粘れ御児

 カズオ・イシグロの小説「わたしを離さないで」が綾瀬はるか主演のテレビドラマで始まった。最初「おかしな設定だな」と思いながら観ていると、だんだん「この子どもたちは臓器移植のために作られたクローン人間だった」ということがわかってくる。ストーリーはともかく、このタイトル「わたしを離さないで」とは、劇中で重要な役目を果たす曲名でもある。ジャズファンなら「ネバー・レット・ミー・ゴー」のことだろうとピンとくるだろうが、残念ながら劇中で流れるのはスタンダードの「ネバー・レット・ミー・ゴー」ではなく、新たに創作された「ネバー・レット・ミー・ゴー」である(^^;

 だが、原作者のカズオ・イシグロの頭の中には、やはりジェイ・リヴィングストンとレイ・エヴァンスが1955年に発表した「ネバー・レット・ミー・ゴー」がイメージとしてあったのではないか。今、キース・ジャレットの『スタンダーズ Vol.2』の同曲を聴いているが、この幻想的なメロディラインがグレースケールで描かれる子どもたちの空虚なイメージにぴったりなのだ。原作ではこれまた架空の歌手である”ジュディ・ブリッジウォーター”という、”ディー・ディー・ブリッジウォーター”の親戚みたいな名前の人に歌わせているのだから。


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