音楽は一緒に演りましょう

 『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』は、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエル、チャーリー・ミンガス、マックス・ローチという豪華メンバーが一同に会した貴重なライブ音源である。なかなかよくできた演奏に思えるのだが、聴いてるうちにミンガスのベースだけ違和感を感じる。実はこれ、後からベースだけオーバーダビングしたもの。マスターテープそのままではベースが聞こえなかったのだろう。ミンガスも自分の所有するレコード会社から出すというので、しっかりリハーサルしてテープに被せたのが聞き取れるが、やっぱり後からダビングしたのはわかってしまうものである。

 しかし、これと同じように現代のレコーディングのほとんどがリズムマシーンのクリック音を聞きながらドラムを録り、ベースを録り、諸々の楽器を録音してボーカルを入れるというプロセスを採用している。ミンガスほどの名人が演っても違和感を感じるのに、並みのミュージシャンが演って違和感が出ないわけがない。特にデジタルでつぎはぎにしたものは、なんとも言えない不自然さが付きまとう。やはりバンドが互いの音を聞きながら一発で録流のが音楽の基本で、スタジオ代がかさむからってバラバラに録っていくと音が変になる。最新の音楽を耳にした時の違和感はこれが原因なのだろう。若い人たちのアナログ回帰現象も、その辺の不自然さを感じて本能的にアナログに惹かれていると思うのだが。


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