーガンの[1]など、ベースがチョッパーしてたりする。しかし曲が良かった。[5]から[6]にかけての爽やかな曲想がとても好きだ。前衛出身のサム・リヴァースも意外によく馴染んでいる。五月の晴天の日に聴きたい爽快CD。[8]はピアノの独奏。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Nefertiti』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Nefertiti』

 マイルスが純粋なアコースティックなジャズをやった最後の作品であると同時に、アコースティック・ジャズの最終形態を示した傑作。以後も本作に準ずるスタイルのレコードが発表されるが、個人的には一応ここまでがマイルスの「ジャズ期」という線引きをしている。溶解寸前、かろうじて形を保っているような断片的なフレーズで曲が構成され、前衛ほどではないにしてもシュールで難解。ハンコックの[5]は、自身の『スピーク・ライク・ア・チャイルド』での演奏に比べると随分短く、途中でマイルスが割って入って強引に曲を終わらせたように聞こえる。 ★★★★★

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 ルー・ドナルドソン(as) 『Quartet Quintet Sextet』


ルー・ドナルドソン(as) 『Quartet Quintet Sextet』

 ルー・ドナルドソンは紛れもないパーカー派アルト奏者であるが、チャーリー・パーカーの吹く同曲を思い浮かべて[1]を聴くと、悪くはないけど随分と間が抜けて聞こえる。本領発揮はブルースナンバーの[2]。短いながらも、ルー、シルバー、ミッチェルと、上手い具合にソロが受け渡され、最後にもう一度ルーが〆る。[4]は7年後の『タイム・イズ・ライト』で、同じくミッチェルのトランペットと組んで再演。飄々とアルトを吹く[6]なども、じつに味がある。アート・ブレイキーがドラムを叩く後半より、ガタゴトと列車が走るようにシルバーのピアノが煽る前半のほうが好きだ。 ★★★☆☆

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 ジミー・スミス(org) 『Prayer Meetin'』


ジミー・スミス(org) 『Prayer Meetin'』

 ジミー・スミスのトリオにスタンリー・タレンタインのテナーをフィーチュアした、かなりR&B寄りのアーシーな作品。[4]はサッチモで有名なあの「聖者の行進」であるが、これも砕けた解釈でダンサブル。タレンタインは「オエッ、オエッ」と、得意のファンキーなフレーズで盛り上げる。この裏返ったようなテナーの倍音にヴァン・ゲルダーのエコーが絡むと最高にカッコイイ。幾分地味な印象の本編よりも、むしろ3年前に収録したボーナストラックの[7]でそいつが炸裂する。 ★★★☆☆

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 ジョニー・グリフィン(ts) 『A Blowing Session』


ジョニー・グリフィン(ts) 『A Blowing Session』

 メンバーがすごい。リー・モーガンのトランペットに、コルトレーンとモブレーのテナー。肉汁したたるビーフステーキのようなテナーを吹くグリフィンに圧倒され、彼等の影の薄いこと。のっけからアート・ブレイキーは暴走し、もう手がつけられない。グリフィンもいくら吹けるからって、これはちょっとやりすぎだ。主役が脱線気味な一方で冷静なコルトレーン。[3]と1ヶ月後に収録された『Cattin' With Coltrane And Quinichette』の[4]でのトレーンのソロを聴き比べるのも一興だ。[4]のモーガンもいい。 ★★★☆☆

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 ジョニー・スミス(g) 『Moonlight in Vermonter』


ジョニー・スミス(g) 『Moonlight in Vermonter』

 凄いテクニシャンでありながら、テクニカルなところを強調せず、あくまでギターの音の美しさで聴かせるジョニー・スミスの代表作。このサウンドにはこのテナーしかないと思ったのか、スタン・ゲッツをはじめ、ズート・シムズ、ポール・クニシェットといった、いずれもレスター・ヤング派のテナーがサポートしているのが興味深い。昔のジャズのレコードによくある話だが、[5]はどう聞いても「星降るアラバマ」ではなく「ゴースト・オブ・ア・チャンス」、つまり[7]と同じ曲である。 ★★★★

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 ジョー・ワイルダー(tp) 『Wilder 'N' Wilder』


ジョー・ワイルダー(tp) 『Wilder 'N' Wilder』

 軽業師のようにアップダウンするワイルダーのトランペット。[1]を再生するだけでリキュールの匂いが部屋に充満し、赤ら顔の酔っぱらいが繰り言するようなバラードの[6]など、酒に弱いわたしなどは聴いただけで酔ってしまいそう。そして宝石のようなハンク・ジョーンズのピアノを聴いてると、ああやっぱり『サムシン・エルス』のピアノはハンクでなければいけなかったのだな、と妙に納得する。何はなくともジャズには品格というものが必要なのだ。温かで極楽気分のワンホーン・アルバム。 ★★★★

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 ミルト・ジャクソン(vib) 『Modern Jazz Quartet & Milt Jackson Quintet』


ミルト・ジャクソン(vib) 『Modern Jazz Quartet & Milt Jackson Quintet』

 [1]~[4]までが初代M.J.Q.の演奏で、後半[5]~[8]はジョン・ルイスが抜け、かわりにヘンリー・ブージャーのトランペット、ホレス・シルバーのピアノを加えたクインテット。[2]は名盤『ジャンゴ』で「ラ・ロンド組曲」として再演、「トゥー・ベース・ヒット」という別名でも知られる。バラードの[6]では、ケニー・クラークのガラガラヘビのようなブラシさばきが聞き物。シルバーが活きのいいピアノを聴かせる一方で、R&Bバンド出身ブージャーの、コブシとビブラートを多用するトランペットがいまひとつジャクソンのビブラフォンと合ってないような気も。ホーンならマイルスのような…、あっ、このセッションは『バグズ・グルーヴ』の青写真だったのかも? ★★★☆☆

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 スタン・ゲッツ(ts) 『Stan Getz Plays』


スタン・ゲッツ(ts) 『Stan Getz Plays』

 レスター・ヤング直系のフレージングに加え、歯切れいい独特の節回しと、横隔膜を大きく震わせるビブラート、これらを駆使してのソロの組み立て方も天才的。本盤は'52年ヴァーヴ・レーベルでの初レコーディング。一曲一曲が短く、録音もナローレンジで、いかにも”昔のジャズ”という雰囲気のちょっと古めかしい印象。しかしゲッツの奏法は、古風なリズムを縫うように斬新なノリでピタリと決まっている。この卓越したタイム感覚が後年ボサ・ノヴァの新しいリズムと結びつき、数々の名演を産み出すことになる。 ★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Coltrane "Live" At The Village Vanguard』


ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Coltrane "Live" At The Village Vanguard』

 時代劇のテーマかいなと思うようなクサいイントロに続き、寄せては返す三拍子のへヴィーなリフレイン。あの「マイ・フェイバリット・シングス」と同じく、短調と長調を行き来する自由さを内包する[1]。そのあと出てくる[2]の軽快さ、素直さは意外なほど。ああ、まだスタンダードやってたのね、とホッとするのもつかの間。後半ソプラノサックスで入ってくるトレーンはマトモに終わろうとする演奏を阻止するかのよう。圧巻は[3]。ベースとドラムのみをバックに、約16分もの間、もう最初から最後まで吹いて吹いて吹きまくるトレーン。ステージを動き回る彼を録音技師ヴァン・ゲルダーがマイクを持って追いかけたことからこの曲名がついたそうだ。 ★★★★

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 バド・パウエル(p) 『Bud Powell in Paris』


バド・パウエル(p) 『Bud Powell in Paris』

 御大デューク・エリントンがプロデュースした後期パウエルの代表作。パウエルが俗に”パウエル派”と呼ばれるピアニストたちと大きく違う点のひとつが左手のコード使い。ビバップからハードバップに進化する過程で、多くのピアニストのコードは、パーカッシブに歯切れよく弾かれるようになったが、パウエルは両手を使って和音を伸ばし、音の混ざり具合を微妙にコントロールするのだ。本盤の印象を決定しているのはアップテンポの[1]や[2]だろうが、その次に出てくるバラードの[3]で聴かれる和音の重なりがじつに見事だ。 ★★★★

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 ケニー・ドリュー(p) 『Undercurrent』


ケニー・ドリュー(p) 『Undercurrent』

 メンバーがとてもいい。キャノンボール・アダレイ・クインテットのベースとドラム、それにフロントがフレディ・ハバードとハンク・モブレーである。ファンキー風味のブルースをやらせたら最高の面々だ。聞き物は尻に火がついたように疾走する表題曲[1]。[3]は少しキャノンボールっぽい曲想だが、出てくるソロはぐっと分厚くてしかも重い。特にモブレーのテナーが快調で、なんとコルトレーンっぽいソロまで飛び出す始末。全曲ドリューのオリジナルで、ブルーノートらしい真っ黒けの傑作。 ★★★★

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 ハロルド・アシュビー(ts) 『On The Sunny Side Of The Street』


ハロルド・アシュビー(ts) 『On The Sunny Side Of The Street』

 '93年発売のを新譜で買った。CDショップをうろついてたら、このCDがポータブルCDプレーヤーに繋いだPC用みたいな小さなアクティブスピーカーでかかっていて、良いムードのスタンダード曲がえんえんと続いてる。他のCDを物色するのに飽きたわたしは、本盤を手に取りパーランの参加を確認し、レジへと向かったわけだ。持ち帰って聴いてみると、BGM的で、いまひとつ録音にパワー感がない。そういえば弟が自分の結婚式の披露宴に流すジャズのCDを貸してくれというので、このCDを貸してやった。BOSEの業務用スピーカーで鳴らされて、良い感じのBGMになったと思う。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Dig』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Dig』

 ジャズのLP時代はこの作品から始まる。レコーディングでは大急ぎでソロを終わらせ、3分以内に収めていたのが、ライブでやってるような長時間のソロが可能になったのだ。マイルスも意欲満々で、上品で美しいトーンのアドリブを聴かせる。ジャケットにはソニー・ロリンズの文字が大きく踊るも、リードの調子があまり良くない様子。一方ジャッキー・マクリーンは本作が初レコーディング。しかも彼のアイドル、チャーリー・パーカーがスタジオに見に来ており、緊張しまくったそうだが、その割に演奏はなかなか良い。 ★★★★

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 ブランフォード・マルサリス(ts,ss) 『Royal Garden Blues』


ブランフォード・マルサリス(ts,ss) 『Royal Garden Blues』

 ブランフォードも弟のウイントンも兄弟揃って、ウエイン・ショーターが大好きだったと語っている。この作品もかつて新主流派と呼ばれたショーターやトニー・ウイリアムス、ハービー・ハンコックらが目指した音楽の延長線上にある。事実彼ら二人は、V.S.O.P.クインテットのメンバーとして迎えられ、本アルバムにも参加のハンコック、ロン・カーターらの多大なサポートを得てデビューを果たしている。喩えて言うなら'80年代の『ジャイアント・ステップス』。かといってコルトレーンのように深刻でもなく、フレッシュで爽快感溢れるプレイが印象的だ。ゲストのメンバーも凄い顔ぶれ。 ★★★★

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 『Round Midnight/Original Motion Picture Soundtrack』


『Round Midnight/Original Motion Picture Soundtrack』

 天才ピアニスト、バド・パウエルをモデルにしたデクスター・ゴードン主演の映画『ラウンド・ミッドナイト』のサントラ盤。ハービー・ハンコックをはじめ、ミュージシャン役で出ているのは皆一流のジャズメン。ジャズを題材とした数ある映画のなかでも最もクールでカッコイイ。映画のDVDもちょくちょく再発されてるようなので、ジャズファンを自認する方には是非一度は観ていただきたい作品だ。契約上の問題か、本盤はコロンビア・レコードからリリースさえたが、じつはもう1枚ブルーノートから出た『The Other Side of Round Midnight』というサントラ盤もあり、それぞれ映画に使われたトラックが分散収録されてる。 ★★★★

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 大西順子(p) 『Wow』


大西順子(p) 『Wow』

 ジャズに美人ジャケットはつきものだ。その美人がピアノを弾くならなお宜しい。ウェーブのかかった髪に太い眉、ボディコンのスーツで大胆不敵なピアノを弾く順子ちゃんはカッコ良かった。甘っちょろいスタンダードなんか一切なしで、モンクやエリントンのようにガンガン弾きまくる。マレットを使ったドラミングがエキゾチック&ドラマチックな[7]が好きだ。最近話題にならないなと思ってたら、いつのまにか引退したようだ。もう14年も前になるのか。あの当時、JimmyJazzが輝いてたように、彼女もまたあの時代によく似合っていた。 ★★★☆☆

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 ヒューストン・パーソン(ts) 『Soft Liights』


ヒューストン・パーソン(ts) 『Soft Liights』

 同じくハイノート・レーベルから出た『In A Sentimntal Mood』とは姉妹作のような関係で、勿論ヴァン・ゲルダーの手になる録音。こちらもゴージャスな夜のムードが濃厚だ。ベテランのリズム隊に加え、ダイアナ・クラールの伴奏でお馴染みラッセル・マローンのギターをフィーチュア、[5]ではブルージーな渋いソロを聴かせる。リードに唾が染み出すようなテナーの音がエロチック。[10]はギターのみ伴奏する美しいバラード。思わずダイアナの唄が出てきそう(笑) ★★★★

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 ウエス・モンゴメリー(g) 『A Day in the Life』

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ウエス・モンゴメリー(g) 『A Day in the Life』

 イージーリスニング・ジャズと呼ばれ、軽く見られた一連のストリングス入り。しかしこうして今聴いてみるとかなり凄い。イージーどころかかなりハードなアプローチ。まるでウエスのギターに対抗し、指揮者ドン・セベスキーがストリングスオーケストラを武器に闘っているかのようだ。良い曲が満載だが、聞き物はなんといっても表題曲の[1]。てっきり地上に居るものと思ってたらパカッと床が開いて、ヒマラヤの上空を飛んでいたというようなサプライズ。ぜひともスケールの大きい、良いオーディオシステムで聴いてほしい。国内盤あり★★★★

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 リー・モーガン(tp) 『The Rumproller』


リー・モーガン(tp) 『ザ・ランプローラー』

 あのリー・モーガンが「月の砂漠」を演ってる、ということで人気があるレコード。個人的には何度聴いてもこの演奏が好きになれない。わざわざ「月の砂漠」のメロディを持ち出す必要があったのだろうか。どうせなら妙にシンコペーションなどで捻らず、ボレロ風のリズムで正調「月の砂漠」を演ってほしかった。[1]は「サイドワインダー」を思わせるジャズロック調で、ジョー・ヘンダーソンのテナーが冴えに冴えている。いつも絶好調のモーガンのラッパに対抗しうるテナーはジョーヘン以外にない。輸入盤あり ★★★★

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 ハンプトン・ホーズ(p) 『Everybody Likes Hampton Hawes Vol.3:The Trio』


ハンプトン・ホーズ(p) 『The Trio Vol.3』

 進駐軍時代、日本に駐留してピアノを弾き、「ウマさん」というニックネームがついたホーズ。horse=馬から生じたものと推測するが、ちょっと待て、ホースの複数形はホーセズ(horses)じゃないか。今も昔も堅いこと言わないのがジャズファンというものか。スイングするワニのジャケットで人気の軽快なピアノトリオ。なんば千日前にあった喫茶店”ジャズやかた”の廊下の壁に、たしかこの絵が大きく描かれていたと思う。[5]でチャック・トンプソンが叩く硬質なシンバルの金属音が聞き物だ。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Smiles』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Smiles』

 なんといってもトニー・ウイリアムスの叩くシンバルの雨あられ!氷柱の削りカスが宙に舞うようなシャンシャンシャンシャンという音が、殆ど全編でバックに聞こえている。本盤でのトニーは、打力の強さでなく、響かせる技が印象的だ。[4]の最後のスネアもキマッてる。[3]はショーターの『アダムズ・アップル』での演奏より、このメンバーで演ると俄然アフリカ的だ。「冒険しようとしている限り、マイルスはメンバーの失敗を責めたりしなかった。それよりも自分のプレイに集中していった」と、ショーターは語る。これほどのバンドを率いてもマイルスはやはりトランペッターなのだと感心した。 ★★★★★

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 PONTA BOX 『モダン・ジュズ』


PONTA BOX 『モダン・ジュズ』

 クリスマス・イヴにTVを見てたら、おお、そういえばこんなのもあったなと思い出した。山下達郎の「クリスマス・イヴ」のカヴァーが収録されている。佐藤竹善がスキャットで歌うたいへん美しいバラード調で、途中寸断されるのが惜しい。[1]はバド・パウエルの「クレオパトラの夢」にそっくり。どの曲もメロディラインが美しく、発売当時はTV番組のテーマ曲などによく使用された。ワンポイントマイクで収録された、とても鮮度の高い録音だ。収録時間30分足らずのミニアルバム。 ★★★☆☆

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『Swing Swang Swingn'』


ジャッキー・マクリーン(as) 『Swing Swang Swingn'』

 新しいもの好きで革新的なマクリーンのファンは、なぜか古いものに執着する保守的な人が多いようだ。「古臭い」との理由で「イエスタデイズ」を吹くのを嫌がったマクリーン。愛奏曲の[1]は、モダンな感じの転調があり、きっと吹いてて楽しかったのだろうと察する。前半はガッツで聴かせるも、後半は長調の曲が続き、少し音痴で投げやりな感じがする。特に[6]のエンディングはいただけない。マクリーンの代表作とされ、名盤には違いないけど、一般に言われているほどわたしは好きでもない。 ★★★★

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 クリフォード・ブラウン(tp) 『The Best Of Clifford Brown And Max Roach In Concert』


クリフォード・ブラウン(tp) 『The Best Of Clifford Brown And Max Roach In Concert』

 ブラウン~ローチ・クインテットの代表作として有名なライブ盤。おそらくマイクロフォンの不具合だろうが、ブラウニーの吹奏に合わせたようにピーピーと音がする。美しいバラードの[2]では、もうそれが気になってしょうがない。演奏が完璧なだけに惜しい。聴こうかな、とジャケットを手にするたびにあの「ピーピー」を思い出して手が引っ込む。[5]以降は別のコンサートなので問題無し。ただしどちらも録音が良いとはいえない。リー・モーガンもウイントン・マルサリスも凄いが、やはりブラウニーのトランペットは天才的だ。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Doin' The Thing』


ホレス・シルバー(p) 『Doin' The Thing』

 ジャズの4ビートは、そのシンプルさゆえ、隙間の埋め方如何で様々な表情に変化する。冒頭のアナウンスに続いて始まる[2]は8ビートを内包したマーチ風4ビートでぐんぐん迫ってくる。曲が終わった後の鳴り止まない拍手と歓声、観客のウケ方が凄い。本盤に収められた4曲はどれもアップテンポの演奏だが、会場全体がシルバーの低音弦をハンマーで叩くようなピアノに煽られ燃え上がる。ファンキーかつ熱狂的なライブ演奏の傑作。 ★★★★★

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 スティーヴ・ガッド(ds) 『The Gadd Gang』


スティーヴ・ガッド(ds) 『The Gadd Gang』

 ガッド・ギャングは元スタッフのメンバーを中心に、豪華スタジオミュージシャンが集まってできたグループ。本アルバム発売当時、TVCMに登場したのを見て、えらくカッコイイなあと感心したものだ。フュージョンなんだけどR&Bっぽい雰囲気が受けたのだろう。ジャズっぽさは微塵もなく、そのぶん分りやすいのだが、今聴くとさすがに時代を感じさせる。あまりにメロディックでリズムもドンドンタンタンとやや単調。とっつきやすい音楽は風化も早いという好例か。[5]はドラムとパーカッションによる演奏で、これまた分りやすくて気持ちが良い。 ★★★☆☆

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 フィル・ウッズ(as) 『Alive And Well In Paris』


フィル・ウッズ(as) 『Alive And Well In Paris』

 かなり長きにわたって、本盤が当店のライブラリーのなかで最も騒々しいレコードだった。ヨーロッパに移り、チャーリー・パーカーの模倣から脱したウッズの音楽スタイルはオーソドックスで、かつ分りやすいメロディライン、だからこそ人気があった名盤なのだが、演奏に激しい怒りの情念が込められてるようだ。この世界にドップリ浸かれる人にはたまらないだろうけど、醒めてしまうと少々恥ずかしい。大音量でノリノリで聴いてると、お母ちゃんが部屋の戸をガラッと開けて、やかましい!と叫ぶシチュエーションにピッタリ。 ★★★★

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 キャノンボール・アダレイ(as) 『Nippon Soul』


キャノンボール・アダレイ(as) 『Nippon Soul』

 1961年にアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ来日、翌'62年にはホレス・シルヴァー・クインテットが来日、そして'63年にやって来たキャノンボール・アダレイ・セクステットによる東京サンケイホールでのライブレコーディング。浮世絵をモチーフにしたジャケットが秀逸だ。ユセフ・ラティーフが加わり、3管に拡大されたサウンドは既にファンキーの枠を超えてバラエティに富んだ内容。チャーリー・パーカー直系のアルトを聴かせる[2]は爽快そのもの。ちなみに’64年にはマイルス・デイヴィスが初来日する。キャノンボールに「日本はエエぞ~」と聞かされたのだろうか。 ★★★★

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 ポール・チェンバース(b) 『1st Bassman』


ポール・チェンバース(b) 『1st Bassman』

 顔がかなり怖い(笑)それに全曲ユゼフ・ラティーフのオリジナルとあって、スタンダード曲と豪華メンバーで入れた前作『Go...』に比べて人気がない。しかしながら、サウンドはぐっとモーダルに進化しており、ポールのベースランニングの魅力を聴くうえではこちらが最適だ。ソリストのバックで縦横無尽にアップダウンするピチカート、参加レコーデングの数ではジャズ界一であろう”ベースの第一人者”は、これによってジャズ界全体をスイングさせたのだった。 ★★★☆☆

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 ドナルド・バード(tp) 『The Cat Walk』


ドナルド・バード(tp) 『The Cat Walk』

 クリフォード・ブラウン直系の艶やかなトーン、それに素晴らしくファンキーな作曲のセンスゆえにドナルド・バードを愛聴する。本盤はフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムが聞き物だ。[2]で叩き出すグルーヴ感がなんともいえない!名投手がストライクを投げるように決まるスネアドラム。続く[3]ではあざやかなドラムソロを披露。なるほど一流のドラマーが叩くとこれほど決まるものなのか。まるで「侍ジャイアンツ」のような表題曲がハイライトになるが、急速調の[5]でもバードのソロが凄い! ★★★★

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 チャーリー・パーカー(as) 『The Complete Royal Roost Live Recordings On Savoy Years Vol.2』


チャーリー・パーカー(as) 『The Complete Royal Roost Live Recordings On Savoy Years Vol.2』

 ビバップ全盛期1948年のクリスマス、NYのクラブ”ロイヤル・ルースト”で行われたシンフォニー・シッドによるラジオ番組の実況中継と、同じく大晦日深夜のセッション。欧米人の意識はクリスマスと正月がセットになってるらしくて、クリスマス気分が抜けないパーカー、[13]でも思わずジングルベルのフレーズが飛び出す。演奏は大晦日のほうが断然ハイテンション。[9]などまったく凄まじい。ダイアル盤のようにジャージャーとまではいかないものの、録音状態は相当悪いのである程度の覚悟は必要。 ★★★☆☆

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 『The Christmas Collection / Various』


『The Christmas Collection / Various』

 こちらはプレスティッジ・レーベル(正確には現親会社のファンタジー)のクリスマスソング集。レーベルがレーベルだけにゴリッとジャズっぽい演奏ばかりだが、余興で演ったようなクリスマス曲を後からかき集めて編集、よって同じような曲目が並んでいるのは止む無し。三人のテナー奏者による三者三様の"The Christmas Song"が聴ける。いかにもクリスマスっぽくは聞こえないブルージーな[4]が七面鳥の後の渋茶のように味わい深い。 ★★★★

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 マーカス・ロバーツ(p) 『Prayer for Peace』


マーカス・ロバーツ(p) 『Prayer for Peace』

 マーカス・ロバーツのソロピアノ演奏によるクリスマスソング集。[1]は10分近いオリジナル曲で、それ以降は3~4分程度のお馴染みの曲が続く。ウイントン・マルサリスのバンドで、リーダーに負けじと超絶技巧を披露したクールなマーカスが、まるごと一枚クリスマスアルバムを作ってしまうのは意外だった。うる憶えだが、何かの本で「世界で一番素敵な曲は?」との質問に、「そりゃあナット・キング・コールの"The Christmas Song"さ!」と答えていたのがマーカスだったような。「蛍の光」として有名な[14]が鳴り出すと、よく閉店時間と間違われる。 ★★★☆☆

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 ジミー・スミス(org),ウエス・モンゴメリー(g) 『The Dynamic Duo』


ジミー・スミス(org),ウエス・モンゴメリー(g) 『The Dynamic Duo』

 共にアーシーなブルース・フィーリングを得意とするウエス・モンゴメリーとジミー・スミスの相性はバッチリだ。オリバー・ネルソンのオーケストラアレンジを得て、ゴキゲンにスイングする。ビッグバンドを受けてたつグラディ・テイトのドラミングも良い。[5]はクリスマスには欠かせない曲。帰ろうとする女性と、それを引きとめようとする男性のデュエットで唄われることが多いが、前者をウエス、後者をジミーが受け持つ。鈴の音とハモンドオルガンの音色が温かい。[2]は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のダンスパーティでも演奏されていた。ジョージ・マクフライが一人で踊るシーンだ、憶えてるかな? ★★★★

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 デューク・ジョーダン(p) 『Flight To Denmark』


デューク・ジョーダン(p) 『Flight To Denmark』

 格調高く哀愁あるメロディラインの美しさに魅了される。心をこめてピアノを弾くとこうなるんだろうな。雪景色のなかにぽつんと立つデューク・ジョーダンのジャケットが、アルバムの印象を決定している。[1]におけるエド・シグペンの雪の粉が舞うようなブラシさばきがじつに良いアクセント。[2]のアドリブには「ジングルベル」のフレーズ引用で、「氷雨の日」を連想させる。レッド・ガーランドばりのブロックコードで決める[7]も聞き物だ。気の置けない友人と語らうようなレコード。聴いた途端に誰もが好きになるだろう。 ★★★★★

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 木住野佳子(p) 『My Little Christmas』


木住野佳子(p) 『My Little Christmas』

 クリスマス・アルバムなので、必ずしもジャズでないといけなくはない。[4]から[5]へと、メドレーのように続く敬虔でドラマチックな構成。勇壮で力強いタッチの[7]。何の文句があろうか。ピアノ・トリオのフォーマットで一応ジャズの形にはなってるが、本人たちも「ジャズを演ろう」と意識してなかったのだろう。欲を言うなら、意識せずとも勝手に滲み出てくるようなジャズ・フィーリングを身に付けてもらいたい。木住野さんって、絶対「ズージャ」とか言いそうにないもんな。わたしも言わないけど(笑)  ★★★☆☆

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 ジョー・パス(g) 『Six String Santa』


ジョー・パス(g) 『Six String Santa』

 ある方に中国土産で戴いた。中身はメイド・イン・USAだが、わたしのには『六弦聖誕』と書かれた中国語の帯が付いている。クリスマスの名曲を名手ジョー・パスのジャズギターで、という趣向。[7]は「ジングルベル」をモチーフに使ったブルースで、なかなかゴキゲン。サイドギターにも少しソロを取らせるも、パスとの音量差が激しい。これがリーダーとサイドメンとの力関係か。[8]は名盤『ヴァーチュオーソ』を彷彿とさせるパス得意のソロギター。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『E.S.P.』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『E.S.P.』

 黄金のクインテット初のスタジオ録音。ウエイン・ショーターの加入を境として、マイルスの音楽性は急速な変化を遂げる。このバンドの若いメンバー達は、マイルスにとって新人類のように見えたことだろう。作曲面でも彼等が新しいアイデアを提供し、マイルスがそれをまとめるというパターンがこの頃から多くなる。このクインテット時代はジャズ史上最も強力なバンドである一方で、マイルス自身若い世代から学びながら、新時代への対応を模索しているかのようだ。アナログ盤あり  ★★★★

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 バド・パウエル(p) 『Portrait Of Thelonious』


バド・パウエル(p) 『Portrait Of Thelonious』

 パリでは人種差別も少なく、優れた芸術家としての待遇は米国のそれとは天地ほどの差があったようだ。そのため黒人ジャズメンがこぞって移住。ドラムのケニー・クラークは真っ先に住みついた一人。マイルス・デイヴィスはパリから帰国、その落差に失望してヘロインに手を出したと語っている。パウエルも精神疾患の療養を兼ねてパリに移り住む。その姿は、映画『ラウンド・ミッドナイト』のモデルとなった。本作品は”The Three Bosses”(フランスでのレギュラートリオ)によるモンク作品集。好調なプレイを見せるパウエルだが、取ってつけたような拍手はちょっとわざとらしい。 ★★★☆☆

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 トニー・ウイリアムス(ds) 『Life Time』


トニー・ウイリアムス(ds) 『Life Time』

 マイルス・デイヴィスのバンドで日本公演(『マイルス・イン・トーキョー』)した翌月に吹き込まれたトニー18歳の初リーダー作は前衛である。難しいからこのテの音楽が嫌いな人は無理してまで聴く必要はない。しかしこの若さにしてこの大胆さ、いや、むしろ若いからこそ過激になれるのか。全曲トニーの自作曲。ボーナストラックの[5]もそうだが、この演奏には参加せずハンコックとカーターにデュオで演らせる。なんと不敵な小僧なんだろう。[4]などは是が非でも良い音のオーディオセットで聴きたいものだ。 ★★★★

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 フランク・ストロジャー(as) 『Fantastic Frank Strozier』


フランク・ストロジャー(as) 『Fantastic Frank Strozier』

 フランク・ストロジャーは、マイルス・デイヴィスがバンド再編の際、ジョージ・コールマンの推薦でハロルド・メイバーンと共に名前が挙がったが、「良いミュージシャンだが求めていたのと違う」として不採用。元はといえば、ここに参加してるウイントン・ケリー以下のリズムセクションが、この後そっくりマイルスバンドを抜けたために再編を余儀なくされたのだから、なにやら因縁めいたものを感じる。これが初リーダー作で、張りのあるストロジャーのアルトに、同郷のトランペッター、ブッカー・リトルが華を添える。ブルース主体でラフな感じがいかにもヴィージェイらしい。 ★★★☆☆

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 セロニアス・モンク(p) 『Alone In San Francisco』


セロニアス・モンク(p) 『Alone In San Francisco』

 傑作『セロニアス・ヒムセルフ』に続く、ソロピアノ第2弾。モンクほど強情に自分のスタイルを貫いた人は居ない。誰が聴いてもそれとわかるユニークな曲と、指を曲げない独自のピアノ奏法。それがモダンジャズの一翼を担うまでに浸透し、歴史の一部となって残ったことは驚異である。ブルースでありながらファンキーに非ず、純粋無垢な孤高のピアニスト。人形の表情から喜怒哀楽を読み取るように、音楽の隙間にちらちらと見え隠れするモンク独特の情感を捕まえるべし。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Blowin' The Blues Away』


ホレス・シルバー(p) 『Blowin' The Blues Away』

 ジャズの初心者で、サキソフォンやトランペットのソロが難解だと思うなら、バックで鳴ってるシルバーのピアノだけを追っかけて聴けばいい。「ブルースをぶっとばせ」とでも訳せばいいのか、しかしぶっとばされるのはリスナーのほうである。ただの12小節のブルースが、こんなふうに化けるのだ。いやー、凄い!セカンドテーマと呼ばれる主題の変奏で後半を盛り上げるのはシルバー・クインテットの十八番。トリオ演奏の[2]も渋い!ジャケットのイラストがこの躍動感をうまく表現している。ブルーノート最高! ★★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins Plus 4』


ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins Plus 4』

 豪放なスタイルに似合わず、ロリンズには案外影響されやすいところがあるようだ。本盤はクリフォード・ブラウン~マックス・ローチ・クインテットに入って間もないロリンズが、そのままの面子でプレスティッジに残した作品。鮮やかなソロを聴かせる天才トランペッター、ブラウンの参加によるものか、少々ロリンズらしくない演奏が散見される。しかしながら、[1]を始め愛らしいメロディの曲が多く、意外とファンの人気は高い。「ブラウニーのように大らかでのびのびと吹けばいいんだ」と悟ったロリンズは、数ヶ月後に最高傑作『サキソフォン・コロッサス』を完成する。 ★★★★

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 ケニー・ワーナー(p) 『Peace』

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ケニー・ワーナー(p) 『Peace』

 これもお客さんに戴いたNY土産。クラブ・ブルーノートに出演中のケニー・ワーナー・トリオを見て、その場で購入したそうだ、ジャケットにサインがある。内ジャケを見たところ、白人ばかりのトリオで、ジョン・マクラフリンのコメントが載っていた。ウエイン・ショーターの名曲[1]に始まり、モーダルで抽象的な表現が得意なようだが、難解すぎることもなく聴けば聴くほどに味のある内容だ。ピアノの和音を震わせるテクニックに感心。NYの空気が伝わってくるようだ。  ★★★★

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 木住野佳子(p) 『Fairy Tale』


木住野佳子(p) 『Fairy Tale』

 もうとっくに廃盤だろうと思ってたが、まだ入手可能なようだ。これも昔、寺島靖国さんがプッシュしていた。氏は[5]をオーディオチェックに用いていた模様。ピックアップを付けて電気的に増幅されたエディ・ゴメスのベース音が肝だ。もう一人のベーシスト、マーク・ジョンソンの凄みある低音がイカした[3]にはトライアングルが微妙に小さく入っていて、聞こえる聞こえないでスッタモンダしたっけ。懐かしい。木住野自身は見たとおり華奢で軽やかなピアノを弾く人だが、それが共演の男性ミュージシャン達を張切らせたのか、結果的には力強い印象の作品となった。  ★★★☆☆

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 テッド・カーソン(tp) 『Plenty of Horn』


テッド・カーソン(tp) 『Plenty of Horn』

 本作は国内盤アナログレコードを、とある方に戴いた。ミンガス・ワークショップ出身、帯には「テッド・カーソン・ウィズ・エリック・ドルフィー」とあるから、てっきり前衛だと思い込んでた。A面一曲目に針を落としてみると、出てきたトランペットのあまりの音のよさにひっくり返りそうになった。録音自体も生々しいのだが、カーソンのピッコロ・トランペットの音色が物凄く艶やかで美しい。音楽的には正統ハードバップで、そう難解なものでない。ドルフィーは2曲でオブリガートを吹いてるだけで、大々的に名前を載せるほどでもない。幻の名盤。 ★★★★★

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 サージ・チャロフ(bs) 『Blue Serge』


サージ・チャロフ(bs) 『Blue Serge』

 「サージ」とは学生服などに用いる綾織りの洋服地のことで、チャロフの名に引っかけたジャケットが洒落ている。珍しいバリトンサックスのワンホーン、白人のチャロフにソニー・クラーク以下黒人のリズムセクション。あの重いバリトンを軽々と、まるでチャーリー・パーカーのように吹いてみせる。急速調のブルース[2]や[6]が圧巻で、こういう曲になるとドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズもまるで水を得た魚のよう。ブルーノートからデビュー直前のクラークのピアノも好調だ。 ★★★★

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 ジョン・ルイス(p) 『The John Lewis Piano/Jazz Piano International』


ジョン・ルイス(p) 『The John Lewis Piano/Jazz Piano International』

 MJQからミルト・ジャクソンが抜け、代わりにバリー・ガルブレイスまたはジム・ホールのギターを入れた編成。MJQよりさらに詩的で静かな印象の作品だ。ピアノとシンバルが戯れるデュオの[1]はまるで童話絵本のよう。続く[2]でパーシー・ヒースのベースが、あくまでも低く静かに「ズーン」と入ってくる。ピアノが控えめな音量で、こちらはピアニッシモを聴く体勢で居るから、このベースの「ズーン」が凄く巨大に感じられるのだ。[5]は一小節遅れてギターが入ってくる「輪唱」の手法が面白い。『Jazz Piano International』とのカップリングで、残念ながらこちらは未聴。 ★★★★

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 ジミー・スミス(org) 『House Party』


ジミー・スミス(org) 『House Party』

 ジミー・スミスのオルガンを中心に据えたオールスター・セッション。若干メンバーが変更されているものの、『A Date With Jimmy Smith』を踏襲するスタイル。前回に引き続き、ブルーノートの本拠地ニュージャージー州ハッケンサックの旧ヴァン・ゲルダー・スタジオを離れ、NYマンハッタン・タワーのスタジオでレコーディングされた。ジョージ・コールマンがアルトで参加しており、[3]でなかなかのプレイを聴かせる。リー・モーガンも素晴らしい。まさにハウスパーティ!尚、このときのセッションは『ザ・サーモン!』に分散収録されている。 ★★★★

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 ジョン・ジェンキンス(as) 『John Jenkins』


ジョン・ジェンキンス(as) 『John Jenkins』

 チャーリー・パーカーの影響下にあるアルトサックス奏者の一人、ジョン・ジェンキンスの唯一のリーダー作。スモーキーなトーンは少しジャッキー・マクリーン的でもある(二人は『アルト・マドネス』で共演)。[1]のエンディングや自作の[5]における粋なヒネリ具合など、コンポーザーとしての才能もチラチラと垣間見れる。ケニー・バレルのギターを大きくフィーチュアし、ソニー・クラーク以下のリズムセクションはブルーノートならではの人選。ジャケット写真のジェンキンスが、ポーズといい顔といい、島崎俊郎扮する「アダモちゃん」にそっくり! ★★★☆☆

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 チャーリー・ヘイデン(b),パット・メセニー(g) 『Beyond The Missouri Sky』


チャーリー・ヘイデン(b),パット・メセニー(g) 『Beyond The Missouri Sky』

 優秀録音とあって、たいていどこのオーディオショップでも試聴用に置いてあるベースとギターのデュオ。随所にギターやシンセサイザーをオーバーダビングしているものの、あくまでアコースティックな印象。スローなバラードばかりで、ブルージーでもなくスイングもしない。即興らしい即興もない。これがジャズかと訊かれれば、ウーンと言葉に詰まる。特筆すべきは旋律の美しさだろう。[2],[4],[5],[11]など、親しみやすく哀愁溢れるメロディライン。ガチャガチャ騒音のしない時間帯に、できれば高級なオーディオ装置で聴いていただきたい。S/N比の良さが命。輸入盤あり ★★★☆☆

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 ディック・ジョンソン(as) 『Music For Swinging Moderns』


ディック・ジョンソン(as) 『Music For Swinging Moderns』

 前半景気良くアップテンポで飛ばして、後半はバラードが集中。ディック・ジョンソンのことを、アドリブよりもテーマが上手な人の見本みたいに寺島靖国氏が書かれていたが、どうしてどうして、アドリブ部分だって見事なものだ。リー・コニッツをぐっと骨太にしたようなトーンでぐいぐいと迫ってくる。バックを務めるメンバーの素性が明らかでない、対位法で絡んでいくスタイルや西海岸風のサウンドから、おそらくは白人グループと推察する。 ★★★☆☆

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『A Night At The "Village Vanguard"』


ソニー・ロリンズ(ts) 『A Night At The "Village Vanguard"』

 ロリンズ得意のピアノを抜いたトリオによる、クラブ”ヴィッレッジ・ヴァンガード”でのライブ。しかしなんと拍手の少ないことか。この素晴らしい演奏を、たったこれだけの人数しか聴いてなかったと思うと愕然とする。エルヴィン・ジョーンズの変幻自在のシンバルワーク、ウィルバー・ウェアの安定感あるベースラインに乗せ、いつになく挑戦的なロリンズが吹きまくる傑作。[1]、[2]は勿論のこと、珍しくテクニカルな[3]にも傾聴するべし。[5]のみバックがラ・ロカ、ベイリーに入れ替わる。 ★★★★★

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 サド・ジョーンズ(tp) 『The Magnificent Thad Jones』


サド・ジョーンズ(tp) 『The Magnificent Thad Jones』

 ブルーノートのレコードジャケットはどれもカッコイイけれど、なかでもこの”鳩のジョーンズ”はベスト3に入るのではないか。嫌がるジョーンズを無理やり鳩の中に立たせたそうだが、背景からスーツのシルエットまで、なんともいえずカッコイイ。そして冒頭[1]のザクザクというマックス・ローチのブラシが聞こえてくる。おー、ブルーノートだなあ!モダンジャズ最大の魅力は抑制の美である。ドカーンとやるカウント・ベイシー・オーケストラでの同曲も良いが、この沈静化した「パリの四月」は必聴。サド・ジョーンズの最高傑作。 ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『1958 Miles』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『1958 Miles』

 当初は『Jazz Tracks』というタイトルで、LPのA面にパリで録音した『死刑台のエレベーター』のサウンドトラック、B面が本盤収録のセクステット演奏が収められていたそうだが、契約上の問題か、現在はそれぞれ別のレコード会社から出ている。一枚のLPの半分となれば当然収録時間は短くなる。そこで別テイクと’55年『ラウンド・ミッドナイト』収録時にボツとなった[5][6]を入れて体裁を整えた。しかしながらビル・エヴァンス、キャノンボールらを含む[1]~[4]の素晴らしさは格別だ。ジャケットデザインは故・池田満寿夫氏。 ★★★★★

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 ビル・エヴァンス(p) 『Sunday At The Village Vanguard』

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ビル・エヴァンス(p) 『Sunday At The Village Vanguard』

 スコット・ラ・ファロ、ポール・モチアンらとのトリオで、リバーサイド・レーベルに残した『ポートレイト・イン・ジャズ』『エクスプロレイションズ』、ライブの『ワルツ・フォー・デビィ』と、その同日録音の本盤を合わせて、エヴァンスの「リバーサイド四部作」と呼ばれており、ファンのなかでも最も人気が高い。こちらは『ワルツ・フォー~』に比べると、よりスコット・ラ・ファロのベースを前面に出しており、分りやすいメロディラインよりインタープレイに重きを置いた渋めの内容。  ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis And Horns』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis And Horns』

 [5]~[9]が'51年、[1]~[4]が'53年のセッション。それぞれジョン・ルイスとアル・コーンが編曲を担当しているせいか、『クールの誕生』に近いイメージ。'51年のほうはヘロイン中毒の渦中にあって大変だったらしい。ボロボロになりながらも懸命に吹くバラード[7]が胸をうつ。自らの意思で”コールド・ターキー”と呼ばれる監禁治療によって常習癖から抜け出した。それからマイルスの快進撃がスタートするのだ。麻薬をやるから良い演奏ができるんじゃない。それを断ち切る強い精神こそが彼をマイルス・デイヴィスたらしめる。  ★★★☆☆

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 ハンク・モブレー(ts) 『Peckin' Time』


ハンク・モブレー(ts) 『Peckin' Time』

 一応ハンク・モブレーのレコードだが、リー・モーガンとの双頭リーダー作ともとれるジャケットデザイン。あまりにモーガンの出来がいいのでプロデューサーの気が変わったか。この8ヶ月後、ジャズ・メッセンジャーズに参加、あの『モーニン』のソロを吹き込み、モーガンは一躍脚光を浴びることになる。ケリーのピアノも良い。肝心のモブレーはというと、[2]を除くすべてをオリジナル曲で固め、コンポーザーとしての才能を発揮、勿論ソロだって悪くない。表題の「Peckin'」とは、鳥が餌を啄む仕草のことで、ソニー・ロリンズも得意にした突っつくようなフレーズを意味する。 ★★★★

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 ベニー・グッドマン(cl) 『The Benny Goodman Story』


ベニー・グッドマン(cl) 『The Benny Goodman Story』

 ジャズを題材にした映画で、おそらく一番有名なのは「五つの銅貨」、次が「グレン・ミラー物語」で、その次くらいにこの「ベニー・グッドマン物語」が来る。しかしデッカからリリースされたオリジナル・サウンドトラックに不満を持ったB.G.本人は、新たに「ベニー・グッドマン物語」と題した本作をキャピトルに録音。こちらのほうが代表作になってしまった。魅惑の歌姫マーサ・ティルトンの[2]、邦画「スイング・ガールズ」でも見せ場に用いられた[4]、ハリー・ジェームス、ライオネル・ハンプトンらの参加など、聴き所満載。国内盤あり ★★★☆☆

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 フレディ・ハバード(tp) 『Hub Cap』


フレディ・ハバード(tp) 『Hub Cap』

 フレディ・ハバードは従来のハードバップ・スタイルに範を求めながらも、確実に新しい時代への布石を打っている。この匙加減が絶妙で、うーんカッコイイッ!![3]など、いかにもブルーノートらしい雰囲気の曲想で、フレディのトランペットも冴え渡っている。しかしなんといってもリズムを牽引するフィリー・ジョー・ジョーンズの烈火のごときドラミングが聞き物だ。厚みのあるハイハットが一拍遅れてシューッ!と来てスタン!おおー、なんてカッコ良いんだろうか。国内盤あり ★★★★

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 ルー・ドナルドソン(as) 『Sunny Side Up』


ルー・ドナルドソン(as) 『Sunny Side Up』

 前作『ザ・タイム・イズ・ライト』でリラックスして緩んでたのが、本作で再びキュッと引き締まった感じがするのはベテラン、ビル・ハードマンの参加によるものか。[1][2]等、アレンジも前作より練られており、しっかり作り込んだ印象。ハードマン作[3]は古株ジャズ・メッセンジャーズのレパートリーでもあった。[5][6]ともなるともうルー・ドナの独断場。ホレス・パーランがこれまた土臭くて良いピアノを聴かせる。これぞブルースの真髄と呼んでみたい。寂しげなミュートトランペットの[7]で終わるのもニクイ。 ★★★★

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 ルイ・スミス(tp) 『Here Comes Louis Smith』


ルイ・スミス(tp) 『Here Comes Louis Smith』

 BN1500番台にあって、内容の素晴らしさに比べると一般的評価は低すぎるように思う。オープニングに相応しい[1]のカッコ良さ、スミスは勿論のこと、デューク・ジョーダンのソロも良い。白眉はブルースナンバーの[2]。”バックショット・ラ・ファンク”という粋な変名で参加のキャノンボール・アダレイが、ファンクの限りを尽くして吹きまくる。かつてのチャーリー・パーカーとマイルス・デイヴィスの姿をなぞるかのような[3]は「ドナ・リー」にそっくり。そしてクリフォード・ブラウン直系の輝かしいトランペットが聴ける[4]等、ハードバップの醍醐味を満喫できる傑作。 ★★★★

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 レッド・ガーランド(p) 『Groovy』


レッド・ガーランド(p) 『グルーヴィー』

 当時斬新に見えたであろうこのジャケットデザインも、あまりに模倣され尽くしてしまい、今となってはそれほどのインパクトは感じない。しかしながらレッド・ガーランドの代表作としてジャズ入門書に必ず登場、不動の人気を誇る名盤だ。元ボクサーという変り種で、軽やかに踊るようなタッチこそガーランドの身上。デューク・エリントン作の[1]はあまりにも有名。シングルトーンでキュートなメロディを聴かせ、やがてブロックコードでだんだんと盛り上げていく一連のパターンは何度聴いても気持ちが良い。ジャズ初心者にお勧め。 ★★★★

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 マーティ・ペイチ(p) 『Marty Paich Quartet featuring Art Pepper』


マーティ・ペイチ(p) 『Marty Paich Quartet featuring Art Pepper』

 リーダーのマーティ・ペイチには気の毒だが、これはアート・ペッパーのレコードである。事実、さっき出してくるまでそう思い込んでた。[1]のイントロだけで、うわあー、いいなあと思ってしまう、このアルト。続けざまに必殺技の[2]が出てくる。ペイチのピアノもいいじゃないか、リーダーだからな。しかしなんといってもペッパーのインスピレーションがこんこんと涌き出てくるさまは圧巻だ。名手バディ・クラークのよく粘るベースラインもいい。こういう盤は人に教えずこっそり永ーく愛聴したい。 ★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts) 『Focus』


スタン・ゲッツ(ts) 『Focus』

 コペンハーゲンからアメリカに帰国、1962年にボサ・ノヴァの『ジャズ・サンバ』をヒットさせる直前の録音。ストリングス・オーケストラをバックにテナーを吹くゲッツ。同じヴァーヴでも『チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス』みたいにリラックスしたものでなく、かなり作り込んだ編曲で、緩急の差が激しく、ある意味実験的な作品。まるで映画のサウンドトラックのようで、スタンダード曲もなし。[1]のロイ・へインズのドラミング以外は、ジャズとして聴くべきものはあまりないように思う。わたしもオリジナル盤を持ってはいるのだが...。★★☆☆☆

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 ウイントン・マルサリス(tp) 『Marsalis Standard Time Vol.1』


ウイントン・マルサリス(tp) 『Marsalis Standard Time Vol.1』

 思うに、クールなオリジナル曲ばかり聴かされていた頑固なジャズファンたちは、本盤が出てやっとウイントンの凄さを認めたのではないか。それまでは、「テクニックばかりで無機質」などと言われ、ずいぶん槍玉にあがっていた。少々冷たかろうが何だろうが、こんなふうにスタンダードをバリバリ吹かれるともう認めざるをえない。だんだん速くなったり遅くなったりする[11]を聴いたときは冷水を浴びたように驚いたものだ。彼らにとって曲は素材に過ぎないことを知らしめたウイントンの快作。 ★★★★

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 アート・ブレイキー(ds) 『Art Blakey Big Band』


アート・ブレイキー(ds) 『Art Blakey Big Band』

 これはとっておきの凄いレコードだ。なんとジョン・コルトレーン入りのアート・ブレイキー・ビッグ・バンド。'57年12月だから、一旦マイルス・デイヴィスにクビになったトレーンが、セロニアス・モンクのもとで修行を積み、翌年再びマイルスに呼び戻される直前の録音。一曲一曲は短いけれど、嬉しいことにトレーンは物凄いフレーズを吹きまくっている。[3][4]はバードとトレーンのみピックアップしたクインテット編成。トレーンのソロはないが、ブレイキーのシンバルがスコールのように降り注ぐラテンの[5]も痛快だ。 ★★★★★

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 モダン・ジャズ・カルテット 『Fontessa』


モダン・ジャズ・カルテット 『Fontessa』

 プレスティッジからアトランティックに移籍して、クラシック志向が前進、そのぶん黒っぽさは後退したように思う。もうジャケットからしてこれだもの(笑)「ベルサイユ」「フォンテッサ」といったオリジナル曲を核として、[2]や[4]などのスタンダードを違和感のないように上手に織り交ぜている。これを「MJQの最高傑作だ」と言う人も居れば、「いちばん嫌いだ」と言う人も居る。良く出来てるレコードに違いはないので、たぶん嗜好の問題だと思う。クラシック好きにはいいのかな?うーん、わたしには微妙なところ。 ★★★☆☆

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 ジーン・ハリス(p,celeste) 『Introducing The Three Sounds』


ジーン・ハリス(p,celeste) 『Introducing The Three Sounds』

 スタイルとしてはオスカー・ピーターソン・トリオやラムゼイ・ルイスの大袈裟な感じを払拭し、小粋にまとめたグループサウンド。嫌味にならない程度のファンキー風味。ゴリゴリのブルーノートにとっては異色とも言える存在の”スリー・サウンズ”だが、行き当たりばったりのレコーディングを嫌う同社のポリシーには合致してるようにも思う。たしか当店がオープンした'88年のクリスマス、自転車で10分程の場所に「バードランド」という中古レコード屋があり、寒風のなか営業中に抜け出して本盤を買って来た記憶がある。恐れ観ょ。★★★☆☆

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 チャーリー・パーカー(as) 『Jazz at Massey Hall』


チャーリー・パーカー(as) 『Jazz at Massey Hall』

 5名のビバップの巨人たちによるカナダ、トロントでのライブ録音。ボクシングのタイトルマッチと重なったために客の入りが悪く、パーカーは借り物のプラスチック製アルトで登場、ディジーは道化をやり、メンバー間は殺気立った雰囲気。チャールズ・ミンガスは自らのレコード会社「デビュー」を興し、この録音テープに後からベースをオーバーダビングして売り出した。当時チャーリー・パーカーはマーキュリー・レコードと専属契約していたため、「チャーリー・チャン」という変名でクレジットされた。ジャズを取り巻くいいかげんさと、天才たちの超絶技巧が交錯する。 ★★★★

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『4,5&6』


ジャッキー・マクリーン(as) 『4,5&6』

 ジャッキー・マクリーンといえばプレスティッジ時代、そしてこの一曲となれば、やはり本盤の「センチメンタル・ジャーニー」だ。チューニングが悪いと指摘する輩も多いマクリーンのアルト、合ってないようでちゃんと合ってる。この微妙に下がったようなノートで吹くと、どんな曲でも物悲しく響く。これがマクリーン独自の青臭いトーンを作っている。彼のアイドル、チャーリー・パーカー作の[4]は楽しげなブローイングセッション風。この曲のみ参加のハンク・モブレーも快調だ。輸入盤あり ★★★★

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 ルー・ドナルドソン(as) 『Blues Walk』


ルー・ドナルドソン(as) 『Blues Walk』

 ルー・ドナルドソンのことがかなり好きだから多少採点が甘くなるけれど、本盤を彼の代表作として異論はないだろう。一年前に吹込んだ『スイング・アンド・ソウル』と同じメンバーの、ワンホーンカルテット+コンガという編成。コンガが入るだけで俄然リズムが華やかになるが、ハーマン・フォスターのゴスペル調のピアノが「下げる」、そしてドナルドソンがさらに哀愁を振り撒いて、「泣き笑い」の表情で本作品は成り立っている。庶民のためのレコードだ。珠玉のバラード[5]を聴きながらスルメを噛み締める。 国内盤あり ★★★★★

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 ジョージ・ウォーリントン(p) 『George Wallington Quintet At The Bohemia』


ジョージ・ウォーリントン(p) 『George Wallington Quintet At The Bohemia』

 ”カフェ・ボヘミア”でのライブ。メンバーのうちジャッキー・マクリーンとアート・テイラーはこの一ヶ月前に『マイルス・デイヴィス・アンド・ミルト・ジャクソン・クインテット・セクステット』のレコーディングに参加。本盤にも収録されたマクリーン作の[3]を録音している。注目すべきは新人ばなれした凄いウォーキングベースでバンドを牽引するポール・チェンバース。目ざといマイルスが即座にポールを自分のバンドに引抜き、翌10月26日コロンビアのスタジオで録音。以後7年に渡ってマイルスバンドのレギュラーベーシストを務める。リーダーのウォーリントンは[4]でスリリングなソロを展開。白人バッパーとしての面目躍如だ。 ★★★★

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 カウント・ベイシー・オーケストラ 『Basie In London』


カウント・ベイシー・オーケストラ 『Basie In London』

 『ベイシー・イン・ロンドン』とあるが、実はスエーデンでの実況録音。ジャケット写真もこの北欧ツアーの際のものでなく、後からわざわざロンドンまで撮影に出かけたそうだ。それほどベイシーはこのツアーの大成功を喜んでおり、事実'50年代を代表するベイシーバンドの傑作ライブ盤となった。[7]~[9]はジョー・ウィリアムスのボーカルをフューチュア。[11]のサド・ジョーンズからジョー・ニューマンに引き継がれる鮮やかなトランペットソロ、そしてトドメのフランク・ウエス。『エイプリル・イン・パリ』にはこの曲の雛型が収録されてるので、[2]も合わせてぜひ聴き比べてみて欲しい。 ★★★★

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 チャーリー・パーカー(as) 『Charlie Parker With Strings:The Master Takes』

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チャーリー・パーカー(as) 『Charlie Parker With Strings: The Master Takes』

 今、若い人たちが初めてこのCDを聴いたなら、古臭いと感じるだろうか?パーカーに限らず、「ウィズ・ストリングスもの」は「紐付き」と呼ばれ、ハードなジャズファンから蔑視された。そもそも「楽器の名人のバックを豪華なオーケストラでやったらウケるだろう」という安直な企画だから無理もない。しかしバードは王様のような待遇が気に入ったのか、元々深く考えない人なのか、ゴキゲンに吹きまくったのだ。最初はムード音楽みたいに聞こえるかもしれないが、バードのアドリブは極上。切り口が少々変わってるだけで、これは紛れもなく一級品のジャズだ。 ★★★★★

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 アート・ブレイキー(ds) 『A Night at Birdland』


アート・ブレイキー(ds) 『A Night at Birdland, Vol.1』


アート・ブレイキー(ds) 『A Night at Birdland, Vol.2』

(輸入盤あり
Vol.1Vol.2
 ハードバップは'54年2月21日深夜、ニューヨークのジャズクラブ”バードランド”で誕生したことになっている。その夜の模様をばっちり捕らえたのがこの『バードランドの夜』。名物の小人司会者ピー・ウィー・マーケットによるメンバー紹介に続いて幕を開ける「スプリット・キック」は、従来のビ・バップとは明らかに違った響きを持つ。当夜はディジー・ガレスピーも客席に居たそうだが、彼の作曲した「チュニジアの夜」や「ナウズ・ザ・タイム」、「コンファメーション」など典型的なビ・バップ曲を中心に展開するも、今までとは何かが違う、この熱気や興奮!クリフォード・ブラウンが「ワンス・イン・ア・ホワイル」、ルー・ドナルドソンが「イフ・アイ・ハド・ユー」、フロントの二人をフィーチュアしたバラードがそれぞれ一曲づつ与えられており、どちらも素晴らしい演奏だ。ブラウンはこの二年後に自動車事故で夭折するが、シルバー、ブレイキー、ドナルドソンは、それぞれ長きにわたってブルーノートレコードの看板プレーヤーとして活躍することになる。少々乱暴な言い方をするなら、ブルーノートを聴くということは、ホレス・シルバーを、アート・ブレイキーを聴くことであり、ルー・ドナルドソンを聴くことなのである。 ★★★★★

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 バーニー・ケッセル(g),シェリー・マン(ds),レイ・ブラウン(b) 『The Poll Winners』


バーニー・ケッセル(g),シェリー・マン(ds),レイ・ブラウン(b) 『ザ・ポール・ウィナーズ』

 ギター、ベース、ドラムスという、ロックでは最もポピュラーな編成が何故かジャズには少ない。強いて言うならこのポール・ウィナーズ。[1]を聴いてみればなるほどと納得。そうそう他のプレイヤーにできるものではない。「ダウンビート」誌の人気投票で選ばれた三人を集めた企画盤、つまりインスタントのグループではあるが、そこは共に西海岸で活躍する気心の知れた者同士。ツーといえばカーと応える飲込みの良さで複雑な曲も見事にこなす。このグループも人気を博し、この後二度三度と登場することになった。カフェの上質なBGMとしても最適。軽やかにスイングする。 ★★★★

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 ベニー・カーター(as,tp) 『Jazz Giant』


ベニー・カーター(as,tp) 『Jazz Giant』

 チャーリー・パーカー出現以前のアルトの名手といえば、ジョニー・ホッジス、ウィリー・スミス、ベニー・カーター。三人共艶やかな音色で、スタイルもよく似ている。なかでも一番軽く、ややドライ、そして鮮やかなのがベニー・カーターだ。編曲の仕事も多くこなしている才人で、本盤ではオールド・ファッションな懐かしい薫りのする題材を、西海岸の名手と共にモダンな感覚に蘇らせている。一時パーカーを模倣しようとしたカーターがマイルス・デイヴィスに訊ねた。「どうだ、バードみたいに聞こえるか?」「いや、ベニー・カーターみたいだ」[6]が泣かせる。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『The New Miles Davis Quintet』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『The New Miles Davis Quintet』

 コルトレーン、ガーランド、チェンバース、フィリー・ジョーのレギュラークインテットによる初録音…、のはずだったのが、実はマイルスが大手のコロンビアレコードと秘密裏に契約しており、同社リリースの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』に収録された数曲がこのクインテット事実上の初録音だった。それはともかくとして、肩肘張らないリラックスした内容とヴァン・ゲルダーの好録音で、通称「小川のマイルス」と呼ばれるほどに、ファンの間では人気が高い一枚。勿論初心者の方にも強力にお勧めしたい秀作だ。  ★★★★

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 バド・パウエル(p) 『the scene changes The Amazing Bud Powell』


バド・パウエル(p) 『ザ・シーン・チェンジズ』

 若き日のマイルス・デイヴィスがバド・パウエルのアパートに遊びに行くと、パウエルはピアノでベートーベンを見事に弾いて聴かせたという。あまりにも有名な[1]は、「エリーゼのために」の変奏曲ともとれる魅惑的なメロディライン。ジャズ喫茶全盛期にはこの曲にリクエストが殺到した。[1]の印象がイコール本作品の印象になりがちだけれど、全曲格調高いパウエルのオリジナルで、[6]や[7]、[8]なんかも素晴らしい出来ばえだ。この翌年にパウエルはパリへ移住する。 ★★★★★

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 セロニアス・モンク(p) 『Thelonious Monk With John Coltrane』


セロニアス・モンク(p) 『Thelonious Monk With John Coltrane』

 看板に偽りあり。JAZZLANDはリバーサイドの傍系レーベルだが、コルトレーンを含むカルテット録音三曲に、リバーサイドの『モンクス・ミュージック』から二曲と、『セロニアス・ヒムセルフ』の余りテイク一曲を強引に入れて一枚のLPレコードにしてしまった。なんともいい加減な話であるが、演奏のほうはもう本当に凄まじい。お馴染みモンク自作のバラード[1]で始まり、[2]ではトレーンがあのトリッキーなフレーズを正確無比なタンギングで吹きまくる!こらたまらん!モンクの指導のもと、トレーンはこの'57年、テクニック的には一度目の頂点に達していたようだ。輸入盤あり ★★★★

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 ズート・シムズ(ts,as) 『Zoot!』


ズート・シムズ(ts,as) 『Zoot!』

 ジャズ界にあっては白人は西海岸LA.、黒人はNY.という住み分けが多いのだが、ズートは白人でありながらずーっと(シャレではない)NY.を拠点として活動をしてきた。スタイルとしてはレスター・ヤングの流れを汲みながら、チャーリー・パーカーの影響は殆ど見られず、少しベニー・グッドマン的なコブシも利いている。本作[1]~[4]は、ピアノのジョージ・ハンディの妻フローレンスのオリジナル曲で、アレンジもジョージが担当。[3]と[6]ではズートが珍しくアルトを吹く。 ★★★☆☆

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 キャノンボール・アダレイ(as) 『Cannonball Adderley Quintet In San Francisco』


キャノンボール・アダレイ(as) 『Cannonball Adderley Quintet In San Francisco』

 '59年サンフランシスコでのライブ。当時ピアノのボビー・ティモンズはジャズ・メッセンジャーズのスター・プレイヤーとして活躍中だったから、このバンドと掛け持ちしていたようだ。そのティモンズ作曲の[1]がこれまた大ヒット。まさにファンキー時代の寵児と言えよう。[2]はマイルスの「ノー・ブルース」を彷彿させるノリノリのゴキゲンなブルース。勇壮な行進曲風の[3]。その才能に惚れ込み、ホレス・シルバー・クインテットから引抜いたばかりのルイス・ヘイズのドラミングが冴える急速調の[5]はキャノンボールの真骨頂だ。 ★★★★

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 ハービー・ハンコック(p) 『V.S.O.P.-The Quintet』


ハービー・ハンコック(p) 『V.S.O.P.-The Quintet』

 もともとハンコックが'76年に、”一度限りの特別企画(Very Special Onetime Performance)”として”黄金のクインテット”を再現したのが、あまりに反響が大きかったために、そのままグループ名として定着してしまったVSOPクインテット。翌'77年に行われたバークレイとサンディエゴでの実況盤。マイルス・バンドでのかつてのレパートリー[6]も取り上げられているものの、抑制の枠が取り払われ、大音量、大迫力、VSOPならではのグループカラーができつつあるようだ。 ★★★☆☆

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 ビル・エヴァンス(p) 『Moon Beams』


ビル・エヴァンス(p) 『ムーン・ビームス』

 殆どの曲がスローテンポのバラード集。初心者にはあまりお勧めしない。勿論買ったってかまわないのだが、ジャズを聴きはじめて一年やそこらで本盤を愛聴してると言う人の感性は信用ならない。かく言うわたしも初心者の頃に本盤を手にして、あまりのダルダルさに挫折した。十数年が過ぎて再び聴いてみると複雑な和音のなかに埋もれていた神秘的なメロディが浮き上がってくるではないか。[2]~[7]までのスタンダード曲のメロディを知ってる人なら買い、そうでないならまだまだジャズ修行だ。  ★★★★

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 ハービー・ハンコック(p) 『Herbie Hancock Trio with Ron Carter+Tony Williams』


ハービー・ハンコック(p) 『Herbie Hancock Trio with Ron Carter+Tony Williams』

 僅かしかないハンコックのピアノトリオ編成のレコードのなかのひとつ。言うまでもなく”黄金のクインテット”時代のリズムセクションだが、'60年代当時のような前衛的な試みではなく、スタンダードを軸とした親しみ易いサウンド。CBSソニーは、このセッションの翌28日、同じロケーションでウイントン・マルサリスを加えて『カルテット』を、さらに29日と30日には兄のブランフォード・マルサリスを加え、ウイントンの初リーダー作となる『マルサリスの肖像』の約半分を収録している。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Bags Groove』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Bags Groove』

 セロニアス・モンク、ミルト・ジャクソンを含む『マイルス・デイヴィス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』と同日のセッション「バグス・グルーヴ」と、同年6月にソニー・ロリンズ、ホレス・シルバーらと入れた二つのセッションからなる。表題曲の「バグス」とは目の下が袋(Bags)のようなジャクソンのあだ名。例によってモンクはジャクソンのバックと自分のソロ以外でピアノを弾いてない。マイルスの限りなく上品なオープントランペットの音色がたまらない。[2]のモンクのソロ、[5][7]のシルバーのブルース・フィーリング、ロリンズのペッキング等、聴き所満載の傑作。 ★★★★★

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 スタンリー・ジョーダン(g) 『Magic Touch』

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スタンリー・ジョーダン(g) 『Magic Touch』

 初めてTVでスタンリー・ジョーダンのパフォーマンスを観たときは、そりゃあビックリしたものだ。実はそれ以前にも演奏を耳にしたことはあって、それほど大したことないと思っていた。でも、まさか一人で弾いていたとは!左手でネックを押さえ、右手で弾くというギターのセオリーをまったく無視、両手で指板をピアノを弾くように叩く”タッピング”というスタイル。選曲もビートルズ、ジミ・ヘンドリックスから、サド・ジョーンズ、マイルスまでと盛りだくさん。近年パッとしないジョーダンだが、ビジュアル的に凄く面白いので、またヒットを飛ばして出てきて欲しい。 ★★★☆☆

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『The Sound Of Sonny』


ソニー・ロリンズ(ts) 『The Sound Of Sonny』

 プレスティッジ・レーベルとの専属契約が切れたロリンズは、コンテンポラリーやブルーノートなど、色々なレーベルに吹き込むようになる。本作はリバーサイド盤。この頃のアイデアの源泉は、ラジオから流れるポップス曲だったようで、良い曲を見つけてはレコーディングしていた節がある。[4]はナット・キング・コール、[9]はローズマリー・クルーニーの唄をあきらかに意識している。ロスからニューヨークに出て来たばかりのソニー・クラークも好演。[8]は無伴奏で、よく唄うテナーの独奏。 ★★★☆☆

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 チャールス・ミンガス(b) 『Tijuana Moods』


チャールス・ミンガス(b) 『Tijuana Moods』
アナログ盤あり

 ミンガス自身が「我が最高の作品」と呼んだという。邦題は『メキシコの想い出』。ミンガスがメキシコのティファナに旅行した際の印象がモチーフになっている。ベースをギターのようにかき鳴らすフラメンコのような[2]が白眉。カーティス・ポーターのブルージーなアルトがイカス。わたしが初めて志摩スペイン村に行ったときの土産にカスタネットを買って帰り、しばらく[2]をかけながらカチカチと練習しては喜んでいた。(笑)[※ミンガスのメキシコ行きは「妻を失った感傷旅行」ということになってるが、単なる離婚説と死別説がある] ★★★★

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 ブラッド・メルドー(p) 『Introducing Brad Mehldau』


ブラッド・メルドー(p) 『Introducing Brad Mehldau』

 本盤を新譜で買ったのは、たぶん'96年の春頃だったと思う。ジャケット写真がカッコ良かったが、メルドーなるピアニストには予備知識などなく、曲目と編成を確かめただけでレジに持っていった。その後随分と活躍してるようだが、なるほど大したピアノである。かくも複雑なことを易しくソフトに表現する逸材。繊細な曲想の[2]がコルトレーンの曲だと先程初めて気がついた。曲の中盤、ドラムソロのあたりから、まるで別の曲のようにソリッドな展開を見せる[6]の緊張と弛緩のコントラストが見事だ。 ★★★☆☆

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 ミルト・ジャクソン(vib) 『That's The Way It Is』

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ミルト・ジャクソン(vib) 『That's The Way It Is』

 エントリー"”ジャズ喫茶「ベイシー」の選択”に登場したレコード一覧"には敢えて挙げなかったが、75頁ベイシーが「ベイシー」にやって来た!!ときにかかっていた「関係のないミルト・ジャクソンとレイ・ブラウンの」レコードとは、十中八九本盤のことだろう。ミルト・ジャクソンは言うまでもなくMJQの花形プレーヤーであるが、夏の期間だけ自己のグループを結成して演奏活動を行っていたようだ。本盤は1969年、ハリウッドにあるシェリーズ・マン・ホールでのライブ。西海岸のスターであるレイ・ブラウンのベースを大きくフィーチュアしている。演奏中に聞こえるジャクソンのカウボーイのような掛け声がカッコイイ! ★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts),チャーリー・バード(g) 『Jazz Samba』

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スタン・ゲッツ(ts),チャーリー・バード(g) 『Jazz Samba』

 1958年からコペンハーゲンに住居を構えていたゲッツが1961年本国アメリカに帰還。翌1962年ボサ・ノヴァという新しいスタイルを引っ提げてカムバックを果たした。目論見は見事当って本作は大ヒット。グラミー賞まで受賞してボサ・ノヴァ旋風を巻き起こした。一年後の『ゲッツ/ジルベルト』に比べると、唄のないぶん地味に感じるがこちらも良い演奏だ。当時いち早くボサ・ノヴァを演奏していたチャーリー・バード率いるレギュラーバンドにゲッツが加わった形となる。 ★★★★

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 ディジー・ガレスピー(tp) 『Sonny Side Up』


ディジー・ガレスピー(tp) 『Sonny Side Up』

 軽快にスイングする[1]が始まった途端に良い気分。こりゃあ当たりだなという予想はガレスピーの味のある唄が出てきて良い意味で裏切られる。続いてスティットとロリンズのテナーバトルが物凄い[2]の中盤を過ぎるころには、これは当たりどころか大当たりの大傑作ではないかと確信する。有名なブルースの[3]では、レイ・ブライアントの黒っぽいピアノを堪能。親分ガレスピーは飄々として、ビッグバンドを操るようにメンバーを煽っている。チャーリー・パーカーにしろ、マイルス・デイヴィスにしろ、実はガレスピーに乗せられてただけなのかもしれない。 ★★★★★

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 デューク・エリントン(p) 『Duke Ellington Presents...』

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デューク・エリントン(p) 『Duke Ellington Presents...』

 お馴染みのスタンダード曲も、エリントン楽団が演ると独特の香りを放つ。有名曲[1]や[4]は今となってはやや大袈裟なアレンジが鼻につく。唄入りの[3]と[5]も同様。この馴れるとたまらない濃ぃ~い匂いがエリントンの試金石。しかし本盤も実は[6]以降の後半が良いのである。[8]からバラードが三曲続くが、特に[10]におけるジョニー・ホッジスのアルトは喩えようもなく素晴らしい。古い箪笥の中にしまってあったお気に入りのシャツのようなレコード。 ★★★★

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 ファッツ・ウォーラー(p,vo,org) 『Fats Waller Masterpieces 3』


ファッツ・ウォーラー(p,vo,org) 『Fats Waller Masterpieces 3』

 スライドピアノの名人で、歌もこなすエンターティナー、ファッツ・ウォーラーの1929年から1941年頃の音源。ジャズとは元々こういうものであったのだな、と想像できる。ファッツはその名の通り太ったアクの強いルックスで、ガマ蛙がピアノを弾くアニメーションにもなった。どちらかといえば悪声だが、[15]などじつにじつにロマンチック。[13]はオルガンの独奏。これも得意だったようで、しっかりコントロールされており、「ピアニストがちょっと弾いてみた」という感じはない。こうしてみると、ジャズとは譜面に束縛されない器楽演奏を極めていった歴史だと言えなくもない。 ★★★☆☆

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 ホレス・シルバー(p) 『Song For My Farther』


ホレス・シルバー(p) 『Song For My Farther』

 ブルー・ミッチェル~ジュニア・クックがフロントを勤める'63年のセッションから、クインテット再編まで丸一年を隔てて吹き込まれた傑作。トランペット~テナー~ピアノの順にソロをとるのが定石だったシルバー・クインテットだが、表題曲はシルバーの語るがごときソロに始まり、続く助っ人ジョー・ヘンダーソンが最高に素晴らしいソロを展開。珍しくトランペットのソロは無し。このジョーヘンの後には無用の長物というもの。旧クインテットでのエキゾチックな[3]もさすがの出来映え。ピアノトリオの[6]はシルバー作の美しいバラードで、オーネット・コールマンのものとは同名異曲。 ★★★★★

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 リー・コニッツ(as) ウォーン・マーシュ(ts) 『Lee Konitz With Warne Marsh』


リー・コニッツ(as),ウォーン・マーシュ(ts) 『Lee Konitz With Warne Marsh』

 コニッツのアルトとマーシュのテナー、共にフワフワとしたトーンが心地よく、まるで兄弟で唄ったデュオのよう。本盤を買った20年前は、メロディの美しいスタンダード曲が並ぶA面つまり[1]~[4]を愛聴したが、最近は演奏内容の充実した後半が良い。サル・モスカのピアノソロも清々しい[5]がベストトラック。ブルースの[6]も素晴らしい。マイルス・デイヴィス作の[4]は後半リズムがひっくり返って、やっつけ仕事のようにも聞こえるのだが、皆さんはいかがだろう? ★★★★

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 J.R.モンテローズ(ts) 『J.R.Monterose』


J.R.モンテローズ(ts) 『J.R.Monterose』

 耳にしただけでそれとわかる個性的なトーンとフレージングのJ.R.モンテローズ。チャールズ・ミンガスの『直立猿人』『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』などにサイドマンとして名を連ねているが、リーダー作は少なく、入手しやすさから言えばブルーノートの本盤が彼の代表作と言っていいだろう。白人だが、スタイルとしてはゴリゴリのイースト派ハードバップ。ホレス・シルバー、フィリー・ジョー・ジョーンズら一流のリズムセクションをバックに、薫り高く堂々たる快演だ。 ★★★★

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 ソニー・クラーク(p) 『Dial "S" for Sonny』


ソニー・クラーク(p) 『Dial "S" for Sonny』

 ピアニストを売り出すなら、小編成にしてピアノを目立たせようと考えるのが普通のプロデューサーだろう。ところがブルーノートのアルフレッド・ライオンは、いきなり三管をフロントに加えて逆にピアノを引き立たせる。作曲の才能とファンキーなピアノを高く評価したライオンは、第二のホレス・シルバーを育てようとしたのではないか。ファーマーとモブレー、ルイス・ヘイスとくれば、シルバー・クインテットから引抜いてきたかのような布陣。しかしあくまでもソニー・クラークのサウンドとして響く初リーダー作。国内盤あり ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Live Around the World』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Live Around the World』

 数年前に大阪ハイエンドオーディオショウのハーマンのブースで、JBLのスピーカー4348 iconのデモでかかっていたのが[10]。晩年のマイルス、しかもシンディ・ローパーのポップ曲をJBLのデモに使うなんて粋じゃないか。しかしこの演奏はあまりにも感動的だ。後半ケニー・ギャレットが盛り上げるマイケル・ジャクソンの[4]もライブならではの素晴らしさ。ジャンルの枠を超えてマイルスが到達した最高の器楽演奏。マイルスはやっぱりすごい。カッコイイ。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles In Berlin』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles In Berlin』

 「ソー・ホワット」というマイルスのオリジナル曲、初演の『カインド・オブ・ブルー』『アット・カーネギー・ホール』『フォア・アンド・モア』と、順を追って聴いていけばわかるように、どんどん演奏のテンポが速くなっている。本盤のベルリンでのライブから正式にウエイン・ショーターが加入。ここに来て同曲は遂にリズムの枠を超える。疾走するリズムをまるで達観するかのようにテナーを滑り込ませるショーター。「俺達が地上を歩いてるときに、奴は飛行機に乗って自分だけの惑星軌道を旋回しているようだ」とはマイルスの弁。 ★★★★

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 トミー・ドーシー(tb) 『Tommy Dorsey And His Greatest Band』


トミー・ドーシー(tb) 『Tommy Dorsey And His Greatest Band』

 ジャズを聴くんだったら、一応トミー・ドーシーも聴いとくか、と思って十数年前に買ったのが本盤だった。'50年代以前はまだLPが無かったので、こうした古い音源を集めるとなると自然とベスト盤のような形態のものを買うことになる。さて、フランク・シナトラを輩出した白人スイングバンドの最高峰。当り曲[21]、「僕はセンチになったよ」が冒頭に流れ、ドーシーのアナウンスを経て[1]が始まり、最後にフル・バージョンの同曲で終わる構成。[12]はなんとあのフォスターの唱歌「スワニー河」。女性コーラスが唄う[16]も珍しい。 ★★★☆☆

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 キース・ジャレット(p) 『Standards,Vol.1』


キース・ジャレット(p) 『Standards,Vol.1』

 当店がまだオーディオに凝る前の話。[1]を小音量でかけながら仕事をしていると、お客さんが青い顔をして一言、「このCD、お婆さんの唸り声が聞こえません?」[1]は素晴らしく美しい曲なのだが、たしかに曲想も不気味に聞こえなくもない。さすがのキースもジャズを聴かない人にはお婆さんの唸り声に聞こえるのかー、と思うと可笑しくなった。スタンダード以降のジャズシーンに現れたキースが、'83年、敢えてピアノトリオでスタンダードに挑戦したシリーズ第一弾。 ★★★☆☆

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 ケニー・バロン(p) 『The Moment』


ケニー・バロン(p) 『The Moment』

 寺島靖国さんが「まるごと一冊寺島靖国」や「寺島流JAZZの聴き方」などの著書に、音質チェック盤として本作の[2]を頻繁に登場させ、「ルーファス・リードのベースが宙に浮く」とか、「フランス女優の濡れた唇」「ベースがポカッ」などと、わけのわからん…、いや違った、素晴らしい名文を書いたために話題になったが、すでに10年以上の月日が流れ、これも入手困難になってきたようだ。スティング作のこの曲は、やはりジャズではなくロック的に聞こえてしまう。個人的にはオーソドックスで淡々とした[9]が好き。 ★★★★

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 カウント・ベイシー(p) 『Count Basie And The Kansas City 7』


カウント・ベイシー(p) 『Count Basie And The Kansas City 7』

 ベイシーのコンボ物として人気があり、録音も優秀とあってオーディオマニアの所有率も高い。フルートやテナーのバルブの湿った開閉音が真夜中のジャムセッションを連想させる。それらの音の隙間を縫うように、訥々と弾くベイシーのピアノが特に印象的。たった一発、「ピーン!」と弾く単音に物凄いパワーが篭められてるのを感じるべし。[3]では珍しくベイシーがハモンドオルガンを弾いている。「粗末だが凄く栄養のあるお茶漬け」を食べたような気分。 ★★★★

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 デヴィッド・サンボーン(as) 『As We Speak』


デヴィッド・サンボーン(as) 『As We Speak』

 ’80年代初頭、この手のクロスオーバー、フュージョンはお洒落な音楽の筆頭だった。デヴィッド・サンボーンのメロウで激情的なトーンにシビれた若者は少なくなかったに違いない。あれから20年後の今、本作を聴いてみるとやはり古臭さく感じられる。あまりにもわかりやすすぎて、直接的でカッコよすぎた。そういうのはやはり飽きる。モダンジャズがいつまでもモダンに聞こえるのは、一種の難解さを纏っているからなのだ。しかし[5]の間奏の出だしの泣き具合なんて抜群にカッコイイよなあ。 ★★★☆☆

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 ハンク・クロフォード(as) 『I Hear A Symphony』


ハンク・クロフォード(as) 『I Hear A Symphony』

 ハンク・クロフォードはレイ・チャールズのバンド出身。かのデヴィッド・サンボーンはハンクのプレイを聴いて感激し、アルト奏者を目指すことにしたというからたいしたもんだ。のっけからシュープリームスのヒット曲がディスコビートに乗って炸裂する。これはもうジャズとは言いがたい。クラブ系の若い人に教えてやると尊敬されるぞ、きっと。ハンクのアルトもサウンドのなかの一部として溶け込んでおり、アドリブなどもほとんどない。しかしながら豪華メンバーの参加とデヴィッド・マシューズのソウルフルなアレンジ、さらにヴァン・ゲルダー録音となれば話は別。 ★★★☆☆

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 リッチー・コール、ハンク・クロフォード(as) 『Bossa International』

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リッチー・コール、ハンク・クロフォード(as) 『Bossa International』

 どのような経緯でこのコンサートが実現したのか詳しくは知らないが、リッチー・コールが少年時代に最も憧れていたアルト奏者ハンク・クロフォードをゲストに迎え、リッチーが「胸を借りる」形での夢の競演といったところか。しかし聴いてもらえばわかるが、リッチーはバカテクでハンクを圧倒。もうちょっと手加減したれよ。ハンクもがんばるが、リッチーと比べると音量、音質ともに見劣りする。かつてのスター、ハンクの胸のうちはいかに?想像は尽きない。[2]はエリントンナンバー「サテンドール」のボサノヴァ変奏曲。 ★★★☆☆

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 ホレス・シルバー(p) 『Silver's Serenade』


ホレス・シルバー(p) 『Silver's Serenade』

 フロントにブルー・ミッチェル、ジュニア・クックを据えた、この時代のホレス・シルバー・クインテットは最高だ。歴代の名手、たとえばアート・ファーマーやハンク・モブレー、ドナルド・バード、ジョー・ヘンダーソンなどと比べると、やや知名度は劣るけれど、がっちり腰を据えてこのバンドで演るかぎりは、他のいかなるスタープレーヤーも及ばないナイスでファンキーなプレイを聴かせる。たとえば[2]。ミッチェルがソロのバックでハンマーで叩くようなピアノの低音に煽られる。こらたまらん。紙ジャケあり  ★★★★

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 ソニー・レッド(as) 『Out Of The Blue』


ソニー・レッド(as) 『Out Of The Blue』

 ルディ・ヴァン・ゲルダーの手になる数あるブルーノート名録音のなかでも、アルトの音色の美しさでは一番ではなかろうか。特に[2]など、思わず手を止めて聞き入ってしまう。スタンダードとブルース曲の配分も良く、ウイントン・ケリーがナイスサポート。ワンホーンで伸び伸びと大らかに歌うアルトが堪能できる。ゴリゴリのブルーノート・レーベルには珍しく、秋晴れの空のようにリラックスして和める作品だ。 ★★★★ アナログ盤あり

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 J.J.ジョンソン(tb) 『J.J.Johnson's Jazz Quintets』


J.J.ジョンソン(tb) 『J.J.Johnson's Jazz Quintets』

 J.J.の初リーダー・レコーディング([1]~[4])を含む3つのセッションで構成されている。いずれも’40年代の録音で、バド・パウエル、マックス・ローチらと共にビ・バップ・スタイルを踏襲。すでに驚異的なトロンボーン・テクニックは完成されており、[10]ではパーカーもどきの速いフレーズを連発する若きソニー・ロリンズとも互角に渡り合う。バラードの[11]は『スタン・ゲッツ・アンド・J.J.ジョンソン・アット・ジ・オペラ・ハウス』でも取り上げているJ.J.の十八番。  ★★★☆☆

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 ドン・フリードマン(p) 『Circle Waltz』


ドン・フリードマン(p) 『Circle Waltz』

 無責任な分け方だとは思うが、ドン・フリードマンはビル・エヴァンスと同系統、もしくはライバルということになっている。たしかに少し似てる。オリジナルの[5]なんか、一瞬「マイ・フーリッシュ・ハート」かいなと思う。当時”ネオ・ロマンチシズム”と呼ばれた知的なムードの白人ピアニストは需要があったのだろう。今もなおカタログから姿を消すことなく人気を保っているのは、何かと引き合いに出されるエヴァンスと表題曲[1]の美しさゆえ。これぞリリシズムの極致。[3]から[4]へのくだりも好きだ。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Bitches Brew』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『ビッチェズ・ブリュー』

 音楽のなかでもっとも難解なもののひとつだと思う。今でこそ「これはすごい傑作だ」と実感できるが、2~3年前までは何が良いのかサッパリ分らなかった。どの音楽ジャンルにも分類不可能。理解できた人は絶賛し、できなかった人は酷評する。ちょっと聴いたくらいではなかなか理解するのに骨が折れることは事実。であるにもかかわらず、これだけのビッグヒットを飛ばし、今なお多くの人々に受け入れられてることは驚異である。常にジャズ界を牽引してきたマイルスであるが、この作品以降、彼の音楽を真似することは誰にもできなくなってしまった。ク~ッ、たまらん! ★★★★★

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 クリフォード・ブラウン(tp) 『Study in Brown』


クリフォード・ブラウン(tp) 『Study in Brown』

 「B面お願いします。”ベイシー”(一ノ関にある日本一音の良いジャズ喫茶)でこれ聴いたとき凄かったんですよ!」そんなこと言われちゃかけないわけにもいかない。うまく鳴らせば鮮烈な音で鳴るという噂の盤だが、残念ながら当店ではいつもショボイ音。「ジョージのジレンマ[5]」に針を落とす。うーん、悪くはないけど「凄い」には程遠い。普通である。やれやれ、まだ修行が足りんなあ。くっそー!悔やしーっ!! ★★★★

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 ミルト・ジャクソン(vib) 『Milt Jackson Quartet』


ミルト・ジャクソン(vib) 『Milt Jackson Quartet』

 MJQのピアニストがホレス・シルバーってのもアリだったと思う。ついでに言うとベースがレイ・ブラウンになる可能性もあった。言い出したら何でもアリになってしまうが、特にミルト・ジャクソンとシルバーの相性は抜群で、シルバー作の「オパス・デ・ファンク」がミルトのトレードマークになっている。本セッションはMJQのジョン・ルイスがシルバーに代わっただけの編成で、[5]を除くすべてスタンダードナンバー。MJQとは当初「Milt Jackson Quartet」の略だった!? ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis And The Modern Jazz Giants』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis And The Modern Jazz Giants』

 「オレのバックでピアノを弾くな」マイルスにそう言われたモンクが怒って演奏をやめてしまう”クリスマスイブのケンカセッション”として伝説になった[1]。実際には諍いなどなく、まったくのデマであることをマイルス自身が語っている。ベースとドラムスのみをバックに、空間を活かした”ストロール”と呼ばれるサウンドを模索していたマイルスがピアノソロの途中にモンクに話しかける。ピアノソロが中断、続けるようマイルスのトランペットが促す。続くマイルスのソロのバックではモンクは弾かない。テイク1の[5]とこの部分を聴き比べてみよう。どちらが良いサウンドか、諍いはあったのか、自ずと答えは明らかになる。  ★★★★★

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 ザ・グレイト・ジャズ・トリオ 『At The Villege Vanguard』


ザ・グレイト・ジャズ・トリオ 『At The Villege Vanguard』

 わたしが所有するアナログ盤のオビにあるコピーが傑作だ。「ズ・ド・ド・ド・ドドン男の血が騒ぐ。」なんで「男の血」なのだろう。「ズ・ド・ド・ド・ドドン」で「女の血」は騒がないのか。それはともかく、トニー・ウイリアムスのバスドラが炸裂する[1]はジャズ喫茶「ベイシー」のスピーカーユニットを傷めるほどの凄まじい低音力が語り草になってる。ジャズファンが大口径スピーカーを求めるのはこのレコードがあるからか。昔は[1]ばかり聴いて男の血を騒がせてたが、最近ではもっぱら[3]が良い。 ★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts),J.J.ジョンソン(tb) 『Stan Getz And J.J. Johnson At The Opera House』


スタン・ゲッツ(ts),J.J.ジョンソン(tb) 『Stan Getz And J.J. Johnson At The Opera House』

 今でこそ少しはマシになったが、一時期は[1]~[4]でコニー・ケイの叩くシンバルの金属音がうるさくて難儀したものだ。タイトルになるくらいだからシカゴのシビックオペラハウスでの演奏がウリなんだろうけど、LA録音の[5]以降、モノラルではあるが音質はぐっとマトモになる。ゲッツとJ.J.がお互いに絡みながらコンサートが進行するが、それぞれが得意のバラード曲を披露する[8]や[9]もさすがの腕前。 ★★★☆☆

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 ウエス・モンゴメリー(g) 『So Much Guitar!』


ウエス・モンゴメリー(g) 『So Much Guitar!』

 同時に1オクターブ離れた音を弾く、ギターテクニックとしてはポピュラーなオクターブ奏法のパイオニアがこの人ウエス・モンゴメリー。ピックを使わず親指で弾く柔らかなアタックも特徴的だ。[1]のベースソロのあとに出てくるウエスのコードカッティングが、もうめちゃくちゃカッコイイ!レイ・バレットのコンガが利いている。[5]のエンディング、レックス・ハンフリーズのシンバル連打が良い!張力感漲るロン・カーターのベースが聴き物の[6]。ギター独奏の[7]は元曲の歌詞を知っていたなら、なお一層感動的に聴けるだろう。 ★★★★

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 ジーン・アモンズ(ts),ソニー・スティット(as,ts) 『Boss Tenors : Straight Ahead From Chicago August 1961』


ジーン・アモンズ(ts),ソニー・スティット(as,ts) 『Boss Tenors : Straight Ahead From Chicago August 1961』

 ”テナー・バトル”ものである。まあこんなものかと思って聴いていたら、ブルース曲の[4]にさしかかった途端にアドレナリンが噴出した!うおー!こいつはゴキゲンだぞ!キメキメのエンディングは、「来るな」と分っていても失神しそうになる(笑)引き続き[5]でも、なんとも気持ちの良いグルービーな時間が流れる。サキソフォンの巨人はたくさん居るが、こんなブルースを演らせたらアモンズの右に出るものはない。スタンダードの[1]や[3]は買わせるための餌だったのだ。一方、ソニー・スティットもいつもながら素晴らしい鳴りっぷりのアルトとテナーで応戦。信じられない! ★★★★★

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 ハンプトン・ホーズ(p) 『Hampton Hawes Vol.1:The Trio』


ハンプトン・ホーズ(p) 『Hampton Hawes Vol.1:The Trio』

 昔、JimmyJazzの隣には「不二家」があった。このジャケットを見ると思い出す。皆さんも以後本盤を見るたび「JimmyJazzの隣は不二家だった」というどうでもいい話を思い出すことだろう。ブルーノート・レーベルがギラッとした印象にできあがってるのに対し、コンテンポラリーはシェリー・マンのブラシや、本盤にも参加のレッド・ミッチェルのベース、ハンプトン・ホーズのピアノなどにより、乾いてザックリとしたサウンドイメージが定着している。音色は勿論のこと、軽快で歯切れ良い奏法自体がホーズの魅力。ホーズといえば思い出すのがコンテンポラリーの本盤、そして「不二家」である。 ★★★★

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 エルヴィン・ジョーンズ(ds),リチャード・デイヴィス(b) 『Heavy Sounds』


エルヴィン・ジョーンズ(ds),リチャード・デイヴィス(b) 『Heavy Sounds』

 見るからにヘヴィで身体に悪そうなジャケットだ。でも昔はこういうのがカッコ良かったのである(笑)当代きっての名手エルヴィン・ジョーンズとリチャード・デイヴィスのコンビで入れた名作。『ヒア・カムズ・アール・ハインズ』と同じ二人だが、こちらはドーンとヘヴィなサウンド(そのままや)。R&B調の8ビートで幕を開ける[1]、フォスターのテナーもギラついている。ヤニでテカテカ脂ぎってる[4]はドラムとベースのデュオ。[5]ではなんとエルヴィンがギターの腕前を披露。 ★★★★

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 アール・ハインズ(p) 『Here Comes Earl "Fatha" Hines』

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アール・ハインズ(p) 『Here Comes Earl "Fatha" Hines』

 ”ジャズピアノの父”アール・ハインズが、リチャード・デイヴィス、エルヴィン・ジョーンズと共にトリオで’66年に録音。当時ナンバーワンのベース、ドラムスも、すでに還暦を過ぎたハインズから見れば子供みたいなものである。オールドファッションなスタイルのハインズが、モダンなリズムに乗って軽快にスイングする。良い演奏は世代を超えて通じ合うのだ。リチャードがベースラインを逸脱しながらピアノに絡む[5]が本盤のハイライト。三人ともさすがにうまい。 ★★★☆☆

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『Coltrane』[Prestige]


ジョン・コルトレーン(ts) 『Coltrane』[Prestige]

 コルトレーンの初リーダー作は、ソニー・ロリンズと『テナー・マドネス』で競演してからちょうど一年後になる。全体にまだ生硬な感じはするけれど、セロニアス・モンクのもとで修行を積み、フロントに3管を配して、処女作にかけるトレーンの意気込みが感じられる。名演の名高い[2]は、後の名盤『バラード』とはアプローチの仕方がまったく違うバラードの好演。ストレートなブルースナンバー[3]、ふるえるようにして感情を注入する[5]も傾聴に値する。アナログ盤あり  ★★★☆☆

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 ユタ・ヒップ(p) 『Jutta Hipp With Zoot Sims』


ユタ・ヒップ(p) 『Jutta Hipp With Zoot Sims』

 評論家レナード・フェザーの強力な後押しでブルーノートに紹介されたドイツ人女性ピアニスト、ユタ・ヒップ。ヒッコリーハウスでのライブ盤二枚に続き、本作をズート・シムスと組んで入れたが、彼女はこれを最後に帰国してしまう。演奏は良いのだが、これではまるでズートのアルバムだ。もっと厚かましくしゃしゃり出てくるようでないとNYではやっていけない。[2]の「コートにすみれを」は、ジョン・コルトレーンJRモンテローズと並ぶ三大名演のひとつ。 ★★★☆☆

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Tenor Madness』


ソニー・ロリンズ(ts) 『テナー・マドネス』

 ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンが共にレコーデングしたのは本盤[1]のたった一度きり。今ならハッキリ判別できるし、ソロの優劣の判断もできるようになったが、初心者の頃は、どこからどこまでがコルトレーンで、どれを吹いてるのがロリンズなのかサッパリ判らなかった(笑)『サキソフォン・コロッサス』収録一ヶ月前、全盛期のロリンズとマイルス・デイヴィスのリズムセクション。[1]の印象が強烈だが、当然全曲傾聴に値する。自作の[3]はロリンズらしい良い曲だ。アナログ盤あり ★★★★★

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 ベン・ウェブスター(ts) 『See You At The Fair』


ベン・ウェブスター(ts) 『See You At The Fair』

 バラードでは羽毛を擦るようなウェブスターだが、アップテンポになるやR&Bのテナー奏者のように音色を潰して吹く。[1]で聴かれるようなこのダーティな音色が好き嫌いの分れるところ。かつての十八番[6]などは意外とあっさりしてる。そのかわりに聴き物なのがピアノの代りにハープシコードを入れた2曲[5]と[8]。哀愁のトーンがノスタルジックでイイ感じだ。輸入盤のほうは曲順が入れ替わり、オリバー・ネルソン指揮のボーナストラック3曲が追加されている。 ★★★☆☆

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 ウイントン・ケリー(p) 『Kelly At Midnite』


ウイントン・ケリー(p) 『Kelly At Midnite』

 「アット・ミッドナイト」にしては随分と景気の良い作品だ。ドラムの名手フィリー・ジョー・ジョーンズのベストプレイが聴ける。目から星が出るようなスネアドラムの快音!後半[3]から[5]までが本作のハイライト。[5]の中盤、ベースソロの直前に申し合わせたかのようにリズムをタイトにザクザクと刻んでいく―――ベースのポール・チェンバースとフィリー・ジョーは、ピアノのバックにまわると時々これをやるから堪らない。チェンバースの『GO...』とカップリングのお得な2in1CDもある。  ★★★★

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 ウイントン・ケリー(p) 『Wynton Kelly(枯葉)』


ウイントン・ケリー(p) 『Wynton Kelly(枯葉)』

 ジャズピアノが聴きたい。リラックスしていてロマンチック、でも辛気臭いのはダメ。有名なスタンダードナンバーが入ってて、大袈裟でも軽薄でもなくて通な雰囲気のするやつ、ない?そんなもんないわい!と言いたいところだが、ここにあった。ウイントン・ケリーって、”ジャズ界の巨人”というほどの存在感こそないが、煌びやかなトーンに小粋なスイング感、我々一般的な日本人がイメージする”ジャズピアノ”の魅力をすべて内包しているように思う。 ★★★☆☆

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 ビル・エヴァンス(p) 『Green Dolphin Street』


ビル・エヴァンス(p) 『Green Dolphin Street』

 わたしは実際に見た記憶がないのだが、昔、本盤の[1]がTVCFで流れていたらしく、マンハッタン・ジャズ・クインテットで来日中だったルー・ソロフがそれを見て、「日本ではビル・エヴァンスがTVで流れてる!我々ももっと頑張らねば!」と言ったとか。マイルス・デイヴィスのバンドを退団後、スコット・ラ・ファロ、ポール・モチアンらとのレギュラートリオ結成までの合間に行われたセッションで、ハードバップ・スタイルを踏襲。勿論水準以上の演奏ではあるが、ピアノトリオとしては最高とまではいかない、惜しいところ。[7]のみクインテット編成。 ★★★☆☆

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 エリック・ドルフィー(as,flu,cl,bass cl) 『Out There』


エリック・ドルフィー(as,flu,cl,bass cl) 『Out There』

 ジャズにおいては、楽器を大きな音で鳴らせることが最重要課題である。ただ力任せに吹いたり叩いたりしても大きな音では鳴らないのだ。ドルフィーほど大きく、しかも美しい音で楽器を鳴らした人はいない。難解とされながらも、彼が多くの人々に愛されるのは、この美しい音色ゆえではないか。本作はピアノレスで、ロン・カーターがチェロで参加。もはやドルフィーにとって、コードによる制約は意味がない。ひたすら爽快な[1]に痺れる。 ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Horace Silver and The Jazz Messengers』


ホレス・シルバー(p) 『Horace Silver and The Jazz Messengers』

 元々は10インチ盤で「ホレス・シルバー・クインテット」名義だったものが、12インチ化の際に「ジャズ・メッセンジャーズ」名義に変更された。シルバー初の大ヒットとなった[6]は「線路は続くよどこまでも」にそっくりだ。[7]を除く全曲シルバーのオリジナル。どの曲もしっかり練られており、極めて高い水準の演奏。フロントに2本ないし3本のホーンを配置してオリジナル曲を演奏する、このホレス・シルバーのスタイルは、その後ブルーノートがピアニストを売り出す際の雛型となったようだ。ダブル袖のカフスボタンがカッコイイ。 ★★★★ アナログ盤あり

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 カーティス・フラー(tb) 『The Opener』


カーティス・フラー(tb) 『The Opener』

 カーティス・フラーのブルーノートにおける初リーダー作。地味だけどこいつは良いぞ!美しいバラードをワンホーンで歌い上げる[1]。同じトロンボーンでも勇壮なJ.J.ジョンソンとは対称的だ。ブルース曲の[2]でハンク・モブレー登場。良い仕事してます!『モーニン』から遡ること一年、ボビー・ティモンズのピアノは意外なほどにリリカルだ。「ブルーノートの2管ハードバップを聴くぞ!」という意気込みを良い意味で裏切る和み盤。 ★★★★

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 ベン・ウェブスター(ts) 『Soulville』


ベン・ウェブスター(ts) 『Soulville』

 骨っぽい、男らしいテナーといえば”ビッグ・ベン”。『The Tatum Group Masterpieces』と並ぶベン・ウェブスターの代表作だ。なかでも特に有名なのが[4]。オスカー・ピーターソン以下、リズムセクションがナイスサポート。このときウェブスター円熟の48歳、ピーターソン32歳。[1]、[2]ではハーブ・エリスのブルージーなギターが良い味出している。[8]~[10]のボーナストラックで珍しいウェブスターのピアノ演奏が聴けるそうだが、残念ながらこちらは未聴。 ★★★★

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 バド・パウエル(p) 『Time Waits』


バド・パウエル(p) 『Time Waits』

 全曲パウエルのオリジナル。あまり話題にならない地味な作品だが、最近気に入ってよく聴いている。既に盛りを過ぎたと言われる'57年の録音ながら、パウエルは意気盛んで快調なプレイ。ドラムに乗せられたのではないかと思えるほど素晴らしいブラッシュワークでフィリー・ジョー・ジョーンズが演奏を盛り上げる。常にパウエルのやろうとする先を読んでついて行く天才的な勘のよさ。ちなみにフィリー・ジョーとパウエルはこれが最初で最後のレコーディングとなった。 ★★★★

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 フレディ・レッド(p) 『Shades Of Redd』


フレディ・レッド(p) 『Shades Of Redd』

 フレディ・レッドのことは知らなくても、フロントにマクリーンとティナ・ブルックス、リズムがチェンバースにルイス・ヘイズとくれば、「何かあるな」と思わずにいられない。硬派な泣きのアルト、マクリーンと軟派なコブシのブルックスの顔合せ。これがレッド作曲・哀愁のマイナー節によく似合う。ドラマチックな[1]は、普通のハードバップとはあきらかに違った感触。屋台で一杯飲みたい気分の[7]。まさかとは思うが、「Shades Of Redd」とは「赤ちょうちん」のことか?紙ジャケあり ★★★★ アナログ盤あり

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 ケニー・バレル(g) 『Midnight Blue』


ケニー・バレル(g) 『Midnight Blue』

 ジャズギタリストがピアノなしで演奏をする場合、いかにコードを挿入して空間を埋めるかがネックとなる。几帳面に音符で埋めていくバーニー・ケッセルのような人もいるが、バレルが弾くと隙間ができる。この隙間を無理に埋めようとせず、さらにコンガを追加。テーマをブルースに設定したの功を奏し、真夜中のイメージにピッタリの傑作ができた。かのエルヴィス・コステロがこのジャケットをパロッてこんなアルバムを残してる。パロディにするほどのビッグヒットじゃないから、きっとコステロが個人的に心酔していたのだろう。 ★★★★ アナログ盤あり

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins with the Modern Jazz Quartet』

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ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins with the Modern Jazz Quartet』

『マイルス・デイヴィス・アンド・ホーンズ』吹き込みの際、マイルスはプレスティッジ・レーベルのプロデューサー、ボブ・ワインストックにロリンズをレコーディングするよう進言。経験不足を理由に渋るワインストックに、マイルスは「チャンスを与えるべきだ」と食い下がり、帰ってしまったジョン・ルイスの代りに自らピアノまで弾いてセッションに付き合った。それがロリンズの初リーダー作[13]。モダンジャズの巨人ロリンズも'51年当時は「経験不足」だったなんて。それでも本盤でさっそく天才ぶりを発揮しているのはさすが!1曲1曲が短く聴きやすいので真夏の夜のドライブのお供に最適。 ★★★★

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 マッコイ・タイナー(p) 『The Real McCoy』


マッコイ・タイナー(p) 『The Real McCoy』

 「何もこんなにうるさく演らなくても…。」冒頭の「パッション・ダンス」をかけてたら、ジャズ好きのお客さんにそう言われたことがあった。曲名からしてうるさそうだが、たしかにうるさい(笑)たった4人でこんなにうるさく演奏できてしまうのだ。特にエルヴィン・ジョーンズのドラミングの凄まじいこと!シンバルがぶらんぶらん揺れる様が見えるようだ。火薬の臭いがする、まるで核弾頭のようなレコード。イエー!リアル・マッコイ!(こりゃあホンモノだぜ!) ★★★★

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 ビクター・フェルドマン(vib,p) 『The Arrival of Victor Feldman』


ビクター・フェルドマン(vib,p) 『The Arrival of Victor Feldman』

 曲の最中にビブラフォンとピアノを行ったり来たり器用に操り、多彩な表情を見せるフェルドマン。同じビブラフォン奏者でもミルト・ジャクソンなんかとは一味違った小粋で洗練された和音の響き。[4]や[5]などで、マレットが音板にそっと触れるような繊細なタッチが魅力だ。コンテンポラリー・レーベルらしく、カラッとしてキュート、ジメジメしたところがない。ビル・エヴァンス・トリオ参加前の剛腕スコット・ラ・ファロのベースランニングも聴き所のひとつ。楽しいジャケットだ。 ★★★★

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  『New York,New York/Soundtrack』


『New York,New York/Soundtrack』

 ライザ・ミネリ、ロバート・デ・ニーロ主演の映画「ニューヨーク・ニューヨーク」のサウンドトラック。映画も豪華であったが、音楽も相当力を入れて作られている。参加ミュージシャンの詳細なクレジットがないのがとても残念だが、デ・ニーロ扮するテナー奏者・ジミー・ドイルのパートは、ジョージ・オールドが担当。[18]では入魂のテナーを聴かせる。そしてライザ・ミネリ本人の唄のうまさに唖然としたものだ。[5]はトミー・ドーシー楽団の完全コピー、[16]はミュージカル仕立、とにかく良い曲がいっぱいで飽きることがない。 ★★★★

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 ハンク・モブレー(ts) 『Roll Call』


ハンク・モブレー(ts) 『Roll Call』

 ハンク・モブレーのリーダー作は多いが、そのなかでもブルーノートの『ソウル・ステーション』『ワークアウト』、そして本盤の三枚を以ってモブレーの最高傑作とされ、いずれもウイントン・ケリーとポール・チェンバースがバックを務めている。特にケリーとは相性が良かったようだ。シンドバッド登場のファンファーレのように勇壮な[1]、これと『ワークアウト』の表題曲とはコード進行もテンポもそっくり同じだが、雰囲気は随分と異なる。豪快なブレイキーと鉄砲玉みたいなフィリー・ジョー・ジョーンズのドラマー聴き比べも楽しい。 ★★★★

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 ハンク・モブレー(ts) 『Workout』


ハンク・モブレー(ts) 『Workout』

 一口に「ファンキー」といっても、ボビー・ティモンズのファンキーとホレス・シルバーのファンキーでは随分違った印象を受ける。モブレー流のファンキーというのもちゃんとあって、それが本盤に色濃く反映されている。仁義を切るような[2]の「Uh Huh」なんて、タイトルからしてもうファンキー!ブルースに根差した渋めのハードバップ。実はこのCDは2枚持っていて、うち1枚はJBL4343を購入した日に買ったのでよく憶えている。2000年の5月2日だった。 ★★★★

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 チャールス・ミンガス(p) 『Mingus Plays Piano』


チャールス・ミンガス(p) 『Mingus Plays Piano』

 ベースの巨人ミンガスがソロピアノに挑戦した異色作。攻撃的に鍵盤を叩くのではという予想をあっさり裏切り、意外なほど叙情的で美しいピアノを弾くミンガス。所謂ジャズピアニストが弾いたようには聞こえないところが凄い。これは単なる余技ではない。セロニアス・モンクの音楽はローマに通じるように思うが、ミンガスにはスペインやメキシコの郷愁を感じる。書斎で難しい本でも読みながら聴きたい知的な気分にさせる。 ★★★★

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 マッコイ・タイナー(p) 『Reaching Fourth』


マッコイ・タイナー(p) 『Reaching Fourth』

 一昨日500円でこのアナログ中古盤を買ってきたら雑音は酷いわ針は跳ぶわ。見るに見かねて水でジャブジャブ洗ったら復活した。内容は良いので皆さんには針の跳ばないCDをお勧めしよう(笑)何が良いって、このレコードはポジション的に渋いのである。表題曲[1]ではロイ・ヘインズの弾け飛ぶスネアドラムがイカしてる。本盤が録音された'62年11月14日はコルトレーンと『Ballads』を収録した次の日で、バラード曲の[2]はその流れを汲むリリカルな演奏。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Seven Steps To Heaven』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Seven Steps To Heaven』

 「バンドに入れたかったが、オレとやるとなるとかなりの損失になってしまう」。マイルスの自叙伝によれば、ピアノのビクター・フェルドマンは、この頃スタジオミュージシャンの仕事で大金(!?)を稼いでいたそうだ。マイルスのレギュラーバンドよりスタジオミュージシャンのほうが儲かるとは!そのハリウッド録音は[1][3][8]など、いずれもバラード曲。マイルスに一目置かれたようで、フェルドマン作曲の表題曲[2]と[6]をレパートリーに入れるが、本盤では二曲ともハンコックがピアノを弾いている。NY録音のほうは全編爽やかで溌剌とした演奏。初顔合せ、トニー・ウイリアムスのチェーンソーが回転するかのようなシンバルが凄い!  ★★★★

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 ジミー・ドーシー(cl,as) 『Contrasts』


ジミー・ドーシー(cl,as) 『Contrasts』

 1936年から1943年に録音された貴重な音源。特にヘレン・オコネルの唄う[11]は絶品だ。元がSPなので当然針音やノイズが混入するが、その向こう側には美しい音楽が厳然としてある。音楽のスタイルとしては若干古めかしい感も否めないものの、本盤を聴くと、いつも「録音が良いとはいかなることか?」と、これまた美しく撮影されたジミー・ドーシーのジャケット写真を見ながら思う。古き良きアメリカの甘い香りが漂ってくる。 ★★★☆☆

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 ポール・デスモンド(as) 『Bossa Antigua』


ポール・デスモンド(as) 『Bossa Antigua』

  何枚かあるデスモンドとジム・ホールのコンビによるボサノヴァアルバムの極めつけ。軽快なリズムギターと美しいアルトの音色が織り成す世界はまさに極楽。レストランやカフェなどに常備しておけば、極めて上質なBGMとして重宝することだろう。梅雨には窓を叩く雨を眺めながら、クーラーの効いた部屋で本盤を聴くのがいい。[4]を聴いてると哀愁のスコールで心が洗われるようだ。国内盤あり ★★★★

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 ジョー・ヘンダーソン(ts) 『Our Thing』


ジョー・ヘンダーソン(ts) 『Our Thing』

 『ページ・ワン』に続くジョー・ヘンダーソン二枚目のリーダー作。相方がドーハムとくれば、オーソドックスな二管ハードバップかとの予想はあっさり裏切られる。たとえば[1]はブルースナンバーだが、ただのブルースにあらず。モーダルで斬新なサウンド。キーマンはアンドリュー・ヒルだ。彼のピアノが全体のムードを一変させてしまう。ヒルとジョーヘンは'63年当時、ブルーノートが最も力を入れて売り出し中の新人だった。[1]でのソロが出色のでき。 ★★★☆☆

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『One Step Beyond』


ジャッキー・マクリーン(as) 『One Step Beyond』

 「フランケンシュタイン」だの「ゴースト・タウン」だの不気味なタイトルのオリジナル曲からもわかるように、新主流派に身を投じたマクリーンの意欲作。マクリーンという人は元々新しいものが好きなんだろう。古い殻を脱ぎ捨てたように溌剌としたプレイを聴かせる。忘れてならないのが神童トニー・ウイリアムスの参加。彼の猛烈な勢いのドラミングにバンド全体が乗せられて傑作が生まれた。すぐさまマイルス・デイヴィスはトニーを引き抜きにかかる。マクリーンのリーダー作で一番好きなのはこれだ。 ★★★★★

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 モダン・ジャズ・カルテット 『Concorde』


モダン・ジャズ・カルテット 『Concorde』
 今ではもう馴れたけど、「朝日のようにさわやかに」という邦題がジャズのイメージとなかなか結びつかなかった。「ジャズは朝日のようにさわやかな音楽じゃないだろう」と、ジャズ初心者の頃のわたしはどうにも納得できなかった。「Softly」だからいっそのこと「朝日のようにやわらかに」にでも改題してくれないものか。本盤の[5]だって、名演には間違いないが決して「さわやか」な演奏じゃない。『ジャンゴ』に続くMJQの古典にして代表作のひとつ。特にジョン・ルイスの粘るピアノはバッキングも含めて必聴の素晴らしさ!  ★★★★★

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 ミルト・ジャクソン(vib),ウエス・モンゴメリー(g) 『Bags meets Wes!』


ミルト・ジャクソン(vib),ウエス・モンゴメリー(g) 『Bags meets Wes!』

 「渋いッ!」一曲目「S.K.J.」が終わったと同時に、当店のお客さんがそう叫んだ。それは酒を飲んだときに「うまいッ!」と叫ぶニュアンスに酷似していた。そう、じつに渋いのだ。[1]はウォーミング・アップ的なブルースで、ウエス、ウイントン、ミルトの順で、2コーラスづつソロがあてがわれる。先発のウエスはいきなりオクターブ奏法で入ってきて、2コーラス目にコードを「ジャーン」と鳴らすが、すかさずフィリー・ジョーのブラシがシンバルを叩いて反応する。「ぷっしゅ~~ん」二度目は決まるが三度目は空振り、しかし、そこがまた渋いッ!輸入盤あり ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Workin'』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Workin'』
輸入盤あり

 初恋のときめきを語るようにバラードの[1]が胸に迫ってくる。いいなあ。世界一のグループが演奏した最高のジャズがここにある!前半(A面)と後半(B面)の最後にエンディング用の「テーマ」が演奏され、擬似的に2セットのステージが楽しめるようになっている。演奏が素晴らしいのは勿論だが、マラソン・セッションを4枚のレコードに分けて、年に一枚づつ発表していったプレスティッジのプロデューサー、ボブ・ワインストックのセンスも凄い。決して買って後悔することのない傑作。  ★★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Alfie』

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ソニー・ロリンズ(ts) 『Alfie』

 '65年のパラマウント映画『アルフィー』のために書いたロリンズのスコアを、オリバー・ネルソンが編曲指揮した興味深い作品。ファンキーでかっこいい「アルフィーのテーマ」が全編にモチーフとして使われているが、よくある映画音楽のサントラ風でなく、ストレートなジャズ作品として初心者にも十分楽しめる。きっと気に入ると思うので、聴いたことのない方は是非試聴してみて欲しい。[1]でロジャー・ケラウェイの弾くボビー・ティモンズばりのピアノソロがいい。国内盤あり ★★★★

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 シェリー・マン(ds) 『2 3 4』


シェリー・マン(ds) 『2 3 4』

 さすがに最近はやらないが、一時期、凄い音を聴かせて人を驚かしては喜んでた時期があって、そのネタの一つとして本盤の[5]をストックしておいた。もうもうと砂塵を巻き上げるような凄まじいブラシさばきが迫力満点!結局一度もこれで驚かす機会はなかったのだが(笑)『2 3 4』とは、デュオ、トリオ、カルテットでの演奏がそれぞれ収められていることを意味する。得意のブラシは勿論、スティック、マレットと、多彩な技が網羅されている。[2]と[4]でエディ・コスタが好演。 ★★★★

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 エディ・コスタ(p) 『The House Of Blue Lights』


エディ・コスタ(p) 『The House Of Blue Lights』
 がんがん低音を響かせ、まるで打楽器のようにピアノを弾く奏法で、古くからオーディオマニアにも人気の高いエディ・コスタの『ハウス・オブ・ブルー・ライツ』。ドラキュラ城のようなジャケットが、表題曲[1]のおどろおどろしい曲想にマッチしている。耳から手ェ突っ込んで奥歯ガタガタいわしたろか的な演奏。コスタはタル・ファーロウとの共演が有名だが、シェリー・マンのインパルス盤『2.3.4』にも参加しており、ピアノのみならずヴィブラフォンの腕前も披露している。 ★★★★

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 長谷川朗(ts) 『In This Case』


長谷川朗(ts) 『In This Case』

 当店のお客様が勤める会社「Bass On Top」がジャズCDをリリースするという。サンプル盤を頂戴した。NY在住のテナー奏者・長谷川朗のデビュー作。一曲目を聴いて「おっ、なかなか良いじゃん♪」と嬉しくなってしまった。テナーらしい図太いトーンとゴツゴツつんのめる感じのフレ-ジング。まるでソニー・ロリンズのようだが、より洗練され、NYの都会的なセンスを感じる。とても日本人が大阪で録音したとは思えない(笑)こちらがレコーディング風景。 ★★★☆☆

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 ベニー・グリーン(tb) 『Soul Stirrin'』


ベニー・グリーン(tb) 『Soul Stirrin'』

 のっけから「バブドゥイドゥドゥヴィウンドゥンウーウィ♪」と、ブルーノートにしては異例とも思えるスキャットに面食らう。絶好調のプレイを聴かせるジーン・アモンズは、当時プレスティッジ・レーベルと専属契約を交わしており、本盤には"JUG"という変名で参加。白人テナーのビリー・ルートと共に、2テナー、1トロンボーン+リズムセクションと、変則的な編成。よりファンキーかつアーシーな雰囲気が充満する。ベストトラックはエルヴィン・ジョーンズのドラミングも素晴らしい急速調のバップ曲[2]か、いや、バラードの[4]も良い。 ★★★☆☆

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 ジーン・アモンズ(ts) 『Bad! Bosa Nova』

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ジーン・アモンズ(ts) 『Bad! Bosa Nova』

 ボサノヴァも”ボス・テナー”の異名を持つジーン・アモンズが演ると、水辺から離れ、幾分蒸し暑く、土着的でソウルフルな雰囲気。肉汁したたるステーキのようだ。不思議なベースラインが延々とリフレインする合間を、縫うようにアドリブが展開する[2]が本盤のハイライト。旋律の随所にアフリカへの郷愁が感じられる。ピアノのハンク・ジョーンズが好サポート。ジメジメする梅雨どきに聴きたい。 ★★★☆☆

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 アート・ペッパー(as) 『Mucho Calor』

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アート・ペッパー(as) 『Mucho Calor』

 「ムーチョ」は「とても」とか「すごく」を意味するらしい。「ベサメ・ムーチョ」は「とっても好き」ということで、「カラムーチョ」は「辛すぎる」??では本盤のタイトル「ムーチョ・カラー」は?この「Calor」は「カロリー」つまり熱量を意味するようだ。つまり「すんごく暑いわぁ」ってことか。[1]の前奏を、「なんだこの古臭い音楽は?」と聴いてると、ぺッパーのアルトが登場した途端にそんな思いは吹っ飛んでしまう。ラテンパーカッションを配した企画盤。ジャケットもお洒落ムーチョ! ★★★☆☆

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 セロニアス・モンク(p) 『Brilliant Corners』


セロニアス・モンク(p) 『Brilliant Corners』

 特異な奏法と、その延長線上に特異なオリジナル曲をたくさん書いた”バップ高僧”セロニアス・モンクの代表作のひとつで、本作のヒットによりモンクの名声は不動のものとなった。奇異な印象のメロディラインをソニー・ロリンズらフロント陣に受け持たせた、堂々たるハードバップの傑作。私的にはピアノソロの[4]が最高に好き。これはモンクのオリジナルではないが、オリジナル以上にモンクの資質に合っている、まるでモンクのために書かれた曲のよう。決してモンクに歌心がないわけではないのである。 ★★★★★

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 グラント・グリーン(g) 『The Latin Bit』

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グラント・グリーン(g) 『ザ・ラテン・ビット』

 グリーンは泣きのメロディで聴かせるギタリスト。当然ながらラテンとの相性が良い。そこで丸々一枚ラテンをテーマに吹き込んだのが本作だ。ラテンとはいえ、そこはブルーノートであるからモダンな感覚。ピアノ、ベース、ドラムスに加えて二人のパーカッションがバックを務める。[2]や[5]など哀愁のメロディは得意中の得意。「トゥーン」と沈み込むコンガの音色が気持ち良い。[4][6]も、聴けば「ああ、あれか」と耳に憶えのある有名曲で親しみやすい。(”Rudy Van Gelder Edition”のこの盤には1961年録音とクレジットされているがおそらく'62年が正しい) ★★★★

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 アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『Caravan』


アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『Caravan』

 3管でモーダルなサウンドを狙ったジャズ・メッセンジャーズの人気盤。音楽監督は勿論ウエイン・ショーター。リー・モーガン、ボビー・ティモンズ在籍時とは一味違ったスマートな音作りが魅力。御大ブレイキーの迫力あるドラムサウンドを念頭に置いたアレンジがなされており、持ち味の豪快さは健在だ。全編で聴かれるフレディ・ハバードのトランペットがムチャクチャうまい!!テレビ番組「情熱大陸」で[1]のイントロがチラッと流れて、何の曲だったかと二時間くらい悩んだことがある(笑) ★★★☆☆

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 マル・ウォルドロン(p) 『MAL-1』


マル・ウォルドロン(p) 『MAL-1』

 情念のピアニスト、マル・ウォルドロンの初リーダー作。一聴よくある普通の2管ハードバップかと思ったら、随所にコールタールのようなどろりとした独特のタッチが見られる。極めつけは[2]。メロディラインを崩して演奏されることの多い有名なバラード曲を、まるでオリジナル曲のようにアンサンブルのテーマとして料理している。ピアノソロからアルトへの引き継ぎが見事だ。一度この曲をJJ工房でかけたことがあるが、約8分間、参加者全員が身動ぎもせずに聞き入ってた。[4]におけるマルのソロも素晴らしい。 ★★★☆☆

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 ジェリー・マリガン(bs),ベン・ウェブスター(ts) 『Gerry Mulligan Meets Ben Webster』


ジェリー・マリガン(bs),ベン・ウェブスター(ts) 『Gerry Mulligan Meets Ben Webster』

 ジャズのレーベルにもブランドイメージがあり、たとえば迫力があって厳めしい感じのするブルーノート。カラッと乾いたカリフォルニアの空気のようなコンテンポラリーなど。プロデューサーの個性を反映するのだろうか、ヴァーヴは常に微笑をたたえているように感じる。本盤もノーマン・グランツらしい、くつろぎと気品に満ちたヴァーヴ作品。『Getz Meets Mulligan in Hi-Fi』とも共通するコクのあるウッディなサウンド。ビンテージスピーカーで聴いてみたい。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Collector's Items』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Collector's Items』

 「コレクターズ・アイテムズ」とは、よくできたタイトルだ。前半がべろべろに酔っ払ったチャーリー・パーカーを含む'53年のセッション。パーカーのやる気のなさが祟ってか、全体に粗い印象だ。一方後半'56年3月のセッションは、もうさすがというべき完成度の高さ。ロリンズとトミフラの絡みは4ヶ月後の大傑作『サキソフォン・コロッサス』を彷彿とさせる。マイルスとしても、この頃は既にレギュラー・クインテットを結成しており、その合間に全盛期のロリンズらと共演した貴重な録音。 ★★★★

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 デイブ・ブルーベック(p) 『Time Out』


デイブ・ブルーベック(p) 『Time Out』

 かつてタケダ薬品の「アリナミンVドリンク」のCFに使用され、美しく印象的なポール・デスモンドの旋律により、一躍”日本一有名なジャズ曲”となった本盤の「テイク・ファイブ」。しかし、あれからもう20年近い月日が流れているから、意外と今の大学生なんかは知らないかもしれないと考えると恐ろしい。『タイム・アウト』なるタイトルは変拍子をテーマにした作品ゆえ。誰でも知ってるというだけじゃなく、内容も録音もすこぶる良い。個人的には[2]が一番好き。 ★★★★

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 リー・モーガン(tp) 『Here's Lee Morgan』


リー・モーガン(tp) 『Here's Lee Morgan』

 ジャズのCDにはつき物の”別テイク”や”ボーナストラック”。「あるほうがいい」「いや、オリジナルのままで出すべき」と意見が分れる。ならば本盤のようにオリジナル・イシューと別テイク集二枚に分ければよい。まずはオリジナルの一枚目をしっかり聴き込んだ後に二枚目を聴くと、あの名アドリブの前にこのような試行錯誤があったのかと感心する。ウイントン・ケリーがちょっとスイングさせ、それに続いてジョーダンもリズミカルなソロを放つ「I'm A Fool To Want You」のテイク2が面白い。 ★★★☆☆

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 ハービー・ハンコック(p) 『Speak Like A Child』


ハービー・ハンコック(p) 『Speak Like A Child』

 『処女航海』に次ぐハンコックの人気盤。3管を配した緻密なアレンジが聴かれるが、ホーンプレーヤーによるソロはなく、ハンコックのピアノを引立てる装飾譜として使用される。全体を包む叙情的、幻想的なイメージは「処女航海」の延長線上にありながらも、より洗練され、他に類を見ないスマートな音楽に仕上がっている。[3]と[6]はピアノトリオによる演奏。ミッキー・ローカーの切れ味鋭いドラミングも聴き所のひとつ。 ★★★★

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 スティーブ・レイシー(ss) 『Soprano Sax』


スティーブ・レイシー(ss) 『Soprano Sax』

 スティーブ・レイシーの初リーダー作。後年、フリージャズに傾倒するレイシーも、この頃('57年)はストレートに瑞々しいソプラノを吹いている。歯切れ良くしかも伸びやかなノンビブラートの音色が美しい。音域こそ違うが、フレージングにはソニー・ロリンズの影響が強く感じられる。エリントンナンバーの[1],[4]、セロニアス・モンク作の[3]、残りがスタンダード曲という構成。カリプソ調の[5]はジャマイカ出身のピアニスト、ウイントン・ケリーのショーケースだ。 ★★★☆☆

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 ウエイン・ショーター(ts) 『Et Cetera』


ウエイン・ショーター(ts) 『Et Cetera』

 これも未発表作品で、ブルーノートがアルフレッド・ライオンの手を離れ、リバティ傘下に吸収されたのち発表になった。ジャケットデザインもオリジナル盤よりCDのほうが断然カッコイイので、無理してアナログを探すより素直にCDを買うほうが賢明である。さて、本盤は是非ともショーターと、ドラムのジョー・チェンバースの掛け合いを傾聴するべし。表題曲[1]のドラムソロのカッコイイこと!そしてクライマックスは呪術によってメラメラと燃えあがる炎のような[5]。『アダムズ・アップル』より前の録音で、メンバーも殆ど同じだが、こちらのほうが進歩的かつダイナミックに思える。 ★★★★

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 ウイントン・ケリー(p) 『Piano』


ウイントン・ケリー(p) 『Piano』

 マクリーンが早退したかと思えば、本盤ではフィリー・ジョー・ジョーンズ遅刻のため4曲はドラム抜き。まったくジャズとはええかげんな世界である。しかし、演奏は素晴らしいから文句もない。初めてJBL4343で本盤をかけたときの衝撃はいまだに忘れられない。[2]におけるポール・チェンバースのアルコ!これはタマゲタ!なんというか、音が「体当たり」してくるのだ!それまで本当の意味でホーンスピーカーの、JBLの凄さがわかってなかったのだと思う。ケニー・バレルのギターの音色もいい。輸入盤あり ★★★★

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 ティナ・ブルックス(ts) 『Minor Move』


ティナ・ブルックス(ts) 『Minor Move』

 '80年代まで未発表だった豪華メンバーによる幻のセッション。ティナ・ブルックスのテナーは、ロリンズに代表されるような太く逞しいスタイルではなく、くねくねと落ち着きがなくてフレーズの最後まで息が続かない。いや、これはわざとそうしてるに違いない。このアロハを着たチンピラのような軟派っぽいトーンで、まるで演歌のようにコブシを転がす。『オープン・セサミ』の人気の秘密はブルックスのテナーにあると見た。日本国内にこの人の隠れファンが多い。リー・モーガンも好演。 ★★★☆☆

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 ケニー・ドーハム(tp) 『Quiet Kenny』

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ケニー・ドーハム(tp) 『Quiet Kenny』

 邦題『静かなるケニー』として有名なドーハムの代表作であるとともにモダンジャズ決定盤のひとつ。題名ほど静かなるレコードでもない。[1]は弾け飛ぶアート・テイラーのドラミングが見事なハードバップ。静かなのは演奏ではなく、ドーハムのへしゃげたトーン。クリフォード・ブラウンのような輝かしい派手さこそないが、まるでブリキのラッパのように暖かな音色。[6]や[7]などの佳曲も絶妙の節回しで聴かせる。ここでもやはりトミフラが良い味を出している。輸入盤あり ★★★★★

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 ハービー・ハンコック(p) 『Empyrean Isles』


ハービー・ハンコック(p) 『Empyrean Isles』

 ハービー・ハンコックのリユニオン・バンドであるV.S.O.P.クインテットそのままのメンバーでのレコーディングというのが意外に無い。本盤もV.S.O.P.からウェイン・ショーターが抜けたカルテット編成だ。'93年にヒップホップグループUS3がグルービーな[3]をサンプリングに使って再注目された。[4]は組曲のような実験的な作品。それに比べると前半2曲はオーソドックスだが、いやあ、このメンバーじつにうまい![1]にフレディ、[2]にハービーの真骨頂を見る思いがする。 ★★★★

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 ブッカー・リトル(tp) 『Booker Little And Friend』


ブッカー・リトル(tp) 『Booker Little And Friend』

 ブッカー・リトルのいとこはルイス・スミスだそうだ。親戚同士でこれほど素晴らしいトランペッターが居るというのも驚異である。リトルをジャズの世界に引きずり込んだのが本盤にも参加しているテナーのジョージ・コールマン。そのためか二人の資質はとてもよく似ているように思う。大きな枠で括れば”新主流派”ということになるが、二人とも吹奏スタイルは伝統的で、しかも音楽的には新しい方向を模索していた。[4]を除く全てリトルのオリジナルで、全員が意気盛ん。特に白人ピアニストのドン・フリードマンが渋い! ★★★☆☆

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 チャーリー・パーカー(as) 『Jam Session』


チャーリー・パーカー(as) 『Jam Session』

 オリジナル盤ではチャーリー・パーカー名義でなく、単に”JAM SESSION”となっている。その名の通りプロデューサーのノーマン・グランツが集めたJ.A.T.P.メンバーによるゴキゲンなジャムセッション。なぜか[1]の曲名も「JAM BLUES」だったのが「J.A.T.P. Blues」に変わってる。ジャズは個性の音楽だというが、こうしてパーカー以下、次々に登場するリード奏者のプレイを聴くと、じつに個性的で変化に富んでいる。鬼のようにパワフルなウェブスターのテナーと打って変わって、軽ぅ~く出てくるホッジスのアルトが素晴らしい。 ★★★☆☆

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 ボビー・ティモンズ(p) 『This Here Is Bobby Timmons』


ボビー・ティモンズ(p) 『This Here Is Bobby Timmons』

 ティモンズ作曲の有名曲[1],[2],[6],それに加えて有名スタンダード[3],[4],[5],[7],[8]と、サービス精神旺盛な選曲。なんとなく軽い印象があって長い間ほったらかしにしてた。ひさびさに聴いていると良いではないか!(笑)さすがに重厚なジャズ・メッセンジャーズの名演と比べると、若干小ぢんまりした感はあるが、ピアニストとしてのティモンズが十分に堪能できる。御大アート・ブレキーとマイルス・バンド在籍中だったジミー・コブのドラミングを聴き比べるのも面白い。 ★★★★

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 ピート・ラ・ロカ(ds) 『Basra』


ピート・ラ・ロカ(ds) 『Basra』

 現代のように海外旅行もままならなかった1965年当時、ヨーロッパ以外の国々、たとえばイスラム圏や東洋のオリエンタリズムに憧憬を抱くアメリカ人は多かったようだ。ジャズにおいても、伝統的なヨーロッパ的価値観からの脱却を目指すミュージシャンが増えつつあった。本盤もちょうどそうした流れにあったブルーノート新主流派を代表する傑作のひとつ。呪文のように繰り返される[1]、新しい切り口のブルースナンバー[2]、イラクの港をイメージした表題曲[4]など、決してヨーロッパ的でなく、かつストレートなジャズが炸裂する。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『死刑台のエレベーター(Ascenseur Pour L'echafaud)』


マイルス・デイヴィス(tp) 『Ascenseur Pour L'echafaud』

 物凄い演奏だ。トランペットの音色がここまで力を持っているとは。しかし、あまりにも、暗い。真夜中にこれを聴いたら自殺者が出るんじゃないかと心配になる。恐ろしいまでの閉塞感。ただでさえ暗いのに別テイクが何度も繰り返されるから余計に気が滅入る。軽く聞き流せばいいようなものだが、そうはいかない。かけるたびマイルスの魔力によってハードボイルド世界に引きずり込まれる。昨日も店でかけてたら、案の定お客さんも一緒になって暗くなってしまった。(笑)輸入盤あり ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis And Milt Jackson Quintet/Sextett』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis And Milt Jackson Quintet/Sextett』

 「マイルス、なんでアートにはオレのように辛くあたらないんだ!?」そう言って、レコーディング中だというのにスタジオを出て行ってしまう激情のジャッキー・マクリーン。よって[2]と[4]はマクリーン抜きのクインテット演奏。ビビリながらもリズムをキープするアート・テイラー。ブロックコードのバッキングに抜群のセンスを見せる寡黙な新人レイ・ブライアント。しゃかりきになってマレットを振るうミルト・ジャクソン。このセッションに漲る緊張感をもたらしたのはマクリーンだ。 ★★★★

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 モンティ・アレキサンダー(p) 『Montreux Alexander Live!』


モンティ・アレキサンダー(p) 『Montreux Alexander Live!』

 [6]に歌詞をつけて唄うとすれば、「ゴンベさんの赤ちゃんが風邪ひいた」がオーソドックスで、わたしなら「おたまじゃくしは蛙の子」。ハイカラさんなら「グローリーグローリーハレルヤ」か。ひょっとすると若い人は「ヨドバシカメラの唄」だと思ってるかもしれない。重量級のピアノの音をガッツーン!と聴かせるモンティ・アレキサンダーの、スイスで行われたモントルゥー・ジャズ・フェスティバルでのライブ。クリアーで迫力ある低音弦の響きはMPSレーベル得意のお家芸。よく知られたスタンダード曲をノリノリで弾きまくり、会場は興奮の坩堝と化している。  ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Water Babies』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Water Babies』

 ジャケットのあやしげなイメージは『オン・ザ・コーナー』あたりの電化マイルス時代を連想するが、中身はストレートアヘッドなジャズ。コロンビアが遅れてリリースしたためか、内容とジャケットがややちぐはくな印象だ。特に前半はウエイン、ハービー、ロン、トニーといった”黄金のクインテット”時代の録音だけあって実に素晴らしい。しかし本盤のハイライトはなんといってもゴキゲンなロックンロール調の[5]。ん~、カッコイイ! ★★★★

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 ビックス・バイダーベック(cor,p) 『Singin' the Blues』


ビックス・バイダーベック(cor,p) 『Singin' the Blues』

  本盤をかけていたら、お客さんに「これはいくらなんでも古すぎる」と言われた。それもそのはず、なんと1927年の録音。当店所蔵の音源のなかで、おそらく最も古いものだ。”コルネットの王様”ビックス・バイダーベックは、ルイ・アームストロングと並ぶジャズ創世記の大立て者。ピアノもなかなかの腕前で、[12]ではモダンなソロピアノを聴かせる。サウンドとしてはディキシーランドのスタイルだが、どことなくニューヨークの洗練された感覚を感じる。若き日のジミー・ドーシーもセッションに名を連ねているようだ。 ★★★☆☆

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 ウイントン・ケリー(p) 『Kelly Great』


ウイントン・ケリー(p) 『Kelly Great』

 良いジャズミュージシャンは何でもないようなブルースが例外なくうまい。ウイントン・ケリーはその最右翼だ。一曲目にその何でもないようなブルースナンバーを持ってくる。いやー、これが良い!知らないうちに乗せられてしまう。ハードバップ調の[2]、粋な節回しのモーガンのミュートトランペットに続いて登場するショーターのヌボーとしたテナーが痛快な小唄[3]など、一見地味な選曲ながら味わい深い内容の一枚。 ★★★★

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 ハービー・ハンコック(p) 『Quartet』


ハービー・ハンコック(p) 『Quartet』

 ハービー、ロン、トニーというV.S.O.P.のリズムセクションにウイントン・マルサリスを加えたカルテットによるスタンダード集。2枚組みLPだったのが一枚のCDに収録されている。いやあ、本作のウイントンのトランペットには心底参った!張りのあるトーン、見事なフレージング。こんなに易々と吹けてしまっていいものだろうか。「トランペットがうまい」というのはまさにこういうことなのだ。ロン・カーター作の[6]が特に素晴らしい。国内盤あり ★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Way Out West』


ソニー・ロリンズ(ts) 『Way Out West』

 コッコチチコッコチチコッコチドン!コチチコッコッチチコッコチチコッコチドン! ピアノレス、それもサキソフォン、ベース、ドラムスのトリオとなれば、よほど腕に自信がなくては演奏できまい。コードを見失って何をやってるかすぐにわからなくなってしまうからだ。ロリンズは明快で強いメロディラインのアドリブを繰り出し、レイ・ブラウンはしっかりしたベースで音楽の根底を支え、シェリー・マンのパーカッシブな小技は西部の雰囲気をうまく演出している。ガンマンに扮したジャケット写真はロリンズ自身のアイデア。 ★★★★

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 ブルー・ミッチェル(tp) 『Blue's Moods』


ブルー・ミッチェル(tp) 『Blue's Moods』

 この一枚、いや、この「I'll Close My Eyes」一曲の名演を残したがゆえ、ブルー・ミッチェルの名はジャズファンの記憶に深く残ることとなった。ミッチェルはホレス・シルバー・クインテットのフロントとしても有名だが、本セッションではウイントン・ケリーの脳天気な側面と共鳴して、青空のように晴れやかな快演に仕上がった。あー、いい曲である。幸せな気分になれる。バラードの[6]はマイルスとの聴き比べも一興。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Filles de Kilimanjaro』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Filles de Kilimanjaro』

 わたしがジャズを聴きはじめる前はジミ・ヘンドリックスに相当入れこんでた。ジミヘンとマイルスに交流があったことも当然知っていたので、ロック色の強い電化マイルスを主に聴いてはみたが、ジミヘンとの接点は見つけられずにいた。ひょんなきっかけで本盤と出会い、おお、これこれ!これが聴きたかったんだ!と小躍りした。『キリマンジャロの娘』。この頃の音楽シーンは、アメリカ、ヨーロッパ的なものから、東洋やアフリカ的なものへ全体が移行しつつあり、その断面にはジミヘンの影がチラチラ覗く。[5]を聴いてると、まるで極楽浄土に居るようだ。 ★★★★

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 エリック・ドルフィー(as,fl,bass-cl) 『Last Date』


エリック・ドルフィー(as,fl,bass-cl) 『Last Date』

 「音楽は聴いた途端、空気のなかに消えてしまう。もう二度と取り出すことはできない」あまりにも有名なキメ台詞を残して、この4週間後ベルリンで客死。糖尿病だったそうだ。フィアンセも居たというのに。オランダの現地ミュージシャンを集めての公開ライブ録音。凛とした空気を切り裂くフルートの名演[5]はドルフィーの最高傑作として名高い。ハンチング帽を被り、パイプを咥えた赤ら顔の白人の大男が拍手する姿を想像してしまう。 ★★★★★

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 クリフォード・ブラウン(tp)他 『Jam Session』


クリフォード・ブラウン(tp)他 『Jam Session』

 傑作ライブ盤『ダイナ・ワシントン・ウィズ・クリフォード・ブラウン』と同一ロケーションの姉妹作。あの続編だから演奏が良いのは当然だ。「ロッキーのテーマ」で一躍有名になった若き日のメイナード・ファーガソンが繰り出すハイノート、ベテランのクラーク・テリー、そして天才クリフォード・ブラウンという三大トランペッターの競演が聞き物。ダイナ・ワシントンの唄は[2]の一曲のみで、ああ、もうちょっと聴きたいなと思うくらいで終わるのがニクイ。 ★★★★

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 アート・ペッパー(as) 『The Art Of Pepper』


アート・ペッパー(as) 『The Art Of Pepper』

 菅原正二著『ジャズ喫茶「ベイシー」の選択』のなかで、初めて「ベイシー」にやって来たオーディオ評論家の菅野沖彦氏に、「凄い!!」と言わしめたのが本盤の[1]ということになっている。P.52からの「菅野沖彦参上!」は傑作で、このくだりを思いだしながら何度も当店で本盤をかけるが、ちーっとも「凄い」音が出てくれない。普通である。同書によれば菅野氏来店は「1974年初夏」。この時点で”幻のオメガ盤”と呼ばれた本盤が「ベイシー」にあったということだけでも結構凄い。カール・パーキンスが好演。 ★★★☆☆

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 サド・ジョーンズ(tp) 『The Magnificent Thad Jones vol.3』


サド・ジョーンズ(tp) 『The Magnificent Thad Jones vol.3』

 「偉い」「上手い」「カッコイイ」などの話は抜きにして、純粋にトランペッターとしていちばん好きなのがサド・ジョーンズ。それもカウント・ベイシー楽団のものより、ブルーノート1500番台に残された3枚のリーダー作がモダンで良い。[2]のラッパの唄わせかたが抜群。本作では作曲と巧みなアレンジの才能も発揮され、じつによく練れた旨味タップリの素晴らしい内容。実弟エルヴィン・ジョーンズのドラミングも快調だ。 ★★★★

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 エロール・ガーナー(p) 『Concert By The Sea』


エロール・ガーナー(p) 『Concert By The Sea』

 ピアノトリオのライブといったら本盤は外せない。ハンマーのように強力な左手の合間を縫うように展開する右手のシングルトーンは”ビハインド・ザ・ビート”と呼ばれる独自の奏法。観客も熱狂的だ。こういうのを聴くと、ジャズはリズムだ、エンターテイメントだとつくづく思う。アドリブのメロディラインも明快なのでジャズ初心者にもお勧めだ。なかでも「枯葉[4]」は出色の出来。 
★★★★★

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 ハービー・ハンコック(p) 『Maiden Voyage』


ハービー・ハンコック(p) 『Maiden Voyage』

 邦題『処女航海』。まさに”不朽の名作”という表現がぴったりくるハンコックの名盤。トランペットがフレディ・ハバードに変わっただけで、あとはマイルスバンドのメンバー(この時点でサックスはウエイン・ショーターに交代していた)。しかしながら音楽としては、ちゃんとハービーのワンダフルで叙情的な世界が築かれてる。当然演奏の水準は素晴らしく高い。帰ってきたジョージ・コールマンも熱演。 輸入盤あり ★★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『In Pursuit of the 27th Man』


ホレス・シルバー(p) 『In Pursuit of the 27th Man』

 これも[1]がカッコイイ!あのブレッカー・ブラザーズをフロントに据えて、ブロックコードで盛り上げるシルバーは快調そのものだ。この曲をかけてたら集金人のオッチャンが来て、お金を払う僅か1分足らずの間に、なんだかノリノリになって帰って行った。(^^; [2][4][6][7]はデビッド・フリードマンのビブラフォンをフィーチュアしたカルテット演奏。「27th」とは、本作がシルバーのブルーノートでの27作目にあたることを意味する。つまりタイトルを訳すとすれば、『シルバーの追跡』または『シルバーを追いかけて』。 輸入盤あり ★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『Serenade to a Soul Sister』


ホレス・シルバー(p) 『セレナーデ・トゥ・ア・ソウル・シスター』

 「Master、何か良いCD紹介してよ」と言われた場合、その人がコアなジャズファンでなく、ポピュラーな黒人音楽も好むなら本盤の「サイケデリック・サリー」を聴かせてあげると、ほぼ100%の確率で「俺も買うよ!」となる。その場で踊った人も居た。なんてったってファンキーでカッコイイ!特にスタンリー・タレンタインのソロは、二度と吹けないんじゃないかと思うほどにもう出来すぎてる。他のトラックも悪くないけれど、やはり[1]が抜群。 ★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins On Impulse!』


ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins On Impulse!』

 えっ?これが「グリーン・ドルフィン・ストリート」?笑っちゃいます。だって「ウヮーンヮーンゥヮァーンワ-ンヮァァン」ばかりだもの。ロリンズだからこそ許される豪放にして大胆不敵なアプローチ。これを聴いて、「ああ、やっとコルトレーンの呪縛から吹っ切れたのだな」と確信した。かつてジョン・コルトレーンを震え上らせたサキソフォンの巨人ロリンズ、めざましい成長を遂げるコルトレーンやオーネット・コールマンに影響されて一時引退。三年の歳月を経て復帰するも振わず、ようやくロリンズらしさを取り戻し、ファンの快哉を呼んだ作。★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Jazz at the Plaza』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Jazz at the Plaza』

 これも物凄い演奏だ。特にコルトレーン!いったい何食ったらこんなに吹けるんだろう。まるで何枚もの舌が高速回転してるようだ。そのトレーンのソロを[2]で引き継ぐキャノンボール。並のサックス吹きなら逃げ出してしまいたい状況だろうが、これまた素晴らしいアルトで応戦するんだからたまらない。なんという演奏水準の高さだろう!ビル・エヴァンスもハードバッパーのように力強いピアノを弾いている。海賊盤のように録音が悪いのだけが残念だ。 ★★★★

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 リー・モーガン(tp) 『Lee-Way』


リー・モーガン(tp) 『Lee-Way』

 蒲田の有名オーディオマニア”ビールの泡”さんの必殺盤(笑)。ベースを除けば全員ジャズメッセンジャーズに在籍したメンバーで、当然息の合ったファンキーの王道を行く演奏が楽しめる。魅惑的なテーマを経て、徐々に盛り上がって行く[1]の素晴らしいこと!毎度のことながらマクリーンの”泣き”にシビレル。録音も良く、ブルーノートらしい名盤の風格。イェー!これは傑作だッ! ★★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Saxophone Colossus』


ソニー・ロリンズ(ts) 『サキソフォン・コロッサス』

 聴き所満載の超名盤。たとえば「ストロード・ロード」。ベースだけをバックにロリンズのソロが続き、やがてマックス・ローチのハイハットが入ってくる瞬間、この緊張感がたまらない!他にもわたしが特に好きなのが「ブルー・セブン」。ドラムソロの後、テーマが終わってこのままフェードアウトかと思ったらまた始まる、あの部分。興が乗ったのだろう。なんだ?どうするんだ?もうちょっとやろうぜとアイコンタクトする様子が想像できる。全員が絶好調のセッション。ダグ・ワトキンスの倍音たっぷりのベース音が忘れられない。輸入盤あり ★★★★★

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 ウォルター・デイヴィス・Jr(p) 『Davis Cup』


ウォルター・デイヴィス・Jr(p) 『Davis Cup』

 サイドメンとして参加したレコーディングに名演が多いという意味では、ジャッキー・マクリーンも名脇役と言えよう。ドナルド・バードも好演。全曲ウォルターのオリジナルで、息の合ったメンバーがのびのび爽快にスイングする二管ハードバップ。なお、表題曲「Davis Cup」は本作でなく、3ヶ月前に録音されたマクリーンの『New Soil』に収まってる。ジャズ喫茶の人気盤。★★★☆☆

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 ホレス・パーラン(p) 『Us Three』


ホレス・パーラン(p) 『Us Three』

 まぁ~、黒い黒い、真っ黒いピアノトリオです。アーシーアーシー、音色からして黒いピアノに、これまた太く乾いた音色のジョージ・タッカーのベースが絡んでくる。小児麻痺のため右手が不自由なパーランは、左手がリードする特異な奏法を編み出したという。本来軽快なはずの[3]や[5]などのスタンダード曲を、なんと物悲しく弾くのだろう。旋律が汗と涙に濡れている。リード・マイルスのジャケットデザインも秀逸。黒いのがお好きな方に。 ★★★★

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 キース・ジャレット(p) 『Death And The Flower』


キース・ジャレット(p) 『Death And The Flower』
  『生と死の幻想』。キース・ジャレットという人は、所謂ジャズの人という感じがしない。ブルースの感覚がまったくないせいか。といっても本盤など紛れもなくジャズであり、その他のジャンルに収まるものじゃない。ワールドミュージックを思わせる笛とパーカッションの音色で始まり、やがて文字通り幻想的に、ドラマチックに展開するキース独自の世界。旋律がとにかく美しいから、難解なことをやってても難解と感じさせない。デューイ・レッドマンのテナーが入ってくるあたりがぐっとくる。[2]はチャーリー・ヘイデンとのデュオ。 ★★★★

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 エディ・ヒギンズ(p) 『Bewitched』


エディ・ヒギンズ(p) 『Bewitched』

 日本制作で「邦題」というのも変だけれど、『魅惑のとりこ』なる日本語は少し違和感がある。素直に『魅せられて』でいいのでは?おっとそれではジュディ・オングか。久しぶりに取り出してかけてみたら、[4]の華麗でロマンチックな語り口にすっかり魅せられてしまった。緩やかに上昇し、そして下降する。詩的である。そしてボサノヴァの[9]。恨み節のような哀愁のメロディがじつに良い。70歳を超えてなお、わたしのような若者(?)を感動させる術を持ってるヒギンズは素敵である。何度も何度も繰り返し聴いて欲しい。 ★★★☆☆

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 レイ・ブライアント(p) 『Alone at Montreux』


レイ・ブライアント(p) 『Alone at Montreux』

 レイ・ブライアントといえば、早くにマイルスやロリンズとも共演してるし、気品漂うピアノが印象的な名手。しかし、本当の意味でグレイトなピアニストの仲間入りを果たしたのは本盤以降になる。オスカー・ピーターソンの代役で出演したモントルー・ジャズ・フェスティバルの実況録音。ビッグネームのピーターソンを意識したに違いない。これまで以上に大胆に、アーシーに、黒々としたピアノを弾いたら、ウケにウケた!思ってもみなかった大歓声に戸惑うブライアントのMCもばっちり収録。ソロピアノの決定盤。 ★★★★★

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 デイヴ・グルーシン 『The Fabulous Baker Boys/Soundtrack』


デイヴ・グルーシン 『The Fabulous Baker Boys/Soundtrack』

 ジャズを題材にした映画は殆ど観ることにしてる。ミシェル・ファイファー主演の映画「恋のゆくえ ファビュラス・ベーカー・ボーイズ」のオリジナル・サウンドトラック。本作品もピアニストの兄弟が一人の女性シンガーをグループに入れることから物語が展開。オーディションに現れたミシェルが「モア・ザン・ユー・ノウ」を無伴奏で唄う場面はゾクッとくる。これがあの「キャットウーマン」と同一人物なのだから女優というのは大したものだ。本盤には未収録なのが残念。5月の風のように爽やかな曲調のフュージョン・アルバムとして長く愛聴してる。 ★★★☆☆

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 ソニー・スティット(as) 『Stitt Plays Bird』


ソニー・スティット(as) 『Stitt Plays Bird』

 チャーリー・パーカーのそっくりさんと噂されたスティット。では開き直ってパーカーのレパートリーばかりを演奏するとどうなるか。似てないこともないが、やはりパーカーとは違う。少し軽い。しかしここで特筆すべきは録音の良さだ。リチャード・デイヴィスのベース、そしてジョン・ルイスの弾くピアノの倍音がバッチリ、うまくいけばまるで本物のようなプレゼンスでの再生が期待できる。★★★☆☆

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 バド・パウエル(p) 『Jazz Giant』


バド・パウエル(p) 『Jazz Giant』紙ジャケ

 何度聴いても飽きることがない。それどころか、じっくりと聴けば聴くほどに味わい深いのが本盤だ。どの曲も天才的なひらめきとアイデアに満ちており、マイルス・デイヴィスの演奏でもお馴染みの[1]、急速調で名高い[3]など、全曲傾聴。特にバラードの[4]が素晴らしい。[13]に到ってはまるでちりばめた宝石の輝きを見るようだ。信じられない! こちらは通常盤 ★★★★★

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 バルネ・ウィラン(ss,ts,bs) 『New York Romance』


バルネ・ウィラン(ss,ts,bs) 『New York Romance』

 日本のジャズ専門レーベル「ヴィーナス・レコード」がフランスからバルネを呼び、あのヴァン・ゲルダー・スタジオで地元のケニー・バロンらをバックに吹き込んだ贅沢な一枚。ライナーノーツにはバルネが録音技師ヴァン・ゲルダーに「あのマイクがあると聞いている」と、ノイマンのマイクロフォンを指定する話が書いてある。そのためかどうか知らないが、音圧が凄いのでよく音質チェックに使ったものだ。ピアノソロ、バッキングも含めケニー・バロンのプレイが秀逸。バルネ・ウィラン 1996年5月25日死去(59歳)。★★★☆☆

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 ジミー・スミス(org) 『The Cat』


ジミー・スミス(org) 『The Cat』

 子供の頃、「ゴーゴー」という「危険がいっぱい」な場所があるから決して近づいてはならないと教えられた。そこでは、[2]のような音楽が演奏され、派手な服を着た「ヒッピー」と呼ばれる不良が我を忘れて踊っているらしい。臆病者のわたしが言付を守ってたら、いつのまにか「ゴーゴー」などという「危険がいっぱい」の場所は、影も形もなくなっていた。わたしもこのレコードを「どっかーん!」とかけて、一度でいいから我を忘れて踊ってみたかった。ジミー・スミス、オルガン奏者 2005年2月8日米アリゾナ州自宅にて永眠。享年79歳。輸入盤あり ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Cookin'』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Cookin'』

 「マイルスは決してビブラートをかけない」というのが伝説の一つになってるが、本盤の[1]ではミュートトランペットの音をほんの少し震わせて吹くマイルスが聴ける。それはともかく、プレスティッジのマラソン・セッションからの一枚。殆どの曲をワンテイクで終わらせたという、まるで毎晩行っているライブさながらの内容。ソニー・ロリンズ作の[3]、メドレーの[4]など、どのレパートリーも最高に煮詰まっており、完成度はきわめて高い。国内盤あり ★★★★★

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 ジョン・ヒックス(p) 『Beyond Expectations』


ジョン・ヒックス(p) 『Beyond Expectations』

 '70年代、マイルス・デイビスから「今夜のコンサートに加わってピアノを弾くように」と依頼され、喜び勇んで会場に行ってみるとヒックスの居場所はなく、コカインでぶっ飛び、すっかり約束を忘れたマイルスがピアノを弾いていたという、なんとも気の毒な話が『マイルス・アンド・ミー 帝王の素顔』に書かれていた。大人しい人だそうだが、その後悔しさをバネに頑張ったのかどうかは定かでない。本作は'93年の録音。[1],[2]と続く快調なナンバー。ヴァン・ゲルダー・スタジオの円錐型天井に響くスネアドラムの音が良い。そしてバラード曲[9]におけるシンバル乱れ打ちが聴き所。 ★★★☆☆

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 チャーリー・パーカー(as) 『BIRD/Soundtrack』


チャーリー・パーカー(as) 『BIRD/Soundtrack』

 チャーリー・パーカーの伝記映画「バード」のオリジナル・サウンドトラック。監督のクリント・イーストウッドは、「パーカーのフレーズを吹き替えられるのはパーカーのみ」との信念を元に、古いオリジナル音源からパーカーのアルト部分のみを抽出。現代のミュージシャンによる伴奏を合成するという荒業に出た。劇中では見事成功しているが、本盤では見事に失敗してる。[1]など、ビデオで見ると最高にカッコイイのに、CDで聴く度ガッカリする。同じ音源なのに不思議である。ミキシングが違うのだろうか?困った盤だ。 ★★★☆☆

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 アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ 『au Club Sant-Germain』


アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ 『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』

 LP時代には三枚別売りで、それぞれに名曲が分散収録されているから、どれから買おうか悩んだものだが、CDで三枚がセットになった。'58年10月に傑作『モーニン』をブルーノートに吹き込み、11月にそのメンバーで約一ヶ月間パリを巡業、熱狂的なクラブ・サンジェルマンでの演奏を収録したのが本盤だ。ピアニスト兼歌手のヘイゼル・スコットが「おお、主よ、憐れみを!」と叫ぶDisc:2の[1]が有名だが、ケニー・クラークも飛び入りしたり、客と演奏者がボーダーレスで盛りあがっていて、どこまでがメンバーでどこまでが客なのかよくわからない(笑)それらも含め気分はファンキー!ファンキー・ジャズの決定盤。 ★★★★★

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  『Jazz for Dads/Various』

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『Jazz for Dads/Various』

 こちらは「コンコード」レーベルのオムニバス盤。 タイトルの『Jazz for Dads』とは、「お父さん世代のジャズ」位の意味だろうか。お馴染みのスタンダード曲がずらり。このようなベスト盤には知られざる名演が紛れ込んでたりする。ダイアナ・クラールの得意曲でもある[6]がそう。ギター一本の伴奏で、抜群にうまい歌唱を聴かせるニーナ・フリーロン。こんなに素晴らしい歌手が居るなんて!ジャズの世界はとてつもなく広い。 ★★★☆☆

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 ズート・シムズ(ss) 『Soprano Sax』

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ズート・シムズ(ss) 『Soprano Sax』

 和みのジャズ。人生、楽ありゃ苦もあるさ。あのヴァーモントの月を見てたもれ。そうさね、いつの日かスウィートハート。苦しみは夢に隠して。さあ、柳よ泣いとくれ。切々と人生を歌い上げるズートのソプラノと、それをサポートするレイ・ブライアントの真っ黒なピアノ。低音弦のガガーンに痺れるよなあ、まったくもう。月明りを映して揺れる湖面のような[2]が出色。スルメ噛みながら聴いてください。輸入盤あり ★★★★★

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 アート・ヴァン・ダム(accord) 『The Van Damme Sound/Martini Time 』


アート・ヴァン・ダム(accord) 『The Van Damme Sound/Martini Time 』

 「良質なBGM」と「ふにゃふにゃな音楽」は紙一重。本盤は前者に入る。アコーディオンとビブラフォンをフロントに配した粋で軽快なカクテル・サウンド。土臭さなど皆無の二枚をカップリングした"2in1"CDだが、『マティーニ・タイム』のほうのジャケットが秀逸。男性の髪の撫でつけ方がいい。女性が持ってるマティーニのグラスは、この後毛足の長いカーペットの床にポトリと落ちるんだろうな、たぶん。 ★★★☆☆

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 ソニー・クラーク(p) 『Cool Struttin'』


ソニー・クラーク(p) 『Cool Struttin'』

 これからジャズを聴いてみようという方に、まずは本盤をお勧めしたい。このジャケット、いいでしょう。何か特別な音楽が入っているような予感がするでしょう。あたり。これぞ一級品ハードバップにして泣く子も黙る大名盤。耳タコの[1][2]はともかく、ロマンチックな曲想の[4]がわたしのお気に入り。ピアノトリオかと思って聴いてたら、途中でファーマーのトランペット、マクリーンのアルトが入ってくる。ドラムソロが終わると、またピアノトリオのテーマに戻り、しめやかに幕を降ろすのだ。うーん、渋い!輸入盤あり ★★★★★ 

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 フィニアス・ニューボーンJr.(p) 『A World Of Piano!』


フィニアス・ニューボーンJr.(p) 『A World Of Piano!』

 フィニアス・ニューボーンは良い意味でとても分り易い、カッコ良いピアノを弾くから、ジャズ初心者の人に是非聴いてほしい。彼のピアノを聴いたカウント・ベイシーが大絶賛したそうだが、ベイシーとは似ても似つかぬスマートさ。右手と左手が同時にまったく別のフレーズを弾く。[1]~[4]がフィリー・ジョーとチェンバース、[5]~[8]がサム・ジョーンズ、ルイス・ヘイズとのセッション。白眉はマリオネットが舞うような哀愁のワルツ曲[7]だ。★★★☆☆

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 ルー・ドナルドソン(as) 『The Time Is Right』


ルー・ドナルドソン(as) 『The Time Is Right』

 これは棺桶に入れる一枚。あの世で踊らないといけないからな。天国にも売ってるといいのだが。あっ、べつにわたしの死期が近いのを覚ったわけじゃないので妙な想像は止したまえ(笑)しかしながら、本盤を語らず死ぬのは心残りなので早めに紹介しておこう。とにかく[1]と[2]にルードナの魅力が凝縮されている。曲がイイ。アルトの音がイイ。そしてホレス・パーランのアーシーなピアノがたまらない。理屈抜きに好きだ。肩の力がすっと抜け、俺の人生もまんざらでもないなと思えてくる。ハイ、お迎えの時間ですよって、ルーさん、わたしまだまだ生きるつもりなんですけど。(^^; ★★★★★

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 ビル・エヴァンス(p) 『Everybody Digs Bill Evans』


ビル・エヴァンス(p) 『Everybody Digs Bill Evans』

 ビル・エヴァンスの作品のなかでは本盤が一番好き。凛として美しいバラードがたくさん入ってる。[7]の「ピース・ピース」は”静寂よりも静か”なソロ・ピアノ。勿論そのまま通して聴いても構わないが、[5],[7],[2],[8],[3],[10],の順にプログラムし、時間を忘れてバラードだけ聴くのもお勧め。わたしの葬式には是非そうやって欲しいけれど、この演奏が似合うほど立派な死に方ができるとも思えない。困ったなあ。 ★★★★

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『Bluesnik』


ジャッキー・マクリーン(as) 『Bluesnik』

  「ビートニク」ならぬ「ブルースニク」。なんとも凄いタイトルだ。いま本盤に凝ってる。全曲ブルースで、聴けば聴くほどに味が出る。メンバーがいいね~。ケニー・ドリューの黒っぽいピアノに、フレディ・ハバードのトランペット。ホントうまいよなあ。[2]と[3]のソロを聴き比べてみよう。[2]が本テイクだけれども、[3]の3分を超えたあたりのマクリーンと、それを引き継ぐハバード、そしてドリューのコブシを利かせたエンディングが見事。俺たちブルース族。 ★★★★

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 『The Young Lions』


『The Young Lions』

 当時ヴィージェイで売出し中だった若手実力派、リー・モーガン、フランク・ストロジャー、ウエイン・ショーター、ルイス・ヘイスの4人を一同に会してのセッション。題して『ヤング・ライオンズ』とはまるで野球チームのようだ。実質上のリーダーシップを取ってるのはやはりショーター。モーガンやストロジャーだって勿論イケテルが、この頃のショーターは暴れ出すとちょっと手におえない。個人的にはマイルス・バンド参加以前、つまりこの頃のショーターがいちばん好き。 ★★★★

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 『Blue Break Beats / Various』


『Blue Break Beats / Various』

 CD時代になって、オムニバスやベスト盤が良くなった。オリジナルCDの地位が下がって、両者の差が縮まったのだと見るべきか。既に紹介した『The Blue Testament』と同じく、ブルーノートの音源を集めたシリーズ。ロンドンのディスコで、DJ達がブルーノートを取り上げ、ジャズを知らない新しい世代によって「ブルーノートってカッコイイじゃん」との認識が高まった。彼等のレアな視点で選曲すると以下のようになる。いやはやどれもカッコイイ。車のサイレン音がリアルな[6]をかけると誰もが後ろを振り返る。 ★★★☆☆

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 ジュリアン・プリースター(tb) 『Keep Swngin'』


ジュリアン・プリースター(tb) 『Keep Swngin'』

 リズムセクションが良い。トミー・フラナガンのピアノにエルヴィン・ジョーンズのドラム、そしてキリリと締まったベース音のサム・ジョーンズ。特に[2]のベースラインは強烈だ。これにフロントがトロンボーン&テナーの2管といえば、J.J.ジョンソンの名盤『ダイヤルJ.J.5』を彷彿とさせる。ブルースを基調にした力強いハードバップで、黒人らしい音楽でも、こういうのは「ファンキー」とは言わない。敢えて言うなら「アーシー」か。通好みの隠れた名盤。  ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Musings Of Miles』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Musings of Miles』

 わりと珍しいマイルスのワンホーン。溌剌としたトランペットが聴ける。本盤のサウンドが、この年結成される第1期レギュラー・クインテットの青写真となっている。マイルスにとって自分に似合うこと、つまり、品が良くて、軽く、ソフトで、クールなものと、そうでないものが明確になっていく。似合わないのが[5]。「チュニジアの夜」は情熱で一気に吹き切らないとダメ。こんなに品良く演るのは、やはり変だ。マイルス自身も身に沁みたのか以後この手の曲は取り上げなくなった。国内盤あり ★★★★

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 ワーデル・グレイ(ts) 『Wardell Gray Memorial,Vol.1』


ワーデル・グレイ(ts) 『Wardell Gray Memorial,Vol.1』

 いい音だなあ、とつくづく思う。テナーの音はこうでなくっちゃ。少々S/Nが悪かろうがノイズが乗ろうが、わたしにとっての優秀録音とは、まさしく本盤のような音で録れてるレコードのことだ。別テイクがいっぱいあって困るだろうから見繕ってさしあげよう。ヒットした[1]、バラードの[6]、[14]は1949年の録音、そして'53年録音の[17]は当時としては斬新なアレンジがキマッテいる。プレスティッジのプロデューサー、ボブ・ワインストックは、この演奏のことが頭にあって、マイルスに同曲を演奏させたのではあるまいか?ちなみに本セッションがソニー・クラークの初録音。 ★★★★

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 ナット・アダレイ(cor) 『Work Song』


ナット・アダレイ(cor) 『Work Song』

 ヒットナンバー「ワーク・ソング」所収。ファンキーなジャズメン・オリジナルの[1],[2],[5],[9]と、スタンダード曲[3],[4],[7],[8]ではまったく印象が違っている。ノリノリの前者に飽きたら、後者をシミジミ聴こう。コルネットの美しい音色が堪能できる。また、[4]では、ウエス・モンゴメリーが3連譜を多用した見事なソロを展開。すかさずブラシでプッシュするルイス・ヘイズもニクイ。一粒で二度おいしい。そういえばナットの顔も体つきもなんとなくグリコのキャラメルに似てる。(^^; 国内盤あり ★★★★

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 オリバー・ネルソン(as,ts) 『Screamin' The Blues 』


オリバー・ネルソン(as,ts) 『Screamin' The Blues 』

 エリック・ドルフィー参加。とすれば、難解で前衛的な作品かと構えて聴いたら肩透かしを食らう。リズム・アンド・ブルース調の[1]。ぜんぜん難しくない。むしろやさしすぎるくらい。全曲ファンキーかつ明快な曲想だ。例によってドルフィーのソロだけは我が道を行く。どちらかといえばアレンジャーとしてのほうが有名なネルソンだが、サキソフォンの腕前もなかなかだ。勇ましいマーチのリズムのなか、ドルフィーが倍速でつむじ風のように駆け抜ける[2]がカッコイイ。 ★★★★

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 クリフォード・ジョーダン(ts) 『Bearcat』


クリフォード・ジョーダン(ts) 『Bearcat』

 クリフォード・ジョーダンは良いテナーマンだと思う。リー・モーガン、ホレス・シルバー、チャーリー・ミンガスらとも共演し、なかなか渋いプレイを聴かせてくれる。惜しむらくは決定的なヒットを出せなかったこと。本盤は相性のいいシダー・ウォルトンをピアノに配し、ワンホーンで入れたリーダー作。ちなみに「Bearcat」とは「闘士」とか「豪傑」の意。その名の通り逞しいトーン。圧巻は急速調の[4]。これが本当に即興だろうか?まるで次に繰り出すフレーズが決まっているかのように澱みない。輸入盤あり ★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins Vol.2』


ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins Vol.2』

 バップ調の[1]もJJジョンソンが入ると勇壮な感じがする。トロンボーンという楽器の音色に喚起させるものがあるのだろう。[2]でアート・ブレイキーがシャァァン、シャァァンと頻繁に放つシンバル音がたまらない。ううう、もうこの二曲だけでお腹いっぱい。もう食えん。しかし[3]でモンクが登場。ピアノソロが終わると、曲の途中でホレス・シルバーに交代する。シルバーがバッキングすると俄然ファンキー!もうたまらん![4]はJJ、シルバーが抜けたカルテットでのバラード演奏。本盤はまるで豪華フルコースのご馳走のよう。重箱の隅の黒豆をつつくように[6]を愛でる。こんなのを唄わせたらロリンズは最強。輸入盤 ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp,flg) 『Sketches of Spain』

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マイルス・デイヴィス(tp,flg) 『Sketches of Spain』

 既に引退していた闘牛士が、このレコードを聴いて感動し、飼っていた牛を殺してしまったという。たしかに素晴らしい演奏だと思うけれど、あまりにも出来すぎた話でちょっと信用できない。本盤を聴いていちいち牛を殺してたら、牛がいくつあっても足りないではないか。床屋でかけるのもかなり危険そうであるが、幸いにしてわたしは闘牛士ではないので、間違っても感動してお客さんに鋏を突き刺したりはしないのでご安心を。本盤の「アランフェス交響曲」、作者のロドリーゴは好きでないと言ったそうだが、それに対するマイルスの言い方がふるってる。「大金が転り込むようになったら好きになるさ」 ★★★★

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 バリー・ハリス(p) 『Preminado』


バリー・ハリス(p) 『Preminado』

 シブぅ~い!じつにシブイねぇ~、このジャケット。内容のほうもシブイ。オリジナルの表題曲[2]は、バド・パウエルの「ウン・ポコ・ローコ」に「もろびとこぞりて」を足したような印象。12月録音だから、ちょっとクリスマスが混じってしまったのかな。エルヴィン・ジョーンズの叩き出す複合リズム、それにピアノトリオで威力を発揮する俊敏なブラッシュワークが見事。これはもうひとつの『オーバーシーズ』だ。渋すぎ!★★★★

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 ソニー・クラーク(p) 『Sonny Clark Trio』


ソニー・クラーク(p) 『ソニー・クラーク・トリオ』

 日本でだけピアノトリオの人気が高いのは、ジャズ喫茶という形態と無関係ではあるまい。レコード係がホーン入りの賑やかなやつをかけた後に、さて次は何をかけるかと考えると、緩急の変化をつけて飽きられないように「じゃあ今度は小編成のものを」となる。二管クインテットばかり一日中かけまくろうとは普通の神経なら考えない。ジャズのレコードは圧倒的にホーン入りのほうが多いから、それと交互に小編成ものをかけるとすれば、自然とピアノトリオが多くなるといった寸法。なかでもスタンダード曲中心の本盤は特に人気が高い。白眉は[5]だ。★★★★

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 ジョー・パス(g) 『For Django』


ジョー・パス(g) 『For Django』

 ギター、サイドギターにベース、ドラムス。トリコロールカラーのすっきりしたジャケットデザインも手伝って全体の印象は地味。変にやかましいジャズをかけるよりも、こんなのをかけたほうがウケがいい。喫茶店のBGMなんかにも最適だ。真剣に聴くなら、低音がたっぷり出るスピーカーで聴くといい。軽く太く最低音まで粘るベースと、ブラシで叩くくすんだシンバル音が心地よい。聴き方によって変幻自在の表情を見せるパスの摩訶不思議な代表作。聴けば聴くほど味が出る。★★★☆☆

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『Let Freedom Ring』


ジャッキー・マクリーン(as) 『Let Freedom Ring』

  あまり言われてないことだと思うが、マクリーンのバラード演奏にはマイルス・デイヴィスの影響が強く感じられる。バド・パウエル作の[2]、まるでマイルスのミュートトランペットがそのままアルトに置き換わったようではないか。[1]では、得意のマクリーン節が続くかと思いきや、突如馬のいななきのようなフリーキーなトーンを連発。これまでのスタイルをかなぐり捨て、全編無機質であることを狙ったかのように、新たな地平に踏み出そうとするマクリーンがいる。どこまでも一本気なマクリーンが好きだ。紙ジャケあり ★★★★

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 バニー・ベリガン(tp) 『Take It,Bunny!』


バニー・ベリガン(tp) 『Take It,Bunny!』

 有名なスタンダードナンバー「云い出しかねて」の極めつけ。録音がちと古い(1935年)けれど、このような白人スウィング・ジャズのルーツを探るのも一興だろう。波止場の安酒場に迷い込んだような甘い空気が部屋中に広がる。ベリガンの唄が聴けるのは[1]のみだが、これがなんとも良い味わいだ。昔は男性もガーターベルトで靴下を吊っていたのだなあ。 
★★★☆☆

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 マッコイ・タイナー(p) 『Fly With the Wind 』


マッコイ・タイナー(p) 『Fly With the Wind 』

 こちらは大袈裟なマッコイの傑作。最高にドラマチックで大迫力!そしてカッコイイ!大鷲になってヒマラヤ山脈を飛翔するかのような表題曲。何も難しいことはない、が、少々やかましい(笑) なあに、やかましいのがマッコイだからそれでいいのだ。もうここまでくるとジャズのカテゴリーを大きく超えてしまっている。ビリー・コブハムのドラミングが物凄いぞ!ハードロックが好きな人なら間違いなく気に入るだろう。大音量で燃えてください! ★★★★★

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 カイ・ウィンディング、J.J.ジョンソン(tb) 『The Great Kai & J.J.』


カイ・ウィンディング、J.J.ジョンソン(tb) 『The Great Kai & J.J.』

 いつもフィリー・ジョー・ジョーンズの代役のようなアート・テイラーよりも、ロイ・へインズのほうがドラマーとしての格が上だと思い込んでいた。本盤では前半へインズ、後半テイラーが叩いているが、こうして比べてみるとテイラーの音のなんとごっついこと!B級扱いしてすまなかった。金物叩かせたら世界一。[10]のドラの音でひっくり返りそうになる。二本のトロンボーンが奏でる爽快なハーモニー。ビル・エヴァンスの参加も見逃せない。理屈抜きで楽しめる傑作だ。 ★★★★

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 マッコイ・タイナー(p) 『Nights of Ballads & Blues』


マッコイ・タイナー(p) 『Nights of Ballads & Blues』

 録音風景の写真では、壁を背にして左からドラム、ベース、ピアノと並んでるが、右スピーカーからドラムが聞こえ、反転した位置に楽器が定位する。編集段階で振り分けを行ったのだろう。それはさておき、本セッションは『ジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマン』が録音された'63年3月7日の三日前、3月4日に行われてる。同じくインパルス・レーベルで、当然プロデューサーもスタジオも同じ。コルトレーン没後、どんどん大袈裟になっていくマッコイも、この時代のものは安心して聴ける。愛すべき小品集。[6]のベースソロもなかなかいい。 ★★★★

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 ウエス・モンゴメリー(g) 『Smokin' At Half Note』


『ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウイントン・ケリー・トリオ』

 前半はクラブ”ハーフ・ノート”でのライブ、後半がエングルウッド・クリフのヴァン・ゲルダー・スタジオでの録音。マイルス・バンド在籍中、ケリーの十八番だった「ノー・ブルース」でのウエス、ケリーのソロが圧巻。ピアノソロが終わり、ベースソロに突入する合間に、さりげなくゴスペル調のブロックコードを鳴らすところがなんともカッコイイ!そして名盤『インクレディブル・ジャズ・ギター』からの再演[4]。比較的ドラムソロで目立つことの少ないジミー・コブが、これまた渋いブラシさばきを披露。前者もよかったが、本盤のこのトラックも甲乙つけ難い。渋好みの人にお勧め。国内盤あり ★★★★

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 アート・ペッパー(as) 『Modern Art』


アート・ペッパー(as) 『Modern Art』

 『ミーツ・ザ・リズムセクション』がペッパーの表名盤だとすれば、本作は裏名盤。超マイナーレーベル”イントロ”の入手困難度と内容の素晴らしさから、マニアが血眼になって探した所謂”幻の名盤”。CD化に伴い曲順が変更されているが、レコードではベースだけをバックにあざやかなアドリブを繰り出す「ブルース・イン」に始まり、同じくベースのみ伴奏の「ブルース・アウト」で終わる。つまり、かつて本作を欲しがっていたマニアは、派手なスタンダード曲よりもアドリブ演奏の素晴らしさに痺れたのだと想像する。マイナーなら何でも喜ぶほどジャズファンは暇じゃない。ピアノのフリーマンも好演。 ★★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Moving Out』


ソニー・ロリンズ(ts) 『Moving Out』

 [1]、[2]と急速調が2曲続く。相方が名手ケニー・ドーハムとあってか、ロリンズとしては異例ともいえるスタッカートの効いた正確なフレージングで圧倒する。[3]になると、もう完全にロリンズの世界。”ロリンズ節”がそのまま曲になったような美しいバラードだ。そして本盤のもうひとつの目玉がセロニアス・モンクとのセッション[5]。モンクの作り出すゴツゴツした空間を縫うように繰り出すロリンズのアドリブはまさに横綱相撲。甘さに流れないこのバラードがあることで、一層本盤の輝きが増している。 ★★★★

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 チコ・ハミルトン(ds) 『Chico Hamilton Quiintet』


チコ・ハミルトン(ds) 『Chico Hamilton Quiintet』

 前半5曲がスタジオ録音、残りの5曲がライブ。日本盤のタイトルにもなっているエキゾチックな[3]が特に有名。西田佐知子の「コーヒー・ルンバ」の元ネタはこの曲ではないか?ピアノがなく、チェロやフルートなど少々イレギュラーな編成で、なかでもマルチリード奏者バディ・コレットの多彩なプレイが光る。考えすぎの小ぢんまりした音楽でなく、西海岸の明るく自由闊達な雰囲気が伝わってくる。[9]のブルースで、コレットが吹くアルトがじつに素晴らしい。 ★★★★

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 ビル・エヴァンス(p) 『Waltz for Debby』


ビル・エヴァンス(p) 『Waltz for Debby』

 本盤の「マイ・フーリッシュ・ハート」を聴いて、ちっとも「美しい」と感じない人が居たとしたら、一度お医者さんに診てもらったほうがいい。これこそ世界で一番美しいピアノ・トリオ演奏だ。ところがあるとき、友人宅にあったこのCDをミニコンポで聴いたら、困ったことにちっとも美しいと思わなかった。レコードならどんな安物コンポでも美しいと感じるのに。医者に行くのはイヤなので怖くてこのCDは買えやしない。このヴィレッジ・ヴァンガードでのライブの模様を完全収録した『コンプリート・ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード1961 』もあるが勿論怖すぎてわたしには買えない。 ★★★★★

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 ジミー・スミス(org) 『A Date With Jimmy Smith Vol.2』


ジミー・スミス(org) 『A Date With Jimmy Smith Vol.2』紙ジャケ
通常盤

 黒人音楽によく使われる似通った形容詞の”ファンキー”と”グルーヴィ”、わたしの勝手な解釈であるが、その時間の長さによって使い分けられる気がする。前者がフレーズの黒っぽさを指すのに対し、後者は何度も繰り返されるリズムのうねりを称する。よって、1分の”グルーヴィな演奏”というのは存在しない。10分くらい演って、はじめて「おお、グルーヴィやんけ」となる。プロデューサー・アルフレッド・ライオンが、スミス以下のオールスターと録音技師のヴァン・ゲルダーまでも引連れて、マンハッタンタワーのスタジオで行ったジャム・セッション。初っ端の「スコッ!」とヌケるブレイキーのスネアの音からしてもうファンキー!『同Vol.1』 ★★★★

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 ウエス・モンゴメリー(g) 『Full House』


ウエス・モンゴメリー(g) 『Full House』

 わたしが最初に買ったジャズのレコードがこれだった。中古盤で、曲もミュージシャンにも、何の予備知識もなく、ただ「ジャケットがカッコイイな」というだけで購入。今から考えれば、よくもまあ最初からこれほどの傑作を引き当てたものだなと我ながら感心する(笑) ライブレコーディングで、各人のソロが終わる度に拍手と歓声が巻き起こる。「ジャズというのは、曲の最中に騒いだり拍手したりするものなのか」と、不思議に思ったものだ。そりゃあこれほどのプレイを聴かされたら、曲が終わるまで待てないのも無理はない。 ★★★★★

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 オスカー・ピーターソン(p) 『Oscar Peterson Trio Plays』


オスカー・ピーターソン(p) 『Oscar Peterson Trio Plays』

 わたしがジャズを聴き始めてまだ間もない頃、本盤に入ってる「サテン・ドール」に感激して、神戸のとあるジャズ喫茶で「サテン・ドールをかけてください」とリクエストした。そこのマスターは親切に3曲ほど別のミュージシャンが演奏した「サテン・ドール」を聴かせてくれた。残念ながら本盤に勝るものはなく、曲がよければすべての演奏が良いわけではないのだなと、薄汚れた革ジャンを着込んだ少年は学んだのだった。数年後、独立開業して幾分羽振りがよくなった青年は、ラルフ・ローレンのスーツでキメて、そのジャズ喫茶に立ち寄ったが、なんだかわけのわからないフリージャズをかけられて撃退された。ジャズ喫茶のマスターは金持ちが嫌いなのだろうか。 ★★★★

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 コールマン・ホーキンス(ts) 『Hawkins! Alive! At The Village Gate』


コールマン・ホーキンス(ts) 『Hawkins! Alive! At The Village Gate』

 一時期、高音質アナログ盤が出まわったせいか、オーディオマニアのお宅でかかることも多い。わたしにとってホーキンスのテナーのイメージは「こわいおじいちゃん」である。柿の木によじ登ろうとしてたら「コラー!」と箒持って出てくるような。ところが本盤のホーキンスはあまりこわくない。にこやかである。ライブでお客さんが居るせいか。トミフラも好演、[4]のメイジャー・ホリーのハミングしながらのベースソロのあとに出てくる骨っぽいテナーの咆哮は素晴らしく感動的だ。 ★★★★

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 サド・ジョーンズ~メル・ルイス オーケストラ 『Central Park North』


サド・ジョーンズ~メル・ルイス オーケストラ 『Central Park North』

 名手サド・ジョーンズとメル・ルイスが中心となって編成されたバンドではあるが、特にこの二人がでしゃばっているわけではない。アレンジはサドが担当。のっけから16ビートのファンキーなリズムが派手に展開する。当時としてはモダンな感覚のビッグバンドで、わたしなんか単純にカッコイイ!と、思ってしまう。ノリノリで踊れるジャズ。リズム&ブルースやソウル・ミュージックが好きな方に強くお勧めしたい。記憶違いでなければ[4]は深夜ラジオの「オールナイト・ニッポン」で昔よくかかってた気がするのだが。 ★★★☆☆

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 ソニー・スティット(as) 『Sonny Stitt With The New Yorkers』


ソニー・スティット(as) 『Sonny Stitt With The New Yorkers』

 本盤をかける頻度はかなり高いから、当店で聴いたことがある方もあるかもしれない。ゴリゴリに吹きまくるスティットのアルト、図太い音色がスカッとヌケるかどうか、オーディオシステムのチェックに使うことも多い。録音の仕方を含め、印象がチャーリー・パーカーの『ナウズ・ザ・タイム』によく似てる。もしわたしにアルトが吹けるなら、是非ともこんな痛快なフレーズが吹いてみたい。ちなみに[7]には「粋な噂を立てられて」という邦題があったのが改定されたようだ。こういう粋な邦題なら大歓迎なのだが。 ★★★★

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 ケニー・ドリュー(p) 『Kenny Drew Trio』


ケニー・ドリュー(p) 『Kenny Drew Trio』

 最近ケニー・ドリューに凝っている。ケニー・ドーハムの『Whistle Stop』でも、じつに渋い”いぶし銀”のようなピアノを弾いていて、まったくあらためて痺れてしまった。本作はその『Whistle Stop』から遡ること四年前、同じリズムセクションで入れたピアノトリオ。まだこの頃はバド・パウエルの影響が強いが、独特の黒々としたタッチも散見される。特にモンク作のバラード曲「ルビー、マイ・ディア」はエレガントかつファンキー。これはホントに素晴らしいなあ。 ★★★★

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 ミルト・ジャクソン(vib) 『Opus de Jazz』


ミルト・ジャクソン(vib) 『Opus de Jazz』

 これもブルースだ。だから何なんだって言われても困るが、凄い。素晴らしい。冒頭「オパス・デ・ファンク」で13分22秒、ミルト、フランク、ハンクの順で延々とソロを繰り返す。最初から気持ちイイに決まっているのだが、エディ・ジョーンズの極太ウォーキング・ベースがぶんぶん唸るなか、ちょっと強くなったり、弱くなったりしながらエクスタシーへと達する。物凄い快感である。何度踊っても踊り飽きない「河内音頭」みたいなもんだ。ハンク・ジョーンズがブロックコードでミルトを盛り上げるバッキングのつけ方がなんともカッコイイ。 ★★★★

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 アート・ペッパー(as) 『Intensity』


アート・ペッパー(as) 『Intensity』

 チャーリー・パーカーがへべれけになりながら残した名バラード「ラヴァー・マン」にちょうど相当するのが、本作での「降っても晴れても」。短いながらも渾身の力が込められた名演だ。天才の名を欲しいままにしたペッパーもすでに盛りの時期は過ぎ、他のアップテンポ曲でも、「さすが!」と思わせる局面は何度も出てくるが、いかんせん先が続かない。がんばれペッパー!とハラハラしながら聴いてしまう。ペッパーを温かく盛り立てるリズムセクションは絶好調。 ★★★★

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 ハロルド・アシュビー(ts) 『What Am I Here For?』


ハロルド・アシュビー(ts) 『What Am I Here For?』

 寺島靖国さんの文章は好きだが、わたしとはジャズの好みが180度違う。氏が好きな盤は大抵わたしが嫌いで、わたしの好きな盤を氏は貶すから面白い。本盤は、「まるごと一冊寺島靖国」や「寺島流 JAZZの聴き方」で、アキュフェーズ社長・出原宅訪問時に試聴した「Cジャム・ブルース」所収。シンバルの切れ味が、社長宅は「ゾーリンゲンのナイフ」、寺島宅は「ナマクラのナタ」。当店だと「シックの二枚刃」てなもんか。悔しいのでやっぱり本盤もあまり好きではない(笑) ★★★☆☆

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 ケニー・ドーハム(tp) 『Whistle Stop』


ケニー・ドーハム(tp) 『Whistle Stop』

 ただの12小節ブルースが好きかどうか。本当にジャズが好きになるか否かはまさしくここにかかってると言っていい。ブルーノートの名曲の数々も、殆どが12小節ブルース、つまり全部同じコード進行なわけだが、そいつをちょこっと捻る。その名も「フィリー・ツイスト」。するとまったく別の曲のように変身する。捻りすぎるとブルーノートでなくなる。そのさじ加減が絶妙なのだ。本盤のようなレコードは構成でなくエモーションで捉えないとなかなか真価は見えてこない。 ★★★★

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 チック・コリア(p) 『Now He Sings, Now He Sobs』


チック・コリア(p) 『ナウ・ヒー・シングス、ナウ・ヒー・ソブス』

 最初に新幹線が通ったようなものだ。このスピード感に比べればバド・パウエルだって急行程度、やけに遅いなあと思ってしまう。マッコイ・タイナーでもせいぜい特急”雷鳥”どまり。速ければいいってもんでもないのだが、喩えればの話。悠長にチンチキチンチキやるのがジャズだと思ってた当時のミュージシャンは、リズムの枠を飛び越えて自由自在に飛翔するチックのピアノを聴いて慌てたことだろう。最近のピアノトリオって、どれも本作の焼き直しのように聞こえてしょうがない。 ★★★★

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 ハービー・マン(fl) 『Herbie Mann Plays』


ハービー・マン(fl) 『Herbie Mann Plays』

 煌びやかなクリスマスの飾りを片付け、大掃除が済んで、さあて何をかけようかと思ったときに必ず取り出すのが本盤だ。フルート、ギター、ベース、ドラムといった編成で織り成すサウンドのザラリとした感触が心地よい。ごちそうの後の玄米茶のようにホッとする。曲目を見ても、決して東洋を意識したようには思えないのだが、不思議とお正月の雰囲気によくマッチする。マンのストイックな美意識は、日本的な情緒に通じるものがあるのだろう。 ★★★★

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 カウント・ベイシー・オーケストラ 『Atomic Basie』


カウント・ベイシー・オーケストラ 『Atomic Basie』

 エリントン楽団にしてもマイルスにしても、ジャズにはどこかヨーロッパ的なものを感じるが、ベイシーには異国を思わせる要素がまったくない。100%アメリカ純血種の音楽だと思う。ベイシーをどれか一枚となるとやはりこれか。疾風のようなブラスアンサンブル。エディ・ロックジョウ・デイヴィスの太く逞しいテナーが咆える[4]と[6]が特にカッコイイ。要所要所で炸裂するソニー・ペインのドラミングも強烈だ。 これはタンノイのスピーカーでは鳴らんだろう(笑) ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis In Person At Blackhawk,San Francisco Vol.1』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles Davis In Person At Blackhawk,San Francisco Vol.1』

 マイルス自身が「ハンク・モブレーとの演奏はつまらないものだった」と語ったこともあり、いまひとつ評価が低いライブ盤。しかし、なかなかどうして一級品のハードバップ演奏だ。特にウイントン・ケリーのピアノが抜きん出ている。モブレーの調子だって決して悪くはない。こういうのを聴いてしまうと、さっきまで聴いてた他のCDが途端に霞んで、取るに足りないように思えてくるからマイルスは恐ろしい。マイルス自身の不満は演奏内容ではなく、『マイルストーンズ』『カインド・オブ・ブルー』と進化してきたスタイルが、本盤で聴かれるような古いタイプのハードバップに後戻りしてしまったことではないか?『Vol.2』、さらにライブの全貌を収めたコンプリート盤の『In Person Friday and Saturday Nights at the Blackhawk, Complete』もある。 ★★★★

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 オスカー・ピーターソン(p) 『An Oscar Peterson Christmas』


オスカー・ピーターソン(p) 『An Oscar Peterson Christmas』

 「テラーク」レーベルは高音質がウリで、クレジットにも「ケーブルはモンスターケーブルのなんたら」みたいなことが詳細に書かれてる。さぞかし鮮烈なわざとらしい録音かと思ったらそうでもなくて、ピーターソンのアルバムとしてはむしろ控えめに感じるほど。'95年の録音なのに、まるで'60年代のように錯覚する。さすがに往年のダイナミックさこそないものの、これほどの有名曲をズラリ並べて、じつに優雅で趣味の良い仕上がり。やはりピーターソンは超一流。カナダの山小屋で暖炉を囲んでクリスマス。★★★★

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 ポール・ブレイ(p) 『Introducing Paul Bley』


ポール・ブレイ(p) 『Introducing Paul Bley』

 「デビュー」はチャールス・ミンガスが作ったレーベルで、当のミンガスとアート・ブレイキーが脇を固める。しかし、正直この演奏はそれほど良いと思わない。「サンタが街にやってくる」の冒頭で、ミキサールームから急かすような声が聞こえる。スタジオの時間が迫っていたのかミンガスが怖かったのか、唸り声をあげて懸命に自らを鼓舞するブレイの努力も空まわり。全編に「やっつけ仕事」的なムードが漂っている。演奏に心を込めないとサンタは街にやってこないのだ。★★☆☆☆

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 『The Blue Testament / Various』


『The Blue Testament / Various』

 直接クリスマスに関係ないが、こんなのもある。「blue note plays the good book」とあるように、ブルーノートの音源から聖書に関連する曲を集めた企画盤。有名なホレス・シルヴァーの[4]、ドナルド・バードの[12]など、オリジナルの音源を持ってる人も多いだろうが、こうやって一枚まるごとゴスペルフィーリング溢れるジャズを聴くのもオツなものだ。ベニー・グリーンのファンキーピアノで盛りあがる[1]が出色。グリフィンの『コングリゲイション』をパロッたジャケットも面白い。★★★☆☆

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 デューク・ピアソン(p) 『Merry Ole Soul』


デューク・ピアソン(p) 『Merry Ole Soul』

 ブルーノートの”幻の珍盤”と呼ばれている本作は、ラズヴェル細木の漫画「ときめきJAZZタイム」にも登場。その入手困難な様が面白おかしく描かれている。これがあのごっついブルーノート・レーベルのレコードだと思うから珍盤と言われてるだけで、内容はなかなか立派なものである。創始者アルフレッド・ライオンの引退後、同レーベルのプロデューサーとしても活躍したピアニスト、デューク・ピアソン自ら手掛けたクリスマスアルバム。サンタ姿のピアソンがうれしい。★★★☆☆

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 『Yule Be Boppin'/ Various』


『Yule Be Boppin'/ Various』

 『Yule Struttin'(ブルーノートのX’mas )』の続編。前回のような寄せ集めではなく殆どが新録音、さらに音質も向上。しかし我々日本人に馴染み深い曲が少ないのでクリスマスムードはややダウン。演奏自体は結構面白く、ピアノとギターのデュオ[2]や、またまた登場のダイアン・リーヴス[3]、不思議な魅力の歌声、ジュディ・シルヴァーノの[9]もいい。ドナルド・バードのヒット作『A New Perspective』から[12]を取り上げるあたりもブルーノートらしいが、この曲がクリスマスむきかどうかはちと疑問。ジャケットのサンタは現ブルーノート社長だそうだ。おねえちゃんのほうがよかったのに。★★★☆☆

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 『Yule Struttin' / Various』


『Yule Struttin' / Various』

 まずジャケットが素晴らしい(笑) クリスマスが題材となると肩の力が抜けるのか、どのジャズメンもほぼ例外なく良い演奏をする。本盤はその極めつけ。「ジングル・ベル」を秀逸なアレンジで聴かせる[1]で始まり、ブルースギターの[2]、そしてルー・ロウルズの名唱[3]は何度聴いても目頭が熱くなる。[6],[7]と珍しいセロニアス・モンク作のクリスマスソングが続き、ベイシー・バンドが痛快にスイングする[9]、ワンホーンで素晴らしいソロを展開する[12]のデクスター・ゴードンが最大の山場。わたしにとっては、まさに宝物のようなCD。続編『ユール・ビー・バッピン』とカップリングのデラックス・エディションもあり ★★★★★

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 グレン・ミラー・オーケストラ 『In The Christmas Mood』


グレン・ミラー・オーケストラ 『In The Christmas Mood』

 ミラーは大戦中に既に亡くなってるので、グレン・ミラー・オーケストラとは名ばかり。このクリスマスソング集もミラーがスコアを書いたわけでもないが、GMの楽しさはちゃんと受け継がれているから、クリスマスだし、まあ堅い事言うな(笑) お馴染みのメロディ全開でくるからちょっと気恥ずかしい。でも突然フレーズの端っこがシンコペーションして4ビートになったりすると、おお、ジャズってやっぱり良いもんだなと素直に感激する。雪が溶けるように甘い歌声の混声コーラス(その名も”ムーンライト・セレナーダーズ”!?)が入ってるトラック、特に表題曲がゴキゲン。★★★☆☆

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 『Jazz for Joy / Various』

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『Jazz for Joy / Various』

 ベティ・カーター、リナ・ホーン、アビー・リンカーンという、ジャズボーカルの大御所たちが、若手実力派をバックに従えて作ったクリスマスアルバム。ひょっとすると仕様が変更になってるかもしれないが、CDケースが紙製で、真中の丸いシールを破れないようゆっくり剥すと、パッケージが星型に開き、中から4枚のクリスマスカードが出てきて、その下に盤が収まってるという洒落た造り。婆さんが三人揃ってアンドリュー・シスターズのように合唱…なんていう気持ち悪いことはやらず、それぞれ二曲づつ唄い、残り7曲はインスト。ジャジーな大人のクリスマス。 ★★★☆☆

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 グローバー・ワシントン・JR.(ss,as,ts) 『Breath of Heaven: A Holiday Collection』


グローバー・ワシントン・JR. 『Breath of Heaven: A Holiday Collection』

 グローバー・ワシントン・JR.となるともう完全にわたしの守備範囲外で、CD屋に行っても近寄りもしない。本盤は発売当時「ステレオ」誌の優秀録音として紹介されてた。なんとルディ・ヴァン・ゲルダーの録音である。それにクリスマスアルバムだし、ということで買ってみた。フュージョンのクリスマス盤には違いないが、脳天気に明るいものでなく、バッハの「カンタータ147番」を演ったりと、いささか厳しい表情。グローバーの軟派なイメージが一掃された。最初、これのどこが優秀録音なのかと首を傾げたが、今ではちゃんと良い音で鳴ってる。思えば長い道のりだった。 ★★★☆☆

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 フォープレイ 『Snowbound』


フォープレイ 『Snowbound』

 オムニバスのクリスマスソング集『Jazz to the World』に入ってたフォープレイの演奏が気に入ったので購入。こちらはフォープレイだけで丸ごと一枚クリスマス。ジャズというより完全にフュージョンで、本盤ではギターがリー・リトナーからラリー・カールトンに代わっている。「クリスマスを我が家で」より、雪山の洒落たロッジで恋人とお洒落なクリスマス。白いセーターが似合いそう。「アメイジング・グレース」や「蛍の光」など、お馴染みのメロディを粋なヒネリで聴かせてくれる。 国内盤あり ★★★☆☆

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 『Big Band Christmas / Various』


『Big Band Christmas』

 ビッグバンド演奏のクリスマスソング集。録音年代はまちまちで、ペギー・リーがベニー・グッドマン楽団に在籍してた゜40年代とおぼしきものから、比較的録音の良い新しいものまで。クラシックでアメリカ的なホームパーティのBGMには最適だ。当店には石油ストーブなどないけれど、このCDをかけるとほのかに灯油の匂いがする。「ハブ・ユアセルフ・ア・メリー~」は、誰が演っても美しい曲だが、本盤のそれは最高にゴージャスでリッチ。思わず胸が熱くなるこの演奏はクリスマスのクライマックスを飾るに相応しい。 ★★★★

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 ビル・エヴァンス(p) 『Trio 64』

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ビル・エヴァンス(p)『Trio 64』

 エヴァンスも「サンタが街にやってくる」を本盤で披露。エヴァンスはメロディラインを全開にしないからちょっと聴いたくらいではそれとわからないかも。冒頭の漫画主題歌「リトル・ルル」、それにOlga Albizuの抽象画をあしらった白いジャケットデザインで、エヴァンスとしては可愛らしいイメージの作品に仕上がってる。名手ゲイリー・ピーコックが参加。ポール・モチアンのドラムがいい。シェリー・マンもフィリー・ジョーもいいけど、エヴァンスのバックにはやはりこの人がいちばんしっくりくるように思う。 ★★★☆☆

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 『Jazz to the World / Various』


『Jazz to the World / Various』

 ジャズ/フュージョンのミュージシャンが演奏したクリスマスソングを集めたオムニバス。デュエットが楽しい[2]、雪の結晶が目に浮かぶ[3]、こやつ、なかなかやるなと初めてわたしに思わせたダイアナ・クラールの[4]は自身のX'masアルバムのものとは別。スタンリー・クラークのウッドベースが地響き轟く[5]はわたしが知る中で最も美しいベースソロだ。そして限りなく感動的な歌唱を聴かせるアニタ・ベイカーの[13]など、名演がてんこ盛り。このCDはわたしの一年の罪を赦し、感謝と幸せを与えてくれる。 ★★★★★

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 ハロルド・ランド(ts) 『Harold in the Land of Jazz』


ハロルド・ランド(ts) 『Harold in the Land of Jazz』

 決して演奏は悪くない。悪いのは録音だ、いや、録音自体も悪くはない、左にペットとテナー、右チャンネルにリズム隊、ぱっくり分れている。これがなんとも不自然だ。この頃のレコードには珍しくない録り方だが、これほど几帳面に分けなくてもよかろう。別の部屋で演奏してるようだ。これがCDじゃなくレコードだったら残響音が出てもうちょっとマシなのかもしれない、これは再生側の問題だと考えてオーディオに大枚はたいた。随分マシになった。でもやっぱり少し不自然。モノラルに切り換えると全く問題ない。さすがのロイ・デュナンも血迷ったか? ★★☆☆☆

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 ハービー・ハンコック(p) 『The Prisoner』


ハービー・ハンコック(p) 『The Prisoner』

 インテリアの世界ではミッドセンチュリー・モダンといって、たとえばイームズなんかに代表される’50~’60年代アメリカで流行したモダンなスタイルが再び注目を集めている。JBLの名作スピーカー”パラゴン”のデザインも同じ流れに属すると言っていい。当初モダンジャズは、従来の伝統的なスタイルを脱し、都会的で洗練された暮らしをする裕福な白人層の支持を得た。このようなインテリアにピッタリはまるのが本盤だ。’70年代のアメリカTV映画に出てきそう。叙情的ハンコックの最終作。 ★★★★

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 レッド・ミッチェル(b) 『Presenting Red Mitchell』


レッド・ミッチェル(b) 『Presenting Red Mitchell』

 西海岸の人気ベーシスト、レッド・ミッチェルがワンホーンで入れたリーダー作。ここでのミッチェルはホーンと同格の扱いで、テーマにソロパートにと大活躍。それでもだらだらと重くならないのがコンポラ流。ジェームス・クレイが曲想によってテナーとフルートを持ち替え、女流ピアニストのロレイン・ゲラーもベースを引き立たせるよう控えめに弾いている。軽快で爽やかな作品。ジャケットのかわいい猫と日向ぼっこしながら聴きたい。 ★★★☆☆

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 ジャッキー・マクリーン(as) 『New Soil』


ジャッキー・マクリーン(as) 『New Soil』

 バード~マクリーンのフロントはあれだ。そう、ファンファーレ。高らかに宣言する、ブルースを。「ヒップ・ストラット」、どこかで聞いたようなタイトルで幕を開ける本作。さあ、行くぞ、行くぞって感じのイントロが堪らない。かつてマイルスジョージ・ウォーリントンとも吹き込んだマクリーンのオリジナル「マイナー・マーチ」は「マイナー・アプリヘンション」として生まれ変る。ドラムがいつものアート・テイラーでなくラ・ロカなのが新しい。新人ウォルター・デヴィスが書いた四曲もイカしてる。「新しき土壌(=New Soil)」に育つハードバップ。★★★★

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 J.J.ジョンソン(tb) 『Dial J.J.5』


J.J.ジョンソン(tb) 『Dial J.J.5』

 テナー(又はフルート)とトロンボーン+ピアノトリオの2管クインテット。ああ、またかよと食傷気味の人にもお勧めしよう。エルヴィンのジルジャンがシャンシャンと刻むリズムに続き、いきなりJ.J.のトロンボーンによる鮮やかなアドリブが始まる。ジャスパー、トミフラがソロを引き継ぎ、ベースソロの段になってようやくテーマらしきものが登場、さらにドラムソロでビシッと決まるエンディング。カッコイイ!このメンバーはJ.J.の当時のレギュラーグループ。フルートのワンホーンやピアノトリオのみの曲など他にも様々な趣向が凝らされ、バラエティに富んだ内容。インスタントのバンドじゃこうはいかない。 ★★★★

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 アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『Moanin'』


アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『Moanin'』

 本盤は既にお持ちの方も多いだろう。じつによくできたレコードである。「Moanin'」「Blues March」だけじゃない。どの曲も熱気に溢れ、メロディが美しく、しかもノリがいい。素っ気無いテーマから叙情的に変転する「Along Came Betty」で対比の妙に舌を巻く。綿密に練り、周到に計算して、これだけカッコイイ曲を演れと言われて名演が生まれぬはずはない。モーガン、ティモンズの名演を引き出した仕掛け人はまたしてもゴルソンだった。「ジャズはどうも難しくて苦手」という人にお勧め。 ★★★★★ 輸入盤あり

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 レイ・ブライアント(p) 『Ray Bryant Trio』


レイ・ブライアント(p) 『レイ・ブライアント・トリオ』

 本盤の「黄金の首飾り」があまりに有名なため、ブライアントはジョン・ルイスに似てると思ってる人も多いようだ。プレスティッジのプロデューサー、ボブ・ワインストックは、購買層を裕福な白人に想定していたため、彼らにウケのいいMJQ的なレコードを作りたがった。「ジャンゴ」を入れたのもワインストックの差し金か。珍しく功を奏したようで、これはこれで気品ある素晴らしい演奏になった。ちなみにベースのアイク・アイザックスはカーメン・マクレエの夫で、このトリオは当時カーメンの伴奏ユニットでもあった。 ★★★★

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 トニー・ウィリアムス(ds) 『Spring』


トニー・ウィリアムス(ds) 『Spring』

 フリージャズが嫌いだという人は、おそらく「ただ無茶苦茶なことをやってるやかましくて不快な音楽」だと決めつけてるのではないか。本作は完全にフリーの範疇、難解といえば難解、しかし、これを聴いて果たして不快と感じるだろうか?名手が一同に会し、全編ストイックな美意識に貫かれた演奏を繰り広げる。リーダーは当時若干20歳の神童トニー。ショーター、リヴァースが二頭の昇り竜のごとく駆け巡る「エクストラ」。そして一曲全部ドラムソロだけの「エコー」は美しくしかも驚異的。★★★★★

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 ベニー・ゴルソン(ts) 『Gone With Golson』


ベニー・ゴルソン(ts) 『Gone With Golson』

 一連の”ゴルソン~フラー・ハーモニー”作品のなかでも、本作の「スタッカート・スウィング」の出来はピカイチ。最初の数小節で引き込まれてしまう。ジャズ・メッセンジャーズの「モーニン」でやったように、ピアニストの作ったモチーフをゴルソン流にアレンジ。これが見事にキマってる!作者のレイ・ブライアントも水を得た魚のようだ。文字通り「スタッカート」し、「スウィング」するブライアントのピアノ。ガーンと鳴るブロックコードのバッキングがイカしてる。★★★★

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 タイロン・ワシントン(ts) 『Natural Essence』

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タイロン・ワシントン(ts) 『Natural Essence』

 '60年代後半のブルーノートには、ロックやソウル、あるいはファンクなどのポピュラー音楽との融合を目指すミュージシャンと、フリージャズへと向かうミュージシャンという二つの大きな流れがあった。本作でのタイロンは、その両方を欲張ったようだが、どっちつかずには終わらないのがブルーノートの凄いところ。この勢い!完全にフリーフォームの「Song Of Peace」は是非とも良い音で聴いて欲しい。このテナーの「音」を聴くだけでも買う価値はある。 ★★★★

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 ウエイン・ショーター(ts) 『Adam's Apple』


ウエイン・ショーター(ts) 『Adam's Apple』

 ショーターのよさがわかるようになったのは、JBLのスピーカーを買ってから。それまでは正直なにがいいのかさっぱりわからず、変なフレーズ吹く奴だなあ位にしか思ってなかった。彼の魅力は、まず何よりもその独特のトーンにある。そして作曲の才。疲れて砂漠を歩く旅人の姿が目に浮かぶ「フットプリンツ」。あの音色で迫ってくるからこそドラマチックで説得力がある。この数ヶ月後に『マイルス・スマイルズ』で同曲を録音するが、ワンホーンで入れた本盤のほうに軍配を挙げる。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles In Tokyo』

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マイルス・デイヴィス(tp)『Miles In Tokyo』

 レパートリーの殆どが『マイ・ファニー・バレンタイン』『フォア・アンド・モア』と重複し、アレンジもそれに順ずるけれど、これも良いライブ盤だ。わたしは一般に言われているほど臨時雇いのサム・リヴァースにちぐはぐさは感じない。メンバー全員が好調で、ロン・カーターのベースが特に素晴らしい。勢いでは前出の二枚にやや劣るものの、これは相当練習を積んだなということがありありとわかるほど本盤のマイルスは格段にうまくなってる。 ★★★★

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 バド・パウエル(p) 『The Amazing Bud Powell, Vol. 1』


バド・パウエル(p) 『The Amazing Bud Powell, Vol. 1』

 これは輸入盤のほうが曲数も多く値段も安いが、曲順が入れ替えてあるのは感心しない。「ウン・ポコ・ローコ」は必ず三連発で聴かないと意味がない。この曲を初めて聴いたら「なんじゃこりゃ?」と、そう思うだろう。耳障りなカウベル。でもなんかちょっとカッコイイじゃん、と思い始めたら要注意。かなりヤバイ領域に侵入しつつある。瑞々しいアドリブを残しつつ途中で弾くのを止めてしまう「パリジャン・ソロフェア」といい、鬼才バド・パウエルの作品のなかでも、最もアメイジングな一枚。『Vol.2』も。 ★★★★★

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 アート・ペッパー(as) 『Art Pepper Meets The Rhythm Section 』


アート・ペッパー(as) 『Art Pepper Meets The Rhythm Section 』

 マイルス・バンドのリズムセクションだから『クッキン』みたいかというとそうでもなく、全然違ったものになっている。第一に、絶対にマイルスが演らなさそうな曲がずらりと並んでる。第二に、コントラスト鮮やかなヴァン・ゲルダーと緻密に描き出すロイ・デュナンの録音の違い。第三にペッパーに食ってかかるようなフィリー・ジョーのドラミングの冴え。それでいて本作が見事にペッパーの音楽になっているのは、やはりマイルスとペッパーの美意識の違いにある。スタイルが変わっても瞬時に追随するは、さすが”オール・アメリカン・リズムセクション”。定番中の定番。国内盤あり ★★★★★

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 チャーリー・ミンガス(b) 『East Coasting By Charlie Mingus』


チャーリー・ミンガス(b) 『East Coasting By Charlie Mingus』

 ミンガスの音楽はこわい。ベースの音色からしてもう威嚇的である。もうちょっと穏やかに演れんものかと言いたくなる。しかし、この「メモリーズ・オブ・ユー」は美しい。それも端整な美しさではなく、バラバラなものを繋ぎ合わせた人体標本のように、不気味で悲しい美の世界。映画「シザーハンズ」を思い出す。まだ有名になる前のビル・エヴァンスが参加していて、不思議とミンガスの音楽性にマッチしている。彼のピアノで沈静作用が働いたのか。★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts),ビル・エヴァンス(p) 『Stan Getz/Bill Evans』

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スタン・ゲッツ(ts) ビル・エヴァンス(p) 『Stan Getz/Bill Evans』

 '64年といえば、ゲッツはボサノヴァで大ヒットを飛ばし、エヴァンスは新たは方向性を模索中、ロン・カーターはマイルス・バンドに在籍し、エルヴィン・ジョーンズはコルトレーン・カルテットで「至上の愛」を吹き込んだ年。ヴァーヴ・レーベル得意のスター同士を集めての本セッションは、なぜかお蔵入りとなり、録音から約10年経ってようやく発売された。あまりにもストレートアヘッドな内容が当時「売れない」と判断されたためか?エルヴィンは絶好調、ゲッツもエヴァンスもまるで人が変わったように硬質なプレイの異色作。★★★★

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 ジェリー・マリガン(bs) 『Gerry Mulligan Quartet』


ジェリー・マリガン(bs) 『Gerry Mulligan Quartet』

 チェット・ベイカーとのピアノレス・カルテットで一世を風靡したマリガンの代表作。「ダーン・ザット・ドリーム」のチェットのソロで、(たぶんマリガン以下のメンバーだと思うが)男声コーラスがバックを務めているのが小さく聞こえる。チェットは中性的ボイスゆえ、歌わせてもらえなかった反動で「チェット・ベイカー・シングス」を吹き込んだ??余談だが、映画「L.A.コンフィデンシャル」に、パーティ会場でこの曲を演奏するチェットとマリガンの”そっくりさん”が登場する。★★★★

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 ロイ・へインズ(ds) 『We Three』


ロイ・へインズ(ds) 『We Three』

 フィニアス・ニューボーンは粋なピアノを弾く。粋は粋でもウィントン・ケリーとかとはちょっと違ってシャープでモダンな独自のスタイル。リズミックで哀愁溢れる「リフレクション」のイントロを聴いたら、誰でもジャズっていいなあと思うに違いない。全編よくまとまっていて、バリエーションがあり飽きさせない。この三人は実際に「ウイ・スリー」というバンド名で半年間ほど活動してたらしい。チェンバースはマイルス・バンドに在籍中。いやはや忙しい人だ。★★★★

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 チャーリー・パーカー(as) 『Jazz Perennial』


チャーリー・パーカー(as)『Jazz Perennial』

 このCDを買ってきたときのことはよく憶えてる。しゃがんでプレーヤーのトレイに入れ、音が出た瞬間、金縛りにあったように動けなくなった。PLAYボタンを押した姿勢のまま「スター・アイズ」が終わるまでじっと聞き入ってた。この曲でのパーカーはいつもと違い、特に速く吹いたり難しいことをやってるわけじゃないのだが、この表現力!真の天才は一見なんでもないことをやってるときにこそ、その恐ろしさを垣間見ることができるのだ。 ★★★★

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 ズート・シムズ(ts) 『Zoot Sims and the Gershwin Brothers』


ズート・シムズ(ts) 『Zoot Sims and the Gershwin Brothers』

 ガーシュイン作品集。わたしが飲めないので「酒を飲みながら聴くジャズ」という言葉が嫌いだが、もし飲むんだったらこれを聴くだろうと思うのが本盤。全編「ちょっと一曲やってよ」てな調子で、肩の力が程よく抜けている。粋なメロディを演歌歌手のようにコロコロとコブシをまわして吹く「クラッシュ・オン・ユー」。聴きながら飲んだら、きっとリラックスして良い気分になるんだろうな。 ★★★☆☆

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 ジョニー・グリフィン(ts) 『The Little Giant』


ジョニー・グリフィン(ts) 『ザ・リトル・ジャイアント』

 ヴァン・ゲルダーやロイ・デュナン、ジム・アンダーソンくらいは知ってても、ジャック・ヒギンズという録音エンジニアが話題になることはない。リバーサイドレーベルの主要なレコーディングを担当した人だ。間接音が多いから録音が悪いと勘違いする人も多いのだろう。本作など得意のスケールの大きい、まるでビッグバンドを思わせるようなサウンドで録れている。しかし、耳の良い人に言わせると、ヒギンズの本拠地、リーヴス・サウンド・スタジオはピアノの調律があまり良くないそうだ。ヴァン・ゲルダー・スタジオはその辺ちゃんとしてるらしい。国内盤あり ★★★★

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 ハンク・モブレー(ts) 『Dippin'』


ハンク・モブレー(ts) 『Dippin'』

 昔の日本映画のオープニングはたいていこうだ。海や空の水色をバックに、真っ赤な大きな文字でタイトルがバーンと出る。劇場のスクリーンで見せられると結構ショッキングな色合いだ。で、本盤の「ザ・ディップ」みたいな曲がかかって、続けざまにトラックかなんかに乗って走ってる汗ばんで険しい表情の主人公が大写しになる。そんな映画があったかどうか定かでないが、子供心にハラハラドキドキさせられた映画館での記憶が本盤を聴くと鮮明に蘇る。「リカード・ボサノヴァ」でお馴染みモブレー最大のヒット作。 ★★★★

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『Sonny Rollins and the Contemporary Leaders』


ソニー・ロリンズ(ts)『Sonny Rollins and the Contemporary Leaders』

 その名の通り、コンテンポラリー・レーベルを代表する名手達と入れた快作。即興演奏には、どう頑張ってもこれ以上速く吹けないという局面がいくらでも出てくる。そんなときどうするか。ムキになって吹こうとする人も居るが、笑って迂回するロリンズが好きだ。自分の魅力は速く吹くことじゃないと解ってるからそれができる。やろうと思えばできるくせに。バラード曲「月のチャペル」のロリンズ節に降参。 ★★★★

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 スタンリー・タレンタイン(ts)『Cherry』


スタンリー・タレンタイン(ts) 『チェリー』

 わたしがまだ少年だった頃、梅田東通り商店街にあったジャズ喫茶「バンビー」でこの「Speed Ball」がかかった。あまりのカッコ良さにジャケットとタイトルを確認、方々のジャズ喫茶でリクエストしまくったことを思い出す。ファンキーなテナーを吹かせたら右に出るものはないタレンタイン。近年ではダイアナ・クラールの『Only Trust Your Heart』に参加してる。今となっては大御所のボブ・ジェームス、コーネル・デュプリーが”若手”で参加してるのも見逃せない。★★★★

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 ジョージ・シアリング(p) 『George Shearing and the Montgomery Brothers』


ジョージ・シアリング(p) 『George Shearing and the Montgomery Brothers』

 モンク・モンゴメリーの張力あるベース音がじつによく録れている。特に「Lois Ann」。再生装置によって、ピチカートの表情が多彩に表現できるかどうかで本盤の評価は大きく違ってくるだろう。編成、アレンジ共に対位法を用いたいつもの”シアリング・サウンド”ではあるが、モンゴメリー兄弟参加のせいかラウンジ風にならず幾分ファンキー。「Darn That Dream」におけるウエスのギターソロはさすがだ。 ★★★☆☆

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 アート・ブレイキー(ds) 『Jazz Messengers』


アート・ブレイキー(ds) 『Jazz Messengers』

 ジャズは過渡期が面白い。三管JM初の録音。「モーニン」「ダット・デア」のヒットでファンキーブームを巻き起こしたJMだが、ウエイン・ショーターが音楽監督に収まり、その才能が巨大になるにしたがって、リー・モーガン、ボビー・ティモンズが足枷になってると判断したブレイキーは、 本作を最後にかつての看板スター二人の首を切る決心をする!それほどまでに本作でもショーターは輝いており、「You Don't Know~」でのサビに「ほげぇええええええ~~~!!」と出てくるテナーの咆哮にしびれまくる。ブレイキーもしびれたに違いない。★★★★★(こちらも同内容)

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 セロニアス・モンク(p) 『Monk's Music』


セロニアス・モンク(p) 『モンクス・ミュージック』

 間違ったり失敗したことがあきらかにわかる演奏が名盤になってしまうなんてことは、他のジャンルではちょっと考えられない。2曲目の「ウェル・ユー・ニードント」で、拍数を勘違いしたのか自分のピアノソロを早々と終わらせたモンクが、何を思ったか「コルトレーン!コルトレーン!」と叫ぶ(ウトウトしてたとの説あり)。ハッとしたのかその後出てくるコルトレーンの凄いこと!オクラ入りにするのは勿体無い。しかも「エピストロフィー」では、アート・ブレイキーのドラムソロの途中でコールマン・ホーキンスが入ってくる。これはさすがにカッコ悪い。(笑) ★★★★★

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 ジョン・コルトレーン、ポール・クニシェット(ts) 『Cattin' With Coltrane And Quinichette』

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ジョン・コルトレーン、ポール・クニシェット(ts) 『Cattin' With Coltrane And Quinichette』

 レスター・ヤングの流れをくむテナー奏者のポール・クニシェットと、セロニアス・モンクのもとで修行中のジョン・コルトレーンがダブル・テナーで吹き込んだ作品。音楽的にはクニシェット寄りだと思うが、売るためにコルトレーンの名前を強調したのだろうか。この頃のトレーンは空間を埋め尽くす”シーツ・オブ・サウンド”を発見し、例のごとく吹きまくっているが、一方のクニシェットは飄々と受け流してる。この対比が面白い。「オール・ザ・シングス・ユー・アー」のコード進行を使った[4]から、同じく「イエスタデイズ」のコード進行で展開する[5]にかけてが本作の山場。トレーンはこの2週間後に同じくプレスティッジで初のリーダー作となる『コルトレーン』をレコーデング。 ★★★★

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 ジェラルド・ウィギンズ(p) 『Around the World in 80 Days』


ジェラルド・ウィギンズ(p)『Around the World in 80 Days』

  「80日間世界一周」を知らない人はあるまい。電話機の保留メロディーがこれだと本作を思い出す。あのお馴染みのメロディがビル・ダグラスのブラシに乗って小粋にスウィングする。ウィギンズのガーンとくるピアノ、ユージン・ライトの極太ベース録音もなかなかダイナミックだ。3時のティータイムに甘いもの食べながら聴きたい。
★★★★

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 キャノンボール・アダレイ(as) 『Cannonball Adderley Quintet In Chicago』


キャノンボール・アダレイ(as)『Cannonball Adderley Quintet In Chicago』

 本作の人気の元は、なんといっても「アラバマに星落ちて」におけるキャノンボールの朗々としたアルトの唄いっぷりにある。この曲は「田舎っぺ」でないと似合わない。都会的な親分マイルス抜きのマイルスバンドだからこそ名演が生まれた。一方、キャノンボールが抜けたコルトレーンのワンホーンでのバラード曲「ユーアー・ア・ウィーヴァー・オブ・ドリームス」、こちらもなかなかの出来ばえだ。当たり前の話だが、この連中って無茶苦茶うまいよなあ。 ★★★★

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 エリック・ドルフィー(as,bass cl) 『Eric Dolphy At The Five Spot, Vol.1』


エリック・ドルフィー(as,bass cl)『Eric Dolphy At The Five Spot, Vol.1』

 ドルフィーのアルトを初めて聴いたとき、ナパーム弾を食らったような衝撃を受けた。なんて音を出しやがる!?ドルフィーがとんでもなく凄い奴だってことは、このレコードを聴けば誰にでもわかる。問題は、それを好きかどうか、快感とするか不快に感じるか、それだけだ。本作に限らずドルフィーは前衛と捉えられがちだが、ドルフィー自身のソロを除けばスタイルとしては真っ当なハードバップで、所謂フリージャズとは一線を画す。「ファイアー・ワルツ」でのマル・ウォルドロンのピアノもいい。一度は聴くべし。 ★★★★★

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 デクスター・ゴードン(ts) 『Daddy Plays The Horn』


デクスター・ゴードン(ts) 『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン』

 ’50年代のゴードンは麻薬中毒のためチノ刑務所に服役したりと不遇な時代を送るが、本作では快調な力強いブロウを聴かせる。かつては影響を与え、この頃絶頂期にあったソニー・ロリンズの影響も感じさせる。特筆すべきは表題曲におけるケニー・ドリューのピアノソロ。じつにファンキーな良いプレイだ。リズムセクションのせいか、ノリは幾分西海岸風。デックス自ら演じた映画「ラウンド・ミッドナイト」での「歌詞が思い出せないと吹けない曲」、「ニューヨークの秋」も収録。 ★★★★

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 ポール・ホーン(as,fl,cl) 『Something Blue』


ポール・ホーン(as,fl,cl)『Something Blue』

 ウエストコースト・ジャズの異才・ポール・ホーンは、マイルス・デイヴィスが開拓したモード手法をいち早く理解吸収した人物とされている。本盤は『カインド・オブ・ブルー』が録音された僅か一年後、1960年の作品。ソリッドで幾何学的な曲想は、当時西海岸のジャズシーンでは非常に斬新に映ったことだろう。マイルス本人も絶賛したという話だが、『カインド・オブ・ブルー』ほど叙情的ではなく、あくまでもドライ&クールな感触だ。 ★★★☆☆

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 ヒューストン・パーソン(ts) 『In A Sentimntal Mood』


ヒューストン・パーソン(ts) 『In A Sentimntal Mood』

  名録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーもまだまだ現役で、近年では「ハイノート」というレーベルでベテラン・テナー奏者のヒューストン・パーソンを何枚か録音している。いかにもエングルウッドのヴァン・ゲルダー・スタジオで録ったという感じの、エコーのたっぷり効いたテナーの音。パーソンもすでに高齢で、スタンダード曲中心の枯れた味わい。黒人の体臭にコロンが香るようなゴージャスサウンドだ。
★★★☆☆

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 ルイ・ヘイス(ds) 『Louis Hayes』


ルイ・ヘイス(ds)
『Louis Hayes』

 「ヴィージェイ」は゜60年代初頭に”B級名盤”をいっぱい作った会社。録音が粗いから、このレーベル名がオーディオマニアの口から出ることは殆どない。しかし個人的にはこういう音こそジャズの音だと思う。本作はフィリー・ジョー・ジョーンズ以来の俊才ルイ・ヘイスの切れ味鋭いドラミングをフィーチュアした隠れ名盤。デキるドラマーはトップシンバル4拍だけでそれとわかる。そしてユセフ・ラティーフの唾が染み出すテナーが聞き物の「I Need You」。真性ジャズファンのためのレーベルだ。 ★★★☆☆

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 バディ・リッチ(ds) 『Swingin' New Big Band 』


バディ・リッチ(ds) 『Swingin' New Big Band 』

 ドラム用語で”リムショット”というのだが、スネアの縁と皮を同時に1本のスティックで叩く技があって、これが決まるとシャンパンの栓を抜くようななんともいえない快音が出る。その名人がバディ・リッチ。自ら率いるビッグバンドを猛烈にスイングさせるのは、彼の煽りたてるようなドラムのサウンドそのものだ。とにかく痛快!ノリノリのビッグバンドサウンドを聴きたきゃこれだ!
★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『Stardust』


ジョン・コルトレーン(ts) 『スターダスト』

 4曲中3曲がバラード。ジャケットだってパッとしないし、特に名盤とか傑作とかいう類いのものでもない。プレステッジに山のようにあるコルトレーンのレコードのなかの一枚。いつものメンバーが集まって、適当に打ち合わせしてスタンダードを演ったのを4曲集めて一丁あがり。しかし、こんなに適当に作ったって、これほど良い内容のレコードができてしまうのだ!この時代のジャズの水準の高さが伺い知れる。うーん凄い。 ★★★★

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 カーティス・フラー(tb) 『Blues-Ette』


カーティス・フラー(tb) 『ブルースエット』

 一曲目は栄養ドリンクのCMに使われたが、「テイク・ファイブ」ほどは流行らなかった。テナーとトロンボーン、二管の低音楽器が奏でる美しいハーモニーは男声コーラスを思わせる。ベニー・ゴルソンとのコンビはジャズテットなどでお馴染みだが、こちらはファンキーというより幾分フォーマルな印象だ。トミー・フラナガンのピアノも”トミフラ節”を連発。得意の名脇役ぶりを発揮している。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Kind Of Blue』

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マイルス・ディヴィス(tp) 『Kind Of Blue』

 MJQとかデイブ・ブルーベックなんかは「持ってない」、「聴いたことない」と言ってもある意味許される。局面によっては、「嫌いなんだ」と言い放つことがカッコよく見える場合もある。しかし「聴いたことない」ではサマにならないのが本盤だ。モダンジャズ、いや、20世紀を代表する音楽のひとつとして是非とも聴いていただきたい大傑作。「お通夜みたい」と言った人も居たな…。
★★★★★

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 カーティス・カウンス(b) 『Landslide』

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カーティス・カウンス(b) 『Landslide』

 本盤はベーシストのリーダー作なのだが、なあにかまうもんか。フランク・バトラーが大張り切りの[6]。これを聴いたらドラムソロが苦手な人でもきっと好きになる。爽快なスピード感と、まさに「生のドラム」を思わせるロイ・デュナンの録音。マイルス・ディヴィスが『セブン・ステップス・トゥ・ヘブン』でバトラーを3曲に起用しているが、いずれもバラード演奏。マイルスのバックで疾走するバトラーも聴いてみたいと思ってたら、後日、マイルスの『ディレクションズ』にバトラーの叩く「So Near, So Far」が収録されていることが判明。しかし本テイクの神童トニー・ウイリアムスのドラミングにバトラー及ばず。ちと残念。 ★★★☆☆

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 セロニアス・モンク(p) 『Unique』


セロニアス・モンク(p) 『Unique』

 たどたどしいタッチがトレードマークのモンクは確信犯だ。珍しく本作ではテクニカルなピアノを弾いている。急速調の「Liza」、こんなに難しいフレーズを飄々と、軽々とやってのける。天才モンクにとって、アート・テイタムのように弾くことくらい朝飯前だったのだ。凄い!クロワッサンのように軽く上品で、しかもピアノトリオの醍醐味が味わえる。お気に入りの一枚。
★★★★

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 ジミー・ロウルズ(p) 『Let's Get Acquainted With Jazz(For People Who Hate Jazz)』


ジミー・ロウルズ(p) 『Let's Get Acquainted
With Jazz(For People
Who Hate Jazz)』

 色鮮やかなジャケットが楽しいウエストコースト・ジャズの秀作。タイトルは「ジャズ嫌いの皆さん、ジャズに精通しましょう」くらいの意味だろうか。ジャズ初心者は、案外こういうところから攻略するといいかもしれない。「Perdido」、そして「Blues(TAKE1)(TAKE2)」など、普段は勘弁してほしい「別テイク」も、このCDでは楽しく聴ける。ピート・カンドリのトランペットもいい。
★★★☆☆

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 アート・ペッパー(as) 『The Art Pepper Quartet』


アート・ペッパー(as) 『The Art Pepper Quartet』

 あまり大きな声じゃ言えないが、音楽には高尚なのと低俗なのがある。低俗の代表が本盤にも入ってる「ベサメ・ムーチョ」。いけないいけない、こういう曲を好んで聴いてると人生ダメになるぞと思いつつもう一回。ペッパーの甘いアルトに酔う。ああ~、俺ってダメだなあ。(笑)
★★★★

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 ブッカー・リトル(tp) 『Booker Little』


ブッカー・リトル(tp)
『Booker Little』

 まずは香ばしい珈琲を淹れ、照明を暗くして、本作を聴こう。部屋が格調高いジャズ喫茶になる。厚みのあるトランペットの音色がたまらない。スコット・ラファロの強靭なベースランニングも聞き物だ。颯爽とした曲調、全編に漂う孤独と哀愁のムード。背広の上着を肩に、ポケットに手を突っ込んで歩くお父さんに捧げたい。  ★★★★

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 ビル・エヴァンス(p) 『A Simple Matter Of Conviction』


ビル・エヴァンス(p) 『A Simple Matter Of Conviction』

 表題曲は三拍子のブルースだが、ワルツにもブルースにも聞えない。シェリー・マンは最初から最後までドラムソロをやってるし、エディ・ゴメスも一曲まるごとベースソロみたいなもの。トリオが一斉にソロをとりつつ全体をまとめあげていく「インタープレイ」という形式は、エヴァンスが発明した。本作はそれがじつにうまくいってる。硬派のエヴァンス。
★★★★
(※『Empathy』とカップリングの2in1CDあり)

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 ドナルド・バード(tp) 『Fuego』


ドナルド・バード(tp) 『Fuego』

 奔流のように迸り出るジャッキー・マクリーンのアルト!これを聴いたらもう後へは戻れない!ごっついごっつい、たまらなくごっついサウンドだ。どおーっ!とくる。何を言ってるか分らんって?いや、男子ならきっとわかるはずだ。特に[4]から[6]までの展開が凄い。素晴らしい。レックス・ハンフリーズのスティックが空から降ってくる。これぞファンキー!これこそブルーノート!わたしが普通の人からジャズファンへの一線を超えたレコード。輸入盤あり ★★★★★

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 アンドレ・プレビン(p) 『King Size!』


アンドレ・プレビン(p) 『King Size!』

 クラシック界でのプレビンの評価は知る由もないが、ジャズピアニストとしてのプレビンはなかなかイカしてる。少なくとも本作はわたしの愛聴盤。小粋なだけでなく、ドッシリと腰が据わってる。聞き物はピアノの低音域がごろんごろんと鳴る「You'd Be So Nice To Come Home To」。ジャズ喫茶「ベイシー」の菅原氏に「録音の凄さをまざまざと見せつけられた」と云わしめた名作。
★★★★

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 バド・パウエル(p) 『The Bud Powell Trio』


バド・パウエル(p) 『The Bud Powell Trio』

 バド・パウエルを模倣した”パウエル派”といわれるピアニストは掃いて捨てる程居るわけだが、こうして聴いてみると不思議なことにパウエル自身は”パウエル派”の誰にも似ていない。天才とはそういうものなんだろう。本作はパウエル派の聖典にして、ピアノトリオの原点。急速調の「Indiana」、バラードの「I Shoud Care」など、いずれも格調高い唯一無二の演奏。 ★★★★★

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 ズート・シムズ(ts) 『Zoot Sims In Pars』(Ducretet-Thomson)


ズート・シムズ(ts) 『Zoot Sims In Pars』(Ducretet-Thomson)

 幻の名盤”デュクレテ・トムソン”。表題のとおり、ピアノのアンリ・ルノーらと’56年にパリで録音された。特に凝った演奏ではないけれど、ズートのテナーの深々とした音色が楽しめる。バラード曲の「Evening In Paris」を聴いてると、まるでアパルトマンの窓辺から物憂げにパリの街並みを眺めてる気分になる。フランスなんて行ったことないけど。 ★★★★

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 リー・コニッツ(as) 『Motion』


リー・コニッツ(as)
『Motion』

 「リーのように素晴らしい演奏ができるなら肌が緑色で赤い息を吐く奴でも使う」マイルス・デイヴィスが言ったとか言わないとか。曲目を見るとスタンダードのオンパレードなのに聴きなれたメロディは一向に出てこない。そこがいいのだ。ソニー・ダラスのベースと、エルヴィン・ジョーンズのドラムをバックにスリリングな演奏。しかし本盤は蒸し暑い夜などに部屋の窓を開け放ち、小音量で聴くのが好きだ。 ★★★★★

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 ケニー・ドーハム(tp) 『Una Mas』


ケニー・ドーハム(tp)
『Una Mas』

  アート・ブレイキーの『Moanin'』を初めとして、俗に”ブルーノート・オリジナル”と呼ばれるカッコイイ曲がたくさんある。本盤の「Una Mas」もそんな一曲。ボサノヴァのリズムに乗って『Sidewinder』風のスカしたテーマが登場、燃えるケニー・ドーハム!後半テーマの変奏部を経てケニーが叫ぶ「ウナー、マス!」゜60年代ジャズ喫茶の雰囲気を濃厚に伝える名盤。 ★★★★

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 ハンク・モブレー(ts) 『Soul Station』


ハンク・モブレー(ts) 『Soul Station』

 録音技師ヴァン・ゲルダー自ら”ベスト・レコーディング”として本作を挙げたという。たっぷりふっくら、朗々としたテナーの音が聴けるモブレ-の最高傑作。リラックスしていて適度にファンキー、ハッピーでほんの少し哀愁が漂う。こんなのがあのごついRVGサウンドで鳴るんだからもうたまらない。モブレーは”凄いジャズ”でなく”いいジャズ”をたくさん吹いた人だ。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Blue Haze』 

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マイルス・ディヴィス(tp) 『Blue Haze』

 『Walkin'』『Dig』などの傑作の影に隠れ、いまひとつ注目を浴びない本作だが、「I’ll Remember April」が鳴り出すと、いきなり闇の世界に引きずり込まれる。パーシー・ヒースのベースとケニー・クラークのブラシが一体化して、まるで生き物のよう。ホレス・シルバーのファンキーなピアノが踊り、マイルスのミュートが冴える!ミンガス参加のトラックも傾聴。これはいいッ!
★★★★

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 デューク・エリントン(p) 『The Popular』


デューク・エリントン(p) 『The Popular』

 エリントン楽団は芸歴が長く、しかも超ビッグネーム。どこから手をつけていいか判らない人も多いだろう。本盤は「A列車で行こう」をはじめとする往年のヒット曲を再演。録音もよくエリントン入門には最適だ。アールヌーボー芸術を思わせる独特の音楽絵巻。ソリスト達がどんなに下品にエロチックに暴れても、全体として見れば華麗で上品な仕上がり。輸入盤あり
★★★★★

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 ジョージ・ウォーリントン(p) 『Jazz For The Carriage Trade』


ジョージ・ウォーリントン(p) 『Jazz For The Carriage Trade』

 フィル・ウッズ、ドナルド・バードをフロントに配したオーソドックスなスタイルのニ管ハードバップ。しかし黒人のよくあるそれではなく、本作はカラッと爽快にスイングする。きっとこの日はメンバー全員上機嫌だったのだろう。アート・テイラーのドラムも快調だ。白眉はウッズのアルトの美しさにハッとする「What's New」。聴く度に嬉しくなってくる作品だ。★★★★

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 チャーリー・パーカー(as) 『Now's The Time』


チャーリー・パーカー(as) 『Now's The Time』

 パーカーの全盛期は'40年代で劣悪な録音のものが多いが、本盤は゜50年代の作品で録音もまとも。盛りは過ぎたとはいえ演奏が物凄いことに変わりない。二曲続けて収録されたブルースナンバー「Cosmic Rays」、アップテンポの「Chi‐Chi」の素晴らしさはどうだ?!これぞブルース!パーカーのアドリブにはジャズのコアな部分がすべて詰まっている。 ★★★★★

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 M.J.Q.&スウィングル・シンガーズ 『Place Vendome』


M.J.Q.&スウィングル・シンガーズ 『Place Vendome』

 クラシック音楽をモダンジャズに持ち込むコンセプトが一致して、M.J.Q.とスウィングル・シンガーズが見事な共演。「G線上のアリア」は、バッハ作品のなかでも最も美しい曲のひとつだが、困ったことに肝心のクラシックでいい演奏に出くわさない。いくら買ってもテンポが速過ぎたり遅かったりで、わたしのフィーリングにピッタリ合うのがない。探せばきっとあるんだろうけど、いまのところは本作のものがベスト。敬虔な気持ちになる。「ルパン三世の音楽か?」と訊かれたことあり。 ★★★☆☆

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 マル・ウォルドロン(p) 『Left Alone』


マル・ウォルドロン(p)
『Left Alone』

眉間に激しく皺が寄る、なんともやるせない表題曲。マクリーンのアルトによる泣きのテーマが終わり、訥々と語るマルのピアノを聴いてると、物凄い音圧で再び激情のマクリーン登場。いつもここでびっくり。魂を鷲掴みにするような演奏だ。続く「Cat Walk」で旋律の美しさに酔う。この二曲だけで買う価値は充分。しかし後半、特にインタビューは勘弁してほしい。(聴かなきゃいいだけだが)★★★★

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 デイブ・ブルーベック(p) 『Jazz At Oberlin』


デイブ・ブルーベック(p) 『Jazz At Oberlin』

 一曲目の頭が切れてる。なんだよ、みっともないなあと思うのも束の間、目の前に花が咲くようなポール・デスモンドの華麗なアルトに聞惚れてしまう。うわー!これは素晴らしい。奇跡のようなライブ盤だ。観客の盛りあがり方も普通じゃないぞ。聴く前は4つ星のつもりだったのに。ブルーベックは「テイク・ファイブ」しか知らないという人には是非とも聴いて頂きたい。大推薦盤。  ★★★★★

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 オスカー・ピーターソン(p) 『We Get Requests』

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オスカー・ピーターソン(p) 『プリーズ・リクエスト』

 難解=優れたジャズとは限らない。本作はハッピーで分り易く、グイグイと聞き手を引き込んでいく堂々たる傑作だ。軽くロマンチックに、時には重厚にダイナミックに。ピーターソン・トリオはこの緩急のつけ方が抜群。音も良く'64年の録音だが、いまだにオーディオチェックに使用する人多し。あっ、いかん、ちょっと試聴するだけのつもりがまた乗せられてしまった。 ★★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『A Love Supreme』


ジョン・コルトレーン(ts)
『A Love Supreme』

 邦題が『至上の愛』。長い間、本盤を避けてきた。難解、フリー、呪術的などの先入観があり、怖くて手にも取らなかったが、もういいだろうと聴いてみると、これが素晴らしい。先入観はよくないな。天と地が現れ、時間が生まれる。動植物の営みがあり、やがて人類が創られた。トレーンの世界観を拒絶する人もあろうが聴いてみる価値はある。至上屈指の大傑作!!アナログ盤あり  ★★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『Crescent』


ジョン・コルトレーン(ts) 『Crescent』

 '64年、コルトレーン・カルテットの演奏は、いよいよ時代の頂点へと登り詰める。この緊張感!!あの『Ballads』がトレーンのマウスピース不調の産物だとして、もし絶好調だった場合には本作のようになったのではないか。過激で美しいコルトレーン本気のバラード集。但しスローテンポの曲ばかりではない。「Bessie's Blues」ではエリック・ドルフィー的なアプローチも聴かれる。 ★★★★★ アナログ盤あり

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 ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『My Favorite Things』


ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『My Favorite Things』

 『Giant Steps』で驚異的奏法を極めたトレーン。マイルス・デイヴィスからソプラノサックスを贈られ、バンドには複合リズムを叩き出すエルヴィン・ジョーンズが参加。そしてインド音楽への傾倒。またしても化学反応が起きる。この頃から次第に音符を正確に吹くことより激情のほうが勝つようになる。恐るべきトレーン!表題曲はまるで桃源郷に居るかのようだ。
 ★★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『Giant Steps』 


ジョン・コルトレーン(ts)
『Giant Steps』

 名手であってもその資質が音楽性に合わない例はいくつもある。本盤別テイクにおけるレックス・ハンフリーズのドラムと本テイクのアート・テイラーを比べてほしい。ハンフリーズもなかなかの腕前だが、ここではハイハットの裏打ちがコルトレーンのスピード感についていけてない。1ヶ月後、ピアノとドラムを替え、満を辞してレコーディングに臨む。傑作が生まれた。完璧だ。トレーンはこのレコーディングでのポール・チェンバースのベースに余程関心したらしく、「ミスタ・ポール・チェンバース」として[7]を捧げている。 ★★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『Lush Life』


ジョン・コルトレーン(ts) 『Lush Life』

 [1]~[3]がベースとドラムだけをバックにしたトリオ演奏。単音楽器のテナーで和声的に空間を埋め尽くす”シーツ・オブ・サウンド”を確立したトレーンは、意図的にピアノを止めさせる手法を使うようになる。バラードの表題曲になってようやくピアノが登場。曲の中盤で突如ドナルド・バードのトランペットがクリフォード・ブラウンばりの輝かしいトーンで参入。あら、アンタ居たの?って感じのここが本作最大の聴き所。アナログ盤あり 国内盤あり  ★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『Soultrane』


ジョン・コルトレーン(ts) 『ソウルトレーン』
 コルトレーンのベストとして本盤を挙げる人も多い。ワンホーンでこの時代の王道を行く演奏だが、驚異的スピードで吹きまくる独自の奏法は、すでにスタンダードなジャズの枠を超えてしまっている。リラックスしたテンポで始まり、バラード二曲、急速調が二曲という選曲もいい。この後、トレーンの音楽は、彼自身の吹奏スタイルに導かれるかのように変化していく。国内盤あり  ★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『Blue Train』


ジョン・コルトレーン(ts) 『Blue Train』

 昨日、人影まばらなショッピングモールで本作の「I’m Old Fashioned」が流れてきた。じつに良い演奏だ。そのまま立ち尽くして一曲全部聴いてしまった。トレーンによるテーマのあと、カーティス・フラーがギリギリまで引っ張ってケニー・ドリューにソロを受け渡す。最後を締め括るリー・モーガンが特に良い。傑作というのは、もう最初の一音からして風格が違うものだ。
★★★★★

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 デューク・エリントン(p),ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Duke Ellington & John Coltrane』


デューク・エリントン(p) ジョン・コルトレーン(ts) 『Duke Ellington & John Coltrane』

 巨匠エリントンとて、コルトレーンの凄さは充分認めていたことだろう。よく『バラード』と並び称されるが、本作には異様な緊張が見られる。どちら側の土俵で勝負するか。両者ともアクが強く、懐もまた深い。「Take The Coltrane」では、エリントンが弾くのを中断。これは凄い判断力だ。弾かないほうがいいサウンドになることをエリントンはちゃんと知っていたのだ。 ★★★★

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 ジョン・コルトレーン(ts) 『Ballads』


ジョン・コルトレーン(ts) 『Ballads』

 タイトルでずいぶん得してるなあと思う。『バラード(正確にはバラッズ)』。ほ~ら、欲しくなったでしょ?その名のとおりのバラード集。勿論演奏も素晴らしい。が、これをコルトレーンの代表作みたいに吹聴するのは少し抵抗がある。かわりに鬼気迫る『ジャイアント・ステップス』を聴けっ!ほ~ら、欲しくないでしょ?わたしに遠慮しないで買ってください。『バラード』、名盤です(笑) [1]がなぜかTV番組の「どっちの料理ショー」でよく流れてる。 ★★★★

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 ジェリー・マリガン(bs,p) 『Night Lights』


ジェリー・マリガン(bs,p) 『ナイト・ライツ』

 誰に薦めてもほぼ間違いなく「良い」と言うから、貴方もきっと好きになるだろう。都会的で洗練された夜のイメージにピッタリだ。さりげなく始まり、やがてエンディングに向かってドラマチックに収斂されていく「Fastiv Minor」は何度聴いても唸ってしまう。ある人がうまいこと言った「1曲目で夜が始まり7曲目で夜が明ける」。LPにはなかったボーナストラック7曲目の「朝」。 ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『'Round About Midnight』 

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マイルス・デイヴィス(tp) 『'Round About Midnight』

 「卵の殻の上を歩く男」、人はマイルスのミュートをそう呼ぶ。長年この表現にピンとこなかったわたしだが、先日ようやく腑に落ちた。「Bye Bye Blackbird」、お酒のCFで有名になったこの曲は、成る程「卵の殻の上を歩く」イメージにピッタリくる。ガーランドのピアノで扉が開き、フィリー・ジョーのブラシを合図にそろりそろりと裸足で進む。そう、こいつはまさしく「卵の殻の上を歩く男」だ。SACDあり
★★★★★

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 ポール・スミス(p) 『Cool And Sparkling』


ポール・スミス(p) 『Cool And Sparkling』

 この洒落たジャケットを見れば誰だって欲しくなるだろう。わたしも買った。だが困ったことにジャズを聴いた気がまったくしない。編曲が悪いとは云わないが、あまりにもアレンジ過剰でサロン的。軽すぎる。ロニー・ラングの艶めかしいアルトがもっと聴きたかった。しかし友人で本盤が異常に好きな奴も居るから嗜好というのは分らんものだ。うーん。
★★☆☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Four & More』

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マイルス・ディヴィス(tp) 『Four & More』

 いかんいかん!ヌルいジャズばかり聴いてちゃいかん!こういうのを聴かないでどうするか!?静的な『マイ・ファニー・バレンタイン』と同日録音。こちらは神童トニー・ウィリアムスのシンバル連打に煽られ、メンバー全員尻に火がついたように疾走する。体調のすぐれないとき本盤を聴けば、たちまち背筋がシャンとなる。やはりマイルスは別格だ!最後のアナウンスもカッコイイ!  ★★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『My Funny Valentine』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『My Funny Valentine』

 ジャケットに憧れて水玉ネクタイを買った。時期が悪かった。時の総理は海部さん。オレを海部さんと呼ぶな!(爆) 本作は一応バラード集ということになってるが、変幻自在のリズムセクションにより、激しくもあり優しくもあり、またスインギーでもある。全編を貫く鋭い緊張感は他の追随をまったく許さない。凄すぎるライブ盤。 ★★★★★

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 ホレス・シルバー(p) 『The Tokyo Blues』 


ホレス・シルバー(p) 『The Tokyo Blues』

 '62年、初来日したシルバーは大歓迎を受けた。酒の席で彼は東洋のファンキーな言葉を何度も耳にする。「おっとっと」。よほど印象的だったのだろう。帰国してすぐに「おっとっと」を曲にした。「Too Much Sake」。なるほどサケが多すぎると「おっとっと」になる。「ああ、そう」にしてもシルバーが料理するとこんなにカッコイイのはどういうわけか。
★★★★

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 ソニー・スティット(as) 『Plays From The Pen Of Quincy Jones』


ソニー・スティット(as) 『Plays From The Pen
Of Quincy Jones』

 スティットは凄いテクニシャンだが、好き放題やらせると軽薄になりがち。本作はクインシー・ジョーンズのアレンジにより、うまい具合に制動が効いている。チンチンに沸騰した鉄製茶釜のように熱~いバラード「マイ・ファニー・バレンタイン」「降っても晴れても」「スターダスト」、渋茶をすすりながら聴けば幸せ。
★★★★

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 グラント・グリーン(g) 『Idle Moments』


グラント・グリーン(g) 『Idle Moments』

 昭和期のムード歌謡は、多分にモダンジャズの影響を受けている。この表題曲なんか、温泉街のジュークボックスから流れてきてもおかしくないほど演歌チック。ジャズと演歌は意外なところで繋がってる。「OOOブルース」とかいう曲名が多いのはそのためか。ヴァン・ゲルダー・スタジオの地下を掘ったなら、きっと温泉が出るにちがいない?!
★★★★

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 ケニー・バロン(p) 『Live At Bradley's』


ケニー・バロン(p) 『Live At Bradley's』

 本盤を手に取るとき、「さあ今から大傑作を聴くのだ」というような気負いはまったくない。「寝そべってたのが、いつのまにか正座して聴かされてる」なんてことがしばしば。まるで手品のよう。一曲目、15分の間にそれが起こる。この吸引力は何だ?聴衆もきっと同じ気持ちだったろう。拍手の熱気が最初と最後ではまるで違うではないか。騒がしいステーキハウスで客の注意を引き、演奏を聴かせるためにはどうするか。音楽を志すなら絶対に聴くべし。究極の名人芸。 ★★★★★

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 アート・ファーマー(tp),ベニー・ゴルソン(ts) 『Meet The Jazztet』

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アート・ファーマー(tp),ベニー・ゴルソン(ts) 『Meet The Jazztet』

 ジャズテットはギャング一味のような横ノリのアレンジがイカしたグループ。不良っぽい雰囲気がたまらない。ビル・エヴァンスがファーマーの『Modern Art』で苦労した「Mox Nix」のファンキーなイントロも、本作のマッコイ・タイナーだと難なくこなす。やはり真面目なエヴァンスはギャング団には入れないのだった。
★★★☆☆

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 アート・ファーマー(tp) 『Modern Art』


アート・ファーマー(tp) 『Modern Art』

 ビル・エヴァンスはファンキーができない。それが傑作『Kind Of Blue』をマイルス・ディヴィス自ら「失敗作」と称した理由ではなかろうか?「モックス・ニックス」のイントロ、ピアノで「レロレロレロ~♪」というアレだ。アレは「オール・ブルース」にも出てくるが、こんなふうに几帳面に音符どおりやってはいかんのだ。しかし本作はゴルソン、ファーマーのファンキー度がエヴァンスによって中和されたのか、なかなかキュートで面白い作品に仕上がった。強面のファーマーは意外にジェントルなのだ。国内盤あり ★★★☆☆

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 V.S.O.P.ザ・クインテット 『Live Under The Sky '79』 


V.S.O.P.ザ・クインテット 『ライヴ・アンダー・ザ・スカイ伝説』

 熱病に冒されたように本作の「アイ・オブ・ザ・ハリケーン」を聴きまくった。火の出るような演奏とはまさにこのこと。聴きどころはいくつもあるが、なんといってもトニー・ウィリアムスのキックバス!驚愕の重低音に度肝を抜かれる。雨の田園コロシアムで行われた演奏、異様なまでの熱気と興奮が目に見えるよう。凄いっ!!輸入盤あり
★★★★★

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 デクスター・ゴードン(ts) 『Our Man In Paris』


デクスター・ゴードン(ts) 『Our Man In Paris』

 ジャズ奏者の多くは、所謂西洋音楽の規範からはみ出した演奏をする。音程をやや高めに吹いたり、低めにしたりするわけだが、デクスターはテンポを「遅らせる」ことによって、豪放な独自のスタイルを確立した。本作はパリに移住したケニー・クラーク、バド・パウエルとの意欲溢れる再会セッションにして、デクスターの代表作でもある。 ★★★★

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 ウイントン・ケリー(p) 『Kelly Blue』 


ウイントン・ケリー(p) 『ケリー・ブルー』

 [1][6][7]がセクステットで、残りはウイントン・ケリー・トリオによる演奏。ケリーは比較的どんなスタイルでもこなすピアニストだが、本作ではファンキーな面が色濃く出た。ブロックコードで盛り上げる[2]なんか、明らかにボビー・ティモンズしてる。「抜き足差し足忍び足」のような表題曲[1]のイントロを聴いて、「ダサい」と思うか「カッコイイ」と感じるかで貴方のファンキー度がわかる?国内盤あり ★★★☆☆

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 リー・モーガン(tp) 『Expoobident』


リー・モーガン(tp) 『Expoobident』

 「イージー・リビング」という曲には名演が多い。ペギー・リーの『Black Coffee』、ビル・パーキンスのテナーが渋いジョン・ルイスの『Grand Encounter』。それぞれ個性的な解釈を見せるが、極めつけは本作のリー・モーガン。スピーカーから唾が飛んでくる。アート・ブレイキー、エディ・ヒギンズも好サポート。
★★★☆☆

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 キャノンボール・アダレイ(as) 『Know What I Mean』


キャノンボール・アダレイ(as) 『Know What I Mean』

 妙に前衛的なレコードジャケットは、きっと表題曲[5]のちぐはぐさを表現してるのだろう。幻想的かつ美しいビル・エヴァンスのピアノに乗せて、キャノンボールがいい感じで吹いてるなと思ったら、突如パーシー・ヒースのダサいベースソロが始まり、素っ頓狂なコニー・ケイのドラムが唐突に現れる。鮮烈な音で録れてるから余計にダサい。MJQの名手二人はモードが理解できなかったのだろう。でも他の曲はすべて二重マル。特に「ワルツ・フォー・デビー」が最高! ★★★★

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 ロイ・へインズ(ds) 『Out Of The Afternoon』


ロイ・へインズ(ds)
『Out Of The Afternoon』

 「アレッ?ワンホーンじゃなかったの?」ローランド・カークは一度にテナーとマンゼロ、さらにストリッチという楽器を三本まとめて吹いてしまう怪人だが、演奏は奇を衒うものじゃなく、いたってマトモ…いや、マトモどころか無茶苦茶カッコイイ!へインズのドラムが冴え渡るヴァン・ゲルダー録音。ハードバップのエッセンスがギュウギュウに詰まった堂々たる傑作だ。
★★★★★

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 ポール・チェンバース(b) 『Go』


ポール・チェンバース(b) 『Go』

 胸のすくような快演「ジャスト・フレンズ」があまりに良い音なので、人に聴かせまくったことがある。面白いことに「凄く音が良い」と言う人と、「録音が悪い」と言う人、意見が真っ二つに分れた。ライナーにも元々録音が良くない旨書かれている。さて、貴方にはどう聞こえるか?本セッションの完全盤もある。
★★★★

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 モダン・ジャズ・カルテット 『Django』


モダン・ジャズ・カルテット 『ジャンゴ』

 わたしは本盤を持ってない。内容は熟知してる。本当に素晴らしい。買おうと何度も手に取るが、なぜか他のを買って帰る。いつか買おうと思って20年過ぎた。「今更ジャンゴ買うのかよ」と意地悪な自分が囁く。こういう大名盤は速やかに買うべし。後になるほど買いにくい。国内盤あり
★★★★★

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 レスター・ヤング(ts) 『Pres And Teddy』


レスター・ヤング(ts) 『Pres And Teddy』

 聴いて眉間に皺ができる程度ではまだ足りない。本作二曲目のバラード曲「恋のとりこ」を聴くと、皺ができたうえに「眉がハの字」になる。これぞ最上。眉は音楽のランクを示すバロメーターだったのだ。
★★★★★

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 ウエイン・ショーター(ts) 『Second Genesis』

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ウエイン・ショーター(ts) 『Second Genesis』

 '70年代に入ってから発表されたウエイン・ショーターのワンホーンでのレコーディング。アラビアンテイストを最初にジャズに持込んだのは、たぶん本作にも参加しているアート・ブレイキーだろう。カッコイイ!とにかくカッコイイ「ルビーと真珠」。マジカルなテナーの音色によって、めくるめく官能の世界が展開する。ショーターって奴は化け物だ! ★★★★★

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 フィル・ウッズ(as) 『Woodlore』