ウイントン・マルサリス(tp) 『J Mood』

ウイントン・マルサリス(tp) 『J Mood』

 スタンダードジャズばかり聴いていた初心者のわたしは、このCDのよさがちっともわからず、冷たく無機質な響きに閉口して手放してしまう。約20年の歳月を経て再会した本作を聴いて、そのエネルギーに圧倒される。なんと熱い演奏、[1]は哀しみのブルース、これのどこが無機質なものか。ウイントンのラッパも凄いが、容赦なく降り注ぐジェフ・ワッツのシンバル雨あられ。当時のわたしには、このパワーを引き出す装置も、理解する感性も備わってなかったのだ。しかしウイントンも小難しいオリジナルばかりじゃウケないと悟ったか、この後スタンダード作品を連発する。[7]は同じメンバーで入れた『スタンダード・タイムVol.1』の「スーン・オール・ウィ・ノウ」に酷似のジャムセッション。 ★★★★

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 出てくる音は同じでも聞こえ方は同じと限らない

 あるオーディオの友人、仮にBさんとするが、そのBさんと一緒に音楽を聴いてると、彼はとても不思議な反応をする。
 Bさんは、ヌケの悪い音、窮屈で詰まったような音を聴いて、「ヌケがいい」と云い、開放されて天高く抜ける青空のような音を聴いて「ヌケが悪い」と顔をしかめるのだ。最初は気のせいかと思っていたのだが、どうやらそうでもないらしい。

 彼とわたしでは、音楽の捉え方というか、出てくる音の受け取り方、キャッチの仕方がまったく違うようなのである。その問題を解くヒントになったのがこちらの動画。

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 News Release インフラノイズから音楽録音再生専用デジタルオーディオケーブル6機種 新発売

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 クリス・コナー(vo) 『バードランドの子守唄』
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クリス・コナー(vo) 『Sings Lullabies of Birdland』

 クリスコナー(1927年11月8日- 2009年8月29日) '53年、演奏旅行に疲れたクリスは、在籍わずか4ヶ月で突如スタン・ケントン楽団を脱退。ソロ活動の場をNYに移す。バードランドで唄っていたのを見つけたベツレヘムレコードのオーナー、ガス・ウィルディが契約を取り付け、同年12月に録音された(『Chris』にも分散収録)のが[6][7][8]。このセッションではさほどハスキーさを感じさせないが、翌年8月収録の表題曲[1]から[5]までトレードマークのハスキーヴォイスがザラリとした質感で迫ってくる。[9]から後半にかけてはアコーディオンとフルート、ギター等のアレンジがユニーク。これらのセッションをまとめ、同レーベルの第一弾アルバムとして発表、人気を博した。 ★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts) 『Stan Getz Quartets』
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スタン・ゲッツ(ts) 『Stan Getz Quartets』

 ウディ・ハーマン楽団から独立したゲッツ初期の名盤。高音域を多用していて、まるでウォーン・マーシュやリー・コニッツみたい。20代前半とあって、まだ身体ができてないのか、あの横隔膜を大きく震わす深々としたテナーの音は出しきれてないが、その分若々しくさえずるがごときアドリブの閃きが天才的。[4]は最高にゲッツらしいソロが聴ける。アル・ヘイグも宝石をちりばめたようなピアノで好サポート。小声で内緒話を囁くようなバラードの[6]、ドン・ラモンドのラテン風リズムに乗って変幻自在のフレーズを繰り出す[12]も傾聴のこと。 ★★★★

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 シェリー・マン(ds) 『My Fair Lady』
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シェリー・マン(ds)
『Modern Jazz Performances Of
Songs From My Fair Lady』

 ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の名曲の数々を、音楽監督のアンドレ・プレヴィン自ら陽気なジャズピアノでアレンジ。和音が分厚いのは指揮者ゆえか、稲刈機のようにブロックコードで迫ってくる。しかしリーダーはドラムのシェリー・マンである。いや、ドラムというよりブラシ。金属の箒が目まぐるしく革を擦るかと思えば、マレットがごわーんとシンバルを響かせる。小技の妙で人気ドラマーへ登りつめたシェリー・マンの代表作。言わずと知れた名曲揃いだが、なかでも急速調の[5]は圧巻だ。 ★★★★

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 クリス・コナー(vo) 『Chris』
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クリス・コナー(vo) 『Chris』

 好きな女性ボーカルは?と訊かれるのは、ジャズファンのセンスを問われる質問だ。サラ・ヴォーンはちと濃いし、アニタ・オデイじゃ当たり前すぎて面白くない。ジュリー・ロンドンはスケベがバレる。そこで、クリス・コナーと即答すれば、おっ、なかなかやるな!と一目置いてくれるかも。古巣ベツレヘムの音源を、4種のセッションから寄せ集めた内容。ジューン・クリスティの流れを汲み、耳元で囁くようなハスキーヴォイスが近いコンボ演奏の[1]、[2]~[4]はオールドジャズの趣きあるビッグバンドで、ホールのような広い場所で録音したと思われる。[8]はギターとの合わせ方が絶妙。[9][12]ではカイ&JJのトロンボーンコンビもチラッと登場。 ★★★☆☆

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 山本邦山(尺八),菊地雅章(p) 『銀界』
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山本邦山(尺八),菊地雅章(p) 『銀界』

 待ちに待った再発。この機会にこれはなんとしても入手していただきたい和製ジャズの大傑作。特に年末からお正月には欠かせない一枚だ。人間国宝・山本邦山の奏でる尺八の音色は、我々を幽玄の世界へといざなう。菊地雅章のピアノ、ゲイリー・ピーコックのベースも、ヨーロッパ的な音階をうまく避けながら、和の響きを作り出すことに成功している。いや、それ以前に、邦楽の持つ静寂の美を体現したからこそ、ここまで美しい音楽が出来上がったのだ。ジャズというカテゴリーを超え、日本の伝統的な美しさを再発見できること間違いなし。 ★★★★★

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 アート・ペッパー(as) 『The Return of Art Pepper』
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アート・ペッパー(as) 『The Return of Art Pepper』

 オリジナルの[1]は、麻薬所持のため入れられてた刑務所から出てきたペッパーの意気込みが感じられる。「恋人よ我に帰れ」のコード進行に対位法のテーマが印象的。帰ってきたのが嬉しいのか、仲間同士で元気つけてやろうとしたのかどうかは定かでないが、このメンバーの盛り上がりようは並じゃない。特にリロイ・ビネガーの豊かに響くウォーキングベースがバンドを牽引し、ジャック・シェルドンも乗りに乗ってエネルギッシュな演奏を展開。もちろんペッパーも好調で、マイナー曲[7]から、バラードの[8]、得意のラテンリズムに乗った[9]、[10]へのくだりがいい。ジャケット写真が『ミーツ・ザ・リズムセクション』の残りを流用したようで、見てのとおり少々影が薄い。デザインさえちゃんとしてればさらに評価が高かったのでは?佳作。 ★★★★

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 珈琲学入門

 JimmyJazzで出してるコーヒーは、ふつうのドリップ式コーヒーメーカーで淹れている。豆は挽いてあるものを買ってくる。銘柄はいつもUCCのゴールドスペシャル・リッチブレンドだ。

 せっかく淹れたのに、一口飲んだだけで大量に残していく人もいれば、「すごくおいしい!どうやって淹れてるの??」とビックリする人もいる。
 そんなもん知るかいな。コーヒーメーカーのスイッチ入れただけやがな(^^;

 たしかにコーヒーの味にはムラがあって、同じ豆、同じ水で淹れても、美味くなるとき、美味くないとき、とんでもなく不味いときもあり、このあたり、感覚的にはまさにオーディオとソックリ。

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 JJ工房忘年会

 今年もJJ工房の忘年会があります。幹事は大@神戸さんで、いまのところ12/28(月)夜の予定。当店で開催するというのに毎年丸投げでスミマセン(^^;

 リタ・ライス(vo) 『Rita Reys Meets Oliver Nelson』
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リタ・ライス(vo) 『ミーツ・オリヴァー・ネルソン』

 バックはオリヴァー・ネルソン編曲指揮による欧米混合バンド。もしこれがアメリカで制作されたとしたら?ストリングス付のイージーリスニング風になってたかもしれない。ヨーロッパの人達はジャズとそれを創り上げた黒人を尊敬し、学ぼうとしたからこそ、リタのようにある意味本国よりもジャズらしいジャズシンガーが根付いたのだろう。マスターテープの状態があまりよくないのが惜しいが、こういうのを聴くならiPodより断然JBL。[2]のファーマー、[3][4]とコニッツのソロがいい。 ★★★☆☆

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 暖かい部屋に冷たいものを入れてみよう

 暖かいリスニングルームに、外から何か冷たいものを持ってきて音を聴いてみよう。外に出していた鉢植えとか、自転車とか、外套でもいいし、冷蔵庫で冷やしてたビールでもいい。
 すると、あらあら不思議。音がなんだか違って聞こえるではないか。これはプラシーボか幻聴か、はたまた得意のオカルトか?さあ、皆さんも暖かい部屋に冷たいものを入れてみよう。

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