やさしさのカケラ

 老いていくにつれ、愛とか恋とかいう感情は自然と涸れてしまうものとばかり思っていた。
 いい歳したじいさんばあさんが、涙ぐんで恋だの別れだのと唄ってるシャンソンなんて気持ち悪いだけとバカにしていたが、いざそういう年代になってみると、愛情をむしろ若いときよりも強く、切実に欲している自分を発見してちょっと恥ずかしくなる。
 愛情と呼べるほど立派なものでなくていい、歳をとると、ささやかなやさしさのカケラをもらっただけで、心に沁みるように嬉しいものである。

 それは若いときのような恋愛感情とは微妙に違っていて、相手の年齢や男女を問わず、誰でもいい。ちょっとした親切や気にかけてくれるひと言が、お世辞と分かっていても、ものすごく嬉しい。
 ホストクラブに大金を突っ込むおばさんや、高級ブランド品を買いまくる人の話を聞いて、なんと愚かなと思っていたけれど、今ならその気持ちがわかるような気がする。彼らもきっとやさしさのカケラが欲しかっただけなのだ。

 必死になって子供達を育て、やっと手がかからなくなったと思ったら、今度は自分を頼ってくれた小さな手が懐かしくてたまらない。誰かに頼りにされたい、力になりたい、やさしさのカケラを届けてくれて、JimmyJazzのことを好きでいてくれる人のために。


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