マイルス自叙伝は速読可能か

 「マイルス・デイビス自叙伝」を読むのに最初えらく苦労したことは何度も言ったことがある。ただでさえ難しいジャズなのに、いろんな用語やら人名やらがいっぱい出てきてわけがわからなくなるのである。自叙伝はIとIIの上下刊構成で、Iは誕生から1957年までで、IIがそれ以降。Iのほうはチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピー等まだ馴染みのある名前が多かったのだが、IIのエレクトリック期以降は一度も聴いたことのないミュージシャンが多くて、なかなか先に進まなかったものだ。
 たとえばIの冒頭で、「ボビー・ダンジックと一緒に行き、リハーサルを見ようとクラブの中に入っていった」とあるが、この一度だけ登場するボビー・ダンジック氏がどの程度重要な人物なのかがわからない。トランペッターのようだが検索してみても名前は残ってないようである。したがって故郷セントルイスの旧友でスルーして読んでもいい人物なのだと、ここまで理解するのに数年かかった。
 また有名なアルト奏者ルー・ドナルドソンやトランペットのドナルド・バードもそれぞれ名前が出るのは一回きりである。
 この「マイルス・デイビス自叙伝」を何のジャズ知識もなく速読することができるだろうかと考えてみると、さすがにちょっと無理ではないかと思うのだ。わたしは何度も読んでるから2冊をだいたい二時間以内で読めると思うけれど、速読の達人はフォトリーディングとやらで頭の中に写し取ってボビー・ダンジックやドナルド・バードが何者かイメージできるのだろうか?
 やはり速読といっても、自分の知識を増やして「知ってることは速く読める」という読書法がいちばんまっとうな気がする。


« 2〜3分で10回転 | メイン | ジャニージャズ »