男の哀愁を撮りたい

 フルサイズのカメラで撮ってみて最初に驚いたのは、「電柱がカッコよく写る」ことだった。電柱なんてどこにでもあるものが、カメラのレンズを通してみると突如なにか意味を持つ存在として眼前に立ち現れたのである。こうしてみるとオーディオと一緒だなぁ。オーディオも、いいスピーカーで再生すると、意味のない音が俄然意味を持って鳴り出すことがある。困ったことに「生よりいい音」が出てしまうのだ。
 これらはハイファイ=高忠実度再生という観点からは間違っている。だがそういった道具によってもたらされるある種の快感、快適さがマニアを生み出すのだ。

 電柱の他に、ステンレスとかも良いんだ、これが。エスカレーターのステンレスのヘアラインがいい感じで写る。直に電柱やエスカレーター見たって興奮しないがレンズを通すと興奮するとは変態もいいところ。マイ電柱でもないのに(^^;
 このあたりはおそらくカールツァイスのレンズによると思われるが、そもそもわたしが何を撮りたいかというと、やはり「哀愁」みたいなものが撮りたいのだ。
 男の哀愁、花より枯葉、要はブルースだ。エスカレーターもいいけど、ジャズを感じない写真は季語のない俳句のようで何か味気ない。


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