色気のないひと
前回、「品が無い人」というのは、「自分が払った対価以上の報酬を求める人」という話をしたが、利益を得るのに罪悪感を持ったり、若いのに妙に遠慮して欲がないのは、「品が無い」というよりつまんねえヤツだなぁと思われてしまう。つまんねえヤツとは、言い換えると「色気の無い人」ということだ。
「色」というのは「物質」のこと、色気があるのはすなわち欲望があることである。奢ってやるというのにちょっとしか食べない部下より、モリモリ食べてくれるほうが見てて気持ちいいでしょう。「母さんはなんで俺が食べるのを見て笑うんだろう?」というCMがあるけど、我が子が健全な欲望を持って成長するのは嬉しいものである。
「品が無い人」にはなりたくないし、枯れて「色気の無い人」というのもつまらない。実は「品性」と「色気」はトレードオフの関係にあって、ちょうどいい配分は若さや各人のキャラクターにより異なる。若者は色気があって当然だし、老人は品格備わって然るべし。
あんまり欲望まる出しの老人は品が無いというより気持ち悪いけれど、何も欲しいものがなく、生きてるか死んでるか分からないような人は、恋のひとつもしてみたらどうだいと言いたくなる。今どき「たばこ屋の看板娘」なんていないけど、コンビニのお姉さんでも、病院の看護師さんでも、異性の目を意識することは大切だと思う。
尤も、いちばんの問題は、「品が無い人」も「色気が無い人」も、こまめに散髪に行かないことなのだが。