ご隠居さんいらっしゃい

ジャズの聴ける理容室 JimmyJazzさん(@jimmyjazz4343)が投稿した写真 -

「男の散髪できまっしゃろか?」
 お年寄りの男性が入ってこられた。時刻は9時30分。
 できますけど、予約が入っていて12時からになるんですよ。
「ほな待ってますわ」
 一旦帰られて12時に来てもらっても大丈夫ですよ。
「脚が悪いんで、行ったり来たりするのもしんどいんで待ってますわ」

 12時まであと二時間半もある。客待ちのヴェルナー・パントンの椅子はかっこいいけど、脚の悪いお年寄りを二時間半待たせるほど楽ではない。予約は当然キッチキチで、割り込ませる余裕は皆無である。
 よし、目には目を、年寄りには年寄りを!おじいちゃんに来てもらおう!(^^;

 RRRRRRRR、あっ、ちょっと手伝いに来て欲しいねんけど。一見さんの年配の人で12時まで待ってる言うてはるねん。
「よっしゃ!行ったるわ」
 わたしの父は76歳。散髪の方は半分ご隠居さんなのだが、やはり年末になると血が騒ぐのだろう。ややあって到着した父は手ぶらでやって来た。「この道具でないと!」というこだわりがないところはわたしと似ているw

 一見さんのお年寄りには結局30分ほど待ってもらってバーバーチェアに案内した。父の仕事ぶりがあまりにも酷かったら後から修正するつもりでいたが、なんだかんだで結構うまく”震災刈り”をやってのけた。動作が遅いのを丁寧にやってくれたと勘違いしたのか、そのお客様はいたく気に入ったようで、帰り際に
「電話番号書いた名刺おくんなはれ」と仰るので、当店の名刺を渡す。
「おたくはいつもはここに居てはるの?」
 今日は手伝いに来ただけですねんと父が応じると、
「そんなら今度からおたくのお店に行きますわ。おたくの電話教えとくんなはれ」
 なんとこの歳にしてまさかの新規客ゲットである( ̄▽ ̄;

 刃の入ってないカミソリで剃ろうとしたり、やたら刈り上げに手間取ったりで、横で見ていてハラハラさせられたが、さすが三代目。四代目のわたしと今美容師修行中のわたしの息子、つまり五代目との三役揃い踏みはいつか叶う時が来るのだろうか。
 


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