なぜ「竜安寺の石庭」なのか

 去年十二月に清水寺に行ったとき、参道の石畳を派手な4WDの外車が大きなエンジン音を立てて通り過ぎて行った。それを見たお土産物屋のおばさんが露骨に嫌な顔をして、「ああ、やっぱり京都の人はこういう品のないやかましいのが嫌いなんだな」と思った。

 さて再び「竜安寺の石庭」である。この水墨画のように美しい世界観に感激したチャーリー・マリアーノが、日本的音階を使って作曲したのがこの曲。秋吉敏子とチャーリー・マリアーノ名義の『イースト&ウエスト』(RCA)というアルバムに収められている。録音日は1963年3月30日と記されているが、この曲だけ奥方の秋吉は参加しておらず、チャーリー・マリアーノ(as),渡辺貞夫(fl,as),菊地雅章(p),原田政長(b),富樫雅彦(ds)となっている。これは渡辺貞夫&チャーリー・マリアーノ名義のアルバム『イベリアン・ワルツ』と同じ編成だなぁと思って調べてみたら、まったく同じトラックだということが判明。こちらは1967年6月28日東京録音となっているから、すでにこのとき秋吉敏子とマリアーノは離婚している。つまり、’67年録音の「竜安寺の石庭」を’63年に秋吉と録音した「春の海」をくっつけて、ウエストサイドストーリーと対比させて、強引に『イースト&ウエスト』に仕立て上げた疑いが濃厚である(^^;

 しかし残念ながら、このナベサダ&マリアーノの「竜安寺の石庭」は、お土産物屋のおばさんが聞いたら「えらいやかましおすなぁ」と顔をしかめるにちがいない。そのとき参加していた菊地雅章が3年後に尺八の山本邦山とタッグを組み、満を持して吹き込んだのが『銀界』で、「竜安寺の石庭」はそのハイライトとなっている。この美しさならお土産物屋のおばさんも「よろしおすなぁ」と言うこと間違いなし!


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