我自らの可能性を信じ才能を世に放たん

 オーディオマニアはごく個人的なコダワリで出来上がっているから、メーカー同士、マニア同士、評論家同士でも対立しやすい。誰の方法論を支持するかで派閥ができたりもするのだが、そんな中で村井裕弥さんは、実に多様な価値観を受け入れ、誰からも、どこの派閥からも慕われていた。こんなに多岐に亘る付き合いができた評論家は他にいないのではないか。

 実をいうと、わたしは村井さんのこのどことも付かず離れずの姿勢が最初は理解できず、ただの八方美人的な性格なのかと思っていたのだけれど、それは違った。
 自分の可能性を信じ、才能を世に放たんとしてる人を愛してやまない、そういう人を見つけると全力で応援したい、その才能が現在開花してるかどうかはどうでもよい、とにかく前を向いて世界に一石を投じようとする人は、老若男女を問わず心から尊敬し、応援する人だったのだ。

 昨日のわたしの娘への過剰とも見える応援の話も、わたしがなぜか村井さんに気に入られたことも、そう考えると納得が行く。後ろ向きでネガティブなことを言うと「何をおっしゃいますか!Master」といって叱られたっけ。

”このたびの台風21号、本当にたいへんでした。
電気が早く回復するとよいですね。”

 そのように書かれた村井さんからの最後のメールの件名は、「何もできなくてごめんなさい」だった。村井さんは自分の死期が迫っていることを感じてそんなことを書いたのだろうか。

View this post on Instagram

ジャズの聴ける理容室 JimmyJazzさん(@jimmyjazz4343)がシェアした投稿 -

※明日は村井さんに最後のお別れを言ってまいります。


« 真の友情とは | メイン | セッティング見直し »