ジャズ映画とダンス

映画「ベニー・グッドマン物語」のなかで、たしか曲は「ワン・オクロック・ジャンプ」だったと思うが、グッドマン楽団がダンスホールで演奏しているとペアで踊っていた客たちが、踊るのをやめて音楽に聴き入るシーンが出てくる。ダンスの伴奏用だったスイングジャズが、クラシック音楽に比肩する鑑賞用音楽になったことを現すハイライトシーンである。この後チャーリー・パーカーやセロニアス・モンクらによってビバップ音楽がスイングジャズに台頭し、ダンスとジャズの関係は一旦収束したかにみえた。

ところが1980年、ジム・ジャームッシュ監督による映画「パーマネント・バケーション」で、ビバップをかけながら踊るシーンが登場して、ロンドンにジャズディスコブームが起きてくる。若いDJたちは、ジャズを聴いていた親のレコード棚から、硬派ジャズファンが鼻にもかけないようなくだけた曲をカッコいいと再発見して、クラブで踊れるジャズとしてかけまくる。これが一連のレアグルーブと呼ばれるようになるムーブメントの始まり。

1988年には、クリント・イーストウッド監督、フォレスト・ウィテカー主演によるチャーリー・パーカーの伝記映画「バード」が公開され、劇中でも田舎町で「ナウズ・ザ・タイム」で身をくねらせながら踊る様子が活き活きと描かれ、ビバップで踊る文化が復活の兆しを見せる。それから90年代IDJらによる本格的なビバップダンスのスタイルが確立され、好き勝手にデタラメに踊っていたのが、より高度で硬質なものへ進化したようである。


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