ジョージ・ウォーリントン(p) 『Jazz For The Carriage Trade』


ジョージ・ウォーリントン(p) 『Jazz For The Carriage Trade』

 フィル・ウッズ、ドナルド・バードをフロントに配したオーソドックスなスタイルのニ管ハードバップ。しかし黒人のよくあるそれではなく、本作はカラッと爽快にスイングする。きっとこの日はメンバー全員上機嫌だったのだろう。アート・テイラーのドラムも快調だ。白眉はウッズのアルトの美しさにハッとする「What's New」。聴く度に嬉しくなってくる作品だ。★★★★

続きを読む "ジョージ・ウォーリントン(p) 『Jazz For The Carriage Trade』"

 チャーリー・パーカー(as) 『Now's The Time』


チャーリー・パーカー(as) 『Now's The Time』

 パーカーの全盛期は'40年代で劣悪な録音のものが多いが、本盤は゜50年代の作品で録音もまとも。盛りは過ぎたとはいえ演奏が物凄いことに変わりない。二曲続けて収録されたブルースナンバー「Cosmic Rays」、アップテンポの「Chi‐Chi」の素晴らしさはどうだ?!これぞブルース!パーカーのアドリブにはジャズのコアな部分がすべて詰まっている。 ★★★★★

続きを読む "チャーリー・パーカー(as) 『Now's The Time』"

 浪速区スパワールドまで走ってみました

続きを読む "浪速区スパワールドまで走ってみました"

 エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング 『Ella And Louis』


エラ・フィッツジェラルド(vo) ルイ・アームストロング(vo,tp) 『Ella And Louis』

 秋の夜長には、お月見でもしながら本作を聴いて和んでください。御大サッチモとエラのデュエットによる心温まるバラード集。バックを努めるはオスカー・ピーターソン・トリオとくれば、内容が悪かろう筈もない。セントルイスあたりの田舎の軒先で、過去りし青春を回想するかの風情。若草の匂いがするようだ。紙ジャケあり ★★★★★

続きを読む "エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング 『Ella And Louis』"

 M.J.Q.&スウィングル・シンガーズ 『Place Vendome』


M.J.Q.&スウィングル・シンガーズ 『Place Vendome』

 クラシック音楽をモダンジャズに持ち込むコンセプトが一致して、M.J.Q.とスウィングル・シンガーズが見事な共演。「G線上のアリア」は、バッハ作品のなかでも最も美しい曲のひとつだが、困ったことに肝心のクラシックでいい演奏に出くわさない。いくら買ってもテンポが速過ぎたり遅かったりで、わたしのフィーリングにピッタリ合うのがない。探せばきっとあるんだろうけど、いまのところは本作のものがベスト。敬虔な気持ちになる。「ルパン三世の音楽か?」と訊かれたことあり。 ★★★☆☆

続きを読む "M.J.Q.&スウィングル・シンガーズ 『Place Vendome』"

 マル・ウォルドロン(p) 『Left Alone』


マル・ウォルドロン(p)
『Left Alone』

眉間に激しく皺が寄る、なんともやるせない表題曲。マクリーンのアルトによる泣きのテーマが終わり、訥々と語るマルのピアノを聴いてると、物凄い音圧で再び激情のマクリーン登場。いつもここでびっくり。魂を鷲掴みにするような演奏だ。続く「Cat Walk」で旋律の美しさに酔う。この二曲だけで買う価値は充分。しかし後半、特にインタビューは勘弁してほしい。(聴かなきゃいいだけだが)★★★★

続きを読む "マル・ウォルドロン(p) 『Left Alone』"

 デイブ・ブルーベック(p) 『Jazz At Oberlin』

デイブ・ブルーベック(p) 『Jazz At Oberlin』

 一曲目の頭が切れてる。なんだよ、みっともないなあと思うのも束の間、目の前に花が咲くようなポール・デスモンドの華麗なアルトに聞惚れてしまう。うわー!これは素晴らしい。奇跡のようなライブ盤だ。観客の盛りあがり方も普通じゃないぞ。聴く前は4つ星のつもりだったのに。ブルーベックは「テイク・ファイブ」しか知らないという人には是非とも聴いて頂きたい。大推薦盤。  ★★★★★

続きを読む "デイブ・ブルーベック(p) 『Jazz At Oberlin』"

 オスカー・ピーターソン(p) 『We Get Requests』
Amazonで詳細を見る
オスカー・ピーターソン(p) 『プリーズ・リクエスト』

 難解=優れたジャズとは限らない。本作はハッピーで分り易く、グイグイと聞き手を引き込んでいく堂々たる傑作だ。軽くロマンチックに、時には重厚にダイナミックに。ピーターソン・トリオはこの緩急のつけ方が抜群。音も良く'64年の録音だが、いまだにオーディオチェックに使用する人多し。あっ、いかん、ちょっと試聴するだけのつもりがまた乗せられてしまった。 ★★★★★

続きを読む "オスカー・ピーターソン(p) 『We Get Requests』"

 ジョン・コルトレーン(ts) 『A Love Supreme』

ジョン・コルトレーン(ts)
『A Love Supreme』

 邦題が『至上の愛』。長い間、本盤を避けてきた。難解、フリー、呪術的などの先入観があり、怖くて手にも取らなかったが、もういいだろうと聴いてみると、これが素晴らしい。先入観はよくないな。天と地が現れ、時間が生まれる。動植物の営みがあり、やがて人類が創られた。トレーンの世界観を拒絶する人もあろうが聴いてみる価値はある。至上屈指の大傑作!!アナログ盤あり  ★★★★★

続きを読む "ジョン・コルトレーン(ts) 『A Love Supreme』"

 ジョン・コルトレーン(ts) 『Crescent』


ジョン・コルトレーン(ts) 『Crescent』

 '64年、コルトレーン・カルテットの演奏は、いよいよ時代の頂点へと登り詰める。この緊張感!!あの『Ballads』がトレーンのマウスピース不調の産物だとして、もし絶好調だった場合には本作のようになったのではないか。過激で美しいコルトレーン本気のバラード集。但しスローテンポの曲ばかりではない。「Bessie's Blues」ではエリック・ドルフィー的なアプローチも聴かれる。 ★★★★★ アナログ盤あり

続きを読む "ジョン・コルトレーン(ts) 『Crescent』"

 ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『My Favorite Things』


ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『My Favorite Things』

 『Giant Steps』で驚異的奏法を極めたトレーン。マイルス・デイヴィスからソプラノサックスを贈られ、バンドには複合リズムを叩き出すエルヴィン・ジョーンズが参加。そしてインド音楽への傾倒。またしても化学反応が起きる。この頃から次第に音符を正確に吹くことより激情のほうが勝つようになる。恐るべきトレーン!表題曲はまるで桃源郷に居るかのようだ。
 ★★★★★

続きを読む "ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『My Favorite Things』"

 ジョン・コルトレーン(ts) 『Giant Steps』 


ジョン・コルトレーン(ts)
『Giant Steps』

 名手であってもその資質が音楽性に合わない例はいくつもある。本盤別テイクにおけるレックス・ハンフリーズのドラムと本テイクのアート・テイラーを比べてほしい。ハンフリーズもなかなかの腕前だが、ここではハイハットの裏打ちがコルトレーンのスピード感についていけてない。1ヶ月後、ピアノとドラムを替え、満を辞してレコーディングに臨む。傑作が生まれた。完璧だ。トレーンはこのレコーディングでのポール・チェンバースのベースに余程関心したらしく、「ミスタ・ポール・チェンバース」として[7]を捧げている。 ★★★★★

続きを読む "ジョン・コルトレーン(ts) 『Giant Steps』 "

 ジョン・コルトレーン(ts) 『Lush Life』


ジョン・コルトレーン(ts) 『Lush Life』

 [1]~[3]がベースとドラムだけをバックにしたトリオ演奏。単音楽器のテナーで和声的に空間を埋め尽くす”シーツ・オブ・サウンド”を確立したトレーンは、意図的にピアノを止めさせる手法を使うようになる。バラードの表題曲になってようやくピアノが登場。曲の中盤で突如ドナルド・バードのトランペットがクリフォード・ブラウンばりの輝かしいトーンで参入。あら、アンタ居たの?って感じのここが本作最大の聴き所。アナログ盤あり 国内盤あり  ★★★★

続きを読む "ジョン・コルトレーン(ts) 『Lush Life』"

 ジョン・コルトレーン(ts) 『Soultrane』

ジョン・コルトレーン(ts) 『ソウルトレーン』
 コルトレーンのベストとして本盤を挙げる人も多い。ワンホーンでこの時代の王道を行く演奏だが、驚異的スピードで吹きまくる独自の奏法は、すでにスタンダードなジャズの枠を超えてしまっている。リラックスしたテンポで始まり、バラード二曲、急速調が二曲という選曲もいい。この後、トレーンの音楽は、彼自身の吹奏スタイルに導かれるかのように変化していく。国内盤あり  ★★★★

続きを読む "ジョン・コルトレーン(ts) 『Soultrane』"

 ジョン・コルトレーン(ts) 『Blue Train』

ジョン・コルトレーン(ts) 『Blue Train』

 昨日、人影まばらなショッピングモールで本作の「I’m Old Fashioned」が流れてきた。じつに良い演奏だ。そのまま立ち尽くして一曲全部聴いてしまった。トレーンによるテーマのあと、カーティス・フラーがギリギリまで引っ張ってケニー・ドリューにソロを受け渡す。最後を締め括るリー・モーガンが特に良い。傑作というのは、もう最初の一音からして風格が違うものだ。
★★★★★

続きを読む "ジョン・コルトレーン(ts) 『Blue Train』"

 デューク・エリントン(p),ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Duke Ellington & John Coltrane』


デューク・エリントン(p) ジョン・コルトレーン(ts) 『Duke Ellington & John Coltrane』

 巨匠エリントンとて、コルトレーンの凄さは充分認めていたことだろう。よく『バラード』と並び称されるが、本作には異様な緊張が見られる。どちら側の土俵で勝負するか。両者ともアクが強く、懐もまた深い。「Take The Coltrane」では、エリントンが弾くのを中断。これは凄い判断力だ。弾かないほうがいいサウンドになることをエリントンはちゃんと知っていたのだ。 ★★★★

続きを読む "デューク・エリントン(p),ジョン・コルトレーン(ts,ss) 『Duke Ellington & John Coltrane』"

 ジョン・コルトレーン(ts) 『Ballads』


ジョン・コルトレーン(ts) 『Ballads』

 タイトルでずいぶん得してるなあと思う。『バラード(正確にはバラッズ)』。ほ~ら、欲しくなったでしょ?その名のとおりのバラード集。勿論演奏も素晴らしい。が、これをコルトレーンの代表作みたいに吹聴するのは少し抵抗がある。かわりに鬼気迫る『ジャイアント・ステップス』を聴けっ!ほ~ら、欲しくないでしょ?わたしに遠慮しないで買ってください。『バラード』、名盤です(笑) [1]がなぜかTV番組の「どっちの料理ショー」でよく流れてる。 ★★★★

続きを読む "ジョン・コルトレーン(ts) 『Ballads』"

 ジェリー・マリガン(bs,p) 『Night Lights』

ジェリー・マリガン(bs,p) 『ナイト・ライツ』

 誰に薦めてもほぼ間違いなく「良い」と言うから、貴方もきっと好きになるだろう。都会的で洗練された夜のイメージにピッタリだ。さりげなく始まり、やがてエンディングに向かってドラマチックに収斂されていく「Fastiv Minor」は何度聴いても唸ってしまう。ある人がうまいこと言った「1曲目で夜が始まり7曲目で夜が明ける」。LPにはなかったボーナストラック7曲目の「朝」。 ★★★★

続きを読む "ジェリー・マリガン(bs,p) 『Night Lights』"

 チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings』


チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings』

 ゲイのふりをして徴兵を免れたというチェット。 彼の唄は、すんなり受け入れられる人と、極端に嫌悪する人とに分れるが、わたしは前者。「退廃的な美少年的要素」が心のなかにあるか否かが判断を分つのではないか?逆に拒絶反応を起こす人のほうが怪しい??音楽的に見たなら本作はたいへん美しいバラード集。「I've Never Been~」で、思わず息が止まる。国内盤あり  ★★★★★

続きを読む "チェット・ベイカー(vo,tp) 『Chet Baker Sings』"

 マイルス・デイヴィス(tp) 『'Round About Midnight』 
Amazonで詳細を見る
マイルス・デイヴィス(tp) 『'Round About Midnight』

 「卵の殻の上を歩く男」、人はマイルスのミュートをそう呼ぶ。長年この表現にピンとこなかったわたしだが、先日ようやく腑に落ちた。「Bye Bye Blackbird」、お酒のCFで有名になったこの曲は、成る程「卵の殻の上を歩く」イメージにピッタリくる。ガーランドのピアノで扉が開き、フィリー・ジョーのブラシを合図にそろりそろりと裸足で進む。そう、こいつはまさしく「卵の殻の上を歩く男」だ。SACDあり
★★★★★

続きを読む "マイルス・デイヴィス(tp) 『'Round About Midnight』 "

 ポール・スミス(p) 『Cool And Sparkling』


ポール・スミス(p) 『Cool And Sparkling』

 この洒落たジャケットを見れば誰だって欲しくなるだろう。わたしも買った。だが困ったことにジャズを聴いた気がまったくしない。編曲が悪いとは云わないが、あまりにもアレンジ過剰でサロン的。軽すぎる。ロニー・ラングの艶めかしいアルトがもっと聴きたかった。しかし友人で本盤が異常に好きな奴も居るから嗜好というのは分らんものだ。うーん。
★★☆☆☆

続きを読む "ポール・スミス(p) 『Cool And Sparkling』"

 マイルス・デイヴィス(tp) 『Four & More』
Amazonで詳細を見る
マイルス・ディヴィス(tp) 『Four & More』

 いかんいかん!ヌルいジャズばかり聴いてちゃいかん!こういうのを聴かないでどうするか!?静的な『マイ・ファニー・バレンタイン』と同日録音。こちらは神童トニー・ウィリアムスのシンバル連打に煽られ、メンバー全員尻に火がついたように疾走する。体調のすぐれないとき本盤を聴けば、たちまち背筋がシャンとなる。やはりマイルスは別格だ!最後のアナウンスもカッコイイ!  ★★★★★

続きを読む "マイルス・デイヴィス(tp) 『Four & More』"

 マイルス・デイヴィス(tp) 『My Funny Valentine』
Amazonで詳細を見る
マイルス・デイヴィス(tp) 『My Funny Valentine』

 ジャケットに憧れて水玉ネクタイを買った。時期が悪かった。時の総理は海部さん。オレを海部さんと呼ぶな!(爆) 本作は一応バラード集ということになってるが、変幻自在のリズムセクションにより、激しくもあり優しくもあり、またスインギーでもある。全編を貫く鋭い緊張感は他の追随をまったく許さない。凄すぎるライブ盤。 ★★★★★

続きを読む "マイルス・デイヴィス(tp) 『My Funny Valentine』"

 ホレス・シルバー(p) 『The Tokyo Blues』 


ホレス・シルバー(p) 『The Tokyo Blues』

 '62年、初来日したシルバーは大歓迎を受けた。酒の席で彼は東洋のファンキーな言葉を何度も耳にする。「おっとっと」。よほど印象的だったのだろう。帰国してすぐに「おっとっと」を曲にした。「Too Much Sake」。なるほどサケが多すぎると「おっとっと」になる。「ああ、そう」にしてもシルバーが料理するとこんなにカッコイイのはどういうわけか。
★★★★

続きを読む "ホレス・シルバー(p) 『The Tokyo Blues』 "

 ソニー・スティット(as) 『Plays From The Pen Of Quincy Jones』


ソニー・スティット(as) 『Plays From The Pen
Of Quincy Jones』

 スティットは凄いテクニシャンだが、好き放題やらせると軽薄になりがち。本作はクインシー・ジョーンズのアレンジにより、うまい具合に制動が効いている。チンチンに沸騰した鉄製茶釜のように熱~いバラード「マイ・ファニー・バレンタイン」「降っても晴れても」「スターダスト」、渋茶をすすりながら聴けば幸せ。
★★★★

続きを読む "ソニー・スティット(as) 『Plays From The Pen Of Quincy Jones』"

 グラント・グリーン(g) 『Idle Moments』


グラント・グリーン(g) 『Idle Moments』

 昭和期のムード歌謡は、多分にモダンジャズの影響を受けている。この表題曲なんか、温泉街のジュークボックスから流れてきてもおかしくないほど演歌チック。ジャズと演歌は意外なところで繋がってる。「OOOブルース」とかいう曲名が多いのはそのためか。ヴァン・ゲルダー・スタジオの地下を掘ったなら、きっと温泉が出るにちがいない?!
★★★★

続きを読む "グラント・グリーン(g) 『Idle Moments』"

 ケニー・バロン(p) 『Live At Bradley's』

ケニー・バロン(p) 『Live At Bradley's』

 本盤を手に取るとき、「さあ今から大傑作を聴くのだ」というような気負いはまったくない。「寝そべってたのが、いつのまにか正座して聴かされてる」なんてことがしばしば。まるで手品のよう。一曲目、15分の間にそれが起こる。この吸引力は何だ?聴衆もきっと同じ気持ちだったろう。拍手の熱気が最初と最後ではまるで違うではないか。騒がしいステーキハウスで客の注意を引き、演奏を聴かせるためにはどうするか。音楽を志すなら絶対に聴くべし。究極の名人芸。 ★★★★★

続きを読む "ケニー・バロン(p) 『Live At Bradley's』"

« August 2004 | メイン | October 2004 »