年別アーカイブ 2023年6月2日

世界の一流品シリーズ[13] マッキントッシュフィロソフィーのレインブーツ

 アンプの話ではない。

 雨の日の外出は憂鬱なものだが、ちょっといいゴム長があったら、ピッチピッチチャプチャプランランラン🎶とまでいかなくとも、一日中濡れた靴下で不快な思いをせずに済む。

 英マッキントッシュフィロソフィーのレインブーツはパッと見ゴム長だとバレにくいしフォルムがとてもいい。

 サイドゴアブーツは、ビートルズや坂本龍馬やリー・モーガンも履いていて、シンプル&クラシックなデザインだ。じつは以前にもノーブランドでサイドゴア型のゴム長を使っていてこのマッキントッシュのは二代目。先代は数千円ですぐに型崩れしたので二代目はちょっとだけ奮発した。内張りが柔らかくてクッション良好。

 マッキントッシュは短靴タイプのも作っているが、雨の侵入を考えるとこのサイドゴア型、脱着も容易であるから、職場に別の靴を用意しておいて、通勤にのみ使うのもあり。黒や紺の綿パンに合わせれば帰る頃にはほとんど乾いている。

 ちなみに先ほどのお客様は豪雨のなか素足にサンダル。濡れるのを覚悟で帰って行かれた。その手もあるが、「足元の悪い中」なんだか申し訳ない。(^^;

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世界の一流品シリーズ[12] エッティンガーのコートウォレット

 今やキャッシュレス時代で、現金を持ってこないお客様も増えてきた。QRコードで決済できるPAYPAY払いのみ導入したが、オーディオ機器に近接する電源に余計な通信機器を突っ込みたくないので、 JimmyJazzは未だカード払いに対応していない。

 調髪代金お支払いの際に、どうしても目に入ってしまうのが財布である。札でパンパンになった高級ブランド財布やこだわりの詰まったハンドメイド革財布、粋なシルバーのマネークリップやマジックテープ式のベリベリ財布など、人それぞれ個性が財布に現れる。

 なかには給料袋や銀行の封筒から直接出す人、紙幣と小銭一緒にビニール袋に入れてる人、裸のままの紙幣をポケットから出す人もたまにいらっしゃる。

 わたし自身がちゃんとした財布を持つようになったのがここ数年くらいのことなので、人様の財布をとやかく言える立場ではないが、当店ではお釣りの札はピンピンの新券を渡すことに決めている。ビニール族や裸族の方に新券を渡すのは躊躇してしまうこともあるが(^^;

 オーディオマニアでない人に「デジタルデータが変わらないのに音が良くなったりするわけがない」という人がいるが、それは「新券とボロボロの札はどちらも価値が変わらない」と言うのと同じで、実際には受け取って気持ち良かったりそうでもなかったりする。お分かりか。

 さて、”張る財布”と縁起をかついでこの春購入したのが英国王室御用達エッティンガーのごく薄〜い長財布。札とカード専用で小銭入れはない。

 スーツの内ポケットに入れて嵩張らない、その名も”COAT WALLET”。ブライドルレザーの質感は、新品のときは「本当に革?」と言いたくなるほど素っ気ないが、使い込むうちにだんだん光沢を増してくる。

 財布を鞄から取り出すのではなく、ジャケットの内ポケットからスッと出して、ピンピンの新券を一枚差し出す。この一連の所作がなんともスマートかつダンディー、分厚い財布では味わえないのである。

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伝説のジミー

 年配者たるもの自己顕示の欲は捨てて、大いに若い人を褒めるべきなのだが、歳を取るにつれ、他人から褒められることが少なくなるものだから、知らず知らず自慢話が多くなる。

 褒められたいだけの寂しい年寄りにならぬよう気を遣いつつも、先日かなり驚いたことがあったので書き留めておこう。

 久しぶりに神戸でスイングダンスのイベントがあったのだが、仕事のため少し遅れて会場に着いた。懐かしい面々がダンスするなか歩いていくと、皆がこちらのほうを向いて拍手をする。誰か有名人でも来たのかなとキョロキョロしてたら、一人の女性から「あなたのことよ!」と言われた。

 はあ?

 わたしはそのコミュニティ内でダンスが上手いわけではないし、特に何かの功労者ってわけでもないのだ。

 さらに初対面の若い女性から、

「あなたが伝説のジャズの聴ける理容室のジミーさんですね!」

 そう言われて呆気にとられた。これは何かのドッキリか!?( ̄▽ ̄;

 本来ならここで堂々として

「われは、それなり」

とでも言えばカッコいいのだろうが、全く自信も実績も自覚もないものだからオロオロするばかりである。

 そりゃいつかは「伝説」とか「重鎮」とか呼ばれるようになればいいなという憧れはあるけど、まだまだ時期尚早の修行不足でご覧のとおりのへナチョコなのだから、そんなふうに言われても戸惑うばかり。

 もしかしたらすでに化石みたいに思われてるのか、ジジイと見られているのか、なんか知らんが(^^;

 でもいつの日か、名実ともに”伝説のJimmyJazz”と呼ばれる日が来るといいな。(くどいようだがまだ自慢話ではない)

当店でできないこと、たくさんあります

パンチパーマ(濡れパン)

アイパー

アフロパーマ

ドレッドヘア

デジタルパーマ

ソバージュ

ツイストパーマ

スパイラルパーマ

縮毛矯正(ストレートパーマ)

コーンロウ(編み込み)

ダブルカラー

赤、白、青、紫、緑など明るい色のカラー

アッシュカラー

ブリーチ

メッシュ

ウィービング

レディースメニュー全般

 以上ぜーんぶできません(もしかしたら他にも)。こうしてみるとJimmyJazzってなーんもできへん店みたいですね(^^;

 キャバクラでモテるようなチャラい髪型は無理でも、調髪とシェービングだけであなたを男前にする術、アイデアは色々とございます(そしてできればポマードを少々)。

 当店で調髪して大事な商談がうまくいったり、彼女ができたり、就職活動や、面談などで相手に好印象を持ってもらうこと。ほんの数パーセントでもお役に立てたなら、これほど嬉しいことはありません。

芋掘り

 先日、『スーパーサックス・プレイズ・バード』のCDをディスクユニオンで見つけた。チャーリー・パーカーのアドリブを5人のサックスアンサンブルで再現して評判になったレコードだが、ずっと欲しいなと思いながら40年近く経ってしまった。

 そもそも、チャーリー・パーカーの元の演奏を知ってることが前提なので、昨日今日ジャズを聴き始めた人にとっては、楽しめないわけでもないけどそれほど楽しくはないかもしれない。

 さて、ジャズには「こうくればこう返す」といった決まり事がたくさんあって、アドリブの途中で「こんなの知ってる?」という問いかけに別のプレーヤーが「知ってる知ってる!」と即座に返す。「おっ、知ってるねえ通だねえ」と微笑みあうのが楽しみ方の一つ。

 その問いかけを知らなくても責められるほどの罪ではないのだが、「知らないのはイモ」と、そのように見られる。その問いかけはプレーヤー同志のみならず、時に観客にも投げかけられ、知ってるのは当然のこと、知らない客ばかりだとしらけてしまうのだ。この辺りは古典落語と実によく似ている。

 ただ、2023年にもなって、ジャズを知らなくてイモ呼ばわりするほうが絶対にダサいわけで、今どき誰もイモなんて言葉使わないし(^^;

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やさしくなりたい

 ジョン・コルトレーンの『サン・シップ』は素晴らしい。最初聴いた時はなんと騒がしい音楽かと閉口したが、2度3度と聴き進むにつれジワジワと良さが滲み出してきた。

 JBLが吐き出す1965年のコルトレーン・カルテットのパワーたるや凄まじく、エルヴィン・ジョーンズやジミー・ギャリソンの気迫が伝わってきて、流しているだけで「こうしてはいられない!」と、テキパキ仕事が片付いていく。

 JimmyJazzにJBLエベレストを導入して一年ちょっと。やはりコルトレーンのような”本気度の高い”ジャズで真価を発揮するスピーカーなので、あまりベスト盤等の”ゆるい”音楽はかけなくなっていた。

 ところがある日、散髪にいらした年配のお客様が、「テネシーワルツないの?」と仰る。もちろんありますとも、「テネシー・ワルツ」といったら”ワルツの女王”パティ・ペイジでしょう。

 ”ゆるい”CDの代表みたいな『パティ・ペイジ・スーパーBEST』をかけてさしあげるといたく感動され、「次回(散髪に来たとき)もこれかけて!」と目を細めてらっしゃった。

 うーむ、毎日聴いてると感覚が麻痺して「当店の顧客は全員ジャズが理解できる」と思ってしまうが、大半のお客様は喧しいのを我慢してるだけかもしれない(^^;

 この事件以来、選曲の際になるべくやさしいジャズや有名なジャズ、あるいはジャズ以外の有名曲をチョイスするよう心がけている。

 充分でないにしろ、パティ・ペイジやブレンダ・リーみたいないい音楽を比較的いい音で提供できる環境が当店には整っているのだから。

 しょうがないので喧しいコルトレーンの『サン・シップ』は誰も店内にいないときや営業前にかけて一人で盛り上がる。文句なしのサウンド!これに新発売のスピーカーアキュライザーが加わったら一体どうなってしまうのか!?どうやら当店のは後回しになりそうだ( ̄▽ ̄;

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世界の一流品シリーズ[11] ルイスレザーのライダースジャケット

 年が明け、陽の光が強さを増すにつれ、長い丈のコートを着てると物々しく大げさで、なんだか馬鹿らしく思えてくる。2月のちょうど今ごろが一年でもっとも寒いというのに。

 数年前にバーバーバトル決勝を観に原宿を通ったら、ルイスレザーのお店が出来ていた。日本にも正規直営店ができたのかと思いながら、その時は前を通っただけだった。

 ルイスレザーの革ジャン、いいかもしれない。

 大阪にも直営店があるらしいので早速行ってみた。ルイスレザーの代表モデルであるライトニングを試着するが、西洋人体型の人が前傾姿勢でバイクに乗るように作られているため、袖丈がかなり長い。

 バカボンのパパより一回り以上年上なのに、袖が長すぎのタリラリラ~ンではサマにならない。

 店員さんには袖丈や着丈をオーダーして注文した方がいいですよととアドバイスされたが、イギリスで作っているため納期が約3ヶ月かかるらしい。3ヶ月も待ってたら初夏になってしまうので、一旦諦めて帰ってきたが、どうしても気になって1ヶ月後に再来訪、袖丈着丈をきっちり計測してオーダーした。だって、注文しないといつまで経っても手に入らないんだから(^^;

 結局夏の終わり頃にオーダーメイドのライトニングが送られてきた。当たり前だがサイズはぴったり、似合うかどうかは別にして。

 しかしこのシステムの怖いところは、オーダー時点で決済終了しているため、あれほど清水の舞台からダイブする気持ちで購入したのに、商品を受け取る頃にはその痛みをすっかり忘れてしまってるということ。

 オーダーしてから到着を待つ間に、他のモデルもいいな、今度はサイクロンにしようかななどと妄想が膨らんでいくのだ。

 やっと涼しくなり、オーダーしたライトニングが着れるようになったと思ったら、またルイスレザーOSAKAに行ってオーダーしてしまった。頼んだサイクロンの納期は伸びていて約半年だという。

 そしてまたしても暑くて着れない時期にサイクロンが到着。こっちのほうがライトニングより装飾が控えめでスッキリ着やすい印象である。

 ルイスレザーの何が良いって、さすがテーラー文化の英国製であるから、肩の線が刺身の角のようにキリッと立っている。ジッパーのボールチェーンも貴婦人のイヤリングのように揺れて可愛らしい。

 わたしが二十代の頃はショットの革ジャンばかり着ていた。アメリカ製のショットは若者が着るにはいいけれど、初老のわたしがいま着るとかなり野暮ったい。ワイルド気取りの年寄りは見苦しいが、同じライダースでもルイスのはシュッとしている。

 そういうわけで、現在一年待ちとなったルイスレザー3着目の秋の到着を待っているところ。もうこれで絶対終わりにするぞ!( ̄▽ ̄;

世界の一流品シリーズ[10] ローレールのベレー帽

 予想はしていたものの、老いていくということが、こんなにも手ごわいこととは!

 ここ数年めっきり口数が少なくなってしまったJimmyJazzブログであるが、年をとると冗談のセンスが格段に悪くなる。粋なセンスのジョークを言うカッコいい老人なんて、映画ならともかく現実の世界では滅多に見かけない。政治家の失言なども含め、老人がウケると思って言う冗談は決まってセンスがない。いや、若いとフレッシュで許されることも老いぼれだと救いようがない。自分はまだまだ若いと思ってるが、まわりから見れば哀れな老人なのだ。ショックである(^^;

 目下のところ、なんとかしてカッコいい老人になれないか…、は無理でも、せめてみっともなくない老人に食い込むことはできないかと、自分と共に周囲が高齢化していくなかで、ずっとそればかり考えている。

 しかし歳をとるといいこともある。ローレールのベレー帽が似合うこととか。

 昔、ベレー帽をかぶりロードレーサーの自転車で散髪にいらっしゃる粋な牧師さんがいたのを思い出し、そろそろ自分にもベレーが似合うのではないかと思って買ってみたら、わりとしっくりくるではないか。

 ベレーとか蝶ネクタイとかサスペンダーとか、若い男性がつけると”お坊ちゃま風”になりがちアイテムがサマになるのは、やはり顔に皺ができ、頭に白髪も混じるようになり、多少腹も出て”枯れた感”が出てきてからだ。個人的には髭を伸ばしていいのは白い髭が混じるようになってからだと思っている。

 フランス製ローレールのベレーは、上質なメリノウールを使っていて、顔色を良く見せてくれるし、意外とどんな服装にも合う。黒とグレーだけでやめておこうと思ったのに、阪神百貨店でネイビーを試着したら、これも良いので買ってしまい、還暦まで我慢しようと思った赤色も買ってしまった。

 きっと近所のスーパーのパートさんの中で”ベレー帽のおじさん”とか”絵描きさん”とか呼ばれてるに違いない( ̄▽ ̄;

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世界の一流品シリーズ[9] 万双の革鞄

 新年明けましておめでとうございます。本年もJimmyJazzをよろしくお願いします。

 昨年末より始まった「世界の一流品シリーズ」、こうしてブランド物ばかり紹介してると、ただのブランド物好きみたいに見えるかもしれないが、ブランドじゃないと認めないということじゃない。むしろ身の回りはほとんどがブランド物でないものばかり。

 ノーブランド品に埋もれるようにブランド品が点在するのをピックアップしているのだ。それにグンゼの肌着とかユニクロの靴下とか紹介したって面白くないでしょう(^^;

 でもやはりバーバリーのマフラー巻いてボルサリーノかぶった男がルイ・ヴィトンのバッグ持って歩いてたら、さすがにブランドブランドしすぎで恥ずかしい。ちょっと薄めないといけない。

 そこでわたしが愛用するのが万双のバッグ。何が良いって作りが良い。ブランドロゴがどこにも入ってない。上野と三宮の直営店とオンラインショップでしか入手できない。広告宣伝は一切行わないからそのぶん安い。

 わたしが最初に注文したシモーネトートバッグも、かっこよくて手頃な値段の革カバンを探してて見つけたのだった。

 そのシモーネだが、購入して何の不満もなく一年間ガンガン使い倒してふと見たら、いつの間にかなんともいえない良い風合いになっていて感心した。驚きつつシモーネの色違いを購入し、また一年後に別の万双バッグを購入。すっかり万双のファンになってしまった。

 仕事柄、1日に何度もお客様のバッグを預かるし、なかには数十万円するブランド高級バッグもあるが、それらと比べても万双はまったく見劣りすることがない。丁寧な作りと上質な革の質感が、”ブランド物でない”存在を静かに主張する。

 ちなみに万双の社名の由来は、上野に店舗をひらく際、その前にあった店の屋号が万双だったので、それをそのまま頂戴したという。「こだわるのはそこじゃない」と言いたげで、なんとも親近感のわくエピソードではないか。