オーディオと数学

 オーディオ趣味のはじまりは、だいたいAよりBが良いか悪いかといった単純な背比べから出発する。これは数学というよりも、多いか少ないか、長いか短いかの比較でしかない、算数以前の問題だが、比較することが知恵のはじまりであるから、これはこれでたいせつなことである。

 オーディオマニアも、ちょっと知恵がついてくると、足し算、引き算くらいのことは考えるようになる。「このアンプは情報量が多い」とか、「元々の音源の情報量が少ないと音が悪い」とか、「安物ケーブルを使うと情報が減る」とか、なんだかずいぶんと生意気なことを言いはじめるのである(笑)
 それで元手となる原音の情報を減らさないようにと、雑誌を読んだりしてあれこれと思考をめぐらせ、電磁波シールドしてみたり、制振と称して色んなものを貼り付けてみたりするわけだが、実際には元手以上に余計な利子が増えていたりで具合が悪いことがあるのだ。

 アマチュアレベルにおいて、たいていは、この足し算引き算以上に思考は膨らまないものだが、なかには掛け算割り算などの高等数学をたくみに使って、見事に正解を導き出してしまう人がいる。
 数学というのはあくまでも喩えであるが、最初の段階で、まったく情報が欠落してしまったと思えたものが、最終的に完全な姿に甦るなんてことは、足し算引き算しか知らない人にとっては、手品かまやかしか、ありえないことのように思えるだろう。

 オーディオの世界は、足したり引いたりするだけで良くなるほど単純ではないということだが、現実世界も、誰かが得をすれば必ず誰かが損をするという単純思考から脱却すべきである。


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コメント

たしかスピーカーの前にドラムセットがありましたね。
聴いてみたいなあ。

投稿者 Master : November 5, 2008 05:26 PM

一関の音はこの良い例ではないですかね?本物のドラムセットの音よりも、本物らしく聞こえた事もありました(笑)

投稿者 小川清二 : November 5, 2008 09:12 AM