映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』

映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』

 なんと、ビリー・ホリディの映画があるではないか。しかも2本、全然知らんかった。むかしダイアナ・ロス主演で「ビリー・ホリディ物語」というのがあったが、これもチャンスがなくて観ていない。わたしは気の強そうな女性シンガーが苦手なので、ビリーとかカーメン・マクレエには詳しくないのだ。

 一本はドキュメンタリーの『Billie ビリー』、こちらは配信がなく、配信がある方の『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』を観た。

 ちょっとこのタイトルはダサいんじゃないかと思う。ストレートに『奇妙な果実』ではいかんかったのか。まだ問題あるのかな?

 さてストーリーはともかく、主演のアンドラ・デイがビリーにそっくり!顔や体格は小ぶりであまり似てないなと思って観てたら、歌声はもちろん、「電話帳を読むだけでジャズになる」とまで言われた話し方が本当にそっくりで、本物かと錯覚しそうになる。

 のっけからルイ・アームストロングと共演、サッチモの声マネはまあ誰でもできる(?)が、問題はトランペットの音色である。あの天下一品の艶やかな音色は再現不可能でスルー。ま、ビリーの映画なのでそれは許す。

 さあ、ビリーといえばプレズことレスター・ヤングで、トレードマークのポークパイハットをかぶって頻繁に登場するが、少し貧相で大物感ゼロ、テナーも含め残念、ま、ビリーの映画なのでこれも許す。

 バンドの頭数と出てくる音が合ってなかったり、『レディ・イン・サテン』のジャケットが登場した随分あとで同盤のレコーディングがあったりと、マニアが見たらツッコミどころは多々あるけれど、かなり頑張ったのは伝わってきた。ジャズ伝記映画として採点するなら10点満点中8点。ちなみにイーサン・ホーク主演チェット・ベイカーの『ブルーに生まれついて』は9点、マイルスの『マイルス・アヘッド』は3点(^^;

Jimmy Jazz