半人前ブルース

半人前ブルース

 何事も初心者のうちが一番楽しいものだ。新しい世界に不安と期待を抱いて進んでいく感覚は、例えばジャズ喫茶に初めて足を踏み入れた時のような、高級オーディオショップのフカフカのカーペットを踏み締めて聴くクラシック音楽のような、あるいはWindows3.1のマイコンピュータとごみ箱しかないグリーンでまっさらのデスクトップが立ち上がった時のような、そんなワクワクをこれから展開するクルマの世界に感じている。きっとドライバーの諸先輩方もそうだったはず。おそらく馴れてしまえばなんてことないのだろうが。

 路上の技能教習第二段階は最短19時間、順調に行けば今頃は卒業検定を終えて、あとは門真の試験場へ行くだけという算段だったが、前回のみきわめの縦列駐車でしくじって来週へ持ち越しとなった。

 この歳になって人様からジャッジされるのはかなりのプレッシャーで、不合格となればかなりのショックである。数日間どんよりして気分も晴れなかったが、くよくよしてたってしょうがない。YouTube動画で復習しつつ、来週の必勝を願うとしよう。

 それにしても教官の教えるスキルによって、その一時間の教習がスムーズにうまくいったり、また要領を得ずギクシャクしたりで、運転の出来不出来が左右されるのは事実である。

 教習生の運転技術の何が問題で、どの点を指導すれば理解できるのか、適切な指導をして次段階に導く教官と、不安な生徒をますます萎縮させて不合格の判を捺す教官、ジャッジされてるのは実は教官の方なのだ…。おっと、そうやって自分の至らなさを他人のせいにしてるからわたしは半人前なのだ。反省反省っと。

(つづく)

Jimmy Jazz