ユニフォーム考

 床屋のユニフォームといえば、お医者さんのような白衣が定番。そのため小さなお子さんを散髪しようとすると、注射されると思って泣きだすことが多かった。
 白衣を着るのは、理容師のルーツが外科助手だったなごりだと思われる。

 JimmyJazzのオープン当初は、白いワイシャツに細身のネクタイ、黒いズボンをユニフォームと決めた。シャンプーの邪魔にならないよう、ネクタイはワイシャツのボタンのあいだに突っ込んで。気分はブルース・ブラザースか次元大介、ハードボイルドなイメージを打ち出したかった。

 シャツが白いのには、もうひとつべつの理由がある。お客様の後ろに立って鏡を見たときに、髪のシルエットというかアウトラインが確認しやすいからなのだ。

 今では私立の高校生くらいしか履いてないが、足元は当時流行のペニーローファーでキメた。ところが甲の浅いペニーローファー、おまけに丈の短いズボンを穿いていると、切った細かい毛が入り込んで足の甲に何本も突き刺さってチクチクと痛かった。休みの日は足の甲に何本も刺さった毛を抜くのが習慣だった。

 JimmyJazzのロゴをプリントしたTシャツを作ってスタッフに着せたりもしたが、嬉しかったのはわたしだけで、みんな迷惑そうな顔をしていたっけ。

 一時、スタッフが全員辞めてしまい、わたしひとりになった時期があって、ひとりでユニフォームもないだろうと、このときからしばらく制服らしきものは消滅する。ちょうどカリスマ美容師のブームがあって、美容師はみんなお洒落な普段着で仕事をしはじめた頃だ。
 再び当店にもスタッフが入ったが、ユニフォームはなしと言ったら、毎日着てくるのがお洒落とは程遠いファッションで参った。

 あとで美容師の友達に聞いた話だと、大衆理容・美容にユニフォームが欠かせないのは、好き勝手にさせると、とんでもないファッションで仕事をするからなんだそうだ。なるほど~。

 しばらくグダグダになっていた当店のユニフォームだが、ワイシャツに蝶ネクタイ、黒ベストとエプロンという、Masterの仕事着として今の形になったのは2007年ごろからである。
 丈の長いエプロンは、ソムリエ・エプロンといって、文字通りワインソムリエが着用するもの。最初はけっこう恥ずかしかったけれど、化けて出るときもこの格好で出るというくらい、今ではすっかりこれで定着した。

 ユニフォームというのは、なければないで済んでしまうけれど、やはり、その出で立ちには、仕事に対する誇りが感じられるものであってほしい。
 映画「34丁目の奇跡」に出てくるサンタクロースは、巷に溢れかえるコスプレサンタの安物衣装とは違い、上質な毛皮のファーがついた赤いユニフォームを身に着けた。子供に夢を与える者は、ユニフォームに手を抜いてはいけないのだ。その心意気にわたしもあやかりたい。


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コメント

村井さんは一度見たら絶対に忘れられないと思いますが…(^^;
ちなみにスティーブ・ジョブスの黒ハイネックも自分で決めたユニフォームなんですね。

投稿者 Master : January 18, 2012 04:50 PM

誰も気付いてくれないようですが、ボクも取材、講演、雑誌に掲載される写真等では、同じような服を着るよう心がけています。髪型も変えません(なんと40年間不変)。

その方が覚えてもらいやすいと思って。(;^_^A

これも一種のユニフォームなのかなあと思っています。

投稿者 村井裕弥 : January 18, 2012 04:34 PM