車が無くて男と言えるか
半ば発作的に教習所通いを決めたように見えるが、これまでの伏線と思しきものが積み重なってきて、表面張力を破り一気に溢れ出したのかもしれん。
1986年公開の映画「クロスロード」を観たことあるだろうか。ラルフマッチオ演じる少年が、ブルースの始祖ロバートジョンソンの残した幻の曲を探すというロードムービーだ。
幻のその曲を知るブルースマンのフルトンは老人ホームに収容されていて、電動車椅子で施設内を移動する。
「歩けることがバレたら車(椅子)は没収だ!車が無くて男と言えるか!?」
「おまえ、車はあるか」主人公ユージーンが首を横に振ると
「まだ男じゃない」
今はNetflixでも観れるこの映画を、ロードショー時に和歌山市までオートバイを駆って観に行った。注目度が低く、大阪では上映が無かったのである。
あれから40年近い歳月が過ぎた。「ブルースマンの締めるストリングタイ」は手に入れたが、わたしは未だ「大人の男」になれていない。
(つづく)