人生初の献血
約半年にわたる自動車教習の緊張ですっかり疲れ切っていたが、教習所を卒業してもまだ緊張は続く、門真運転免許試験場に行って普通免許の交付を受けなくてはいけない。
自動二輪の免許があるので学科試験は免除。なんだ、そんなら楽勝じゃんと思われるかもしれないが、視力検査という最後の関門が残っているのだ。
これまで免許更新時の視力検査はなんとかギリギリでパスしてきたが、教習所入所のときの視力検査もギリギリで、本丸の門真で落ちたらどうしようかとドキドキなのである。
わたしは絶望的に眼鏡が似合わないので、できれば眼鏡は作りたくない。しかしここまで来たのだから、フェイルとなれば一旦帰って眼鏡を作り、再び視力検査に臨むことにしようと、お白洲に向かう罪人のごとき神妙な気分で京阪電車に乗った。
朝から目に良いとされる肝油ドロップ2錠を口に含み、YouTubeの視力回復動画を見ながら古川橋駅に到着。試験場に着いて必要書類に記入、手数料を払う。いよいよ大岡裁きの刻とあいなったが、30秒もかからずあっさり合格した(^^;
さあこれから写真撮影まで3時間以上待たないといけない。ららぽーと門真でも行って時間を潰そうかと考えていたら、試験場入口で献血の受付をしてたので、これ幸いと人生初の献血を申し込んだ。献血は車の運転と並んで「死ぬまでにしてみたいこと」の一つである。
若い頃は、自分の血を抜かれるなんておぞましいと思ってたが、年寄りになって「あなたは献血できません」と断られる前にやっておくべきだと思い直した。それに「女性が男性より長生きなのは月経により定期的に血を捨てているからだ」という説もある。知らんけど。
献血会場はドリンク飲み放題で、無料自販機のコーヒーやらいちごミルクやらカルピスやら好きなのを2杯以上飲んでから採血する。
「先生、ちょっと血圧高めですか?」
ええ、視力検査が受かるか心配だったので緊張して。んっ?先生って言った???
採血担当の看護師さん、ことあるごとにわたしを先生とよぶ。彼女は何を根拠にわたしを先生と認識してるのだろう?学校の先生?弁護士の先生?まさか医者が献血ってこともないか。
10分ほどで400ccの採血が終わり、待合室で15分ほど休憩。特に血が抜かれたから気分が悪くなることもなかった。
まだ時間があるのでららぽーとまで行こうとぶらぶら歩いてたら、周辺にハードオフやらセカストやらオートバックスやらがあって見ているうちにいい時間になった。ららぽーとまで行かずに引き返し、試験場の食堂で「名物カツカレー」790円を食べた。
写真撮影が済んで、ようやく免許証を受け取った。髭面で金髪の還暦前の男が写っている。ハロウィーンの仮装で染めた髪が残っていたのだ。看護師さんはこの風貌を見て、美容師の先生だろうと判断したんだな。当たらずとも遠からずか。