ダイナミックレンジの圧縮

 ラジオやテレビ等、公共放送の音楽番組では、放送事故防止のために、音楽を圧縮して放送している。圧縮といっても、データの圧縮ではなくて、ダイナミックレンジの圧縮のこと。ダイナミックレンジというのは、簡単にいえば大きな音(フォルテシモ)と小さな音(ピアニシモ)の振り幅のことで、この幅が大きいことを「ダイナミックレンジが広い」という。一般に、ダイナミックレンジは広ければ広いほど良いと思われがちだが、実際にはそうでもない。
 たとえばラジオで交響曲の静かなパートが流れているとする。よく聞こえないからボリュームを上げると、こんどはいきなりドッカーン!と大きな音がして驚く。ビックリして腰が抜けたではないか!あるいは、スピーカーが壊れたではないか!と局に苦情が来る。これが放送事故である。そういうことを避けるために、予め小さな音をやや大きく、大きな音をやや小さく加工して放送するのである。
 ピアニシモをしっかり再生するのは、オーディオ的にも難しく、たいへん能力のいることであるから、コンプレッサーをかけて聴き(再生し)やすくなった放送音源に、なぜか元のレコードやCDよりも音が良いといってマニアは首をひねる。圧縮、結構なことではないか。


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