Silence for Sale 沈黙の時間売ります

 一年くらい前から、当店の案内には、「こちらからはむやみに話し掛けたりしませんので、コミュニケーションが苦手な方もどうぞ」という一文を入れている。
 理美容室で、なんだかんだ話し掛けられるのが苦手だというお客様を想定してのことで、かつてのジャズ喫茶のような”私語厳禁”を謳ってるわけではない。もちろん「Masterとオーディオの話がしたい」「世間話がしたい」という方とは、大いに盛り上がることもある。よって原則として、「話したい人とは話し、話したくないと見れば必要以上にこちらから話しかけない」というスタイルに落ち着いた。

 約21年前の開業当初、なんとか固定客になってもらおうと、散髪のあいだずっと話し続けた。一人じゃ場がもたないとなると、手の空いた従業員も呼んできて、三人がかりでワイワイ盛り上げたこともあった。それで喜んだ人もいたが、迷惑がった人も多かったろう。たいして話し上手でもないのに、今考えると冷や汗ものだ。
 長時間の施術で退屈させては申し訳ないという、これも一種のサービス精神ではあったが、客の立場からすると、ただうるさいだけだったかもしれない。

 わたしが若かったせいもあるだろう。何もせず、ただ座ってたのでは、つまらないのではないかと思ったのだ。
 「そうではない。お客様にとっては、黙って座っている時間こそ貴重なのだ」と気づいたのは、ずいぶんあとになってからだ。

 特に近年、インターネットやメールなどの雑情報が、洪水のように氾濫する時代においては、かえって余計な情報が入ってこない時間、外部から遮断された時間が貴重になってくる。
 人にもよるだろうけど、情報過多で、思索をめぐらせる時間の確保さえ難しい人にとって、床屋で過ごす小一時間ほどの休憩は、決して退屈なものではないと思う。

 そういうわけで今年は、「こちらからはむやみに話し掛けたりしませんので、コミュニケーションが苦手な方もどうぞ」から、さらにもう一歩進めて、「沈黙の時間」という付加価値を当店のセールスポイントとして打ち出していきたい。
 その沈黙を誘発するために、上質なBGMが重要なのは言うまでもない。
 
 JimmyJazzは、”Silence for Sale ”沈黙の時間売ります。


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コメント

どっちかというと元ネタは
”アパートの鍵貸します”かな?(^^;

投稿者 Master : January 24, 2010 07:49 PM

タイトルが・・・
love for sale って見えるのは僕だけ??


もしや、"Silence for Sale" の元ネタだったりして(^^ゞ

投稿者 大@神戸 : January 24, 2010 06:23 PM