必ず音がよくなる方法

 「こんなに壁にくっつけて置いてるのに、ここの4343は低音が膨らまない。不思議だ」
 先週の”じぇ川工房”で、H山さんがふと漏らした一言である。たしかにオーディオのセオリーでいえば、「スピーカーを壁に近づけると低音が増える」ということなのだろうが、現実は必ずしもそうはならない。
 オーディオを始めたばかりで意気盛んな頃、オーディオの先達は数多くいるのに、どうして「こうすれば必ずよくなる」というノウハウを残してくれないのかと憤慨したものだ。ノウハウの蓄積があったら、オーディオ塾とかオーディオ学とか、後から来た者が良い音を出す方法を簡単に習得することができるのに、と。
 しかし、オーディオも長くやればやるほど、絶対にこうすればよくなると断定することができなくなってくる。その時々によって、部屋も含めた音響装置を支配する理念が異なってくるからだ。
 たとえば、「パワーアンプは左右のチャンネルが別筐体・別電源のほうが音が良い」という説がある。たしかに良いかもしれない。だが、それよりも音の良いステレオパワーアンプを持ってきて繋いだら、その説はいっぺんにひっくり返る。かくしてわたしもまた沈黙の先達と化すのであった。


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