ハービー・ハンコック(p) 『Herbie Hancock Trio with Ron Carter+Tony Williams』

ハービー・ハンコック(p) 『Herbie Hancock Trio with Ron Carter+Tony Williams』

 僅かしかないハンコックのピアノトリオ編成のレコードのなかのひとつ。言うまでもなく”黄金のクインテット”時代のリズムセクションだが、'60年代当時のような前衛的な試みではなく、スタンダードを軸とした親しみ易いサウンド。CBSソニーは、このセッションの翌28日、同じロケーションでウイントン・マルサリスを加えて『カルテット』を、さらに29日と30日には兄のブランフォード・マルサリスを加え、ウイントンの初リーダー作となる『マルサリスの肖像』の約半分を収録している。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Bags Groove』
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マイルス・デイヴィス(tp) 『Bags Groove』

 セロニアス・モンク、ミルト・ジャクソンを含む『マイルス・デイヴィス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』と同日のセッション「バグス・グルーヴ」と、同年6月にソニー・ロリンズ、ホレス・シルバーらと入れた二つのセッションからなる。表題曲の「バグス」とは目の下が袋(Bags)のようなジャクソンのあだ名。例によってモンクはジャクソンのバックと自分のソロ以外でピアノを弾いてない。マイルスの限りなく上品なオープントランペットの音色がたまらない。[2]のモンクのソロ、[5][7]のシルバーのブルース・フィーリング、ロリンズのペッキング等、聴き所満載の傑作。 ★★★★★

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 ルー・ロウルズ(vo) 『The Legendary Lou Rawls』

ルー・ロウルズ(vo) 『The Legendary Lou Rawls』

 ブルーノート・レーベル再興の立役者、マイケル・カスクーナ選曲のベスト盤。キャノンボール・アダレイ・クインテット伴奏のライブで始まり、スタンリー・タレンタイン、ジョージ・ベンソン、ハンク・クロフォード、ダイアン・リーヴスとのデュエットなど内容も盛りだくさんで飽きさせない。スタイルも様々であるが、どの曲でもリズム・アンド・ブルースに裏付けされた力強い歌唱を聴かせる。ビリー・ホリデイ作の[6]、そして「悲しき願い」の邦題で知られる[15]も素晴らしい。ブルースはアメリカの浪花節だ。 ★★★☆☆

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 スタンリー・ジョーダン(g) 『Magic Touch』
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スタンリー・ジョーダン(g) 『Magic Touch』

 初めてTVでスタンリー・ジョーダンのパフォーマンスを観たときは、そりゃあビックリしたものだ。実はそれ以前にも演奏を耳にしたことはあって、それほど大したことないと思っていた。でも、まさか一人で弾いていたとは!左手でネックを押さえ、右手で弾くというギターのセオリーをまったく無視、両手で指板をピアノを弾くように叩く”タッピング”というスタイル。選曲もビートルズ、ジミ・ヘンドリックスから、サド・ジョーンズ、マイルスまでと盛りだくさん。近年パッとしないジョーダンだが、ビジュアル的に凄く面白いので、またヒットを飛ばして出てきて欲しい。 ★★★☆☆

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 ソニー・ロリンズ(ts) 『The Sound Of Sonny』

ソニー・ロリンズ(ts) 『The Sound Of Sonny』

 プレスティッジ・レーベルとの専属契約が切れたロリンズは、コンテンポラリーやブルーノートなど、色々なレーベルに吹き込むようになる。本作はリバーサイド盤。この頃のアイデアの源泉は、ラジオから流れるポップス曲だったようで、良い曲を見つけてはレコーディングしていた節がある。[4]はナット・キング・コール、[9]はローズマリー・クルーニーの唄をあきらかに意識している。ロスからニューヨークに出て来たばかりのソニー・クラークも好演。[8]は無伴奏で、よく唄うテナーの独奏。 ★★★☆☆

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 チャールス・ミンガス(b) 『Tijuana Moods』


チャールス・ミンガス(b) 『Tijuana Moods』
アナログ盤あり

 ミンガス自身が「我が最高の作品」と呼んだという。邦題は『メキシコの想い出』。ミンガスがメキシコのティファナに旅行した際の印象がモチーフになっている。ベースをギターのようにかき鳴らすフラメンコのような[2]が白眉。カーティス・ポーターのブルージーなアルトがイカス。わたしが初めて志摩スペイン村に行ったときの土産にカスタネットを買って帰り、しばらく[2]をかけながらカチカチと練習しては喜んでいた。(笑)[※ミンガスのメキシコ行きは「妻を失った感傷旅行」ということになってるが、単なる離婚説と死別説がある] ★★★★

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 ブラッド・メルドー(p) 『Introducing Brad Mehldau』

ブラッド・メルドー(p) 『Introducing Brad Mehldau』

 本盤を新譜で買ったのは、たぶん'96年の春頃だったと思う。ジャケット写真がカッコ良かったが、メルドーなるピアニストには予備知識などなく、曲目と編成を確かめただけでレジに持っていった。その後随分と活躍してるようだが、なるほど大したピアノである。かくも複雑なことを易しくソフトに表現する逸材。繊細な曲想の[2]がコルトレーンの曲だと先程初めて気がついた。曲の中盤、ドラムソロのあたりから、まるで別の曲のようにソリッドな展開を見せる[6]の緊張と弛緩のコントラストが見事だ。 ★★★☆☆

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 ミルト・ジャクソン(vib) 『That's The Way It Is』
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ミルト・ジャクソン(vib) 『That's The Way It Is』

 エントリー"”ジャズ喫茶「ベイシー」の選択”に登場したレコード一覧"には敢えて挙げなかったが、75頁ベイシーが「ベイシー」にやって来た!!ときにかかっていた「関係のないミルト・ジャクソンとレイ・ブラウンの」レコードとは、十中八九本盤のことだろう。ミルト・ジャクソンは言うまでもなくMJQの花形プレーヤーであるが、夏の期間だけ自己のグループを結成して演奏活動を行っていたようだ。本盤は1969年、ハリウッドにあるシェリーズ・マン・ホールでのライブ。西海岸のスターであるレイ・ブラウンのベースを大きくフィーチュアしている。演奏中に聞こえるジャクソンのカウボーイのような掛け声がカッコイイ! ★★★★

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 スタン・ゲッツ(ts),チャーリー・バード(g) 『Jazz Samba』

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スタン・ゲッツ(ts),チャーリー・バード(g) 『Jazz Samba』

 1958年からコペンハーゲンに住居を構えていたゲッツが1961年本国アメリカに帰還。翌1962年ボサ・ノヴァという新しいスタイルを引っ提げてカムバックを果たした。目論見は見事当って本作は大ヒット。グラミー賞まで受賞してボサ・ノヴァ旋風を巻き起こした。一年後の『ゲッツ/ジルベルト』に比べると、唄のないぶん地味に感じるがこちらも良い演奏だ。当時いち早くボサ・ノヴァを演奏していたチャーリー・バード率いるレギュラーバンドにゲッツが加わった形となる。 ★★★★

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 ディジー・ガレスピー(tp) 『Sonny Side Up』


ディジー・ガレスピー(tp) 『Sonny Side Up』

 軽快にスイングする[1]が始まった途端に良い気分。こりゃあ当たりだなという予想はガレスピーの味のある唄が出てきて良い意味で裏切られる。続いてスティットとロリンズのテナーバトルが物凄い[2]の中盤を過ぎるころには、これは当たりどころか大当たりの大傑作ではないかと確信する。有名なブルースの[3]では、レイ・ブライアントの黒っぽいピアノを堪能。親分ガレスピーは飄々として、ビッグバンドを操るようにメンバーを煽っている。チャーリー・パーカーにしろ、マイルス・デイヴィスにしろ、実はガレスピーに乗せられてただけなのかもしれない。 ★★★★★

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 デューク・エリントン(p) 『Duke Ellington Presents...』
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デューク・エリントン(p) 『Duke Ellington Presents...』

 お馴染みのスタンダード曲も、エリントン楽団が演ると独特の香りを放つ。有名曲[1]や[4]は今となってはやや大袈裟なアレンジが鼻につく。唄入りの[3]と[5]も同様。この馴れるとたまらない濃ぃ~い匂いがエリントンの試金石。しかし本盤も実は[6]以降の後半が良いのである。[8]からバラードが三曲続くが、特に[10]におけるジョニー・ホッジスのアルトは喩えようもなく素晴らしい。古い箪笥の中にしまってあったお気に入りのシャツのようなレコード。 ★★★★

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 ファッツ・ウォーラー(p,vo,org) 『Fats Waller Masterpieces 3』

ファッツ・ウォーラー(p,vo,org) 『Fats Waller Masterpieces 3』

 スライドピアノの名人で、歌もこなすエンターティナー、ファッツ・ウォーラーの1929年から1941年頃の音源。ジャズとは元々こういうものであったのだな、と想像できる。ファッツはその名の通り太ったアクの強いルックスで、ガマ蛙がピアノを弾くアニメーションにもなった。どちらかといえば悪声だが、[15]などじつにじつにロマンチック。[13]はオルガンの独奏。これも得意だったようで、しっかりコントロールされており、「ピアニストがちょっと弾いてみた」という感じはない。こうしてみると、ジャズとは譜面に束縛されない器楽演奏を極めていった歴史だと言えなくもない。 ★★★☆☆

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 ステイシー・ケント(vo) 『Dreamsville』

ステイシー・ケント(vo) 『Dreamsville』

 わたしが言うのも何だけれど、英国の女性とはこうもパッツンパッツンに髪を切る勇気がよくあるものだ、と思う。髪型はボーイッシュになったが、唄のほうはより女性らしく、しっとりした仕上がりのバラード集。前作のようなスインギーな軽快さはなく、録音もぐっとこちらににじり寄ってくる感じで録れている。ドラマチックなメロディラインの[7]がベストトラック。秋の昼下がりに感傷に耽りながら聴くのにぴったりだ。  ★★★☆☆

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 ホレス・シルバー(p) 『Song For My Farther』


ホレス・シルバー(p) 『Song For My Farther』

 ブルー・ミッチェル~ジュニア・クックがフロントを勤める'63年のセッションから、クインテット再編まで丸一年を隔てて吹き込まれた傑作。トランペット~テナー~ピアノの順にソロをとるのが定石だったシルバー・クインテットだが、表題曲はシルバーの語るがごときソロに始まり、続く助っ人ジョー・ヘンダーソンが最高に素晴らしいソロを展開。珍しくトランペットのソロは無し。このジョーヘンの後には無用の長物というもの。旧クインテットでのエキゾチックな[3]もさすがの出来映え。ピアノトリオの[6]はシルバー作の美しいバラードで、オーネット・コールマンのものとは同名異曲。 ★★★★★

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 ハードロックをどっかーんと鳴らしたい

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 リー・コニッツ(as) ウォーン・マーシュ(ts) 『Lee Konitz With Warne Marsh』


リー・コニッツ(as),ウォーン・マーシュ(ts) 『Lee Konitz With Warne Marsh』

 コニッツのアルトとマーシュのテナー、共にフワフワとしたトーンが心地よく、まるで兄弟で唄ったデュオのよう。本盤を買った20年前は、メロディの美しいスタンダード曲が並ぶA面つまり[1]~[4]を愛聴したが、最近は演奏内容の充実した後半が良い。サル・モスカのピアノソロも清々しい[5]がベストトラック。ブルースの[6]も素晴らしい。マイルス・デイヴィス作の[4]は後半リズムがひっくり返って、やっつけ仕事のようにも聞こえるのだが、皆さんはいかがだろう? ★★★★

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 J.R.モンテローズ(ts) 『J.R.Monterose』


J.R.モンテローズ(ts) 『J.R.Monterose』

 耳にしただけでそれとわかる個性的なトーンとフレージングのJ.R.モンテローズ。チャールズ・ミンガスの『直立猿人』『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』などにサイドマンとして名を連ねているが、リーダー作は少なく、入手しやすさから言えばブルーノートの本盤が彼の代表作と言っていいだろう。白人だが、スタイルとしてはゴリゴリのイースト派ハードバップ。ホレス・シルバー、フィリー・ジョー・ジョーンズら一流のリズムセクションをバックに、薫り高く堂々たる快演だ。 ★★★★

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 ソニー・クラーク(p) 『Dial "S" for Sonny』


ソニー・クラーク(p) 『Dial "S" for Sonny』

 ピアニストを売り出すなら、小編成にしてピアノを目立たせようと考えるのが普通のプロデューサーだろう。ところがブルーノートのアルフレッド・ライオンは、いきなり三管をフロントに加えて逆にピアノを引き立たせる。作曲の才能とファンキーなピアノを高く評価したライオンは、第二のホレス・シルバーを育てようとしたのではないか。ファーマーとモブレー、ルイス・ヘイスとくれば、シルバー・クインテットから引抜いてきたかのような布陣。しかしあくまでもソニー・クラークのサウンドとして響く初リーダー作。国内盤あり ★★★★

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Live Around the World』
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マイルス・デイヴィス(tp) 『Live Around the World』

 数年前に大阪ハイエンドオーディオショウのハーマンのブースで、JBLのスピーカー4348 iconのデモでかかっていたのが[10]。晩年のマイルス、しかもシンディ・ローパーのポップ曲をJBLのデモに使うなんて粋じゃないか。しかしこの演奏はあまりにも感動的だ。後半ケニー・ギャレットが盛り上げるマイケル・ジャクソンの[4]もライブならではの素晴らしさ。ジャンルの枠を超えてマイルスが到達した最高の器楽演奏。マイルスはやっぱりすごい。カッコイイ。 ★★★★

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 ナット・キング・コール(vo,p) 『After Midnight』

ナット・キング・コール(vo,p) 『After Midnight』

 弾き語りもできるジャズピアニストというより、すでにポピュラーシンガーとして有名になっていたキャピトル時代。オーケストラものが多いなか、本盤は懐かしいキングコールトリオのフォーマットに、ウィリー・スミスやハリー”スウィーツ”エディスンらの豪華スタープレーヤーが客演する形。軽快にスイングする洒落たヴォーカル・アルバムだ。あの有名な「ルート66」も収録。ちなみにこの曲の作者ボビー・トゥループはジュリー・ロンドンの旦那さん。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles In Berlin』
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マイルス・デイヴィス(tp) 『Miles In Berlin』

 「ソー・ホワット」というマイルスのオリジナル曲、初演の『カインド・オブ・ブルー』『アット・カーネギー・ホール』『フォア・アンド・モア』と、順を追って聴いていけばわかるように、どんどん演奏のテンポが速くなっている。本盤のベルリンでのライブから正式にウエイン・ショーターが加入。ここに来て同曲は遂にリズムの枠を超える。疾走するリズムをまるで達観するかのようにテナーを滑り込ませるショーター。「俺達が地上を歩いてるときに、奴は飛行機に乗って自分だけの惑星軌道を旋回しているようだ」とはマイルスの弁。 ★★★★

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 トミー・ドーシー(tb) 『Tommy Dorsey And His Greatest Band』

トミー・ドーシー(tb) 『Tommy Dorsey And His Greatest Band』

 ジャズを聴くんだったら、一応トミー・ドーシーも聴いとくか、と思って十数年前に買ったのが本盤だった。'50年代以前はまだLPが無かったので、こうした古い音源を集めるとなると自然とベスト盤のような形態のものを買うことになる。さて、フランク・シナトラを輩出した白人スイングバンドの最高峰。当り曲[21]、「僕はセンチになったよ」が冒頭に流れ、ドーシーのアナウンスを経て[1]が始まり、最後にフル・バージョンの同曲で終わる構成。[12]はなんとあのフォスターの唱歌「スワニー河」。女性コーラスが唄う[16]も珍しい。 ★★★☆☆

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 キース・ジャレット(p) 『Standards,Vol.1』

キース・ジャレット(p) 『Standards,Vol.1』

 当店がまだオーディオに凝る前の話。[1]を小音量でかけながら仕事をしていると、お客さんが青い顔をして一言、「このCD、お婆さんの唸り声が聞こえません?」[1]は素晴らしく美しい曲なのだが、たしかに曲想も不気味に聞こえなくもない。さすがのキースもジャズを聴かない人にはお婆さんの唸り声に聞こえるのかー、と思うと可笑しくなった。スタンダード以降のジャズシーンに現れたキースが、'83年、敢えてピアノトリオでスタンダードに挑戦したシリーズ第一弾。 ★★★☆☆

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 ケニー・バロン(p) 『The Moment』

ケニー・バロン(p) 『The Moment』

 寺島靖国さんが「まるごと一冊寺島靖国」や「寺島流JAZZの聴き方」などの著書に、音質チェック盤として本作の[2]を頻繁に登場させ、「ルーファス・リードのベースが宙に浮く」とか、「フランス女優の濡れた唇」「ベースがポカッ」などと、わけのわからん…、いや違った、素晴らしい名文を書いたために話題になったが、すでに10年以上の月日が流れ、これも入手困難になってきたようだ。スティング作のこの曲は、やはりジャズではなくロック的に聞こえてしまう。個人的にはオーソドックスで淡々とした[9]が好き。 ★★★★

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 カウント・ベイシー(p) 『Count Basie And The Kansas City 7』

カウント・ベイシー(p) 『Count Basie And The Kansas City 7』

 ベイシーのコンボ物として人気があり、録音も優秀とあってオーディオマニアの所有率も高い。フルートやテナーのバルブの湿った開閉音が真夜中のジャムセッションを連想させる。それらの音の隙間を縫うように、訥々と弾くベイシーのピアノが特に印象的。たった一発、「ピーン!」と弾く単音に物凄いパワーが篭められてるのを感じるべし。[3]では珍しくベイシーがハモンドオルガンを弾いている。「粗末だが凄く栄養のあるお茶漬け」を食べたような気分。 ★★★★

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 デヴィッド・サンボーン(as) 『As We Speak』


デヴィッド・サンボーン(as) 『As We Speak』

 ’80年代初頭、この手のクロスオーバー、フュージョンはお洒落な音楽の筆頭だった。デヴィッド・サンボーンのメロウで激情的なトーンにシビれた若者は少なくなかったに違いない。あれから20年後の今、本作を聴いてみるとやはり古臭さく感じられる。あまりにもわかりやすすぎて、直接的でカッコよすぎた。そういうのはやはり飽きる。モダンジャズがいつまでもモダンに聞こえるのは、一種の難解さを纏っているからなのだ。しかし[5]の間奏の出だしの泣き具合なんて抜群にカッコイイよなあ。 ★★★☆☆

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 ハンク・クロフォード(as) 『I Hear A Symphony』


ハンク・クロフォード(as) 『I Hear A Symphony』

 ハンク・クロフォードはレイ・チャールズのバンド出身。かのデヴィッド・サンボーンはハンクのプレイを聴いて感激し、アルト奏者を目指すことにしたというからたいしたもんだ。のっけからシュープリームスのヒット曲がディスコビートに乗って炸裂する。これはもうジャズとは言いがたい。クラブ系の若い人に教えてやると尊敬されるぞ、きっと。ハンクのアルトもサウンドのなかの一部として溶け込んでおり、アドリブなどもほとんどない。しかしながら豪華メンバーの参加とデヴィッド・マシューズのソウルフルなアレンジ、さらにヴァン・ゲルダー録音となれば話は別。 ★★★☆☆

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 リッチー・コール、ハンク・クロフォード(as) 『Bossa International』

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リッチー・コール、ハンク・クロフォード(as) 『Bossa International』

 どのような経緯でこのコンサートが実現したのか詳しくは知らないが、リッチー・コールが少年時代に最も憧れていたアルト奏者ハンク・クロフォードをゲストに迎え、リッチーが「胸を借りる」形での夢の競演といったところか。しかし聴いてもらえばわかるが、リッチーはバカテクでハンクを圧倒。もうちょっと手加減したれよ。ハンクもがんばるが、リッチーと比べると音量、音質ともに見劣りする。かつてのスター、ハンクの胸のうちはいかに?想像は尽きない。[2]はエリントンナンバー「サテンドール」のボサノヴァ変奏曲。 ★★★☆☆

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 ステイシー・ケント(vo) 『Love Is... The Tender Trap』

ステイシー・ケント(vo) 『Love Is... The Tender Trap』

 ホームページをやってると少しは良いこともあって、たとえば本盤なんかを、有難い事に熱心な読者の方が送ってくださったりする。そういえば寺島靖国さんがいつか本盤のことを書いてたなあ。ステイシー・ケントは英国の女性シンガーで、声の質はドリス・デイやジョニ・ジェイムス、ジョニー・ソマーズの流れを汲むいかにもテラシマさん好みの可愛らしくて甘い声。ケントのほうがややシャープで舌足らずな感じ。女の武器(?)である囁くようなバラード曲は勿論、[4]や[7]で聴かせるスイング感も良い。佳作。  ★★★☆☆

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 ホレス・シルバー(p) 『Silver's Serenade』


ホレス・シルバー(p) 『Silver's Serenade』

 フロントにブルー・ミッチェル、ジュニア・クックを据えた、この時代のホレス・シルバー・クインテットは最高だ。歴代の名手、たとえばアート・ファーマーやハンク・モブレー、ドナルド・バード、ジョー・ヘンダーソンなどと比べると、やや知名度は劣るけれど、がっちり腰を据えてこのバンドで演るかぎりは、他のいかなるスタープレーヤーも及ばないナイスでファンキーなプレイを聴かせる。たとえば[2]。ミッチェルがソロのバックでハンマーで叩くようなピアノの低音に煽られる。こらたまらん。紙ジャケあり  ★★★★

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 今年から始めて今も続いていることあれこれ

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 ソニー・レッド(as) 『Out Of The Blue』

ソニー・レッド(as) 『Out Of The Blue』

 ルディ・ヴァン・ゲルダーの手になる数あるブルーノート名録音のなかでも、アルトの音色の美しさでは一番ではなかろうか。特に[2]など、思わず手を止めて聞き入ってしまう。スタンダードとブルース曲の配分も良く、ウイントン・ケリーがナイスサポート。ワンホーンで伸び伸びと大らかに歌うアルトが堪能できる。ゴリゴリのブルーノート・レーベルには珍しく、秋晴れの空のようにリラックスして和める作品だ。 ★★★★ アナログ盤あり

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 J.J.ジョンソン(tb) 『J.J.Johnson's Jazz Quintets』

J.J.ジョンソン(tb) 『J.J.Johnson's Jazz Quintets』

 J.J.の初リーダー・レコーディング([1]~[4])を含む3つのセッションで構成されている。いずれも’40年代の録音で、バド・パウエル、マックス・ローチらと共にビ・バップ・スタイルを踏襲。すでに驚異的なトロンボーン・テクニックは完成されており、[10]ではパーカーもどきの速いフレーズを連発する若きソニー・ロリンズとも互角に渡り合う。バラードの[11]は『スタン・ゲッツ・アンド・J.J.ジョンソン・アット・ジ・オペラ・ハウス』でも取り上げているJ.J.の十八番。  ★★★☆☆

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 ドン・フリードマン(p) 『Circle Waltz』


ドン・フリードマン(p) 『Circle Waltz』

 無責任な分け方だとは思うが、ドン・フリードマンはビル・エヴァンスと同系統、もしくはライバルということになっている。たしかに少し似てる。オリジナルの[5]なんか、一瞬「マイ・フーリッシュ・ハート」かいなと思う。当時”ネオ・ロマンチシズム”と呼ばれた知的なムードの白人ピアニストは需要があったのだろう。今もなおカタログから姿を消すことなく人気を保っているのは、何かと引き合いに出されるエヴァンスと表題曲[1]の美しさゆえ。これぞリリシズムの極致。[3]から[4]へのくだりも好きだ。 ★★★☆☆

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 マイルス・デイヴィス(tp) 『Bitches Brew』

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マイルス・デイヴィス(tp) 『ビッチェズ・ブリュー』

 音楽のなかでもっとも難解なもののひとつだと思う。今でこそ「これはすごい傑作だ」と実感できるが、2~3年前までは何が良いのかサッパリ分らなかった。どの音楽ジャンルにも分類不可能。理解できた人は絶賛し、できなかった人は酷評する。ちょっと聴いたくらいではなかなか理解するのに骨が折れることは事実。であるにもかかわらず、これだけのビッグヒットを飛ばし、今なお多くの人々に受け入れられてることは驚異である。常にジャズ界を牽引してきたマイルスであるが、この作品以降、彼の音楽を真似することは誰にもできなくなってしまった。ク~ッ、たまらん! ★★★★★

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