第三のミッション:ウエスティンホテル大阪
「運転免許を取ったら、立派なクルマに乗って両親をウエスティンホテル大阪のランチに連れて行きたい」まず最初に思いついたプランがこれだった。
よく自己啓発本などに、「一張羅の洋服を着て、一流ホテルのロビーに行き、そこを利用している成功者たちの立ち振る舞いを観察しなさい」みたいなことが書いてある。本で読むとすぐにやってみたくなる性分のわたしは、ひとりウエスティンホテル大阪のレストランに行ってランチを食べたものである。レストラン”アマデウス”のウエイターは月曜の昼間に予約もなしにぶらっとやってくる初老の紳士(わたしのことね)の顔を覚えてくれて、居心地よく過ごしたものだった。おっと成功者の観察はすっかり忘れていたな(^^;
両親にそのことを告げると、思いのほか喜んでくれて、「この歳になって免許を取るなんてエラい!」と褒められたのが意外だった。
さて、ランチ当日、予約しておいたタイムズカーのMAZDA3(220円/15分)がまたまたMAZDA2に変更された。両親を乗せるには後部座席が狭すぎるだろうということでMAZDA2はキャンセル。少し奮発してミドルクラス(330円/15分)のMAZDA CX5を借りることにした。
両親を乗せ、シートベルトをつけていざ発進!しばらく走るとピーピーと警告音が鳴り出した!なんだなんだ??振り返ると母親がシートベルトを外してつけ直そうとしているではないか!?事前にあれほど勝手にシートベルトを外すなと言っておいたのに!( ̄▽ ̄;
一旦路肩に停車して、ベルトを付け直す。もう、これだから年寄りは!いきなり出鼻をくじかれたが、これだけで我が家がいかにクルマと無縁の生活をしてるかがわかる。
ウエスティンホテル大阪へはクルマでわずか15分の道のり。何度か練習していたのですんなり行けた。高級車だらけの地下駐車場にも無事辿り着き、エレベーターで一階レストランへ。3人ともステーキのコースを注文したが、父だけは小さなフィレ肉のステーキよりもっと分厚い肉が食いたかったと後で不満を漏らしていた。
一方喜んでいたのは母のほうで、隣接する昭和レトロ食堂街”滝見小路”がよほど気に入ったらしく、珍しい珍しいと言ってはしゃいでた。ちょうどクリスマスシーズンだったので、ビング・クロスビーの流れる出店でペアのマグカップを買ってご満悦だ。
こんなに喜んでくれるんだったら、もっと連れて行ってあげればよかった。尤も、大阪駅から約1kmの距離を歩かせるのも年寄りにはつらい。クルマがあってこそ実現した親孝行だ。